「でもやっぱりエッチは早すぎると思うの」  
 長い沈黙の後、睦香はそう言った。  
「そんなのいつでも出来るじゃない。そういうのは大事に取っておくべきもので、  
急いでするものじゃないよ」  
 眉間の間にしわを寄せ、きっちりと正座をしている。  
 申し訳なさそうな顔をしながらもその態度は頑なで、スカートに付いたリボンを  
弄りながら紡ぐ言葉は非常に型通りなものだった。  
「……先生のお説教みたいだな」  
「先生だから言ってるの!」  
 章吾が苦笑しながら言うと、継羽睦香先生――彼の家庭教師はリボンから手を離し、  
ぱしりと章吾の膝を叩いた。  
「小林君はこれから受験なんでしょ?受験生がそんなふしだらな行為に勤しんでたら、  
勉強がおろそかになっちゃうでしょっ!」  
真剣な表情で章吾を見上げ、そう叫んだ。  
 章吾の膝の上で。  
「……睦香センセ、やっぱり誘ってるだろ」  
「そんなことありませんっ!こっ、これは小林君がここに座れって言ったからであって」  
「でもそれで座っちゃうセンセも大概だと思うけど」  
 ぎゅっと後ろから抱きしめると、膝の上のうかつな生き物は奇声を発した。  
 だめっ!とか、待って待ってとかいう声が聞こえるような気もするが、  
章吾はそれらを全て無視することにした。  
「睦香、ごめん。愛してるんだ」  
 章吾はスカートの中に手をry  
 
 
 
 
 

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