成長したな。  
 
拾ったときはハナタレの小僧だったのに、今では3本中1本は取る様になった弟子を見て私は感慨にふけった。  
女には道場を継がせられないから婿を取れと言われて、父上の元を飛び出し武者修行の旅に出たのが15の時。  
それから10年、がむしゃらに戦って戦って戦う日々の中、野盗に両親を殺されたこの子を拾って、さらに10年。  
子を為す事こそ無かったが、私は私の武を後世に伝えることが出来たのだと満足し、しかし、まだまだ弟子に遅れをとるわけには、いかないっ!  
 
あっ  
 
余計な思考に気を取られていた私は、迫っていた弟子の棍をさばいて、腹部に一撃を入れるつもりが、狙いがそれて下のほうにぶつけてしまった。  
 
だ、大丈夫か、しっかりしろ!  
 
私は脂汗を流して悶絶する弟子に駆け寄ると、患部を診るために弟子の腰布を取り去った。  
ええい抵抗するな、ほんの数年前まで一緒に風呂に入っていたではないか。  
見たところ青痣などはできていないようだが……。  
 
なっ!   
 
よく観察しようと、弟子のふぐりをさわっていたら、見る間に弟子の一物が腫れ上がっていくではないか。  
やはり、ひどくぶつけてしまっていたのか。  
しかし、こんな場所の治療法など私は知らんぞ。ど、どうすればいいんだ。  
混乱した私が、弟子の患部をさすると、弟子がうめき声をあげた。  
すまん! 腫れ上がった所を触られたら痛いよな。ええと、そうだ水を汲んでくる、水で冷やそう。  
……大丈夫じゃないだろう、こんなに腫れ上がらせて、元の数倍は膨らんでいるぞ。  
そうだ、ツバだ。ツバをつけて消毒するんだ。  
ん、なんだ、急におとなしくなって……ペチャ、ピチャ  
むぅう、何か変な匂いがするぞ、ちゃんと洗ってるのか。えっ、咥えるのか。確かにその方が全体にツバをまぶすことができるかもしれんな。、  
 
んンふぁ? ほへへふぃんか?  
 
何、口の中で舌を動かすのか。そのまま、上目遣いでお前を見上げるのか?  
こ、これで、いいのか?  
このまま、唇で搾り出すように上下に?  
うむ。  
 
んんんんん〜〜!?  
 
口の中でいっぱいに詰まった物が痙攣したかと思うと、弟子の手が私の頭を押さえつけ、一物を喉の奥に押し込んできた。  
喉の奥で何かが弾けた。  
とっさに弟子の手を振り払い、口を放して、放たれたものを地面に吐く。  
尿では無い、もっと粘性の強いものが、喉の奥にこびりついている。  
私が地面に吐いたものをよく見るとそれは、白い液体だった。これはまさか……!  
 
弟子が、すみませんと繰り返し土下座をはじめた。  
そんな問題じゃないだろう!!  
これは、これは、「膿」じゃないか!  
違う? 何が違うというんだ!  
安心しろ、うちにだって蓄えはそれなりにある。  
すぐに町にいって医者をつれてくるからな!  
なに? もちろん、うちの弟子が股の間から白い膿を吹き出した。早く来てくれ!!  
と言うのに決まっておろう。  
 
死ぬ? そんなにつらいのか、だからすぐに医者を呼んでくるとっ!  
頼むからここにいてくれ? だが、私にできることなど……。  
そうだ! さっきのようにして膿を吸い出してしまおう!  
どうだ、それでいいか?  
 
……、……、……、……、……、……、……、……、……、もうやめてくれ?  
遠慮するな、全ての膿を吸い出すまで、私が「何十回」でも、しゃぶってやるからな!  
 
 
 
終  
 
 

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