今日も女子高の保健室は、列が出来るほど空きを待つ。
「はい、次の人」
中から乾いた声が呼ぶ。ドアを開けると中年の男の校医が待っている。
「きみは確か、先日検査を済ませたよね?」
身体検査のことなのだけど、少女はその話題に身体をびくりと反応させた。
「何の異常もなかったけど…どうしたの?」
校医の声は、職業的な心配を表していた。そんなビジネスライクな様子でも、生徒は顔を赤くしてもじもじする。
「あの…でも、おかしいから…」
消えはいりそうな声で、彼女が言う。何が、と訊ねると彼女は頬を染めたまま
「あの、もう一度調べて欲しいんです」
と、必死の声で訴えた。
「なにを…ああ、アレか」
校内カルテを覗きながら、校医が呑気に声を上げる。
そうです、そうですと少女は目に涙をためた。
「しかし、アレはあんまりやるものじゃないよ。それこそ身体に負担が…」
「このままの方が負担です、どうか先生! 御願いします!!」
校医は思わずため息をつくと、消毒薬で手を洗い、指サックを付けて彼女を呼んだ。
「じゃあ、ちょっとこっちにきなさい」
女生徒は、顔を明るくさせて飛び込むように校医の前にたった。
「じゃあ、ちょっとごめんね…」
と、校医はそう囁きながら、イスに座ったまま指をスカートの中に入れた。
「すぐに済ませるから、パンツの横から指を入れるよ?」
やはり医者特有の無機質な問いに、生徒は顎を上げながら「ハイ」と小さく頷いた。
痛くしないよう、たっぷりとゼリーを塗った指先が、少女の中に入り込む。
「痛くないかい?」
そういいながら、異常がないかぐにぐにと指であちこちをかきまぜる。彼は親切だったので、年度初めの婦人科検診でも、
一人ひとりの生徒にもちゃんと指サックとゼリーを使った。
お陰で、生徒たちは他人に初めて自分の性器を触られても、それほど嫌な思いもしないで済んだ。
それ以上に、校医の気配りで「将来セックスに不安を感じないよう」にと、心づくしでも最低限の「快感」と共に、彼女たちを調べてあげていた。
しかし、それからはなぜか用事も異常もないのに、保健室に来ては検査をせがむ生徒が増えてしまい、通常の勤務に支障が出始めるのが彼の悩みのタネだった。
生徒が、震えながら「はい」と答えた。校医は、医師としての熱心さで彼女の中を探りまわった。思わず指をもう一本増やした時は「しまった」と思ったが、
彼女が「いいです!」と熱のこもった答えを返してくれたので、返ってありがたく検査に打ち込んだ。
段々、ゼリー以上のぬるぬるが、校医の手を濡らし始めた。生徒の身体に熱が生まれ始め、息が浅く、そして時に喉から絞られるように漏れ聞こえてくる。校医も朴念仁ではないから、
彼女の様子で「痛くはないようだ、よかった」と思った。
くちゅくちゅ、とスカートの中から水音が響きだした。生徒の足がカクカクと震えだす。「苦しかったら、膝に乗りなさい」と言うと、言葉もなく彼の膝にストンとその身体を預けてくる。
「すまないね、もう少しで終わるから」
そう囁く彼の声に、彼女がふるふる、と首をふった。短めのストレートの髪から、彼女の使っているリンスの香りと、その奥から彼女自身の匂いが浮きあがってくる。
『これくらいやったら、汗もかくだろう』と校医は彼女の反応に納得していた。そして、ぐっと指を奥まで入れて、子宮の入り口を、そろりと撫ぜた。
「んあっ! ひああ…っ!」
彼女の身体がびくりと飛び上がった。しまった、痛かったかと校医はちょっとだけ自分の乱暴さを恥じた。生徒の身体に力が入った。指を追い出そうとしているのか、
周囲がきゅうきゅうと彼の指を締め上げる。生徒が思わず校医のしがみついてきた。かわいそうに、声も上げれないくらい辛いのかと彼は
「ちょっと失礼」
と生徒に囁くと、そのまま服の上から胸を刺激し始めた。かわいいまろみをみせる服の上に顔を押し付けて、そのまま唇と歯を使って胸を刺激する。
「い、いや…、ああ!」
彼の膝の上でしがみついたまま、生徒は思わずのけぞった。
「嫌だったか、すまない」と校医は顔を離した。生徒の身体から力を抜かせようと思ったのだが、返って緊張させただろうか。
しかし、生徒は首を思いっきり横に振った。首が抜けるんじゃないかってくらいブンブンとふった。
そして
「続けてください! もっといっぱい…調べてください」と校医の頭の上で答えた。
「でも、痛かったのじゃないのか?」と彼の問いに
「いいえ…痛くないです。あの…胸も、そのまま続けてください」と、はにかんだ声が聞こえてくる。
「分った、もうすぐ終わるからね」と真摯に彼が答えると「いいえ、もっとゆっくり調べてください」と返ってくる。
自分を頼ってくる生徒の申し出には、なるべく答えたいと常日頃心がけている校医だったが、なにぶん後が控えている。心の中で「ごめんよ」と呟くと、
彼は顔を再び胸につっ込みながら、指で執拗に彼女の中をこねくり回した。これから女性となる彼女たちのために、ちゃんとGスポットで感じるか調査した。中でポッコリ膨らんだ一箇所をなぜ上げるように
つつくと、彼女は声を上げて震えあがった。おかしなところにしこりがないか、ガンの兆候はないかと中も胸も丹念に触診する。彼女は鼻声を上げて校医に身体を摺り寄せ、甘い体臭を振り撒いている。
制服がぐしゃぐしゃになっているが、形状記憶のはずだから大丈夫。
「じゃあ、これで最後ね」と彼は囁くと、指を三本に増やしてピストンを始めた。じゅぽじゅぽっと卑猥な音がスカートから聞こえる。それはもちろん生徒にも聞こえている。
「あたし…こんなやらしいおと…やあああああ!!」
「性交痛の心配もなさそうだな。よかった」
彼女がしかるべき良人に嫁ぐ時、哀しい思いをしないで済みそうだと彼は安心した。彼は校医として、全校生徒の身体の具合を掌握しておかなければならないのだ。
「あっ…あっ! 先生、もうわたし、ああっ! あたし…いいっ!!」
締め付けが強くなっていくが、指をくわえ込んだその奥は、ゆったりとほぐれて自由にうごかせる…これは、女性が感じきったとき、相手の精子を中にとどめるための反応だ。
よかった、このコの身体はちゃんと正常だ、と校医は本当にほっとした。
「いいよ」と校医は優しい声で頷くと、かぷっと胸を齧った。
生徒は、校医の頭にしがみついた。
「ん…んんんん…!! んんーーーーーーーーー!!!!」
外に聞こえないよう、必死で唇をかみ締めて、生徒は検査の終了を身体で感じきった。ただ夢中に校医にしがみつき、ぶるぶる、と身体を震わせた。服越しに彼女の鼓動が聞こえる。
とても性急で、とても力強い。指を収めた彼女の中も、熱くほころびてヒクヒクと震えている。ここに自身を入れることが出来る男性は幸せだと彼は思った。こんなに柔らかく
蕩けている穴など、めったにない。
「はあ…はあ…ああ」
やっと彼女の息が落ち着いたようだった。彼は「よしよし」と宥めるように彼女の背中を軽く叩いた。彼女は最後にもう一度、校医に抱きついた。
「もう動けるかね?」
手を消毒薬で洗いながら、校医が事務的な気遣いで声をかけた。
「はい…」
まだ、ぽーっとした目を校医に向けて、生徒はうっとりと頷いた。
「大丈夫、異常はなかったよ。それより、何か体のことで心配があるなら、ちゃんとした病院で調べてもらったほうが」
「いいえ、先生でいいです」
校医の言葉に、生徒が潤んだ目を光らせつつ、前のめりになって答えた。「知らない人に見てもらうより、先生の方が安心です!」
ここまで生徒の信頼を受けて、悪い思いをする職員はいない。「わかったよ」と校医はちょっとだけ照れて頷くと「でも、本当に何か心配だったら、
病院に行くんだよ」と、真面目な顔で生徒に言った。
「はい」と生徒は嬉しそうな笑顔で頷くと「ありがとうございました」と、ちょこんと頭を下げて出て行った。
やれやれ、と顔を上げると、もう10分しか昼休みはない。
「先生」
と、ノックの音がする。
「もう時間がないよ」と彼が答えると、勢い込んでドアが開き
「10分でいいです! 検査御願いします!」
と、またも見覚えのある生徒が飛び込んできた。
彼はため息をつくと、消毒薬で手を洗い「じゃあ、こちらに」と声をかける。
顔を明るくして生徒が頷く。仕方がないと彼は思った。
私は校医、この学校の生徒の心と体を守るため、真摯に付き合っていかねばならないのだ。
彼は誓いを新たにすると、また指サックをはめて、ゼリーチューブの蓋を開くのだった。