変哲のないアパートの一室で、4人の男が悪念を起こしていた。  
 
「帰宅途中に拉致して無理矢理犯す方が、反応が楽しめて興奮するだろ」  
彼らはみな大学の部活仲間であり、運動部に所属しているため体格が良かった。  
そのため、今の発言に含まれている悪事を容易に行うことができる。  
「バカ、それじゃコトが終わったら、俺らは刑務所行きになっちまうよ」  
「覆面でもつけれやいいだろ。それに、ほとんどの女は泣き寝入りするって聞くぜ」  
「あいつはしないかもしれないだろ。覆面だって、何かの拍子に外れたらどうすんだよ」  
「そうそう、だから眠っている間にやっちまえば安全だし確実なんだよ」  
「それに、意識があったらトラウマを植えつけちゃうもんな」  
「はは、いい奴だなお前」  
「あー、早く久美ちゃんの体を堪能したいぜ」  
男達は下卑た笑い声を上げた。  
「俺らだけでやるんだよな」  
「当たり前だろ」  
「他の部員にばれないように事を運ばないとな。特に2年は数が多いからどこで嗅ぎつけるか」  
「あんな青春熱血野郎どもにばれたら面倒だもんな」  
再び笑い声がこだました。  
 
男達のターゲットは、同じ部活の1年生女子マネージャーだった。  
彼らの部活にはこれまで、お世辞にも美人とは言い難い女子マネしかいなかった。  
そんな所に、男子学生の目を引く容姿を持った新部員が今年から入ってきたのである。  
その女学生の名前は久美といい、美白で黒髪ロングといった、いかにも男が好みそうな清純系美少女だった。  
童顔で可憐そうな容姿にもかかわらず豊満なバストを持った彼女は、だからこそより一層異性の視線を浴びている。  
悪漢たちはそんな彼女を嘗め回すようにいつも見ていた。そしてついに、わずかながらの良心も抑えられなくなったのである。  
 
「久美ちゃん」男の一人が話しかける。  
「はい」彼女は明るい声で答えた。  
「ちょっといいかな、来てもらっても」  
「あっ、はい」  
そして二人は人目に付かない場所に移動した。  
「今度の金曜日、暇かな?」  
「金曜ですか、えーっと」  
「ウチで飲み会でもどうかなって。大丈夫だよね」  
「あっ、はい、分かりました」  
先輩からの折角の申し出なのだからと思い、久美は断らなかった。  
「先輩のお家って、部員のみんなが入るほど広いんですね。羨ましいです」  
「ああ、俺達3年しか集まらないから。期待させちゃって悪いけどそんなに広くないんだ。アパートだし」  
「えっ、私と3年生の人だけなんですか」  
なぜ3年生と自分だけなのだろうか、と久美は思った。  
しかし、元来疑うことが得意ではない彼女はその疑問をすぐに消し去ってしまった。  
「うん。じゃあ、そういうことで。よろしく」  
男はそう言って去っていった。  
 
翌日、食堂で久美は親友の沙耶と話していた。  
「何か怪しくない、それ。あんたと3年の先輩だけだなんて」  
昨日の話を久美から聞いた沙耶が疑念を抱いた。  
「普通、飲み会ならどこかの店行ってみんなでやるでしょ」  
「うん、まぁ」  
「何か企んでんじゃないの」  
「そ、そんなことないよ」  
「どーだか。あんたは昔からすぐ人を信用しちゃう奴だからね」  
沙耶は、未だに心が幼いこの友人を心配に思った。  
「だって、先輩たち凄く優しいし」  
「あんたが見抜けてないだけで、その優しさには下心があるの。男はそういうもんなんだから」  
「沙耶が疑いすぎなんだよ。男の人はみんながそんなじゃないって」  
沙耶は心の中で久美の世間知らずさを嘆いた。しかし、だからこそ彼女は久美を放っておけなかった。  
そこで沙耶は、子供の頃からの大事な友人を守るためにある提案をした。  
「分かった。じゃあ、こうしよ。あたしも一緒にその飲み会に行く」  
「えっ」  
「いいでしょ、別に。あんたの友達ってことで。あたしが来て慌てるようだったら、そいつらが何か企んでいるって分かると思うし」  
「うん、分かった」  
 
金曜日になり、久美は部活に行く。  
練習が終盤になった頃、男が久美に小声で話しかけてきた。  
「久美ちゃん、練習が終わったら101教室に集合ね」  
「あっ、分かりました」  
 
練習が終わり、着替えや後片付けをした後、一同解散となった。久美が辺りを見渡してみると3年生の姿はすでになかった。  
もう集合場所に行ってしまったのだろうか。  
久美は沙耶に連絡をした。  
「もしもし、沙耶。いま練習終わったとこ。それでね、101教室に集合ってことになったみたい」  
「分かった。あたし、いま図書館にいるから来てくれる。一緒に行こう」  
「うん」  
久美と沙耶は合流した後、二人で101教室に向かった。  
扉を開けると、4人の3年生がすでに集まっていた。  
「久美ちゃん、遅かったね・・・って、その人は?」  
「あ、私の幼馴染みで、同じ1年生です。名前は沙耶――」  
「初めまして。いきなりで申し訳ないんですけど、私も飲み会に参加させてくれませんか」  
久美の紹介をみなまで聞かず、沙耶は本題に早速入っていった。  
そして、すぐさま男達の反応を窺った。  
しかし、沙耶の予想とは裏腹に、彼らは微笑みを浮かべながらすぐに了承した。  
「もちろん、大歓迎だよ」  
「人数が多いほうが楽しいもんな」  
「そうそう」  
沙耶は少し意外そうな顔をしたが、即様それを消して笑顔でお礼を言った。  
「ありがとうございます」  
それでもまだ、彼女は警戒心を解くつもりはなかった。  
 
男達の微笑みは偽りではなかった。彼らは内心で喜んでいた。  
(こいつも可愛いじゃねーか。ちょうどいいぜ)  
(ブスだったら何か理由をつけて引き払ってもらうつもりだったけど――)  
(可愛い子が多いほうが、本当に“楽しめる”からな)  
(1人眠らせるも2人眠らせるも変わらないもんな。睡眠薬を使えば)  
そんなどす黒い感情を各々の胸裏に抱いていた。  
 
「沙耶ちゃんは何学部なの?久美ちゃんと一緒?」  
「あ、いえ、私は経済です」  
彼らは教室で会話を続けている。  
これは男達の計略だった。彼らは部員達に見つからないよう、全員が帰宅するであろう時間帯まで久美たちを大学に引き止めておきたかったのだ。  
やがてその時間帯になり、彼らは行動することにした。  
「それじゃ、続きはウチに行ってからにしようか」  
「はい、分かりました」久美が答える。  
「ウチまでは歩いて15分くらいだから」  
「結構近いですね」今度は沙耶が言う。  
「こいつは県外からきたんで、近くのアパートを借りたんだよ」  
大学を出て、全員でその場所へと向かった。  
 
歩きながら沙耶は久美に目配せをした。久美が頷く。  
久美は昨日、沙耶から言われたことを思い出した。  
 
「いい、とにかく酒は飲まないこと」  
沙耶が久美に忠告する。  
「でも、飲み会だよ」  
「未成年って理由で断るの」  
「でも、先輩達が勧めてきたら・・・」  
「それでも断ること。泥酔した女が男に何かされるなんて定番中の定番なんだから。ただでさえ、あんた酒に弱いし」  
「うん、分かった」  
 
そのやり取りをきちんと久美は心に留めていた。  
少し疑り深い親友だが、それは自分のことを思ってくれているためだと分かっているので、久美は感謝もしているのだ。  
そんなことを思い巡らしているうちに、男のアパートに着いた。  
 
部屋に入ると、すでにテーブルの周りに座布団が敷かれていた。  
家主である男が沙耶のために座布団をもう1枚もって来た。  
「さぁ、どうぞ座って」  
「あ、すみません。ありがとうございます」  
沙耶はお礼を言い、そして座った。久美は沙耶の左隣に席を取った。  
 
男達は即座に行動に移った。  
まず、家主の男が料理と箸、皿を運んできた。料理を皆に食べるように促す。  
そして、もう一人の男が手伝いという形で台所に残っている。  
男は人数分のコップに酒を注いでいた。  
そして、酒が満たされた黄色と緑色のコップに、隠し持っていた睡眠薬を入れた。  
薬が完全に溶けたのを確認して、彼は酒を皆のもとへと運んでいった。  
「ささ、乾杯でもしよう」  
酒を注いだ男はもちろん、久美と沙耶の前に黄色と緑のコップを置いた。  
男達はみな胸を躍らせていた。もうすぐこの美女たちの体を好き放題にできるからだ。  
しかし、彼らの期待を裏切るような声が室内に響いた。  
「あの、すみません。私達まだ未成年だからお酒は飲めないんです」  
沙耶がそう告げた。久美もそれに続く。  
「そうなんです。本当に申し訳ありません、飲み会なのに」  
 
男達は一瞬驚愕の表情を浮かべた。それを沙耶は見逃さなかった。  
(そんなに驚くかな、普通。やっぱり何かある)  
沙耶はそう推測した。その途端、男達は笑みを作りながら飲酒を勧めてきた。  
「大丈夫だよ、未成年でも酒飲んでいる奴なんていっぱいいるから」  
「俺らも入学当初は未成年だったけど、酒は毎日のように飲んでたし。とくにこういう飲み会では何杯も――」  
「19歳も20歳も変わらないって」  
その後も男達は何とか酒を飲むよう久美たちを促した。その様子はどうみても、飲んでもらわなければならないといった感じだった。  
(やっぱり、酒に酔わせて久美に手を出そうと――)  
そんな男達の様子で沙耶は確信した。そして、同時に怒りが湧いてきた。  
――大事な親友を汚そうと企んでいた目の前の男達に対して。そしてもう一つ、昔のことを思い出して。  
(今すぐ帰ろう)  
そう思って、沙耶が久美にその言葉を告げようとした矢先であった。  
「まぁまぁ。お前らそんなに勧めてやるなよ、二人とも困っているだろ」  
ただ一人、他の男達に交じらず黙していた男が口を開いた。その男は、酒を注ぎ睡眠薬を入れた者だった。  
「ごめんね。何かこいつら、酒はコミュニケーションツールだと信じて疑わない頭の堅い奴らだからさ。いまジュースを持ってくるよ」  
そう言って、男は黄色と緑のコップを持ち、再び台所へと入っていった。  
コップにはオレンジジュースが満たされていた。もちろん睡眠薬入りである。それを男は彼女達に手渡す。  
「はい」  
「ありがとうございます」二人は同時にお礼を言った。  
 
沙耶はテーブルの上に置いたコップを手で回しながら、思案していた。  
(考えすぎだったのかな。でも――)  
彼女はさっきの男達の驚愕の表情や必死な勧めが脳裏から離れなかった。どうも何かが引っかかるのだ。  
なぜなら、沙耶が忘れたいと必死に思っている男達の姿と被ってしまうからだ。  
――2年前、自分を泥酔一歩手前まで追い込み、陵辱しようとした男たちと。  
必死に抵抗したために何とか難を逃れたが、それでも沙耶の心にはトラウマとなった。自分の男性不信はそのせいである。  
そんなこと誰にも言えるはずがなかった。もちろん、隣にいる親友にも。  
だが、暗然としていた自分を、事情を知らされなくとも久美は一生懸命に元気付けようとしてくれた。毎日のように。  
そんな心優しい友人に、沙耶は何度も心の中で感謝していた。  
だからこそ、その彼女を自分と同じようなこと、あるいはそれ以上の酷い目になど絶対に合わせたくはなかった。  
そのために沙耶はこの場に来たのである。この男達が悪人かどうかを見極めるために。  
 
「さぁ、気を取り直して乾杯しますか」  
男の一人が割と大きめな声でそういった時、沙耶は急に思考を中断させられた上に驚いてしまったため、手を滑らせジュースをこぼした。  
「わっ、ごめんなさい」  
「沙耶、大丈夫?もう、コップを回してなんかいるからだよ。すみませんが拭くものを――」  
「ああ、分かった」  
「すみません、ありがとうございます」  
久美が謝罪とお礼を言った。  
「沙耶ちゃん、コップ貸して。また注いでくるよ」  
そう言ったのはまたあの男だった。二度も失敗したのにもかかわらず、割と冷静だった。  
「あっ、いえ。私がこぼしたんですから、自分で入れてきます」  
その言葉を聞き、はじめて男が少し取り乱した。  
「い、いや、俺が入れてくるよ。だからコップを」  
「いえ、大丈夫ですから」  
そう言って、沙耶は台所へと向かっていった。なぜあんなに入れることにこだわるのか疑問を抱きつつ。  
久美はこぼれたジュースを拭きながら、男の一人と会話している。  
 
その隙を見て、二人の女に聞こえない小さな声で三人の男がささやきあった。  
「おい、どうすんだよ」  
「久美の方はともかく、あっちの方には薬が――」  
「まぁ、落ち着け。まだ手はある」  
男はポケットからハンカチを取り出した。それを残りの二人にちらりと見せる。  
「念のためこれもネットで落としといたんだ。こいつを沙耶には使おう」  
「大丈夫なのかよ、バレないかそれじゃ」  
「飲み会の最中にうっかり寝てしまった、ていうシナリオが通用しなくなるんじゃないか」  
「もう酒じゃないんだから、『酔って寝ちゃったんだよ』なんて言葉じゃごまかせないだろ。当初の計画はすでに失敗している」  
「じゃあ、どうすんだよ」  
「眠らせて、裸にして写真を撮る。一応ごまかしてみて、ダメなら写真をネットに流すと脅す。それで奴らは泣き寝入りだ」  
「だったらもう回りくどいことしないでやっちまおうぜ」  
「この馬鹿、こんなボロアパートで叫び声なんか上げられたら、声が外に漏れて即アウトだろ」  
沙耶が戻ってきたので、男達は話し合いを止めた。  
 
「すみません、私のせいで何度も乾杯を邪魔して」  
「いいんだよ沙耶ちゃん。そんなこと気にしなくても」  
「・・ありがとうございます」  
沙耶は疑念を取り払ってはいなかったが、しかしそれでも今は本気で男の気遣いに感謝した。  
もちろん、その気遣いは偽りのものだったが、沙耶はそれには気付かなかった。  
「それじゃ、乾杯」「乾杯」  
皆がコップに口をつける。ゆえに、久美は睡眠薬入りジュースを飲んでしまった。  
 
しばらくして、久美の様子がおかしくなった。  
「久美、どうしたの?眠いの?」  
頭をもたげて目を瞬かせている久美の姿を見て、沙汰が尋ねた。男達は心の中で笑いながらその様子を見ていた。  
「うん・・・何か・・目を開けてられなく・・て・・・」  
その言葉を残し、久美は寝転んでしまった。  
「ちょ、ちょっと久美」沙耶は慌てふためいた。こんな急に睡魔が襲ってくるなんてありえるのだろうか。  
この瞬間、沙耶の脳裏にはある言葉が浮かんだ。  
(ま、まさか、睡眠薬――)  
そう思った時、沙耶には合点がいった。なぜ男達が執拗に飲み物にこだわっていたのか。そして、なぜ自分で注ぎたがったのか。  
沙耶は寒気がした。もちろん自分の推測が間違っている可能性もある。しかし、何故だか彼女はもうここには居たくなかったのである。  
それに、眠ってしまった久美をこのままにはしておけない。沙耶は何とかこの場を離れようとした。  
「あの、久美がこんな状態なので、あたしたち帰ります。すみませんがタクシーを呼んでください」  
男たちにそう告げたとき、彼らは笑いながらいった。  
「まぁいいから、寝かしておきなよ」  
「そうそう、会は始まったばかりなんだからさ」  
男たちの言葉には、その後も久美を気遣う言葉は少しもなく、またタクシーを呼ぼうとする気配もなかった。  
そんな男達の様子を見て、沙耶は怒りを込めながら言った。  
「ふざけないで。もういい、おじゃましました」  
沙耶は久美を担ごうとした。しかし、意識のない人間の重さは尋常じゃなかった。  
「ふっ・・んっ・・」沙耶には久美を持ち上げることができなかった。  
 
沙耶が久美に気を取られている隙に、男たちはうなずきあった。  
一人の男がクロロホルムの染みこんだハンカチを手に持ち、沙耶の背後に立った。  
そして、左腕一本で沙耶の両腕を押さえ込み、右手に持ったハンカチを彼女の口に押し当てた。  
「んぐっ、んーーーっ」  
沙耶は突然の出来事に何が起こったのか分からなかった。久美を支えていた手を封じられてしまったため、久美の体が床に叩きつけられた。  
「んーーっ、むぐーーっ」  
状況が把握でき、必死に男の手から逃れようとしても、男はびくともしなかった。  
「ん・・・んぅ・・」  
力が入らなくなり、意識が徐々に薄れていく。  
その薄れゆく意識の中で最後に見たのは、顔をこちらに向け床に横たわる久美の姿だった。  
沙耶は思った。自分を眠らすのは犯すためか、それとも邪魔者を排除するためかは分からない。  
しかし、最初から男達のターゲットとされていた久美が手を出されないことなどありえないだろう。  
久美は確実にこの理性を失った悪漢たちに汚されてしまう。  
(ごめんね・・・久美・・・守れな・・)  
男たちを毒づくのではなく自分の無力さを嘆き、彼女の意識は途絶えた。  
 
睡眠薬で眠らされた久美だったが、沙耶の支えていた腕から抜け、体を床に打ちつけたときにわずかだが意識を取り戻していた。  
沙耶の悲痛な声が聞こえたので、なんとか目をかろうじてこじ開けた。そして、薄目で沙耶の方を見た。  
すると、沙耶が先輩に羽交い絞めにされ、ハンカチを口にあてがわれていた。  
ドラマとかでよく見る、人を眠らせてしまう方法だった。  
(何で・・・こんなこと・・)  
しかし、さすがの久美も悟った。沙耶が言っていたとおり、この男たちは最初から企んでいたのだ。  
男が女を連れ込んで、果てに眠らせてまで行うことはおそらく1つしかないだろう。――自分達はお金などそれ程もっていないのだから。  
(いや・・・)久美はこれから沙耶と自分の身に起こるであろうことを想像して恐怖した。  
体を動かそうにも言うことをいかない。おまけにもう意識を保っていられなくなってきた。  
(ごめんなさい・・・沙耶・・)  
久美は親友を巻き込んでしまったことを謝罪した。  
本来なら、無知な自分だけが男達の餌食になるはずであったのに。沙耶はこんな自分を心配して一緒にきてくれたのだ。それが――。  
彼女は、男達の言うことを簡単に信じてしまった自分の愚かさを呪った。  
消え行く意識の中でも、沙耶から目を逸らさなかった。そして見た。沙耶が抵抗を止め、男の腕の中に抱かれていくのを。  
(ごめんね・・・沙耶・・・ごめんね・・)  
何度謝っても足りないであろうという思いを久美は抱いたまま、深い眠りへと落ちていった。  
 
「ふぅ、やっと成功したな」男が安堵のため息をつき、喜びの声を上げる。  
「ああ、とことん楽しもうぜ」  
「しかし可愛い寝顔だな、二人とも」  
「こんな女をこれから抱けるなんて、努力した甲斐があったな」  
「まったくだ」  
男達は笑った。しかし、その目には欲情の炎がしっかりと燃え盛っていた。  
「お前ら、最初はどっちがいい?」  
「俺は予定通り久美で」「俺も」「じゃあ、俺は沙耶にしようかな」  
「よし、じゃあ二人ずつで一人の女を楽しむか。その後は交替な」  
「分かった」  
こうして欲にまみれた獣達は、意識を失った可憐な美女たちの衣服を脱がし始めた。  
 
 

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