ここまで来れば大丈夫でしょうか、このまま彼女も諦めてくれる事を願います。  
あ、コレは失礼申し遅れました、私は――。  
「あ! 見つけた!!」 はい、見つかりました。  
「こんなとこに隠れていたの、道理で見つからないわけだわ!」  
そう言うとツカツカと彼女が近づいてきます。  
「私に見つかったのが運の尽きよ! さあ、覚悟なさい! 」  
彼女は左手を腰に当てながら、右手の指をわたくしに『ビシリ!』と、突きつけます。  
天界では人に指を突きつけてはいけないと習わないのでしょうか? 残念です。  
金色の髪を頭の横で二つに結び、真っ白なワンピースは背中の部分が大きく明き、  
ソコからは真っ白な羽が二枚はえている、所謂天使という存在で。  
彼女達言う所の『悪魔』である私を倒そうとしているらしいのです。  
ヤレヤレ。  
「何ごちゃごちゃ言ってるの? あんたはさっさとワタシに退治されちゃえばいいのよ!」  
退治される方の身にもなってください。 大変なんですよ?  
「なによ〜、さっきからやる気ないわね〜『テメエをぶっ殺して神の野郎のちんぽを食いちぎってやるグヘへ』とか言えないの?」  
何ですか、女の子がハシタナイ……。 そんなアニメみたいな声で下品な言葉はお止めなさい。  
「誰がアニメみたいな声よ!! まあ良いわ、華麗な妙技でアンタをヤッツケテ神様に名前を貰うんだから!!」  
どうやら名前も無いほどの新人さんみたいです、ほんとに困った物です。  
「行くわよ!! 超必殺技!!! エクストリーム・スーパー・スペシャル・サンダー!!」  
まるで子供向けアニメのヒロインのような声で彼女が叫ぶと空からゴロゴロと雷が落ちてきました。  
夕立でしょうか? 村の人達のお洗濯物が心配です。  
「な、何でワタシの超必殺技が通じないの!?」  
ああ、貴方が落としたのですかスイマセンでした。 気づかなくて。  
ええと、あっ! も、もう一度やれば効果があるかもしれないですよ?  
「く、食らいなさい! 超必殺!! エクストリーム――― 」  
ウワアア、ヤラレタアアア。 ばたり。  
あれ? 倒れた私の所になにやら半泣きの顔でつかつか近づいてきます。  
私の死んだフリが上手くいって泣いてくれてるのでしょうか?  
あ、い、痛い! 痛いですよ!  
い、一体なんです? 死んだ者を叩くなんて酷いです。  
「起きなさいよ! バカ!」  
如何やら死んだフリがばれてしまったようです、何故でしょう?  
 
「アンタ馬鹿!? 今年91に成るエレナお婆ちゃんだって騙せないわよ!!」  
はあ、そうですか、でもあのお婆さん結構しっかりした方でこの前も――痛い。  
「だれも‘ご長寿万歳話,なんて聞いてないわよ! この馬鹿!」  
人を簡単に叩くのは辞めて下さい、さっきの何たらより‘グー,のが痛いです。  
「知るか馬鹿! 何なの、さっきっから!! 其のやる気のなさ!」  
逆切れですか? 困りましたね、と言うか私、只のマイナーな地方神ですので、  
あなた方に何かしようとか思わないわけで。  
「何それ? それって私が弱くて、襲うに値しないほど可愛くないってこと?」  
いえ、そうとは言ってません、それに可愛いいですよ、胸ちっこいですけど。  
「な!? ち、ち、小さくて悪かったわね!!」  
あ、いえ、そんなに怒らなくても‘ぺったん娘,が好きな方も世の中には―――痛いです。  
「うるさい! うるさい! うるさい!!! 馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿アァー!!」  
顔は辞めて下さい、あ、い、意識が、意識が飛びそうです。  
「好きでちっこい訳じゃないモン! 小さい小さい言うなぁ!」  
コレは失礼、では大きくしてみましょうか?  
「ほえ? 嘘!? 出来るの?」  
まあ、一応わたくし豊穣の神として祭られてますので出来なくはないです。  
この村の女性は皆胸大きい方が多いでしょ?  
「そう言えば……ねえ、本当に大きく出来るの?」  
恐らく。  
「じゃ、じゃあ、お願い、如何すればいいの?」  
まあ、普通に胸を揉ませて頂くだけですので、不愉快なら辞めますけど。  
「いいわ、やって!」  
はいはい、あっ!? ええと、本当にいいんですか?  
「良いわよ、本当に大きくしてくれるんでしょ?」  
はい、ですが……。  
「いいから早くして!!」  
わ、わかりました、では失礼、おお、人間と違いまして天使の方って何と言いますか肌触りが。  
「あ、の、ねえ、ソコはお腹よ!!」  
失礼しました。 ここですね。  
「うきゅう」  
大丈夫ですか? 随分と感じやすいお体ですね。  
「は、はづかしい事言わないで!」  
はいはい、それにしても顔真っ赤ですよ、大丈夫ですか?  
「大丈夫よ、うん、ねえ、悪いんだけど服のうえからじゃなくて、じかに触ってくれる?」  
いいんですか?  
「うん、服が擦れて、凄く変な気持ちになっちゃう……」  
では。  
「あ、そっとよ! 急に触ったらダメなんだからね!?」  
はいはい、そっと触りますよ。はいタッチ。  
 
「うきゅうう!」  
そ、そんなに悲鳴を上げて仰け反るほどですか!?   
「ご、ゴメン! 我慢するから続けて!」  
では、そっと、胸の横からこの可愛いらしいピクピクとした先端に向けて寄せていきます。  
「か、解説しないでよぉ、恥ずかしいじゃなぃ……馬鹿ぁ……」  
相当我慢されてるようですね、身体の横でギュウと強く手を握ってます。  
小刻みに身体も震えてますし、真っ白だった肌が、薄いピンク色に染まってます。  
「あ、あううん、ね、ねえ、まだ?」  
まだですよ。 あ、ちょっとスイマセン、この先端部分を触りますよ。  
「えっ!? 一寸待って! 乳首は、あ!? ら、らめえ!!」  
おっと、少しやめましょうか、少し摘んだだけで、あ、えええと。  
「うう、悪魔に乳首つままれて逝っちゃうなんて生涯の恥だわ」  
仕方ないですよ、女の子ですから、皆そうです。  
「本当に?」  
ええ、きっと貴方のお友達とかもそうですよ、たぶん。  
ん? 如何されたんですか? 暗い顔をされて。  
「いないの、私、友達って」  
あ、其れは失礼。 大丈夫です、そういう物はゆっくりとできていく物です。  
「有難う、あんた冴えない顔しているけど優しいよね」  
冴えないは余計です、この顔は当時では美形の方なのですよ?  
「フフフ、ゴメンね、あ、もう平気またお願い」  
はいはい、もっとリラックスしてください、じゃあ行きますよ。  
コリッとな。  
「はゆううう! やっぱりらめえ!」  
小さいのに感度良好すぎですね、でももう少し我慢してください、もう少しですので。  
「はにゅう! らめえ! そんなにおっぱいコリコリされたらまた逝っちゃうんだから!」  
そんなにアニメ声で叫ばないでください、恥ずかしくなります。  
「あ、ああん、やめっ! んうん!」  
もう少しですよ、がんばって。  
「あああん、ラ、ラメなの!! も、漏れちゃう!! 来ちゃう! 来ちゃうのおぉ!!」  
 
あ、あああ、凄い事になってます。   
今まで何度か女性の方の胸にさわらさせて貰いましたが、こんなに激しく反応された方は初めてです。  
それにしても天使でもこんな風にお漏らししてしまう物なんですね。  
 
「う、うう、まじまじと見ないでよぉ、バカぁ……」  
ああ、スイマセンまさか泣くとは、あ、あのぉ替えの下着とか持ってきますか?  
「天使はパンツなんてはかないもん」  
あ、そうでしたっけ、失礼しました、しかし真に申し訳難いのですが……。  
「失敗したの!?」  
はい、ですがソレよりもモット大事な事が……。  
「何、私が何か……あああ!? なにこれ!?」  
彼女が驚かれたのも無理はありません。 なにせ真っ白だった羽が黒くなってしまっているのですから。  
「なんなの? なんで!?」  
ええと、つまり簡単に言えば天使である貴方が他の神に願い事を叶えてもらおうとしたからです。  
「え!? あああああああ!!!」  
だから、私何度も良いのですかと言ったんですよ。  
「ああ、そうかあ、私、堕天しちゃったのかぁ」  
あ、あのぉ余り気を落とされませんように、天使だけが人生ではないのですよ?  
「ま、いいわ! じゃあ、いつか神の野郎のチンコでも食いちぎってやるわグヘへ」  
変わり身、早!! 後、其のグヘへはお止めなさい、下品な上に、声とあってません。  
「いいじゃない別に、あ、ねえじゃあさ、アナタ私に名前付けてよ!」  
へ? 私がですか?   
「だって神でしょアナタも? 可愛くって親しみやすくて、すぐに覚えて貰えそうなのね」  
注文が多いですね、しかしこれ、難しいですからね、口に出したら即決定ですし。  
う〜ん、猫っぽいですがニャニャエルとか、ネコエルとかは今一ですし、  
アニメみたいな声だから、クギュエルとか? うん、だめそう。  
「まだ? 待ちくたびれちゃったよう、もうぱっと浮かんだのでいいよ」  
良いんですか、そんなので、じゃあ、エイ!  
「ん、なんかきた、これね、じゃあ」  
ドキドキしますねこの瞬間。いよいよ彼女が自己紹介をして一人前になる瞬間です。  
 
「私の名前は ペタエル 今後ともよろしく――って、何コレ!!」  
 
ダメですか? ぱっと思い浮かんでしまって。  
「最低最低最低!! このバカバかばかばか!!!!」  
 
後にこの村の神を祭る祠の脇に小さな可愛らしい女の子の像が作られる事になりました。  
この子は女性の、とりわけ、小さい胸の女性の、守り神として末永く祭られるのでした。  
ただ、誰かがいつも悪戯をして胸のところに何かをくっつけてしまうのを、  
村の人たちはたいそう不思議に思うのでした。  
 
 
おしまい。  
 
 

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