「幼馴染はまさにテンプレと言える
あらゆる男女間において幼馴染と言う単語だけでほぼ全ての事象が矛盾なく理解できる
いわゆるボーイミーツガールで言うなら、あって3日も経たぬうちに意気投合したり
ファンタジー物であるなら、舞台設定の説明と共に主役格の秘められた力の複線になったり
この世の数ある物語で、主役格の人間の人となりがわかる最高の素材である
だのになぜ!?昨今の物語は幼馴染を軽視するのか!?
ある程度物語が進めば、幼馴染の存在はなかったように扱われ、なおかつ、主役格とそのヒロインの当て馬として扱われる
幼馴染の絆ゆえに、物語の中の舞台装置として扱われる
この暴挙を許していいものだろうか? いやないっ!!
幼馴染には無限の可能性がある! その先にある関係と言う無限に広がる大宇宙がある!!
もともと近しい関係故の気安さと、これ以上は踏み込んでは為らないと言う不文律が存在する!
それ故に、偉大なる先人達は悩み、考え、研磨して今の幼馴染と言う概念を生み出したのではないだろうか?
物語を描くものとして、これほど興味深い題材があろうか?
あえて言おう、ありえる筈が無いと!! それほど幼馴染と言うのはすばらしいもので稀有なものなのだ!
さて、君はなぜそんな風にうつむいてるのかな? よければ私に教えて欲しい」
「長い」
長々と恍惚の表情で語り続けた幼馴染の問いに俺はそう答えるしか回答を持っていなかった
「……、要するに、何が言いたいんだよ?」
彼女の回答がわかりきっているが、付き合わないと色々と生命の危機なので投げやりに聞き返す
しかし、彼女の回答は俺の度肝を抜くありえない言葉だった
「決まっている、今夜、君と、フォーリンラブだ!」
古い、そして、ありえない
何より、言い切った後のドヤ顔がムカつく、何だその言ったったみたいな顔は、こっちはテンパってんだぞてめぇ
仕方ない今まで我ながら、大人気ないと思って封印してきたがいい加減限界だ
今 宵 こ そ く す ぐ り の 計 の 封 印 を と く
覚悟しろよ?そこのドヤ顔ッ!!
省略されました、続きはありません