俺が店に入ったときは、ちょうど例の常連の「絶叫クレーマー」が何やら喚きながら、季節外れの煮えたおでんのツユをアルバイト店員にぶっかけていたときだった。  
 
 
今日も電車は夜も更けた時間に多くの人を列車から吐き出す。  
吐き出された人の群れはホームの階段を上り、行列を成しながら改札を通って行く。  
改札を抜けた人の群れの何割かは、駅近くのコンビニへと足を向ける。  
俺もその一人。33歳独身男が、今日の遅い晩ご飯を買うために。  
 
店外から店の中を眺めながら、気分が滅入った。駅から出た人たちがおしよせるこの一番混む時間帯だというのに。  
昼夜問わず俺もたまに見かける、このコンビニでは有名な「絶叫クレーマー」だ。  
店員の接客態度や商品の品質に問題があるわけでもなく、ただただ喚き散らすためにこの店にやってくる、迷惑な客だ  
(しかもその喚いている言葉も、よく聞いていても前後の脈絡が無く、たまに呂律も回っていない)。  
俺が店外から見えた範囲では、店の入り口からは奥側のレジで、その「絶叫クレーマー」が一人の店員を相手に怒鳴り散らしていた。  
可哀相に、近所の大学生と思わしき可愛らしいアルバイトの女の子が、その「絶叫クレーマー」の餌食になっていた。  
彼女の長く真っすぐな黒髪と、切り揃えられた前髪(いわゆるぱっつんスタイルだ)を、俺は常々魅力的だと思っていた。  
そのアルバイトの女の子――今は制服が変わっているため名札が付いていないが、制服に名札が付いていたときに確認した名前だと確か、井垣という名前だった――はうなだれて、何とかその場をやり過ごそうとしていた。  
 
俺が店の前に立って、店の自動ドアが開いた瞬間。蒸し暑い外気を押しのけるように店内からこぼれてくる店内空調の冷気に安堵する間もなく。  
「おおでえんんああつういいよおおおおおおおおおおおおおお!!!!」  
たっぷりのツユと一緒におでんの入った容器を、あろうことか井垣さん目掛けてぶちまけていた!  
おでんをぶちまけると同時に、「絶叫クレーマー」は俺を押しのけて、店外に走って逃げて行った。  
 
 
「熱!熱い、熱い、熱い!!」  
井垣という店員が着用していた制服のTシャツ(紺地に白字で「くじびきキャンペーン実施中」と大きく書かれた、期間限定の制服らしい)に、とろけた大根やらくたくたの白滝やらがべたべた付着していた。  
そして何より、(恐らく例の「絶叫クレーマー」が入れさせたのだろうが)湯気立つ大量のおでんのツユが彼女の身体、主に上半身にかけられていた。  
(そもそもどうしてこのコンビニは、8月下旬だというのにもうおでんの販売を開始したのだろう)  
 
店内の客の群れは近く或いは遠くから、彼女に注目していた。  
いつも通りの日常の、帰り道途中のコンビニで、トラブルが起こっていたのだから。  
俺は店の入り口近くで、奥側のレジのそばにいる彼女の行動に注目していた。  
 
彼女はTシャツをパタパタさせて、どうにか付着したツユを冷まそうと必死だった。  
よく考えたら、ポットのお湯をかけられたようなものなのだ。相当に熱いだろう。  
ツユは彼女の制服のTシャツにべったりと染み込み、そのシャツは彼女の身体にへばりついていた。  
 
「服、脱いだ方がいいです!火傷しますよ!」  
俺と同じくスーツ姿の中年男が、彼女に促していた。  
彼女はきょろきょろと周りを素早く見回して、一瞬恥じらうような躊躇いの表情を見せた後、  
「は、はい!」  
慌てたように返事をして、制服のTシャツの裾に手を掛けて、素早く脱ぎ捨てた!  
 
俺は目を疑った。  
こんなところで、普段目に掛けていた可愛らしい店員の女の子が、上半身下着姿をみんなに披露してくれたのだから。  
今は、店内は俺のような中年〜壮年の男ばかり。女の客は一人もいない。  
自分よりずっと年上の男の前で、火傷を避けるためとは言え、この場で服を脱ぎ捨てざるをえなかった井垣という店員の心情は穏やかではないだろう。  
俺はこっそりと、彼女がいるレジの近くに移動した。  
 
それにしても、井垣さんはどうやら、スタイルがかなり良いようだ。  
引き締まったウエストとそれに似合わぬ大きな胸。  
普段の絵に描いたような、清純系の顔立ちに黒く長い綺麗な髪といった世間擦れしていないような出で立ちの奥に、そんな男を刺激するような危険な身体を潜ませていたのかと思うと、  
そのギャップ故か、俺は胸がはち切れそうなほどに興奮していた。  
彼女の下着はグレーのスポーツブラだった。何と飾り気の無い下着だろうか。  
しかし、スポーツブラを常用するには彼女の胸は少々大きすぎる気もするが。  
 
上半身は下着のみの姿となった彼女は、眦に軽く涙を浮かべ、その下着を両腕でしっかりと隠す仕草をとった。  
しかし、そのスポーツブラはツユに濡れて変色している。  
一度はそのブラを隠した彼女だが、どうやらやっぱり我慢できないくらい熱いらしい。  
彼女の乳房にへばりついたブラが、その突端を薄く隆起させていた。  
「そ、それも……」  
さっきのスーツの中年が、また彼女に声をかけた。  
 
そして……。  
彼女も熱いのは我慢できないようだ。  
そのスポーツブラを、勢い良く首から引き抜いて、脱ぎ捨てた!  
ブラの支えをなくした乳房が『ぷるる〜ん』と、弾けたのを俺は眺め続けていた。  
……堪らない、眺めだった。  
当然俺もごく普通の男として、若い女の子の身体は大好きなのだ。  
今日このとき、この場に居合わせることができた幸運を、ひたすら神に感謝した。  
いつの間にやら、ここは素晴らしい光景が繰り広げられる場となっていたのだ。  
運の巡り合わせが幾重にも重なって、俺や今この店にいる客にとってのパラダイスのような光景があった。  
そしてもちろん、この運の巡り合わせは、彼女にとっては不運の重なりでしかない。  
涙が一筋、流れた。  
 
晒された彼女の乳房は、やはり本当に大きかった。  
胸が晒されたとなると、俺の視線は一箇所にしか注意が払われない。  
そう、その先っぽは冷房の効いた外気に晒された瞬間に、固く収縮した。それを俺は目撃した。  
彼女はブラを首から引き抜き、床に脱ぎ捨てた。一挙手一投足ごとに、彼女の胸がふるふると揺れた。  
ただ、彼女の白い胸は、熱い液体を浴びたためか、赤みを帯びていた。火傷かもしれない。  
 
彼女は胸を隠して、すすり泣きながらしゃがみこんだ。  
いつの間にか、彼女のいるレジにもの凄い行列ができていた。  
ただでさえ電車から降りた大勢の客を捌くのは大変なのだ。  
普通この時間帯はアルバイト2人体制のはずだが、どういうわけか今日に限って彼女の相方は欠勤しているらしい。  
かといって彼女だって、このままの状態での勤務続行は困難だろう。  
 
「……すみませ〜ん」  
先ほど出て行ったクレーマーの後ろに並んでいた男が、恐る恐る彼女に声をかけた。  
その男も、彼女が制服とブラを脱ぎ捨てる間も、ずっと待っていたのだ。  
そして、その男の後ろにも、レジからバックヤード(店奥の従業員控え室)に届くほどの行列ができている。  
その行列は彼女に対して、性的な好奇とともに、行列待ちの苛立ちを募らせていた。  
 
彼女はジーンズだけを穿いた上半身裸のまま、しゃがみこんで胸を膝でかくした状態で、おろおろと慌てていた。  
この行列を捌けるのは店員である彼女しかいない。しかし、彼女は今、こんな状態だ。  
彼女はどうするつもりだろう。彼女の顔からは涙が流れ続けていて、軽いパニック状態にあるようだった。  
そんな彼女を見かねて、俺が「替えの制服を取って来たら?」と促そうとしたそのとき。  
 
(よくよく考えたら、今は普段の「私服の上から羽織るタイプ」の制服ではないから、バックヤードに戻ってもすぐには替えの制服は見つからなかったのかもしれない。  
彼女がバックヤードでおろおろと制服を探す間、行列を待たせた状態でレジを無防備に空けてしまうことになっていたのだ。  
ならばせめて彼女の私服に着替えてくればよかったのではないか、と考えたが、  
彼女はそれを思いつかなかったのか、はたまた、それすらも時間がかかると思ったのだろうか)  
 
彼女は胸を隠しもせずに立ち上がって、そのままレジ打ちを始めた!  
 
片手で籠に入れられた商品を手に取り、もう片手でバーコーロリーダーを翳し、商品情報を読み取っていく。  
不思議なことに、さっきまであれだけ恥ずかしがっていた彼女の顔からは、恥じらいや哀しみの表情が消えていた。  
彼女の顔にあったのは、仕事を続けようと言う義務感と意志。それあけだった。  
彼女は、おっぱい丸出しの裸だというのに、おっぱい丸出しのまま、仕事に集中することにしたようだ。  
しかし、……顔は剥き出しの胸よりも真っ赤だった。  
 
弁当を手に取り、客に「温めましょうか?」と尋ねた。  
客の方がたじろぎながら、「お、お願いします……」と返事していた。  
彼女は後ろを振り向いて、レンジに弁当を入れて、加温時間を設定した。  
彼女が振り返った瞬間やレンジの扉を開けた瞬間には大きく、彼女がレンジのボタン操作をしているときは小さく、彼女の胸が揺れた。  
それからも、彼女は客の籠に入った多くの商品のレジ打ちを続けた。  
その度に、彼女の胸はふるふると小さく揺れていた。  
温めの終わったレンジがピーっと音を立てると、彼女はまたぷるんぷるんと胸を大きく揺らして、レンジの中の弁当を取り出していた。  
レジ打ちを待っている男も、彼女の胸ばかりに視線を遣っていた。  
「お会計、3217円になります……」  
客は名残惜しそうに彼女の丸出しのおっぱいから目を離し、財布をがさごそと探し始めた。  
その間にも彼女は、(くどいようだが)胸をぷるぷる震わせながら、商品を袋詰めしていた。  
客の男は、財布から取り出した千円札4枚をレジ上のカルトン(会計時に金を置く小さいトレイ)に載せた。  
彼女はその千円札を恭しく受け取り、預り金額を入力後レジに収納し、釣り銭を取り出した。  
「783円のお返しになります。お確かめくださいませ」  
そして彼女は普段通り、彼女の左手を客の手の下に軽く添え、彼女の右手で客の手を握るように、丁寧に釣り銭を渡した。  
(これはいつもの彼女のスタイルなのだ。俺も何度もこの店で買い物をしているが、その度に彼女に手を握ってもらいながらお釣りを渡してもらえるのが楽しみなのだ)  
しかし、そのように丁寧に釣り銭を渡そうとするものだから、客の手と彼女の裸の胸とが、もうあとほんの少しの距離にまで近付いている。  
客の男が指をぴんと伸ばせば、彼女の乳首には届きそうな気がした。  
「ありがとうございました、またお越し下さい!」  
彼女は満面の笑みを浮かべて、手を軽くへその下辺りで組んで、男に向かってお辞儀した。  
彼女の二の腕が、彼女の乳房を少し潰していた。  
 
その客の会計は終わり、次の客の会計が始まった。  
また次の客も、ご丁寧に温めてもらいたい弁当をレジに入れていた。  
彼女は恥ずかしさを吹き飛ばそうとしているかのように、胸が大きくぷるぷると揺れるのもお構いなしに、てきぱきと仕事を続けていた。  
 
会計が終わった客は、殆ど誰も店から出ずに彼女を眺めていた。  
俺に至っては、行列に並びもせずに彼女をベストポジションで眺め続けていた。  
行列に並ぶ人は少しずつ減っていたが、店内の人口密度は変わらなかった。  
唐揚げやフランクフルトといったファストフードを注文する客がいつも以上に多く、普段売れ残るようなフードまで完売していた。タバコも普段以上に売れていた。  
 
井垣(下の名前は知らない)という名前の美少女アルバイトによる、『おっぱいレジスター』は続いた。  
(この際『おっぱいレジスター』という言葉が、日本語或いは英語として間違っているであろうことはどうでもいいとする)  
 
何人かの客の会計が終わり、続いての客は白髪混じりの初老の男だった。  
この男は、さっきから彼女の乳房に露骨に視線を遣っていて、顔中に興奮を浮かべていた。  
いつ涎を垂らしてもおかしくないような、本当にだらしない表情だった(今の俺が彼を批判する資格など全く無いが)。  
その表情の露骨さは彼女にも伝わったらしく、さっきまで消していた恥じらいの表情がまた彼女の顔に浮かび上がり、彼女の手が一瞬止まった。  
それでも井垣さんは、手を動かし続けた。  
「13円のお返しになります」  
彼女はまた丁寧に男の片手を携えて、丁寧にお釣りを渡そうとしていた。  
そのとき、男の客の空いた片手が、彼女の胸に近付いていた。  
 
「ひゃっ!?」  
彼女が細い悲鳴をあげた。俺は目を疑った。  
男が、彼女の乳首を、人差し指で突ついた。  
 
男はそれ以上のことはしなかった。  
彼女も、自分の胸にされた悪戯をもう水に流して、あっさりと会計を済ませた。  
突つかれた方の乳首だけが、まだ立っていたのがとても印象的だった。  
また彼女の眦に涙が少し浮かんだ。  
 
彼女にとって、今のことは全て悪夢なのだろう。  
とにかく、今のこの行列がはやく解消して、はやく自分が解放されること。これだけしか彼女の頭にはないはずだ。  
だから、男の露骨に性的な悪戯に対しても、それ以上に問いつめることができずに、もう忘れようとしているんだろう。  
彼女は仕事はこなしているが、まだずっとパニック状態なはずだ。  
 
しかし、その男の最初の悪戯が、行列の後ろの中年客達の性欲に火をつけたようだ。  
 
「……お会計、1236円になります」  
「あと、牛乳ちょうだい!」  
「え、あっ、牛乳でしたら、あちらにございます」  
「ここからは出ないの?」  
男の手が彼女の乳房を、一切の遠慮も恐れも無しに、ぷにゅぷにゅと揉みしだいていた。  
 
ひどく低俗なセクハラだったが、彼女は、男の手を払いのけることもせず、  
胸を揉まれるがままの状態で、  
「はあ、ご希望に沿えず申し訳有りません……あちらの製品をお求めください」とあしらっていた。  
男は千円札を二枚手渡し、また彼女はお釣りを丁寧に手渡した。  
その間も男は片手で彼女のおっぱいをむにゅむにゅと揉み続けていた。  
揉まれている彼女のおっぱいは、本当に柔らかそうだった。  
最後に男は、彼女の乳首を指の腹で軽く弾いた。彼女の身体が少し震えた。  
 
どうして彼女はこんな目に遭っても、仕事を続けるんだろう。  
彼女は、相変わらずおっぱい丸出しの上半身裸だった。  
彼女も、今更後には退けないのかもしれない。  
迷惑な常連客に絡まれ、軽症だろうが軽い火傷まで負い、しかもレジを空けられないから服を脱いだままの姿で勤務続行を強いられる。  
きっと、彼女は男や他人に裸を晒したことなどないだろう(と妄想する)。  
そんな彼女が裸を晒さないといけない不運に遭遇し、それでも健気に恥ずかしさを越えて仕事に打ち込んでいる。  
それなのに、俺含む下品な男の性的な好奇の目に晒され、悪戯までされている。  
何て可哀相なんだろう。  
その異常な光景に、俺は堪らなく興奮していた。  
 
「お、ここの店はこういうサービスを始めたの?」  
次の男性客が彼女に話しかけていた。  
『こういうサービス』とはもちろん、彼女が上半身裸のままレジ打ちをしていることであり、それは彼女にも伝わっていた。  
「い、いえ……これはサービスではありません。本日だけです……」  
明らかなセクハラに対しても、律儀に何らかの返答をしてあげる彼女の健気さがいじらしかった。  
 
よりによって、行列を成していたのは酔客ばかりだった。  
「君おっぱいおっきいねえ〜。マッサージしてあげようか?」  
「このおっちゃん、乳がんの検診させたら世界一やで。姉ちゃん、そのおっきいおっぱいを触診してもらったらどないや?ブハハハハ!」  
「今日だけと言わずに是非続けてよ。そしたら俺もう毎日来るわ!そのおっぱいは最高だわ!」  
何人もの客が、彼女に卑猥な言葉を浴びせていた。  
そして何人かは、ここがピンサロと勘違いしているのか、遠慮なく彼女の丸出しの胸に触っていた。  
それでも彼女は、たまに酷く哀しい表情を見せながらも、おっぱいを揺らしながら機敏にレジ打ちを続けていた。  
 
次の客が、また彼女に絡み始めた。  
「君、制服も着ずに仕事をしているのか?」  
「は、はい……先ほどお客様に汚されてしまったので……」  
「申し訳ないと思わんのか?」  
「えっ?」  
「そんな格好でお客の前に立つことを、失礼だと思わんのか?」  
「えっ、あっ……」  
「君は店員だろ?裸で接客なんて、この店の面汚しじゃないか」  
「……お見苦しい姿をお見せしてしまい、大変申し訳有りません……」  
そう言って彼女は、また恥じらいを浮かべながら、丁寧に男に頭を下げた。  
両手はへその下で組まれ、胸は両腕に挟まれて真ん中に寄せられていた。  
そして男は彼女のおっぱいを鷲掴みにして、  
「……申し訳ないと思うなら、誠意を見せるんだよ」  
そう言って自分の身体を彼女の正面から動かして、男に揉まれている彼女の胸が後ろの行列にもしっかりと見えるようにした。  
彼女は商品のバーコードを読み取っている。  
その間に、男は彼女の胸をじっくりと揉んでいる。  
胸をひとしきり揉んだ後、男は指3本を真っすぐ立てて、第2関節辺りで彼女の乳頭を転がすようにマッサージした。  
彼女の身体が、また震えた。  
男の手が離れた彼女の乳首が、またコリコリになっていた。  
 
それから彼女は、後ろの客何人もから、胸を触られ、揉まれ、乳首を突つかれ、摘まれ、捏ね回されていた。  
今日だけの悪夢は、まだ終わらなかった。  
それでも、行列は順調に解消されていた。  
 
俺は意地悪く、もうあと3人ほどになったその行列の最後尾に並んだ。  
最後に正面からじっくりと、彼女の顔を身体を見ておきたかったのだ。  
俺の前の男も、今日は無礼講(?)とばかりに、彼女の裸の胸をじっくりと触っていた。  
胸を触られながらレジ打ちを続ける彼女には相変わらず興奮が抑えられなかった。  
 
「いらっしゃいませ」  
俺の番になった。  
改めて、彼女の身体を正面から眺めた。  
胸は赤い。これは火傷のせいか、それとも散々男の客に揉まれたせいなのか。  
乳首が立っている。さっきの男にも去り際に摘まれていたからだろう。  
胸ばかりではない。余分な贅肉が一切無いこのお腹とくびれも、相当に魅力的だ。  
彼女のへその窪みが湿っている。乾ききらないおでんのツユが、彼女の切れ長で形の良いへそに残っているらしい。  
俺はそれを非常に艶かしいと思った。女の子のへそをこんなに官能的に思ったのは初めてだった。  
 
――触りたい。  
俺も、これまでの男のように、彼女の胸に触りたかった。  
でも、それを実行する度胸がなかった。  
「お会計、105円になります」  
大した買い物をするわけでもなく、ただ彼女を少しでも長い間恥ずかしい姿のまま留めておきたいというそれだけで行列に加わった悪者の俺なのに、  
彼女の魅力的なおっぱいに触れる勇気が、どうしても持てなかった。  
……悔しい。  
「895円のお返しになります」  
彼女がお釣りを渡してくれる。彼女の胸が、俺の掌に最大限に近付いた。  
でも、彼女の胸に触ることはできなかった。  
……ならば。  
「今日は災難でしたね」  
「えっ?あ、はい、ありがとうございます」  
会計は終わり。俺の後ろに客は並んでいない。  
彼女は胸を隠すでもなく、腕を横に垂らしたまま、おっぱい丸出しの上半身裸のまま、そのまま俺との立ち話を続けた。  
「学生ですか?」  
「はい」  
「もしかして、O大学ですか?」  
「ええ、まあ……」  
「うわあ、賢いんですねえ」  
「そ、そうでもないですよ……」  
「あ〜あ、謙遜しちゃって〜。俺なんかどうなるっていうんですか〜」  
「あ、ご、ごめんなさい……」  
こんな会話を、ジーンズを穿いただけの上半身裸のおっぱいの大きな女の子としばらく向き合って続けていた。  
俺が会話をやめたら、次に客が来るまでの間に、彼女はバックヤードに引っ込んで着替えてしまうかもしれない。  
そうならないように、俺が話し続けることで、彼女を引き止めるのだ。  
さあ、その胸に触れない意気地なしの俺に、存分に視姦されるがいい――。  
 
 
「おはようございま〜す……井垣!?」  
「池野さん!!」  
一人の男が入ってきた。彼は夜勤チーフの、池野という強面の男だ。  
井垣さんはおっぱい丸出しのまま、池野に抱きつき、池野の胸に顔をうずめていた。  
さっきまでの、おっぱい丸出しだと言うのに凛々しく険しい表情とはうってかわって、彼女は何の遠慮もなく池野の胸で泣きじゃくっていた。  
 
池野は真っ先に彼女をバックヤードに向かわせ、彼女が着替えるまでの間、着替えもせずにレジ番をしていた。  
彼女が私服(やっぱり替えの制服のTシャツは見つからないようだ)に着替えると、池野は制服に着替えに行った。  
例のクレーマーがおでんのツユを彼女にかけてから、夜勤チーフの池野がやって来るまで、およそ10分強。  
その間、彼女の胸は、たくさんの男の玩具にされた。  
 
 
結局、俺が彼女を見かけたのは、この日が最後になってしまった。  
 
 

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