アスター公、ルーファス・アディンセルの結婚生活は、決して幸福なものではなかった。  
二十歳の時に政略結婚したキャサリンは、見目こそ麗しかったが、気位が高く派手好きな令嬢で、  
いつも三つ年下のルーファスのことを頼りないと詰った。凡庸な顔立ちだと罵り、夜の営みも下手くそだと嘲笑した。  
義務だと思い何とか男子を産ませた後には、ルーファスはキャサリンの行動に干渉すらしなくなった。  
領主としての政務が多忙であり、元来真面目な性も相まって、ルーファスは女遊びをすることもなく、  
気づけば四十を過ぎていた。  
そんなある日、リースの屋敷を任せていた昔からの使用人、ヘンリー・クレセントが亡くなった。  
彼の遺書には、残される孫娘を頼みますとルーファス宛てに記されていた。  
ルーファスは義に厚い。使用人とはいえ、よく尽くしてくれたヘンリーの頼みを快く受け入れた。  
彼の孫娘――ステラを本邸に呼び戻し、後見人となり、目の届くところで働かせることにしたのだ。  
「旦那さま」  
やって来た少女は愛らしく、素直でよく働き、ルーファスと目が合う度に微笑んだ。  
彼女の煎れるお茶は祖父譲りの美味しさで、ルーファスの心を癒した。  
また肩を回しているところを見ると、「祖父にもよくやっていたんです」と嬉しそうに肩たたきをしてくれた。  
いつしか、ルーファスにとって、ステラは特別な存在になっていった。  
――それは、遅すぎる初恋だった。  
始めて出会う感情にルーファスは戸惑った。ただ娘のようなステラに家族愛を感じているのだと、そう思おうと努めたが、  
無邪気な笑顔を独占したい、薄紅色の唇を貪りたいという激しい情熱を抑えることが日に日に難しくなっていった。  
「もうすぐ、アレクシスさまが戻られるのですね」  
夏が近づいて来たある夜、ステラは嬉しそうにそう言った。  
「ああ、あと一週間もすれば帰ってくるはずだ」  
「お会いするのが楽しみですわ」  
窓の外を見つめるステラの頬はほんのり色づいていた。  
ルーファスはその些細な表情の変化を見逃さなかった。  
自分とは似ていない、母親似の、金髪碧眼の息子。  
妻と違い、息子のことは愛していた。  
父のひいき目を除いて見ても、息子は美男子だ。性格も明るく朗らかで、後継ぎとして申し分ない能力も備えている。  
そしてその息子と、幼少期をともに過ごしたステラ――。  
そこに恋が生まれても、何の不思議があるだろうか。  
ルーファスは、生まれて始めて息子に嫉妬した。  
 
そしてその夜、この一月ほど気分がすぐれないと言っていたキャサリンがが倒れ、意識を失った。  
医者が呼ばれ、検査したところ、回復は絶望的だと告げられた。  
ステラはそんなキャサリンに付き添い、かいがいしく看護した。  
「奥さま、もうすぐアレクシスさまが帰って来ますわ。だから、頑張ってくださいませ」  
意識の戻らないキャサリンに話し掛けるステラは、慈愛に満ちていた。  
明日にはアレクシスが戻ってくるだろう。夜の戸張の中、ルーファスは蝋燭の明かりに浮かぶステラの顔を見つめながら、  
このタイミングで倒れ、ステラとふたりきりになる機会を与えてくれた妻に感謝した。  
「ステラ」  
「旦那さま……」  
「いいのだ。もう」  
「そんな弱気なことをおっしゃらないでください。お気を確かに」  
妻を失いかけている男を前に、ステラは励ましの意を込めてその手を包んだ。  
「ステラ……」  
焦がれていたその温もりに、たまらず小さな体を抱きしめる。  
ステラはこの抱擁を精神的なものととったのか、何も言わずそっと手を添えた。  
――限界だった。  
「お前を愛している」  
突然の愛の告白に、ステラは顔を上げた。  
驚きの表情を浮かべ、瞬きを繰り返している。  
「愛している」  
もう一度告げ、首に手を回し顔を近付ける。  
「旦那さま、何をおっしゃって……っ!?」  
触れる直前でステラが顔をそらそうとしたが、壁に押し付け、しっかり顎を固定することで、逃げ場はなくなった。  
「ん……うぅ……!」  
最初は優しく、触れるだけの口づけ。何度も何度も触れ、口全体に覆いかぶさるよう塞ぐ。  
漏れる吐息の合間に舌を滑り込ませ、味わい、酸素を奪う。  
「いけま……せ、んん……旦、……ま……!」  
ささやかな抵抗を見せるステラだったが、キスが深くなっていくと次第に力が抜け、抵抗も弱くなっていった。  
一旦唇を離すと、どちらのとも判別のつかない透明な糸が引いた。  
ステラは胸を上下させ、真っ赤に頬を染めていた。初々しい反応に満足し、さらに耳へと舌を捩込む。  
「やぁっ……!」  
艶めかしい声が上がった。耳は弱いらしい。わざと音を立て、耳全体をしゃぶる。  
「いい声だ」  
「あっ、おやめくだ――っ」  
また口づけ、責め立てる。しっかりと腰を支える手は尻を撫で、もう一方は胸元をまさぐる。  
幼げな顔立ちに不釣り合いな豊満な体つきだ。  
「奥さま、が、いらっしゃる、のに――」  
「意識はない」  
キャサリンがいようとどうでもよかった。  
ボタンを外した首筋に舌を這わす。それに何とか抗おうとしてルーファスの背を叩くのだか、全く痛くない。  
愛撫の手から逃れようと身をよじるのも、かえってルーファスを刺激するだけだ。  
 
「やぁ! だめ――」  
ルーファスは片手で容易くステラのエプロンを解き、ブラウスを開けた。白い胸が顔を出し、ルーファスを誘った。  
「いや、お許しください……!」  
羞恥のあまり涙を流して胸を隠そうとするステラは、小鳥のように愛らしかった。  
「綺麗だ、ステラ」  
ルーファスはうっとりして白い乳房を両手で慈しんだ。ピンクの頂上には触れず、弾力のある塊を楽しむ。  
ステラは眉を寄せ、刺激に堪えながら何度もやめるよう懇願した。しかし頂の周りを刺激し始めると、  
言葉とは裏腹にそれは尖り固くなっていった。ルーファスはにやりと笑い、一方の頂を舌で包んだ。  
「あぁっ……!」  
同時に片方を指で抓り、弾き、挟んで擦る。  
「……っあ、やあっ……」  
またルーファスは足を曲げ、膝をステラの股間にぐりぐりと押し付けた。吐息はますます荒くなり、  
快楽を覚え始めているのがわかる。  
「っあ!」  
ステラの身体が一瞬跳ねた。軽く達したのだろう。ルーファスは次に行こうと黒いスカートをめくりあげた。  
「や、いやぁ!」  
ステラも必死に暴れる。見ると、白いレースのショーツは染みを作り、感じていたのが明白だった。  
太股まである黒いストッキングとガータ―ベルトがいやらしく、ルーファスはごくりと喉を鳴らした。  
「見ないで、旦那さま、いやです……!」  
ステラの意見は聞かず、ルーファスはそこを存分に視姦した。それから腰を落とし、股の間へと顔を埋める。  
「あ、何を……!? やああっ」  
太股を固定し、尻たぶを揉み、下着の上からステラの秘所を口で味わう。  
今までとは違う快感に、ステラはびくびくと奮えた。  
「旦那、さま……っ、あ、あぁ」  
特に突起のある辺りに吸い付くと、ステラは啜り泣き、蜜が溢れた。感度がいいのだろう。押し殺そうとしても  
出てしまう嬌声が、よりルーファスを興奮させた。  
「やめ……んっ……やめてぇ……」  
前から後ろまでしつこく舐め続けると、蜜はどんどん溢れ、ステラの足を伝っていった。  
ストッキングの留め具を外し、もはや用を為さないショーツに手をかける。  
「いや……!」  
引き下ろされたのに気づいたステラが身を揺らす。いつの間にか外れてしまったカチューシャが床に落ち、  
紅茶色の髪が広がった。  
 
「ステラ……本当に綺麗だ」  
暴かれた秘密の花は、紅茶色の茂みの下で、濡れて光っていた。そこまでの道筋に指を滑らせると、  
ステラは高い声で鳴いた。  
何度も往復させ、淫らな水音が響く。ルーファスが蕾を見つけてやわやわと皮ごと擦ると、ステラの身体が戦慄いた。  
「旦那、さま……っ、お願い、もう、や――あ、あぁ、身体が、変、に、な――っ!」  
「変になって良いんだ。感じるままに動きなさい」  
「あ、っ」  
「それから――私のことは名前で呼びなさい」  
「は、はい――っ、あ、ふあっ」  
蕾を剥いて責め立てる。  
「ああっ! ルーファスさまあっ!」  
ステラの身体がのけ反り、跳ねたかと思うと、ぐったりと弛緩した。  
「どうだ?」  
問い掛けても答えはなかった。呼吸するだけで精一杯のようだ。  
ルーファスは唇を落とし、快感に翻弄された少女を労った。  
――そして、ここからが本番だ。  
「ルーファスさま――?」  
終わったのだろうかと期待の色を浮かべるステラを抱き上げる。  
「やっ、降ろしてください!」  
抜け殻を拾い上げ、扉を開けて自分の寝室へ向かう。  
「いや……いや……!」  
しんと静まった廊下には誰もいなかった。寝室まではそう遠くない距離だ。  
その間、ステラは震えながら両手で顔を隠していた。  
自室のベッドにステラを横たえ、丁寧に着ているものを剥がしていく。  
「いやあ……!」  
抵抗らしきものはあったが、絶頂を迎えた後ではたかが知れていた。ガーターもストッキングも脱がせ、  
生まれたままの姿になったステラは、夜の闇の中で蝋燭に照らされ、ゆらゆらとした光に濡れていた。  
ルーファスも衣服を脱ぎさり、少女の裸体に覆いかぶる。  
「ルーファスさま、どうかお許しを……!」  
ぴったりとくっついた身体は熱く、しっとりとしていて、どこもかしこも柔らかい。  
「愛しいステラ……」  
すべすべの若い肌を、額から足の指まで丹念に口づけ、しゃぶり、味わい尽くす。  
びくびくと反応する身体をこじ開け、女の部分を刺激する。  
「お許し……くださ、い……あぁ!……お願……ルーファス、さ………いやぁ……っ」  
譫言のような言葉は嬌声に掻き消され、ルーファスを煽るだけだ。  
じゅるじゅると溢れる蜜を吸う。ステラはシーツを握り締め、苦悶の表情を浮かべていた。  
やがて舌が蜜の奥へと伸ばされる。  
「っあぁ……っ!」  
ステラの鳴き声は高く、可愛らしいものだった。  
ぴくぴくと魚のように反応する姿が愛しく、ルーファスはシーツに大きな染みが広がるまで口を離さなかった。  
「あぁ……やめて……汚……汚いで、す……あっ」  
「お前の――身体の――すべてが清らかだ」  
「そん――! あっ……ひああっ!」  
逃げる腰を捕まえ、蕾を舌で転がし、襞の奥へと指を進める。  
「っう――!!」  
どうやら少し痛みを感じているようだ。  
(これは……処女か)  
ならばと時間をかけて出入りを繰り返す。一本は大丈夫そうなので、二本にして道を広げる。  
「やあ……!そこだけは、やめて、お願い……あぁ!」  
「大丈夫だ、ステラ」  
無理強いしているのはわかっていたが、もう行為を止めることなど不可能だった。  
反り返り滴る自分自身を柔らかな足に押し付けつつ、中の指を増し、関節を曲げてざらついた壁を刺激する。  
「お願い、です――ルーファス、さま……っ、ひっ、んあ、ふああ!」  
さらに敏感な蕾を責め立て、哀願を退ける。  
快楽に染まり、高まっていく身体は、ルーファスの欲望を受け入れる準備が整ったことを示していた。  
 
「――ステラ、行くぞ」  
額に唇を落とし、細腕を自分の肩に回させる。熱を持った矛を、狭い花の中心に導き、先端を差し込んだ。  
「いやあっ、だめ、やめてぇっ――!」  
ステラは涙ながらに腰を引いて暴れた。拒まれて悲しくないわけではない。だが、きっといつかわかってくれるだろう。  
ルーファスはそう思い、自分の矛を中へと押し進めていった。  
「いっ、っう――!」  
ステラの中は狭く、こちらにまで痛みを伴った。しかし同時に熱く、何とも言えぬ快感をもたらすものだった。  
「い、痛い! 痛いの! お願い、抜いてぇ――っ!」  
叫びを無視し、より深く腰を沈める。途中で進まなくなる場所があったが、ステラの腰を押さえ、強引に貫く。  
「っ、い――!」  
そこを過ぎると、後は滑らかだった。深く突き入れられ、ステラの手が空をさ迷う。  
「……私のステラ。ご覧、今私たちはひとつになった」  
反応はない。虚空を泳ぐ眼差しをこちらに引き戻そうと、繋がったまま深く口づける。  
「今は痛むだろうが……直によくなる」  
胸元に咲かせた花をなぞり、髪を撫で、耳元で囁く。  
胸元に咲かせた花をなぞり、髪を撫で、耳元で囁く。  
「お前は私のものだ。誰にも渡すものか」  
奥に入れたまま、動かず愛撫を続ける。ステラの呼吸が落ち着いてくると、ルーファスは指と指を絡ませて繋ぎ、  
そしてゆっくりと動き始めた。最初は小さく、喘ぐ顔を見つめながら、次第に動きを大きくしていく。  
夜のしじまに、再び淫猥な水音が広がっていく。  
「……ぁ……っ……!」  
「お前の中は熱くて締まりがいい。最高だ」  
「いや……」  
「もっと私を感じろ、ステラ」  
ルーファスはたっぷりと時間をかけてステラを犯した。最奥で小刻みに揺らし、円を画くようにえぐったかと思えば、  
次には浅瀬で散々焦らし、時には単純に同じ動作を繰り返した。  
「……なかなか、良くなってきただろう?」  
「はぁっ……あ……あぁ……!」  
慣れていないステラといえども、ルーファスの執拗な責めを受け、だんだんと艶めいた声になっていった。  
「ステラ」  
「あぁ……や……んっ……」  
ルーファスはステラの背を起こし、座ったまま抱き合う形で行為を続けた。  
ステラの尻を掴み、その身体を打ち付けるよう前後に動かす。  
「あっ、あっ、あっ」  
「もっと声を出せ」  
「あっ、そん――ひあっ」  
尻の肉も弾力性に富み、ルーファスの手に吸い付くようにみずみずしい。結合部から溢れる蜜を塗りたくり、  
肢体はますます艶やかに淫らになっていく。  
 
「ステラ、愛している……」  
「んっ……」  
交わりながら熱い口づけを贈る。無意識なのだろうが、ルーファスに応え始めているステラが愛しくてならなかった。  
「良いぞ、ステラ」  
再びシーツの波に沈ませ、ルーファスは荒々しく猛りを抜き差しする。  
その目的を察したのか、挿入してからは成すがままだったステラが、悲鳴に近い声を上げた。  
「あぁ、やめて! いや、やぁあぁ!」  
もちろん、避妊するつもりなど毛頭なかった。  
「大丈夫だ。最後の一滴まで子種を注いでやる」  
「ひ、いやぁ!」  
逃れようとするステラを許さず、ルーファスはさらに激しく突く。  
「あっ、だめ、だめぇ! あ、あああぁ――!」  
「く、う、ああ――」  
子宮の壁にたたき付けるように精を放つ。大量の濃厚な子種を受け、ステラの身体が痙攣する。  
「あ――!」  
震える少女の身体を抱きしめる。ルーファスは幸福だった。罪悪感や後悔は微塵もない。  
ステラに口づけたが、反応がない。処女を散らした衝撃故か、気を失ったようだった。  
しばらくして、役目を終えた自分自身をずるりと抜く。血に染まり、薄紅色になった液体が花を濡らした。  
少女の肢体を月明かりが照らし出す。  
微笑み、ステラを抱き寄せる。  
ルーファスは愛する女の初めての男になった悦びに包まれ、満ち足りた気持ちで眠りについた。  
   
続く  
 
 

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