母が倒れたとの一報がアレクシスの元に届いたのは、あと二日で夏期休暇が始まるという頃だった。  
寄宿学校から馬を飛ばし、やっとのことで故郷の屋敷に到着し、父への挨拶を済ますと、アレクシスは母の部屋を訪ねた。  
「母上」  
ノックをすると、内側から扉が開かれた。  
アレクシスは息を呑んだ。  
視界に入ってきたのはひとりの少女だった。  
アディンセル家の家紋が刺繍された、黒を基調としたメイド服に身を包み、紅茶色の髪はすっきりと結いあげられ、  
髪留めでまとめられている。  
少女はアレクシスの姿を認めると、まるで天使のようにあどけなく微笑んだ。  
どくん、と心臓が跳ねる音がした。  
「アレクシスさま」  
その声に、ふと記憶が浮かび上がる。  
お転婆で、勝ち気な女の子。小さな頃、よく一緒に遊んでいた……。  
「……まさか、ステラ?」  
驚きながら尋ねると、少女は少し顔を赤らめて頷いた。  
「はい。……お久しゅうございます、アレクシスさま」  
言葉もなくアレクシスとステラは見つめ合った。  
かつて、ふたりは身分の関係なく一緒に遊んだ仲だった。庭園で追いかけっこをし、丘で野苺を摘み、ウサギを  
追いかけた。  
勝ち気で向日葵のように笑うステラ。  
それは淡い初恋の少女だった。  
しかし、使用人として働いていたステラの祖父の方が病を患い、温暖な地方の方が良いだろうと、彼らはリースに  
ある屋敷に移っていったのだった。  
あの別れから七年――  
アレクシスは美しく成長したステラから目が離せなかった。  
透き通った白い肌に、バラ色の頬。小振りな鼻に、みずみずしい唇。そして翡翠の瞳。  
歳は自分より二つほど上だったから、今は十七のはずだが、目が大きいからかもっと若く見える。  
それでも、服の上から胸の膨らみやくびれた腰、丸みを帯びた尻が女としての存在を主張しているのがわかる――。  
アレクシスは幼なじみの少女によこしまな視線を投げたことを恥じ、顔をそらした。  
「……君が、母の世話を?」  
「はい」  
本来の訪問の目的を思い出し、アレクシスは母親のベッドに近づいた。  
「母上、ただいま戻りました。アレクシスです。おわかりですか?」  
母親であるキャサリンは、かつての美貌も枯れ果て、生きる屍のような有様だった。  
「母上」  
何度話し掛けても反応はなく、目を開ける様子もなかった。  
「医者の見立ては?」  
「……三月、もつかもたないか、と」  
「……そうか」  
ベッドの傍らに立ったまま、アレクシスは母親を見つめた。  
気難しく、あまり触れ合った記憶のない母。それでも死期が近いとわかれば、何となく淋しい気持ちになるものらしい。  
「アレクシスさま……」  
「……君にそんな風に言われると、何だか違和感があるな」  
茶々を入れて、重い空気を拭う。  
「昔みたいにアレクって呼んでよ」  
「そんな、無理をおっしゃらないでください」  
「ステラ、お願い」  
「無理ですわ」  
アレクシスはステラをからかいながら、心の霧が晴れていくのを感じていた。  
 
アレクシスが故郷に帰ってきて一週間が過ぎた。  
相変わらず母親の容態は思わしくなかったが、ステラの存在のおかげで気持ちが沈むことはなかった。  
アレクシスはステラに学校や友人の話を聞かせ、ステラを感心させたり笑わせたりした。  
また、城下街へ買い物に行くのに付き合い、まるで恋人同士のようにふたりきりで過ごす日もあった。  
その時に買ってあげたティアドロップのペンダントを、ステラはいつも身につけてくれた。  
アレクシスはステラへの気持ちが日増しに高まっていくのを感じていた。顔を見たい、隣にいたいというささやかな願いは、  
いつしか抱きしめたい、口づけて愛を交わしたいという欲望に変わっていった。  
――打ち明けよう。  
再会から一ヶ月が過ぎた頃、アレクシスはそう決心した。  
嫌われてはいないはずだ。もし駄目でも、諦めない。受け入れてくれるまで、何度でも気持ちを伝えよう。  
屋敷の裏にある庭園で花を摘みながら、アレクシスは早鐘を打つ心臓を静めようとした。  
ため息をつきながらバラを見る。不器用ながらも小さなブーケを作り上げた。  
ステラは喜んでくれるだろうか。  
自分の気持ちに、どう返事してくれるだろうか……。  
その気持ちが通じたのだろうか、何気なく庭園を眺めていると、視界の端に想い人の背中が小さく見えた。  
(ステラ)  
立ち上がり、その後を追う。ステラは庭園の奥へと向かっていた。  
(何処へ行くんだろう?)  
一瞬、羽ばたいた鳥に気を取られて、ステラを見失った。キョロキョロと辺りを見回す。  
「……もう……な……」  
ステラの声がした。自然と足はそちらを目指す。  
「……か?」  
「……ん……やめ……」  
声が二つであることに気づき、アレクシスは足を止めた。  
そっと木の影から顔を出し、様子を伺う。  
――ステラともうひとり、思いがけない人物がそこにはいた。  
(父上……?)  
最初は、父親の出現にただ驚いた。ステラの声もわずかに聞こえるのだが、父親の背中でよく見えない。  
(何故、父上とステラが……)  
「……あぁ!」  
一際高い声が上がった。背中越しに、ステラの顔が見えた。  
――!  
 
それはアレクシスの知らないステラの顔だった。瞳に涙を溜め、紅潮し、愁眉を寄せて何かに耐えている。  
ひどく艶めかしく――美しい表情。  
「ルーファスさまっ……」  
その表情で、ステラは父親の名を呼んだ。アレクシスの手からブーケが地に落ちる。  
「もう……やめ……おやめくださ……い……っ」  
「ここはそう言っておらんようだが」  
「あっ……!」  
「たまには外でというのも良いだろう?」  
「……っ、あぁ」  
ふたりの会話と乱れた吐息を聞き、アレクシスはやっと彼らが何をしているのか、悟った。  
「っ、ふ、……いや」  
頭の血管がドクドクと波打ち、全身に氷水を浴びさせられたような冷たさが広がっていく。  
「どうせ誰も来ない。声を出せ」  
「いやあ……あっ」  
耳を塞ぎたい。目を閉じたい。それなのにアレクシスは微動だにすることができなかった。  
「可愛いステラ……」  
「っ、ああっ」  
体勢が変わり、ステラの姿がよく見えるようになった。ブラウスははだけられ、たわわな乳房が揺れている。  
スカートも腰までめくられ、ステラの尻には父親の手がしっかりと添えられていた。  
「こんな、……っ、もう、いやぁ……」  
叫ぶステラの首元は、皮肉にもアレクシスの贈ったペンダントが輝いていた。  
「あ……ああ、ルーファスさま……あ、あ、ああ、んっ」  
木の幹に手をついたステラの尻に、父親の腰がピッタリと当たっている。赤黒い棒がぬらぬらと光りながら  
抜き差しされる光景を、アレクシスは呆然としたまま眺め続けた。  
「ステラ、良いぞ……」  
「や、ルーファス、さまっ……あぁ!」  
救いといえばステラが言葉の上だけでは抵抗していることだったが、秘所から滴り落ちる雫や、くねくねと動く  
腰が目に入る度、そして快楽に濡れた嬌声が上がる度、アレクシスの恋心は打ち砕かれていった。その変わり、  
激しい怒りと嫉妬、どす黒い欲望が釜をもたげてくる。  
「いや……やだ……っ、っあ、――!」   
ステラの白い肢体がビクビクと震え出した。  
「っ、く、達するか……」  
「、っ、あぁ、――!」  
「ふう、う――!」  
ぐったりとしたステラに、父親が激しく腰を打ち付けた。やがて父親が離れると、ステラは倒れ、  
木にもたれたまま荒々しく呼吸を繰り返した。  
「良かったぞ」  
「……」  
ステラは黙ったまま服を整えた。  
「……失礼します」  
「うむ」  
ステラが先にその場を去り、しばらくしてルーファスもいなくなった。アレクシスは――日が沈み下男が  
彼を探しに来るまでその場を動けなかった。  
 
アレクシスは夕飯を断り、ひとり寝室のベッドで打ちひしがれていた。  
(悪夢だ……!)  
愛する女性が、犯されている光景を目の当たりにしてしまったこと。  
しかもその相手が、自分の父親だったということ。  
それはまだ十五のアレクシスにとって、耐え難い苦痛と衝撃だった。  
(信じられない……信じたくない……)  
しかし脳裏にはステラと父親の痴態が生々しく焼き付いている。  
あの顔……あの声……あの白い尻、足、胸……。  
しかも、あれが初めての行為ではないようだった。  
この一月、自分が熱い眼差しでステラを見つめていた間、裏ではどれだけルーファスに抱かれていたのだろう。  
何度貫かれ、何度達したのだろう……。  
想像するだけで、アレクシスの下半身は熱を持ち、猛々しく暴れた。  
(許せない……!)  
以前から両親が不仲なのには気づいていた。別に愛人がいても仕方ないだろうとも思っていた。  
しかし、よりによって、二十歳以上離れた自分の初恋の相手に選ぶなんて――!  
(ステラは……ステラは、自ら望んで父上と……?)  
だとしたら、母の介護に献身的なのは、罪悪感を償うためだろうか。  
アレクシスの淡い想いは、今や真っ黒に塗り潰されていた。  
(裏切られたのか、俺は……)  
暗闇に染まった静寂の中、コンコン、と控えめに扉がノックされた。  
「アレクシスさま」  
今一番会いたくない女の声だった。  
「どうかなさったのですか?……スープをお持ちしましたので、せめてこれだけでも召し上がってください」  
いらない、帰れ――と言おうとして、アレクシスは思い止まった。  
のっそりと起き上がり、施錠していた扉を開ける。  
「アレクシスさま」  
「入って。――それ、机の上に、置いて」  
アレクシスが顔を見せると、ステラは安堵の笑みを浮かべた。ステラが部屋に入ったのを見届け、静かに鍵をかける。  
「レンズ豆のスープです。冷めないうちに召し上がってください」  
「ああ……」  
アレクシスは気怠げにベッドに腰掛けた。  
「もう、駄目ですよ。お加減が良くない時こそ、栄養をつけなくては……」  
食事をしようとしないアレクシスを見かねて、ステラはスープをスプーンで掬い、息を吹きかけて口の前に差し出した。  
「はい、お口を開けてください」  
アレクシスは黙ったまま指示に従った。  
ステラは頬を染め、嬉しそうにスプーンを運ぶ。  
(少しは気があるんじゃないかって、そう勘違いしてたのは俺だけか)  
何も言わず、スープを嚥下しながらステラを見つめる。  
「アレクシスさま、お顔が赤いようですが――」  
器が空になった後、ステラはそう言って心配そうに顔を覗き込んだ。額にそっと触れようとしたその手を、  
アレクシスは力強く握り締める。  
「アレクシスさま……?――きゃっ」  
そしてそのまま寝台へと引っ張り込んだ。  
 
「な、何を――」  
「ステラ――」  
その上に覆いかぶさり、有無を言わせず唇を奪う。柔らかい感触に目眩がしそうだった。  
(これがステラの唇……!)  
初めてのことで技巧も何もない。ただ激しく、舌を押し付け絡めて蹂躙する。  
ステラは瞳を見開き、何か言おうとしていたが、その隙を与えるつもりはなかった。  
「んっ……ふっ……アレ……シス、さ……」  
くぐもった声と、唇の触れ合う音が響く。口の端から溢れた睡液がステラを濡らした。  
そのうちアレクシスの手は、白いエプロンの下の膨らみに伸びていった。胸と胸が密着した時から感じていたのだが、  
ステラのそれはかなり大きく、弾力も申し分ないようだった。  
(この唇を許し、この胸で父上を愉しませたのか)  
嫉妬のあまり目眩がした。激情に駆られたアレクシスに、普段の優しさは微塵も残っていなかった。  
生地ごと鷲掴みにし、ちぎれんばかりに揉みしだく。  
「やぁ、痛、い――っ!」  
うるさい唇を塞ぎ、片手で力任せにブラウスを引っ張る。ボタンは勢いよく弾け飛び、  
残りの邪魔な布地を引き裂くように取り除く。首元のペンダントがチャラチャラと虚しく鳴った。  
「アレ……さま、やめ……!」  
露になった乳房は白く豊かに実り、上を向いた先端は桃色に張り詰めていた。頂を囲む部分は慎ましやかで、  
落ち着いた色をしていた。それはまるで、今が旬だから食べてくれと主張する果実のようだった。  
両手から零れる二つの実を荒々しく愛撫し、頂は指の腹で捏ねくり回す。  
「あっ!あぁっ」  
ぽろぽろと涙するステラの首筋に舌を這わせ、胸の谷間に顔を埋める。  
「おやめください……っ、やあっ……どう、して……、っあ!」  
「『どうして』?」  
「こ、こんなこと、あ、やっ!」  
乳首を舐めながら、片方の手を足へと向かわせる。スカートの中の下着へと到達すると、そこはしっとりと濡れていた。  
「やあっ」  
アレクシスの指を激しく擦りつけると、甘い声が上がった。  
「やめ、やめて――こんなの――」  
「――父上じゃないと嫌?」  
その言葉に、ステラの表情から血の気が引いた。  
 
怯えたその愛らしい顔に暗い感情の火がつき、嗜虐的な言葉が次々に飛び出る。  
「もうこんなに濡れてる。随分淫乱なメイドだね――父上に開発されたのかな?」  
「あっ……」  
「どうやって父上を誘惑したの? そのでかい胸で抱きついた? それとも尻を振ってみせた?」  
ステラは目を真っ赤にして首を振った。  
「淫乱女のくせに、純情ぶって。すっかり騙されたよ」  
「そんな、酷い……」  
「酷いのはどっち? 妻子ある、親子ほどにも歳の離れた男に――あろうことか昼間の庭園で、後ろから突かれて  
よがっていたくせに」  
「――!」  
詰りながら下着を降ろし、紅茶色の茂みで隠された場所に分け入り、無理矢理股を開かせる。  
濃厚な女の香りが鼻孔を刺激した。  
「やぁ、アレクシスさま! 許して!」  
初めて目にする女の秘所は、蜜に濡れひくついていた。こんなグロテスクな器官があどけないステラについていることに驚きはしたが、  
萎えることはなかった。  
(すっかり身体は女だということか)  
募る苛立ちと興奮は、すでに最高潮に達していた。痛いほど張り詰めた自分自身を取り出し、  
思いの外下の方にあった花弁に先端を押し付ける。  
「ステラ」  
――愛してる。君が愛しくてたまらない。  
伝えたかった本当の言葉を胸に隠し、一気に自分の猛りで彼女を貫く。  
「アレク――!」  
幼い頃の呼び名をステラが叫んだ。それが嬉しくて、せつなくて、ただ想いをこめて腰を振る。  
「や、アレク、激し……あっ、あ、あ」  
「ステラ――ステラ――」  
繋がった部分からぐちゅぐちゅと卑猥な水音が響く。ベッドの軋む音、ペンダントが揺れる音、  
そして何より、ステラの鳴く声が甘く耳を犯した。  
「アレク……っあ、ん、や、ああぁ、あ、あっ」  
ステラの中は溶けそうに熱く、ざらついていて、鳴く度にアレクシスを締め付けた。堪らなく気持ちいい。  
気を抜けばすぐ放ってしまいそうだった。  
そして何より、愛しい女を犯しているという事実が、アレクシスをこの上なく満たしていた。  
だから、限界はすぐにやって来た。  
「ステラ、いくぞ――」  
「あっ――だめぇっ……アレク……!!」  
「く、あ、っっ!」  
最奥で放たれた奔流は、ステラの子宮に飲み込まれた。  
長い放出だった。自分の子種が注ぎ込まれている様を感じ、偽りの幸福に酔いしれる。  
「ステラ……」  
息を整え、喘ぐステラを見下ろす。涙と睡液に汚れても、彼女の美しさは損なわれることなく、  
むしろ怪しい輝きを放っていた。  
 
「……まさか、これで終わりだとか、思ってないだろう?」  
若い肉体は、果てるのも早かったが、回復するのも早かった。  
中で固さを取り戻しつつあるアレクシスに、ステラはびくりと身体を震わせた。  
「あっ――うそ……」  
ステラの足を持ち上げ肩にかけ、より深く当たるように穿つ。  
「あぁんっ!」  
「気持ち良い?」  
先程より余裕ができたアレクシスとは対照的に、ステラは息を荒げ、声を押し殺せなくなっていた。  
ゆっくりと抜き差ししながら胸の赤い頂を口に含み、媚肉をまさぐる。  
女についている敏感な部分を探し出し、皮を向いて優しく擦り上げる。  
「ああぁっっ!!」  
ステラが悲鳴を上げた。それが面白く、容赦せず責め立てる。  
「いやあ! アレク、だめぇっ、もう……!」  
「何がだめなんだ? 自分から腰を振っているのに」  
「そん、な……や、いやあっ! は、激し、い……ああぁ!」  
ステラは背中を弓なりにしならせ、びくびくと震えた。同時に中もきつく締め付け、アレクシスは  
果ててしまわないよう必死に堪えた。  
「……っ、」  
ステラは絶頂で言葉もないようだった。アレクシスは自分自身をステラの中から一旦抜き出した。  
溢れ出る白濁した液体を満足げに眺め、着ているものをすべて脱ぐ。そしてステラの服も脱がせる。  
もはや抵抗はなかった。太股までの黒いストッキングだけを残し、ステラは裸になった。  
「アレクシスさま……」  
掠れた声で呼ばれると、壊れたはずの想いが蘇ってくる。  
「後ろを向け」   
冷たい声でアレクシスは命じた。  
「父上と同じ格好で犯してやる」  
 
ステラは涙を流しながらも、半ば諦めたように背を向けた。四つん這いにさせ尻を持ち上げ、躊躇なく後ろから貫く。  
「っあ、アレク、っ……!」  
カチューシャが外れた長い髪が豊満な乳房とともに揺れ、何とも淫らだった。  
「父上にこうされて、気持ちよかったんだろう?」  
「……も、う、許して――あふぅ!」  
――許すものか。  
もっともっとよがり狂わせ、俺のことを忘れられないようにしてやる。  
アレクシスは秘所の上の、慎ましやかな菊座に目をつけた。  
寄宿学校の仲間のひとりが言っていた。――こちらもなかなか良いものだと。  
「ひゃあっ」  
蜜を塗り付けた指を、菊座に沈ませる。  
「やっ、そっちは……」  
「使ったことないの?」  
「そんな、まさか、ありませ――あう! あはぁ!」  
その答えに満足し、アレクシスは深々と指を突き入れた。  
「いやっ! 痛い……!」  
まだ、誰にも散らされていない場所。  
あの、父親にさえも――。  
「やめてぇ、やめてくださ――あっあっ、あっ」  
奥に入れたまま小刻みに腰を振ると、ステラは嬌声を上げて震え始めた。それと連動させ、菊座の中を指の腹で擦り上げる。  
「やだあ、ああん、あ、一緒に動かさないでぇ!」  
「どうして?」  
意地悪く尋ねながら、腰の動きをいっそう激しくさせる。  
「やあ、だって、んっ、私――いやあっ!あ!ああっ!」  
「う、っ――!」   
中が収縮し、アレクシスを締め上げた。二度目の絶頂は、ステラとはぼ同時だった。  
「あぁ……」  
出し切ってからずるりと抜くと、受け止めきれなかった欲望の証がステラの股の間から滴り落ちた。  
「……子ができるかもな」  
肩で息をするステラに、アレクシスは残酷な言葉を放つ。  
「父上の子でも俺の子でも、大した違いはないだろう?」  
ステラはシーツに顔を伏せ、肩を震わせた。そんな彼女の腰を引き、太股に汚れた己を擦りつける。  
「っ、もう、これ以上は……お許し、ください」  
「だめだ」  
無理矢理こちらを向かせ、口づける。いやいやと首を振るのもかまわず、強引に舌を絡め、再び押し倒す。  
ふと、寝台脇の時計を見ると、まだ深夜に届かない時間だった。  
「まだまだ、これからだ」  
青ざめるステラに、アレクシスは優しく微笑んでみせた。  
 
続く  
   
 

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