幼馴染みの女の子が結婚することになった。
で、アルバムやら何やら実家の押し入れから引っ張り出して眺めていて、
幼稚園の卒園文集のようなものにはこんなことが書いてあったんだ。
おとなになったら、やきゅうせんしゅ、けいさつかん、アイドル、ケーキやさん、かんごふさん…
(俺)のおよめさん
思わず笑って、なかなか笑いがおさまらなくて、しまいには涙まで出てきちゃったよ。
確かに俺もあいつと結婚するものだと思ってたこともある。
だけど、それぞれ好きな人ができて、何人かと付き合った。
あいつのおかげでフラれたこともあったっけ。
俺とあいつが恋人どうしになったことは一度もないが、
実を言うと互いにはじめての相手だったりする。
高2当時、俺が付き合ってた彼女に経験がないのを悟られないようにと
フリーだったあいつに相談したら、練習の相手をしてくれた。
結局、その彼女とはえっちの前に別れてしまったんだけど。
あれは申し訳なかった。
でも、これって運命なのかとも思ったんだ。
それから、自分は彼女とあいつのどっちが好きだったのか。
あいつのことは恋人とは思わないが、大事な人ではある。
じゃあ、恋人でもない相手とセックスするというのはどういうことか。
あいつは俺なら安心してはじめてをまかせられると言っていた。
その後もたまにセックスして、恋人がいるときはしなかった。
恋人は恋人だ。
結婚すると聞いて、あ、俺じゃないんだ、とは思ったけど、これでいいんだ。
彼の「およめさん」になれるんだ。
ダスティン・ホフマンごっこなんかしないからな。
もしうまくいかなかったら…そのときは俺がなんとかするよ。
でもそんなこと考えなくていい。
幸せになってくれ。