その少女に出会ったのは、繁華街にある雑居ビルでひっそりと営業していたモグリの風俗店だった。
風俗店とはいえ、本番ができる訳ではない。それどころか、店は女の子すら雇っていない。
15畳ほどのワンルームを囲んでぐるりとソファーが並べられ、薄暗い店内にいるのは、男性も女性も全て「お客」だ。
そして、この店の最大の特徴は、部屋にいる皆が一糸まとわぬ全裸だということだ。
そう。ここは、男も女もオールヌードを満喫する秘密のサロンなのだ。
男は一万円、女は千円払えば、営業時間内ならいくらでもいられる。
ただし男性客は、ひとりでの入店が条件。仲間連れなどのグループは断られる。
カップルもNGだが、女の子だけならば友達と一緒でもOKだ。
見知らぬ素人ばかりの男女が、狭い密室のソファーで出会うわけだが、残念ながら本番はできない。
女の子の性器へのタッチも厳禁。キスの強要も禁止だが合意すれば可。
男性客へのフェラチオもダメだ。かろうじて手コキによる射精は認められているので、部屋のあちこちにはテッシュの箱が置かれている。
こんな中途半端な風俗店にもかかわらず、常に20人近い男女で賑わっているのは、女性客のレベルがとても高いからだった。
男は、不潔だったり怪しげな風体でない限りフリーパスで入店できるが、女の子には厳しい審査がある。
無認可でモグリの風俗店だから年齢確認など無いが、とにかく若くて可愛くなければ入れてはもらえない。
自然と、十代後半から二十歳ぐらいの美少女・美女ばかりに絞られることになる。
今まで一度たりとも、ブスや年増を見かけたことがない。だから、この店は俺のお気に入りだった。
「ここ、いいですか?」
隣のロッカー部屋でいつものように全裸になった俺がソファーに腰を降ろすなり、頭上から明らかに十代とおぼしき瑞々しい声が降ってきた。
あわてて顔を上げるようなみっともないマネはしたくない。
視線を落とした俺の目の先には、キチンとそろえられた綺麗な素足があった。
少しだけ視線を上げる。裸の脚が、驚くほどたくましい。
何かスポーツをしているのだろう。ふくらはぎも太腿も、どっしり肉厚ながらキュンと力強くひき締まっている。
太腿のつけ根には、さっきの愛らしい声とは裏腹に、燃えるような陰毛が黒々と茂っていた。
量も面積もかなりのもので、手入れなどせず自然のままにしているらしい。
もっと視線を上げると、惚れ惚れするほど鍛え上げたウエストが目に入った。
見事なまでにセクシーにくびれ、割れた腹筋のスジがクッキリと浮かび上がっている。
でも、さらに顔を上げた時の驚きに比べたら……俺も34年間の独身生活で、数え切れないほどの乳房を拝んできたが、文句なしにブッちぎりのNo,1だった。
軽く90センチは超えているだろう。はち切れんばかりの量感だ。
しかも、まるで重力に逆らうかのようにグイッと上を向いているのだから恐れ入る。
俺は、はやる気持ちを必死に抑え、神に深く感謝しつつ、いよいよ顔を拝むことにした。