ちっぱいえるふ
「やっぱり貴方も、む、胸は大きい方が好き……?」
「……はぁ?」
嫁のエルフが余りにも真剣で悲しげな顔で変な事を聞いて来たので、思わず変な声が出た。
「……あー、随分と唐突な質問だが、何かあったのか?」
「べ、別に……ちょっと気になっただけ……」
彼女はぷいと顔を背けてしまう。少しだけ視線を下げると、なだらかな平原がそこにはあった。
どうせまたダブルチョモランマのダークエルフにどうでもいい事を吹き込まれたのだろう。
「うーむ。確かに大きな胸は好きだ」
「……ぐすん」
泣くし。
エルフは素直で真面目なのは非常に良いのだけど、少々融通が聞かないのが玉に瑕だとおもう。
すんすんと鼻を鳴らす可愛いいいい嫁を眺めているのも良いが、やはり嫁には笑って居て欲しい。
「しかし、小さな胸も同等に好きである」
「慰めなんていらない!」
「まあ聞きたまえよ」
ぐすぐすと涙を浮かべる嫁を前に、言葉を並べる。
「尊敬する人の言葉に、こういうのがある。
『おおきい おっぱい ちいさい おっぱい
そんなの ひとのかって
ほんとうに おっぱいが すきなら
すべての おっぱいで
かたれるように がんばるべき』」
「……変態さん?」
「そうだ変態だ。だが素晴らしい変態だ。その人は、全てのおっぱいを差別することなく平等に扱っている。これは素晴らしいことだ」
「……よくわかんない」
目にうっすらと涙を浮かべ、眉をハの字に、耳をしゅんと垂れさせて、小さく首を傾げる彼女。
やばい可愛すぎて死んでしまう。
「無乳も貧乳も微乳も美乳も普乳も巨乳も魔乳も覇乳も、どれもみな同じおっぱいだ。愛すべきおっぱいだ。たとえ君が貧乳であろうと、巨乳であろうと、君が素敵なおっぱいの持ち主であることに変わりは無い」
「え……えと、ありがとう……?」
首を傾げて反応に悩んでいる。まあ「おっぱい素敵ですね」としか言っていないんだから仕方ない。
「まー実際、子どもが出来れば胸はそれなりに膨らむし」
「えっ」
「えっ」
知らなかったのだろうか。
「だってほら、子どもを育てるために母乳を出さなければいけないわけだから、それで膨らむ」
「あ、あー、なるほど。そっか、そうだよね……」
うんうんと一人で頷いて納得している。やはり知らなかったようだ。
「そっかー、子どもかー……そっかー……」
ぶつぶつと呟く彼女。あー、この流れだと、
「……ね」
「うん?」
「……子ども、欲しいな」
そう来ると思った。
「ただ、この話の流れだと、動機が非常に不純になるけど」
「そ、そういうのじゃなくて!」
わたたっと手を振って否定する彼女。まあ、今までの話からでは、そう言う目的なんじゃないかと思っても仕方ないけど。
「子どもの話になって、改めて、子ども、欲しいなって」
もじもじと手をいじりながら、期待を込めた視線でこちらを見てくる。耳まで真っ赤にして恥じらっている姿がたまらなく愛おしい。やばい我慢できない。
「よしつくろう必ずつくろう本気でつくろう今つくろう」
嫁をお姫様だっこして、寝室へと運んでいく。
「えっ? えっ?」
「エルフの子どもは出来にくいからな。これはもう絶対出来ただろってくらい、一晩かけていっぱいしよう。十発? 二十発? どれだけ出せるかな。ここ最近ご無沙汰だったからな」
「え、えっと、お手柔らかに……」
「うん」
真っ赤になって胸に顔を埋めた彼女に小さくキスをして、寝室の扉を開けた。
続かない