プロローグ  
 
 
人の不安を煽る踏切の音を聞きながら遮断機脇で携帯電話を眺めていたら、  
俺の横を二人の人影が通り過ぎる。  
一人は40歳ぐらいでせかせかと小走りする太ったおっさん。  
もう一人はうちの学校の制服を着て自転車にまたがったポニーテールの女子高生。  
「いたっ!」  
 
おっさんの声に俺が携帯から目を離し線路上を見ると、  
線路でうずくまったおっさんとバランスを崩し片足をついた女子高生の姿が目に入った。  
(接触したのか?)  
女子高生はおっさんの方を一瞥もせずすぐにまた自転車をこぎ始める。  
しかし自転車が10メートル先に行っても、  
打ちどころが悪かったのかおっさんはうずくまったまま動かない。  
「おい、おっさん、大丈夫か?」  
 
俺は大声を上げた。多分女子高生にも聞こえただろう。  
だが、女子高生は振り返らなかった。  
遮断機の半分が下がり、俺の目前で道路と線路が分断される。  
遠くから、電車の近づく音が幽かに聞こえ始めた。  
考えるよりも早く、俺は鞄を放り投げ線路へ侵入しおっさんを抱え上げる。  
「おもっ!」  
 
汗だくになりながらも電車が来る10秒前におっさんを線路から引きずり出し、  
なんとか俺はおっさんの命を助けだすことに成功した。グッジョブ俺!  
……冷静になって考えればわざわざ線路に飛び込まなくても  
電車を止めておっさんを助ける方法は有った気もするけど。  
おっさんと二人で呼吸を整える。俺は冷や汗で、おっさんは脂汗でぐしょぐしょになっていた。  
「いやはやありがとう、淫天堂の岩本です。君のおかげで助かりました」  
俺は溜息を吐きながら踏切前に放り出した鞄を拾い上げる。  
 
「たくっ、危ないっすよ。踏切が鳴り始めたら遮断機が下りるまで踏切前で待っときましょうよ」  
「いやあ、お恥ずかしい」  
「転んだ後動かなかったですけど、どっか怪我でもしたんすか?」  
俺の言葉におっさんは膝を抱えながら顔をしかめた。  
「ちょっと膝をしこたま打ってしまいまして……」  
「歩けないんすか?この近くに病院ありますけど、案内しましょうか?」  
「ああ、そこまでひどくはありません。心配おかけしてすいません」  
 
おっさんは俺の顔をまじまじと見つめる。  
「あなたは命の恩人ですね……お礼にこの開発中のゲーム機4DSをあげましょう」  
へー、最新ゲーム機ねえ。人助けってのはやるもだなおい。  
でも、俺はそこそこゲームやるけど4DSなんて聞いたことないぞ?  
「……名前からしてViiみたいなパチモンなんすか?」  
「あ、このゲームは人間界ではまだ発売されていませんから、あまり人に見せては駄目ですよ」  
 
……なんかさらに胡散臭くなったんですけど。  
 
 
1.  
 
放課後、学校の駐輪場で待っているとポニーテールの少女が現れた。  
俺は彼女の死角からその全身をゲーム機のカメラに写す。  
パシャッ  
大きなシャッター音がしたが、イヤホンをした彼女は少しも写真を撮られたことに気づかなかった。  
「さて、それではプレイしてみますか」  
 
昼間彼女――上月由愛(こうづきゆめ)に会った俺は、  
おっさんが彼女との接触で大事故に遭いそうになったことを告げ、謝罪するよう促した。  
しかし、彼女の反応は芳しくなかった。というよりとにかく腹立たしかった。  
彼女はなんで私がこんな人に呼び止められなければいけないのと  
言わんばかりに不快そうな表情で、次のように言い放ったのだ。  
「あの人も踏切が鳴り始めてから渡ってたでしょ。なら同罪よ」  
イラッ  
 
いや、そういう問題じゃないだろ。  
「そうね……同罪と言っても私は自転車に乗っていたから、例え踏切が鳴り始めても  
遮断機が下りるまでに渡りきる可能性はほぼ100%なんだから、私の罪は無いに等しいわ」  
イライラッ  
「なのにあの人はどうなの?あんなでっぷり肥った体型なら、踏切を渡りきれないことだって  
十分予測できただろうし、踏切の音を無視した罪は私よりはるかに重くなるわね」  
イライライライラッ  
「私ああいうデ……自己管理のできない人って大嫌いなのよ!」  
 
はいすいません、限界です。  
ここで俺は大声で人の多い廊下にて彼女を「馬鹿野郎」叫ばわりしました。  
が、そこで彼女と俺に近づいてきた教師は、俺の説明を聞いて彼女の味方をする始末。  
――しかしねえ、被害届は出ているのかい?――  
――大体その男も悪いのだろ、下手すれば彼女が怪我していた可能性も――  
――彼女は全国模試でうちの校区一番の成績なんだよ、そんな彼女に何かあったら――  
 
おおジーザス!  
成績が良ければルールを無視して人に大けがさせてもいいってのかい?  
初めて聞いたぞこのくそ教師!  
絶望する俺の目の前で、教師の肩越しに由愛が見下すように冷笑した。  
ほほう。そうか。そういう奴か。分かった分かった。  
こうして俺は、彼女を魔法のゲーム機で写すことにしたのだ。  
 
 
2.  
 
まあ……どうせあのおっさんがホラ吹いてただけだと思うけどさ。  
昼間怒りが有頂天だった時は魔法のゲーム機で彼女と遊んでやろうと思ったんだけど、  
時間が経った今ちょっと冷静になると自分がものすごくアホじゃないかと思い始めていた。  
まあ彼女に比べれば俺なんて全国模試で偏差値40台真ん中ですし、  
アホと言われてもしょうがないですしおすし。  
そもそも、魔法のゲーム機ってなによ。  
『このゲーム機は、魔法のゲーム機なんですよ』  
 
魔法のゲーム機ぃ?説明を聞いた途端俺のおっさんに対する視線が超冷たいものに。  
『この外側にあるカメラでまず被写体を写すんです。すると……』  
おっさんの説明通りゲーム画面に由愛の画像が映る。  
そして「3Dにしますか?」というテキストと「はい」「いいえ」のアイコンが表示された。  
俺がタッチペンで「はい」のアイコンをつつくと、画像に奥行きが生まれる。  
 
ま、これは他のゲーム機でも出来……?  
突然、画面の中の由愛が振り向いた。  
なん……だと……?  
つまり、2Dの映像が2枚になって立体視ができるようになったのではなく……  
2Dの映像を読み込んで、それを3Dのポリゴンに書き換えたってのか?!  
なにこれ、すごい技術じゃないか!!  
 
とはいえ、これから先おっさんが説明していたことは流石に起こらないだろう。  
そう思いながら、俺は3Dになった由愛の首筋をタッチペンでつつく。  
「きゃっ」  
突然、自転車に乗ろうとしていた現実の由愛が首筋を手で抑える。  
なん……だと……?  
オサレ漫画のごとく俺はなんだとを連呼してしまった。  
手になんの感触も確かめられなかったからか、由愛は不思議そうに首を捻った。  
 
だが、確かに現実世界の彼女は感じたのだろう。  
ゲーム画面の由愛をつついたタッチペンの感触を、その首に。  
『このゲーム機はね……画面に写した人間を触ると、  
現実世界の人間の感覚器官に影響を与えるんです!すごいでしょう!』  
俺は思わずげらげらと笑った。おっさんからその話を聞いた時は。  
だが、おっさんの話が本当だったと……本当にこれが魔法のゲーム機だと分かった今は、  
にやりと笑った。  
 
すげえよおっさん、あんたの話はほんとだったのか!  
もうおっさんとは呼べねえ、おっ様と呼ばせてください!  
俺は携帯で、魔法のゲーム機にどんな機能があるの聞きだすためおっさんに電話する。  
おっさんの電話番号は、由愛におっさんへ謝罪させるため、おっさんと別れる際聞き出していた。  
朝は通学中で時間がない上に魔法のゲーム機なんてほとんど信じてなかったので、  
おっさんのゲーム機の説明をほとんど聞いてなかったのだ。  
 
しかし、電話越しのおっさんの声が小さい。  
「あ、ごめんなさい。そのゲーム機、そっちの世界に置いてきたのばれそうだから、  
電話はやめてください。ばれたら私が大目玉食らいますんで」  
「マジっすか?じゃ、名残惜しいけどこのゲーム機返した方が……」  
「いやいや、そこまでしなくていいですよ、それはあなたにあげたものだし、  
こっちでごまかすなり揉み消すなりしますので。  
とにかく、もうそっちから電話繋がらないようにしておきますね」  
 
そういうなり電話が切れる。  
おっさんの言葉通り、リダイヤルしてももう電話は繋がらなかった。  
電話を繋がらないようにするってどうやって?  
そもそもおっさんは『こっちの世界』にいないのなら、どこに住んでるっていうんだ?  
未来?異次元?並行世界?  
色々疑問は湧きあがったが、俺の視界の隅に由愛の姿が入ると、  
やりたい盛りの俺の頭の中はただ一つ、彼女をどうやって弄ぶかだけを考え始めていた。  
 
 
3.  
 
俺は歩きながら魔法のゲーム機の仕様把握に取り掛かる。  
おっさんの説明を聞かなくて大丈夫か?  
大丈夫、問題ない。  
そもそも俺は新作ゲームソフトを買っても説明書は読まずに始める派だ。  
開発中のゲーム機だし、全然チュートリアルはないけど、なんとかなるだろう。  
しかし、ここで問題に気づいた。由愛が自転車に乗って俺から離れれば、  
俺はこのゲーム機が彼女にどう、どんな、どこまで影響を与えるか確認できなくなっちまう。  
 
由愛が自転車にまたがろうとした瞬間、  
俺はとっさにゲーム内由愛の股間のあたりをタッチペンでつつく。  
「ひっ」  
声をあげて現実の由愛が自転車から飛び降り、顔を真っ赤にして内股になる。  
辺りを見回し、他の生徒から怪訝そうな表情で見られているのを確認してさらに赤くなる。  
そうか、簡単な話だ。  
 
由愛が首をかしげ、しばらく自転車を手で押してから、またサドルにまたがろうとした瞬間、  
もう一度俺はゲーム画面の股間をつつく。また、由愛は自転車から降りて赤面する。  
由愛は何度もサドルを調べるが、そこには何も異常はない。  
そしてまた自転車に乗ろうとして、俺がそれを邪魔する。  
そんなことを45回繰り返せば、彼女はもう自転車に乗らなくなった。  
原因は分からなくても、自転車に乗ることと股間に違和感を覚えることに  
なにかしら因果関係があると判断したのだろう。こっちの思惑通りだ。  
 
これで俺と彼女が引き離されることはなくなった。  
おまけに、自転車を手で押しながら下校することになるので、彼女の歩みは遅くなる。  
これでじっくりとゲーム機が彼女にどう影響を与えるか分析できるというものだ。  
由愛と俺では歩幅に差はあるが、俺はゲーム機を操作しながらだから  
彼女を尾行するためある程度歩くのを遅くしても怪しまれない。  
まあ歩きながらゲームなんてちょっとお行儀がよくないが、  
“ゲーム”が面白すぎるんだから仕方ない。  
 
しかし、結構レベル高いなあいつ。俺は改めて由愛を観察する。  
昼間の時のプライドの高そうな、人をはねのける様な威圧感が  
俺の「プレイ」でなくなった彼女は、なかなかきれいな顔だちをしていた。  
鼻筋はすっきりとしていて、目はぱっちりとして大きく、顔の輪郭も整っている。  
プリーツスカートの下から伸びる足もすらっとして細く長いし、  
胸は大きすぎず小さすぎず。  
これはますますゲームにはまりそうだ……俺は心の中でガッツポーズを決めた。  
 
 
4.  
 
由愛を追い始めて10分、俺はゲーム機のシステムをある程度把握していた。  
ゲーム内の彼女の体は直立不動で固定され、  
その体をタッチすることで彼女の触覚に影響を与えることができる。  
さらにペンをスライドするとなぞる様に触る事ができるようだ。  
また、彼女の体以外の部分をタッチしてペンをスライドさせると、  
カメラ操作モードになり、カメラの角度を変えさまざまな角度から彼女の体を眺めることができる。  
ほほう、パンツは白ですか。ここまでが基本動作。  
 
そして画面右側に縦に並んだ各種アイコンを使うことで少し複雑な動作が可能になる。  
まず画面右上にある虫眼鏡のアイコンがズーム機能。  
これをタッチしてさらにプラスのアイコンをタッチすればズームイン、  
マイナスのアイコンならゲーム内の由愛がズームアウトする。  
虫眼鏡のアイコンの下にある手のアイコンはモード切り替え。  
手のアイコンをタッチしてから由愛の服をスライドすると、  
由愛の触覚に干渉せず、ゲーム内の彼女の服が取り除けるようになる。  
 
さっき由愛の胸は“大きすぎず小さすぎず”と判断したが、  
いざ脱がしてみたら体格のわりに結構大きかった。  
しかも、形は下に垂れず横に広がらずのきれいなお椀形。ますます俺のジュニアがエレクトアップ!  
また、手のアイコンを使ってモードを切り替えた状態で  
彼女の体に触れながらペンをスライドすると彼女の体の各部位を移動させることができ、  
スライドの終わった場所にゲーム内の彼女の体を固定できる。  
さらにそれが現実世界の彼女の体の位置にも影響を与えるようだ。  
 
俺はゲーム内の由愛の右手で彼女自身の胸を触らせ固定させると、  
現実の彼女も自分の胸を触ることになった。  
彼女は必死な形相で手を振りほどこうとして無駄に体をゆすった。  
自分の胸を触る女子高生とすれ違った小学生の男の子が遠くでひそひそ話をし始めると、  
ついに由愛は半泣きになってうつむいてしまった。  
俺は体を震わせながら右手の固定を解除する。爆笑を抑えるのに必死だった。  
 
手のアイコンの下にある矢印のアイコンが巻き戻し機能で、  
ここをタッチすると由愛の着衣の状態を以前の状態へ戻したり  
体の固定を解除して以前の状態に戻したりできる。  
その他にもペンやカメラ、×印など色々なアイコンがあるが、  
さしあたって虫眼鏡、手、矢印のアイコンさえ使えれば  
今のところは楽しく“遊ぶ”ことができそうだ。  
 
 
5.  
 
由愛と俺は裏道が多く、廃工場やさびれた公園などの多い区画に入った。  
では本格的なゲーム攻略を開始しましょうかね。  
まずは軽くタッチ、格闘ゲームで例えれば弱攻撃で揺さぶってみよう。  
俺は全裸になったゲーム内由愛をタッチペンで突きまわす。  
耳元つんつん、びく  
首筋つんつん、びく  
脇腹つんつん、びくんっ  
 
ほほお、脇腹が一番反応大きいですか。  
じゃあ次はスライド攻撃で撫でまわそう。挌ゲーなら中攻撃かな?  
背骨を肩甲骨の真ん中から腰のあたりまでつーっと、びくんっ  
お尻を全体的にじぐざくにつつーっと、びくんっ  
乳房を乳首に当たらないよう螺旋状につつーっと、びくびくびくんっ  
おやおや、もう腰が砕けるようになって……あ、まずい。  
 
中攻撃はなかなかに威力があったようで、由愛の歩みが止まってしまった。  
これは良くない。このまま歩いていたら俺は彼女を追い越しちゃうな。  
あたりに人目がないのを確認し、しばし考えた後、  
俺はゲームをしながらそのまま歩き続け、彼女の背後に近付いて話しかける。  
「由愛さん?」  
俺の声に、下を向いて中攻撃に耐えていた彼女は慌てて顔をあげる。  
 
どうやら俺の接近に気付かなかったようだ。  
もう、自分の周りの状況が分からないほど感じいっていたということか。  
「あ、あなたは……」  
「やっぱり由愛さんか」、と俺は空々しく話を続ける。  
「なんか様子が変だけど、具合悪いのかな?」  
「べ、別に……」  
 
俺の顔を見て、焦点の定まらなかった由愛の瞳に理性の光が戻る。  
「というか、私を下の名前で呼ばな……!」  
俺がゲーム内由愛の脇腹をつつくと、由愛の顔がたちまち甘く融ける。  
「は、……話しかけないで……あなたみたいに、  
 ……歩きながらゲームする、ぁっ、頭の……悪い人と……  
 友達と思われたくッふあぁっぁ」  
耳元、首筋、脇腹、胸元、太股、もいっちょ脇腹。  
 
俺の弱攻撃のコンボに由愛の言葉が途切れ途切れになる。  
タッチするたびに由愛の体はクラゲのように揺れた。  
「でも、放っておけないよ。今の由愛さん、普通じゃないし」  
はぁはぁと息を吐きながら、それでも由愛は俺をにらもうとする。  
だがその潤みきった瞳は俺の嗜虐心に火をつけるだけだった。  
「なによ……しっ、心配する振りなんかしてぇ……  
 ゲーム画面見てる人が……なにが『放っておけない』よ、あぁんっ」  
 
俺は声を潜めて、彼女の耳元に口を近づける。  
「だってさ、今の由愛さん、すごくエロくて、直視できないんだもん」  
俺の囁きに、由愛の顔が発火するのではと思うほど紅くなる。  
「な、なにを!」  
「道行く人が皆由愛さん見てたよ?」  
 
囁きながら、俺はゲーム内の由愛の乳首をつついた。  
「ふぁぁ」  
がしゃんと大きな音を立て、自転車が倒れた。  
もう、自転車を持つこともままならないようだ。  
俺の囁きと乳首への刺激で由愛のプライドが粉々に砕かれたのだろう。  
 
由愛は俺を見ようとせず、世界の全てから逃れるように下を向いて、  
「見られてた……皆に、見られてた……」  
とうわ言のように呟く。  
そこへ、俺は大攻撃――粘膜刺激のコンボを開始する。  
乳首をつん、びくびくびくびくんびくんっ  
肛門をつん、びくびくびくびくんっ  
秘裂をつんつんつん、びくびくびくびくびくびくびくん、ぬるっ  
 
ついに立っていられなくなり、廃工場の塀にすがりつく。  
きれいに整っていた前髪は汗で張り付き、とても扇情的だ。  
眉も垂れさがり半泣きで、昼間見せた気丈さは欠片もない。  
さて、そろそろ第1ランドを終わらせる時が来たかな。  
必殺技――粘膜へのスライド攻撃を使ってとどめを刺すとしますか。  
 
乳首をねぶるように円を描きつつスライド、びくびくびくびくびくんびくびくんっ  
固定機能で大きく口を開けた肛門内部の肉壁をスライド、びくびくびくびくびくびくびくびくびくびくんっ  
固定機能でぱっくり開いた膣内を処女膜を傷つけないようスライド、びくびくびくびくびくびくびくびくびくびくんっぐちゅぐちゅっ  
ついに、由愛は腰を抜かしその場にぺたんと座りこむ。  
俺は現実世界の由愛の太股を撫でる。  
それだけで、由愛は体を震わして「あぁん」と嬌声をあげた。  
 
俺の手は、由愛の愛液でぐっしょりと濡れそぼる。  
それを彼女の前でかざし、  
「これ……どうしたの?」  
と尋ねた。  
胡乱に宙をさ迷っていた由愛の眼は途端に驚愕と羞恥で大きく見開き、  
「いやぁぁああっ」  
と悲鳴を上げて廃工場の中へと這うようにして逃げて行った。  
 
俺はゆっくりと辺りを見回す。  
周囲に誰もいないのを改めて確認すると、置いたままの自転車を見てしばし考え込む。  
あーあ、誰かに取られたらどうするんだ。  
自転車をひいて由愛を追いかけるか?とも考えたが、  
廃工場内部の敷地は瓦礫や鉄骨などが散乱して自転車を持っていくのは不向きに思えた。  
 
俺は閃き、ゲーム機で自転車と廃工場脇に生えた木を写して3D化させると、  
ゲーム内の自転車を木に立てかけ固定した。  
実物の自転車を木から掴んで引きはがそうとすると、ぴくりとも動かない。  
これなら大丈夫……うん?そうだ!  
俺は携帯電話でピンクローターの画像を検索し、  
その画像をゲーム機で撮影し立体化させた。  
 
えーとスイッチはこれか。  
ローターが振動を始めると、それをゲーム内の木に固定させる。  
すると、木からぶぶぶぶという振動音が鳴り始めた。  
そしてゲーム内のローターが当たっている部分を触ると、  
木の表面が振動しているのが分かった。  
これは……使える。第二ラウンドは武器攻撃と行きましょうかね。  
 
 
 
 

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