――  
 我ながら、ほんとだめだなぁ――と思う。  
 
「あっ……ん、ふ」  
 
 壁越しに家族がいる家で息を殺してするまですることかね、自慰ってのは。  
 しかしながら、ムラムラしてるんだから仕方ない。  
 母さんも父さんもこんな私知らないよなぁ。知ってるかなぁ。知ってたら嫌だ。  
 
 片方の手で恥骨の肉を持ち上げて包皮をめくって、もう片方の手は  
スカートをめくってパンツ越しにクリトリスを引っ掻いてる。  
 押しつぶすだとか、引っ張るとかもなかなかいいけど、  
手っ取り早く気持ちなるにはこするのが一番だ。  
 それもパンツ越しじゃないとだめ。直だとあまりこすれないし、  
刺激が強すぎるもの。  
 直がだめってのは、私のカラダが開発されてない証拠なのかね。  
大人の玩具とかで開発してみたいもんだ。  
 
 家族の目があるから買えないんだよなー。ナカになにか入れたい時は  
お風呂の手桶を使わなきゃいけない。もちろんきちんと洗ったやつだ。  
 触っただけでイクカラダになりたいわ。  
 
 まあ、クリトリスだけで十分な気もするけどね。  
 
 
「ひうっ!」  
 
 爪先がすべって、いつもより強くクリトリスを引っ掻いた。  
指の感触だけで、パンツ越しのクリトリスがかたく勃起してるのがわかる。  
 カラダがのけぞって反応するたびに、愛液でパンツがぬるぬるする。  
 カラダ中の血液がぜんぶクリトリスにいったみたいに、  
クリトリスが疼いて疼いてしかたない。  
 
 限界が近づいてきて、開きがちだった足が快感を求めて閉じてくる。  
 私は自然に腰を浮かせば足をのばして、  
上手く快感の頂点に手をひっかけられるよう飛び上がる。  
 カラダをのばす、というのはそれだけで気持ちがいい。  
足をのばすという行為は性的快楽のそのときに柔軟の快感も付加すれば、  
より高く飛び上がれるとカラダが本能で知っているのだろう。  
 
 上級者は柔軟の快感なしにイケるのだろうが、  
あいにく私は足をのばさないとイケない初心者だ。  
 
「んっ……ふぅ、あ…っ」  
 
 吐息が荒くなって、パンツごしにクリトリスを責める指はかきむしるよう。  
 それでも、すぐに快感の頂点に手がひっかかるわけじゃない。  
 あとすこし、あとすこしを気の遠くなるぐらい体験して、それの積み重ねで  
すこしずつ足場が高くなる――それだけ頂点の高さが低くなる。  
 
「うぅ……や、もう…高橋、高橋ぃっ」  
 
 私は目をつぶって、幼なじみの顔を思い浮かべる。……彼氏でもある。  
 背の低めで、オドオドしてへたれな高橋。でも本当は  
すごくかっこよくて――でも手もつなぐのに顔真っ赤になるへたれで。  
 高橋が好きだ。だからすこし申し訳ないけど……私はいつも高橋でイク。  
 
「高橋ぃ……っもうだめ、ああっ!」  
 
 ばつん。  
 そんな音が聞こえたかはさだかではない。  
 だけど、とにかく私の指は異変を捉えた。  
 
「……え……?」  
 
 呆然としながら、パンツに触れる。  
 パンツのクリトリスの部分が、やぶれて小さな穴になっていた。  
 性器とふれあう部分の布は二枚重なっているから、  
もちろんクリトリスが露出することはない。  
 
「オナニーのしすぎ……かな」  
 
 内側ならたんにその部分がこすれてやぶれただけだろう。経験がある。  
 だが外側がやぶれたということは……そうとしか考えられない。  
 
 なんだよこれ。そんなに自慰してたつもりはないのに。いや、してるか。  
 
 不測の事態と自分への呆れで、頭の興奮はすっかり冷めてしまっている。  
だけど、クリトリスと膣はジンジンと痛いくらいに快感を求めてる。  
 もう一度パンツごしにこすっても、感触が変わったせいで集中できない。  
 かきむしってクリトリスに当たるパンツの位置を変えて  
カラダをのばして、どうにかカラダが浮上していく。  
 
  よし……あとすこしでイケる。パンツの穴が  
どんどん広がってるけど構うものか。  
 
「あっ…っや、高橋ィっ!」  
「ヒロコーはいるわよー」  
 
 ガチャ。扉を開けて母親が入ってきた。  
 血の気がひく。  
 幸い、私は布団のなかで自慰を行っていた。  
母親は私の自慰には気付かなかったようだ。  
 
「なに、どうしたの? 顔真っ赤よ」  
「あ…いや。それよりいきなり入ってこないでよ」  
「ノックしたわよ。あんた学校に筆記用具忘れたでしょ。高橋くんが回収してくれたって」  
「まじか。ありがとう」  
「礼は本人に。そんなわけで、しばらく部屋でゆっくりしてもらいなさい」  
 
 母親の後ろから、高橋がひょこっと顔を出した。  
 
「あ……高橋、おはよう」  
 
 二度もすんどめされて、私のカラダは限界だった。私の顔の赤さと潤む瞳の理由も、震える足の理由にだっても高橋が気づくわけがない。  
 それでいい。気付かれたら軽蔑されるに決まってる。  
 私は快感を求めてひきつくクリトリスと膣を感じながら、私はつとめて冷静に高橋に挨拶した。  
 
「おはよう、ヒロコちゃん」  
 
 にっこり笑う高橋はすごく好きだけど、今回に限っては悪魔のようだった。  
 
 
 

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