エルフを気が済むまで撫で撫でする  
 
 ぽむ、と傍らのエルフの頭に手を乗せる。  
「わっ? な、何ですか?」  
「んにゃ、特に意味は無いよ」  
 と言いつつ、くしゃくしゃと頭を撫で回す。  
「わっ、わっ、髪の毛がぐしゃぐしゃになりますっ」  
「ん、すまん」  
 お気に召さなかったようなので、乱れた髪を手櫛で優しく整える。  
「ん……」  
 目を閉じて、されるがままになる彼女。悪くないようだ。しばらくそのまま、髪を梳き続ける。  
 途中で引っかかる事のない、サラサラで柔らかい金の糸。梳いているこちらも気持ち良い。  
 気が済むまで髪を梳いたので、撫で撫でに移行。  
 優しく頭に手を乗せ、ゆっくりと撫でる。  
「ふにゃ……」  
 気持ち良さそうに撫でられている。  
 撫で撫で。撫で撫で撫で。  
「ふみゅ~……」  
 甘えるように、こちらにもたれ掛かってきた。  
「今日は、優しいですね?」  
「いつもは優しくない?」  
「いつもより、優しです」  
 えへへっと笑って、彼女は寄り添ってくる。  
 ……うむ。  
 あまりにも無防備な首筋をかぷり。  
「ひゃうっ!?」  
 ピンと跳ねた長い耳をつつつっと指先で撫でる。  
「はうんっ!?」  
 ビクンッと跳ねた体がゆっくりと降りてくる。  
 こちらを見上げてきた彼女は、ふにゃふにゃにとろけきっていた。  
「な、なんですかぁ、いきなりぃ……」  
「いや、つい」  
「もー……」  
 不満げな声だが、顔はほんのり赤く染まり、緩んだ口元から甘い吐息が零れる。  
「……ね、キスしてください……」  
「ん」  
 僕らは口づけを交わし、あとは気が済むまで互いの体と心を貪った。  
 
 

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