埋め小ネタ――『ある盲目少女の初夜』  
 
 
「どう? どんな感じ?」  
「なんだか、気持ちいいです……ドキドキして……ふわふわ、してます」  
「さぁ、もっと脚を開いて……ここはどうだい?」  
「あ、は……そこが、いちばん、くすぐったくて……」  
「敏感なんだね。とってもきれいだよ」  
「きれい……って、どういう感じですか?」  
「とてもきれいなピンク色をしてる」  
「ピンク色ってどんな色ですか?」  
「えっと、……桃色?」  
「桃は食べたことありますよ、すごく甘くて、トロトロしてます」  
「うん、そういう感じだよ、とてもおいしそうだ」  
「わたしのそこが? 甘いんですか?」  
「確かめていいかい?……」  
「あ! あっ、あぁ……! なんか、あったかいのが……動いてますぅ……っ!」  
「ああ……甘いよ、とっても甘い女の子の味がする」  
「はあ、はぁっ……、それが、ピンク色なんですか……?」  
「そうだよ、おぼえておくといい」  
「あなたのもピンク色なんですか?」  
「えっと……俺のはちょっと黒ずんでるかな」  
「クロズンって何ですか?」  
「ええとね、黒……ピンクの反対って言えばいいのかな」  
「甘くないんですか?」  
「ちょっと苦いかもしれない」  
「確かめても……いいですか?」  
「ああいいよ、ほら、口開けて……」  
「ん、んっ……んぶっ……っ、ごほ! ごほっ」  
「ごめん、ちょっと深かったかな」  
「大丈夫です、ごふ、……苦くてしょっぱかったです、これが黒?」  
「そうだよ、おぼえておくといい」  
「あの、もう一度いいですか? もっと黒を知りたいんです」  
「もちろんだ、今度はゆっくりね」  
「んっ、ぐ……じゅぶ……、この味……」  
「うっ、いいよ、よく味わって……俺も気持ちいいよ……」  
「わらしの舌におぼえさせてくらはい、これが、黒なんれすね……!」  
「ああっ、くわえたまましゃべられたら……も、もう……!」  
「ふぶっ!?」  
「あっ、ああ、出……!」  
「何ですか!? あ、あ、いっぱい出てきましたっ」  
「あ、はぁ……それが……精液だよ……」  
「精液……どろどろで、ぬるぬるで、苦味とえぐみと、すごいニオイ……。黒い、とっても黒いです」  
「あ、いやゴメン、それは白いんだ」  
「白い? 白っていうと……」  
「黒の反対だね」  
「ピンクの反対が黒で、黒の反対が白なんですか?」  
「ええとね……」  
「なんだかややこしいんですね。わたし、見えなくてよかったかも」  
「アハハ。そうかもね」  
「そうです、見えなくても全然気持ちいいですよ。もっと気持ちいいことしましょう!」  
「ゴメン、回復するまでちょっと待って……」  
「えーっ、白いのくださーい!」  
 
(おわり)  
 
 

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