「ありがとうございました〜」  
 
カウンター越しにお客さんを送り出した私は、ふぅっとため息をついて、傍らの事務椅子に腰掛ける。  
ここは、私の叔父さんが経営してる古本屋さん。  
…と言っても、商店街の空き店舗を借りて営業してるような、こじんまりしたお店。  
マンション経営で生計を立ててる叔父さんが、趣味の延長でやってる感じ。  
で、私は今日は店番を頼まれて、一人、カウンターの中で座ってる。  
ちなみに、今日みたいな学校が休みの日は、大抵一日店番を頼まれる…でも、嫌じゃない。  
実は言うとこの店番、凄い楽。  
だって、殆どの人は立ち読みで帰っちゃうし、その内のほんの何人かを接客するだけ。  
しかも、客待ちの間は本読み放題だし…って、これは怒られるかな?  
とにかく、お小遣い稼ぎにはもってこいのバイトなんだな。  
 
 
またしばらく店番をしていると、一人のお客さんが入ってきた。  
見た感じ…大学生かな?ちょっと大人しい感じのお兄さん…  
私を見た瞬間少し驚いてたけど、そのままカウンターに向かって歩いてきた。  
「すいません…買い取りお願いしたいんですが…」  
お兄さんはそう言いながら、手提げの紙袋をカウンターに置いた。  
…買い取りか…正直、めんどくさいだよな…  
「じゃあ、後でお呼びしますんで、少々お待ちください」  
私は紙袋を受け取ると、中身をカウンター下の机に全部出して、ネットで価格を調べ始めた。  
 
中古相場を調べて、それの半分の値段で査定していく。  
上の方にある小説の査定が終わり、下の雑誌類に…っても、余程じゃない限り、雑誌に値段は付かないけどね。  
査定をしようと雑誌を見て、動きが止まってしまった。  
表紙にはでかでかと裸の女性が載っていて「過激!投稿写真!」と書かれている…つまり、えっちな本…  
恥ずかしくて査定したくなかったけど、仕事だから仕方なく…  
状態確認しなきゃいけないので、中身を確認…看板に偽りなし…  
凄いドキドキして、顔が熱くなってきてるのが分かる…ダメだ…次の雑誌に…これも同じような雑誌じゃん…  
結局、雑誌三冊すべて投稿写真でした…しかも、頑張ったけど、値段付かなかったよ…  
私がお兄さんに声をかけると、おどおどした感じでカウンターに。  
「こちらの本は○○円で引き取らせていただきますが、宜しいでしょうか?」  
頷くお兄さん。  
「で…こちらの本はお値段付きませんでしたけど…どういたしましょう?…ご不要でしたら…無料で処分出来ますが…」  
凄い動揺しながらも、またも頷くお兄さん…大丈夫ですよ、私もだから…  
お兄さんに書類にサインしてもらいお金を渡すと、足早に出ていった。  
 
はぁ〜…まだ、顔火照ってる…  
男の人の前でこういう雑誌を扱う事は、覚悟はしてたつもりだったけど…やっぱり恥ずかしいなぁ。  
しかしこの雑誌、どうしたものか…  
 
……  
 
うわぁ…昼間なのに、外で裸になっちゃってるよ…  
こっちの人、漫画喫茶で裸だし…本棚並んでると死角多いもんね。  
 
いやいや、何考えてるんだろ。  
一瞬「ここでも出来る」とか思っちゃったよ…てゆうか、何で私で想像したのか分かんないし。  
 
あ〜…また何かドキドキしてきちゃった…  
ドキドキっていうか、モヤモヤっていうか…ムラムラっていうか…触りたくなってるな…  
ジーパン脱がなきゃだけど、膝ぐらいのエプロンしてるしバレないでしょ…  
…脱いじゃった…凄いドキドキしてきた。  
エプロンあるから大丈夫と思ったけど、お尻丸出しなんだよね。  
そっとパンツの上から一撫で…思ったより湿ってるね…そうゆう素質、あったんだろうか?  
ああ…気持ちいいなぁ…  
普段、こんな事しないような場所でしてるから、いつもより興奮してて、感度上がってるのかも。  
しかも、いつ人が来るか分かんないっていうのもあるし…  
って、誰も来る気配ないな…よーし、パンツも脱いじゃえ!  
ついに私は、カウンターの中で、下半身裸になってしまった。  
 
とうとうやっちゃった…  
一応、エプロンしてるから、スカート履いてるのと変わらないはずだけど、お尻だけすーすーして変な感じ。  
このままエプロン捲ったら、どんな感じなんだろ…  
 
これ凄い!  
心臓がドキドキしすぎて息苦しい…けど、凄い気持ちいい!触ってないのに…んはっ!ああ…イっちゃった…あはは…  
 
ガラガラガラ…  
 
お客さんが来た!  
私は咄嗟にエプロンを元に戻し、お客さんに向かって、軽く会釈した…だって「いらっしゃいませ」なんて言ったら、絶対、声が上ずってると思うから。  
お客さん(さっき来たお兄さんと同じくらいの人かな。性格は反対っぽいけど)は漫画を何冊が手に取ると、すぐカウンターにやってきた。  
「…ご、合計で○○円になります…」  
今私、凄い顔で接客してると思う。  
顔は熱いし、どうやっても笑顔が作れない。  
しかも、下半身は疼いてて、アソコから滴れたのが太ももでぬるぬるしてるから、余計意識しちゃって…誰が見たっておかしいよ!  
「あ…ありがとうございました!」  
お兄さんは、ちょっと不思議そうな表情だったけど、そのまま出ていった…バレずに済んだ事でほっとして、崩れるように椅子に座った。  
 
今売れたのは、人気のコミックス。  
こうゆう人気本は、何冊も重複してしまうけど、店が狭いので、一冊だけ並べて、重複分は、カウンター裏の倉庫にしまってある。  
つまり、売れた本を補充に向かわなければならないわけで…  
さっき売れた本をメモした紙を持って倉庫(と言っても、これまた狭い)に入る。  
すぐに見付かったので、それを持って補充へ…もちろん、下半身はこのまま。  
カウンターの外に出ちゃったよ…足が震えるね。  
えっと、この本達は…あ、ここだわ…よし、これで完了!  
少し余裕の出た私は、またエプロンを捲り、そのまま店内を歩き始めた…と言っても、小さな店だから、すぐ端から端だけどね。  
さっきいた漫画コーナーの真反対の小説コーナーに来た私は、本棚にもたれかかって、アソコに手を…  
ぷちゅっという水音と同時に、下半身から背中を貫く気持ち良さ…  
 
ガラガラガラ…  
 
またお客さんが!  
エプロンをさっと戻し、今度は「いらっしゃいませ」と声をかけた。  
今度の人はサラリーマン風のおじさん。  
入ってくるなり漫画コーナーに行って、立ち読みを…こうゆう、営業の時間潰しに来る営業マンが、たまに来るんだよね…あ、そうだ…  
閃いちゃった私は、おじさんがいる場所の本棚を隔てた隣に行った。  
 
本棚の向こうには見知らぬおじさんがいる…そう思いながら、そちらに向けてエプロンを捲る。  
隙間もないから、絶対見えてるはずはないんだけど、自分から見せ付けてるような気分になる。  
そのまま、アソコに指を這わす…さっきよりも、一段と感度が増してて、溶けだしてるんじゃないかってぐらい滴れてきてる…だめ…声が出ちゃうぅ…  
私は左手の人差し指を噛んで、声が出ないようにした。  
…ああ…おじさん見て…私がイクとこ見て…  
「んひっ!」  
私は、おじさんに見せ付けるように、腰を突き出してイっちゃった…声が漏れちゃったけど、何とかバレなかったみたい。  
何とかカウンターまで戻ると、さっきのおじさんは、時間が来たのか、さっさと出ていっちゃった。  
 
 
その後、叔父さんが帰ってきたので、私の店番は終わり。  
学生の私には、ちょっと多すぎに思えるバイト代を貰って、店を出た。  
…何か、夢見てたような一日だったな…  
てゆうか、私があそこまでえっちな人間だとは思わなかったわ。  
次はどんな事をしてやろうか考えつつ、私は家路を急いだ。  
 
おわり  
 
 

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