件の図書資料室に、斗司明と朱美はいた。  
普段は放課後だったが、この日は朝休みだった。  
部屋の空気は、まだほのかに冷たい。  
「なにか、御用でしょうか」  
いつもどおり、朱美は感情を表に出すことなく言った。  
斗司明が朱美を呼び出したのだった。  
「今日は面白いものがある」  
斗司明は薄ら笑いを浮かべながら言った。  
「これだ」  
斗司明が鞄の中から取り出したのは、卵形の物体だった。  
だが、それは卵というにはグロテスクに過ぎた。  
全体から大小のイボが突出し、半透明のボディの中心に、  
ピンク色をした核があった。  
卵の膨らんだ下端からは三〇センチほどの長さのストラップが伸びていた。  
 
「それは・・・・・・」  
その醜怪な物体に、さすがの朱美も戸惑いの色を見せた。  
それを無視して、斗司明は命じた。  
「尻を開けろ」  
命令を受け、朱美はおもむろにスカートを下ろし、  
ショーツを丸めて脱ぎ去った。  
いつものように、斗司明にその行為が、その場所が良く見えるように床に跪く。  
床に頭を押し付けるようにして、尻を高く掲げた。  
唾液をで塗らした指を蕾に潜り込ませ、  
ゆっくりとほぐしていく。  
抽挿のたびに、肛門が指をしゃぶる音が、静寂に響く。  
普段から使い込まれたそこは、ほとんど時間をかけることなく、  
ほとびれた花を開かせた。  
斗司明が背後から近づく。  
その太く、いかつい指が、朱美の秘処に潜り込んできた。  
初めて斗司明に女性の部分を捧げることを思い、  
朱美のそこはきゅんと期待に震えた。  
斗司明は朱美の秘裂をまさぐった。  
朱美が息を呑んで、快感を堪える。  
すでに潤みきったそこから、腺液が滴る。  
斗司明はそれをグロテスクな卵に塗りつけた。  
 
斗司明の指が乱暴にそこを掻き回すほどに、  
朱美のそこは蜜を吐き出した。  
たっぷりとそれを卵に塗りつけると、斗司明の指が抜かれた。  
蜜壺と化した朱美の媚肉は、絶頂に至る前に切り上げられたことに、  
物足りなさを感じて、震えた。  
だが、そんなことお構いなしに、  
斗司明は卵を朱美の肛門に押し付けた。  
すでにほぐれているとはいえ、陰茎よりさらに太い部分を持った物体が、  
朱美の尻を押し通る。  
シリコン製のイボが、肛門に引っかかり、  
そこを挫くようにして内側にのめり込んでいく。  
いつもの、斗司明の獣のような凶暴さとは違う、  
無機的で、冷酷な質量が、朱美の肛門をこじ開け、  
直腸を蝕んでいく。  
「あ、ああ、あ、あああっ!?」  
慣れない感覚が朱美を襲い、目を瞠らせ、声をあげさせた。  
卵の最大径の部分が朱美の尻を目一杯にこじ開けた。  
朱美は、声も出すことができなくなり、滅茶苦茶にリノリウムの床を叩いた。  
イボが肛門の縁を引っ掛けながら没入していく。  
ついに朱美は、物体を全て尻で飲み込んだ。  
 
斗司明の指が朱美の尻に潜り込む。  
朱美の肛門は、太い斗司明の指を二本、根元まで飲み込んだ。  
斗司明は、卵を朱美のより深いところまで押し込むと、指を引き抜いた。  
ぶじゅう、と淫蕩な音をさせつつ、指を吐き出すと、  
朱美の肛門は萎んでいった。  
朱美の尻からは、場違いな感じに、ストラップが伸びていた。  
涙と涎で汚れた顔を拭い、朱美は腹部を抑えた。  
明らかな異物感がある。  
闖入者に抗議するかのように内臓が蠢いているのがわかった。  
「今日は一日、それをつけて過ごせ」  
斗司明の言葉に朱美は振り返った。  
「放課後になったらまた抜いてやるから、  
それまで外すんじゃないぞ」  
朱美はさすがに戸惑った。  
「でも、今日は水泳の授業が」  
「そんなこと、俺の知ったことか」  
斗司明は冷たく突き放した。  
 
「それともなにか、その紐が邪魔になるって言うんなら」  
斗司明は朱美の尻から伸びるストラップをつまむと、  
股越しに前へと回した。  
「前のポケットにでもいれとけよ」  
朱美の秘裂に斗司明の指とストラップが潜り込み、  
指だけがそこから引き抜かれた。  
「楽しみにしてるぜ、放課後」  
斗司明は、朱美の体液に濡れた指を舐めながら言った。  
「はい、ご主人様」  
朱美は熱病に犯されたような声で言った。  
 
★  
 
その日は一日、朱美にとっては苦悶の一日だった。  
わずかに身じろぎするだけで、異物のイボが腸壁を刺激し、  
気を失いそうな感覚に襲われる。  
歩くだけでも絶頂に達しそうになり、  
休憩時間の度に、トイレで自慰に耽った。  
一番の不安材料であった水泳では、  
着替えの際に尻から生えるストラップには気付かれることはなかったものの、  
準備体操で体を大きく動かすたびにイボが腸壁を擦り責めたて、  
気を失いそうになった。  
秘処を閉じることに全神経を傾けたこともあり、  
幸いにもシャワーを浴びる前に股間が濡れるという醜態は回避できたものの、  
いちど水着が濡れてからは垂れ流しだった。  
プールの中では何度も絶頂に達しかけたが、  
新人体育教師の水川あやかは既に朱美の体を買っており、  
その事情にうすうす感づいていたのか、  
特に追究はしなかった。  
その後も、朱美は内臓が突発的な造反を起こすたびに、  
皆の見ている前でも異物を排泄したい衝動に駆られたが、  
休憩時間ごとに廊下から感じる、ぎらついた視線を思い出し、  
踏みとどまった。  
 
★  
 
ようやく放課後が来た。  
結局、朱美はいつものポーカーフェイスを崩すことなく、  
彼女の裏の顔を知る極一部の人間を除いてはまったく気付かれずに過ごす事ができた。  
朱美は図書資料室に入ると、すぐに服を脱ぎ捨てた。  
五分とせずに、斗司明が入ってきた。  
朱美は、壁に手をつき、斗司明に尻を突き出すようにして言った。  
「早く、抜いてください」  
「まあ、そんなに焦るなって」  
斗司明は後ろ手にドアの鍵をかけつつ言った。  
その視線の先では、白い柔肉の谷間に、  
ほの赤く色づいた蕾がひくひくと蠢いていた。  
いつもと違うのは、そこから場違いな紐が生えているということぐらいだ。  
だが、その一つの違いは、朱美にとって、  
きわめて重大な違いとなっているはずだった。  
「じつは、その卵にはもう一つ秘密がある」  
朱美が肩越しに斗司明を見た。  
その瞳に怯えの色がある。  
普段は見せないその様子に、斗司明は一層嗜虐心をそそられた。  
 
斗司明は、ポケットから小さなプラスチック製の箱を取り出した。  
色は卵の核と同じ、ピンク色だった。  
斗司明の指がプラスチックボックスの突起に掛かった。  
朱美は息を呑んだ。  
それと同時に、腹部に衝撃が奔った。  
がくんと膝が砕け、後方に尻を突き出すようにして崩れ落ちた。  
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あああっ」  
朱美は壁に縋りつくようになったまま、壊れたような声をあげた。  
とめどなく涙が溢れ、切ない声が止まらない口元からは、  
だらりと涎が零れた。  
斗司明は、力なく座り込んだ朱美に近づくと、  
いつもの、ひれ伏すような、尻を高く掲げる格好をとらせた。  
露わになった秘処は、既に粘液を吐き出して腿を汚し、  
尻肉の狭間に息づく肉花の蕾は、  
直腸を占領する無礼な異物からの震動を伝えて、  
小刻みに震え、しかも啜り泣くようにして収縮を繰り返していた。  
斗司明は、ストラップを軽く引っ張った。  
だが、ストラップの先端は、朱美の腸にしっかりと捕らわれて動かない。  
 
「抜いて、抜いてください」  
絶え入りそうな声で懇願する朱美だったが、斗司明は  
「でも、全然抜けねえぞ、これ」と意地悪そうな笑みを浮かべて言った。  
朱美は悩乱したのか、自分で尻肉を割り広げると、  
窄まりに滅茶苦茶に指を突っ込んで押し広げた。  
「お願いします」  
無理やりこじ開けられて歪んだ形に口を開けた肛門に、  
斗司明はズボンから引っ張り出した、怒張の先端を押し付けた。  
「ちがう、だめ!」  
朱美は斗司明の意図を悟って哀願したが、  
斗司明はかまわずに突き込んだ。  
朱美は全身を硬直させ、喉を反らせた。  
目と口を大きく見開く。  
空気が気管を走る音が一際大きく響き、  
その後は絶息寸前の獣のような吐息が続いた。  
紅く蕩ける朱美の直腸は、斗司明の剛直にねっとりと絡みついた。  
斗司明のそれは、朱美の尻の中に居座っていた卵をより奥にへと押しやった。  
朱美のはらわたは、卵の生み出す震動を受けて小刻みに震え、  
斗司明へも快感を送り込んだ。  
既に息絶え絶えの朱美の腰を掴むと、斗司明は抜き挿しをはじめた。  
朱美は、声もなく、されるがままに尻を預けるしかなかった。  
 
★  
 
どれほどの時間が過ぎたか。  
何度絶頂に達したか。  
斗司明はようやく朱美の体を手放した。  
蹂躙された尻孔は、虚しそうに宙にむかって口を開けたままでいる。  
斗司明は咽び泣く朱美の髪を掴むと、「立て」と促した。  
朱美はよろよろと立ち上がった。  
膝ががくがくと震え、内腿は前から零れたのか、後ろから溢れたのか、  
体液でどろどろに濡れ汚れている。  
朱美の顔は、常の淡々としたものはなく、  
目は泣き腫らし、虚ろで、  
口はだらしなく開いたまま、  
唾液を垂れ流しながら酸素を取り入れるだけの洞となっていた。  
 
「随分と堪能したようじゃねぇか。  
前にAVで見たときはピンクローター突っ込んでやってたが、  
ここまでじゃなかったぜ」  
斗司明は朱美の耳元で囁くように言った。  
「ちがう」  
朱美は消え入りそうな声で応えた。  
「大きさ、が、全然・・・・・・、違いま、す。  
そ、それ、に」  
「それに?」  
「ご主、人様、に責めて、いただけるのが、嬉し、くて」  
「嬉しいこと言うじゃねえか、こいつは」  
斗司明は朱美の乳首を爪弾いた。  
朱美の体がびくんと跳ねた。  
崩れ落ちかける朱美の体を、斗司明は背後から抱え込んだ。  
 
「それじゃあ、今日のご褒美だ。  
卵を産ませてやる」  
斗司明は、朱美を壁際のロッカーに手をついて立たせた。  
自分は積み上げてあった椅子を下し、  
朱美のそこが良く見えるところに座った。  
朱美が肩越しに斗司明を見る。  
斗司明は顎で先を促した。  
朱美はロッカーに手をついたまま、脚を大きく広げ、  
わずかに屈曲させた。  
深く息を吸い、腸内に居座る卵に意識を集中する。  
鋭く息を止め、腹筋に力を込める。  
朱美の肛門は、汚らしい音を立てながら、  
精液と腸液の混合物を滴らせていく。  
荒々しく呼吸をし、息を殺して、腹筋に力を込める。  
これを幾度か繰り返す。  
朱美が苦しそうに鳴き声をあげた。  
朱美の肛門から下がっていたストラップが徐々に長さを増すとともに、  
肛孔の径も膨らんでいく。  
やがて、そこからぬめぬめと照り輝く卵が顔を覗かせた。  
 
朱美は激しく息を荒げ、泣きながらロッカーにしがみついている。  
朱美が下腹に力を入れるたびに、  
卵は朱美の肛門を外側に捲りあげながらその姿を露わにしていく。  
ついに最大径の部分を吐き出すと、ぶじゅうという音をたてて、  
卵全体が朱美から抜け落ちた。  
ごとり、と無機物の卵は床に落ちた。  
同時に朱美は崩れ落ちた。  
膝を折り、ぐらりと後方に倒れかけるのを、斗司明が支えた。  
斗司明は、朱美を床に横たえると、  
体液で体液でどろどろに汚れた、拳大の物体を彼女の臍の上に置いた。  
「お前の生んだ卵だ。お前にくれてやる」  
朱美は震える指で手にとると、ゆっくりと口元へと近づけた。  
 
淫獣は、微笑みながら、  
生命無き卵をいとおしそうに舐めあげた。  
(了)  
 
 

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