八月の暑い日のことだった。  
斗司明は、朱美を件の資料室で待っていた。  
資料室には冷房がない。  
斗司明は窓を開け、上半身裸になっていた。  
岩盤のような胸板に浮いた汗の玉がじっくりと膨らみ、  
自分の重さに耐え切れずに滑って滴る。  
その跡に吹く風が、斗司明の体から余分な熱を奪い去り、  
一時の清涼を与える。  
ドアが音もなく開いた。  
朱美だった。  
相変わらず真面目なことに、半袖のブラウスの第一ボタンまできちんと留め、  
胸元には学校指定のリボンを緩み無く結んでいる。  
スカートは、他の軽薄そうな女生徒が太股も露わに巻き上げて短くしているのに、  
校則で指定されたとおりの、膝頭が隠れるだけの丈を守っている。  
一見すれば、真面目な優等生であるが、  
斗司明はその本性が、淫乱なけだものであることを知っていた。  
 
「すみません。少し遅れました」  
朱美は、鞄を置きながら言った。  
「顧問の水川先生から、用があると言われまして」  
朱美は濡れた長い黒髪を掻き揚げた。  
朱美は水泳部に所属している。  
エースと言うほどではないが、中堅グループの中での上位に位置し、  
大会出場の常連である。  
夏場は特に、水泳部にとっては集中特訓期間である。  
夏休み中でも、盆を除いてほぼ毎日登校してきていた。  
「それで、水川先生と下の方の特訓でもしてきたのか」  
斗司明は意地悪そうな笑みを浮かべて訊いた。  
「ご存知でしたか」  
「まあな。その筋では、あの先生は結構なスキモンで有名だぜ」  
「お得意様の一人です。  
多少手荒な事はしますが、由美香さんよりはまだましです」  
朱美は斗司明に向き直った。  
「それで、今日はどうなさいますか」  
「そうだな」  
斗司明の視線が濡れた髪に注がれた。  
ついで、通学鞄の横に置かれた、ビニールバッグへと移る。  
「コスチュームプレイ、とでもいってみようか」  
朱美は斗司明の視線の意味するところを悟り、承諾した。  
 
朱美は靴下を脱いだ。  
丸めたそれを、上履きの中に入れる。  
スカートを下ろす。  
リボンを解き、ブラウスのボタンを外して脱ぎさる。  
淡い水色の、所々にレースをあしらった下着だった。  
ブラを外すと、控えめながらも形のよい乳房がまろび出た。  
ショーツを丸めて足首まで下す。  
片足を抜き取る際に、桃色をした、  
貝の身のような秘肉が露わになった。  
もう片足を抜き取ると、ブラと一緒に積み上げられた椅子の上に置いた。  
吹き込んだ風が、汗ばんだ肌を冷たく撫でていく。  
全裸になった朱美は、斗司明の視線を感じながらビニールバッグへ手を伸ばす。  
湿ったタオルの間から、紺色の競泳水着を引っ張り出した。  
濡れたままのそれを軽く広げてから、脚を通す。  
肩紐の部分を摘んで、引っ張りあげる。  
秘処に、尻に、腹に、背中に、乳房に、  
濡れた冷たい生地がじとじとと貼り付いていく。  
不快感が肌を走る。  
水着は、朱美の体にぴったりとフィットした。  
「いかがです?」  
朱美は斗司明に訊ねた。  
 
ハイレグカットが、細く長い足を際立たせている。  
脇腹と肩紐周りに、アクセントとして入った蛍光グリーンとピンク以外は、  
限りなく黒に近い濃紺の生地が、朱美の白い肌をより白く引き立たせている。  
体に窮屈なまでに体に吸い付いたその生地は、  
しなやかな肢体のシルエットを惜しげも無く曝け出し、  
秘められるべき部分を危うげに隠しているのが、  
見る者に一層の劣情を誘った。  
なだらかな体のラインの中で、  
形のよい臍だけが濡れた生地に浮いているのが艶めかしかった。  
「後ろを向け」  
斗司明は命じた。  
朱美は黙して従う。  
背中の生地は、伸縮性のある生地が組み合わされていた。  
肩甲骨の浮かぶ白い背中を、拘束するかのように、  
水着の生地が縦横に走っている。  
無駄な肉が一切ついていない、白くほっそりとした背中と、  
紺色の生地に覆われ、掌に少し余るくらいの肉感を湛えて丸みを帯びた尻とが、  
美しく対照をなしていた。  
斗司明は背後から朱美を抱きすくめた。  
水着に染み込んだカルキのにおいが鼻を突く。  
太く、固い指で乳房を鷲掴みにした。  
後れ髪をまとう、細いうなじに舌を這わせる。  
朱美の瑞々しい唇から、切なげな声が漏れた。  
乳房を掴んでいた掌は、朱美の体中を乱暴に撫でまわしている。  
斗司明は、吸い付くような瑞々しさと弾力を持ちながら、  
すべすべとした朱美の肌と、  
柔らかさだけは朱美のものだが、無愛想にざらつき、  
じっとりと湿った水着の生地の触感を、  
交互に愉しんだ。  
 
「破かないで下さいね。  
明日もまた、練習がありますから」  
朱美は熱く湿った声で言った。  
斗司明は、朱美を押し倒した。  
畜生のように四足で這わせ、尻を突き出させる。  
水着越しに斗司明は朱美の菊門に指を這わせた。  
あるいは強く擦り、あるいは柔らかく撫でる。  
すでに両の手足の指を合わせた数より多く、朱美は斗司明に尻孔を捧げてきたが、  
いまだにそこを弄られると、羞恥が鎌首をもたげ、  
それが彼女の官能を一層昂ぶらせる。  
朱美は肛門が疼くのを感じた。  
「わかるか、ケツの孔がもの欲しそうにひくついてやがる。  
相変わらず、卑しいケツだな」  
斗司明はそう言いつつ、水着の上からの愛撫を止めない。  
太い指が朱美の窄まりの中心に強く押し込まれても、  
水着がより深くへの侵入を阻む。  
朱美はそのもどかしさに気が狂いそうになった。  
朱美は脚の付け根から、手を水着の下へと潜らせた。  
水着に覆われた尻を大きく割り開き、  
斗司明を誘った。  
斗司明は水着を尻の谷間に掻き寄せ、乱暴に喰い込ませた。  
じっとりと湿り、よじれた生地が、  
朱美の肛門を擦り、脊髄へと、脳へと快感を送り込む。  
「入れて、ください」  
朱美は声をあげてねだった。  
「入れるってこれをか」  
水着の生地をずらし、斗司明の太い指が朱美の中に入ってきた。  
朱美は喘いだ。  
 
斗司明の指が、朱美の肛門をほじくる。  
とめどなく愛液が秘裂から溢れ、水着を、腿を濡らしていく。  
ぐちゅぐちゅと音をたててほぐされていく蕾は、  
もはや、指による刺激では物足りなくなっていた。  
朱美は、消え入りそうな声でそれを求めた。  
可憐な少女が自ら尻の奥を晒し、  
痴態を晒しながらも卑猥な言葉に恥じらう様がちぐはぐで、  
そんな違和感が斗司明の野生を駆り立てた。  
斗司明はズボンから逸物を引き出した。  
すでに固く漲ったそれは、先端を先走りの汁で照り輝かせ、  
涎を滴らせる一匹の獣のようだった。  
斗司明が亀頭を朱美の肛門に押し付けた。  
怯えるかのようにひくんと窄まったそこは、  
すでに斗司明の指による愛撫で蕩けきっており、  
陰茎の侵入を阻むことは出来なかった。  
ずぶずぶと、斗司明の男根が沈んでいく。  
肉の輪がそれを締め付けては、  
内側へと引きずり込まれていく。  
朱美の背中が反る。  
眉間に皺を刻み、苦しげな、憂いを湛えた口元から、  
深く、長く、感じ入る息が吐き出された。  
斗司明の肉茎は、朱美の奥へと達した。  
斗司明は朱美の体を後ろから掻き抱いた。  
 
左手で柔らかな乳房を掴む。  
その先端が固く尖っているのが、  
布を隔ててでもはっきりと感じ取られた。  
右手で濡れた生地に覆われた腹部をさする。  
厳つい指先で臍の穴をなぞり、水着越しにそこをほじる。  
朱美は身を捩った。  
切なげに息を吐き、更なる刺激を求めるように、  
体をくねらせる。  
これまでに斗司明を始め、無数の男女の、  
劣情に任せた責めによって躾られてきた朱美の肉体は、  
もはや生半可の刺激では物足りなくなっていた。  
それにもかかわらず、今日は敏感な部分への責めが布切れ一枚に隔てられ、  
朱美の感覚を生殺しにした。  
じりじりと朱美の内奥にひりつくような不満が溜まっていく。  
柔肉が、敏感な突起が、直腸が、子宮が、  
自らを壊し尽くすほどの残虐な快楽に飢え、渇していた。  
朱美は泣き叫び、慈悲を乞うた。  
身を捩り、のたうち、悶え、一分一秒でも早い絶頂を求める。  
その暴れる朱美の体を、斗司明は抱き締め、動きを奪った。  
太く、木の幹のような腕は朱美の体幹を囚え、  
彼女の儚い望みを奪った。  
執拗に斗司明は愛撫を繰り返す。  
並みの人間ならば、朱美の体に狂わされ、  
彼女が求めるまま、己の欲するままに朱美を犯していただろう。  
斗司明とて例外ではない。  
だが、斗司明はこれまでに散々に朱美で慰んで来た。  
斗司明の中には、朱美の淫毒に対する抗体が出来つつあった。  
 
とはいえ、やはり朱美はすさまじかった。  
身の動きを殺されているとはいえ、  
斗司明の陰茎を呑み込んだ腸内は、  
動くことの出来ない肢体の反動のように、  
熱く、激しく斗司明を嘗め尽くした。  
肉襞が絡みつき、腸壁が波打って肉茎を扱く。  
どろどろと溶けた鉄のように熱い腸液が、  
斗司明の怒張を、理性を焼いていく。  
すでに斗司明のそれは、滾りを内に漲らせ、  
今にも爆発しそうなほどにいきり立っていた。  
朱美の直腸は、斗司明によって満たされていた。  
身を捩じらせ、必死に抵抗する朱美の耳に、  
斗司明は顔を寄せた。  
朱美の甘い吐息が鼻腔を擽る。  
斗司明は朱美の耳に舌を潜らせた。  
朱美の体が、ひきつけをおこしたように突っ張った。  
食いしばった歯の間から怪猿のような絶叫が迸る。  
涙がぼろぼろと零れた。  
肛門が男根を食い千切ろうとするかのように締め付けた。  
朱美の内臓全体が、焦らして遊ぶ斗司明を責めるように  
激しくのたうった。  
斗司明の忍耐は焼き切れた。  
朱美の奥深くに向かって、激情の奔流を叩きつけた。  
朱美が歓喜に喘ぐ。  
斗司明は朱美の尻を穿ったまま、水着を肩脱ぎにはだけさせた。  
白い乳房が濃紺の生地から溢れ出た。  
 
先端は痛いほどに尖り、突き立ち、鮮やかに色付き、  
朱美の体内に渦巻く痴情が、  
柔肌を喰い破って噴き出そうとしているかのようだった。  
斗司明はそれを固い掌で乱暴に揉み潰した。  
斗司明はさらに、腰を使った。  
朱美の腸をより深く穿つ。  
怒張が荒々しく突き込まれては引き抜かれる度に、  
朱美は尻の孔からどろどろに溶けた内臓と脳髄とが吸いだされていく感覚に襲われた。  
危ういまでの排泄の快感に、朱美は悩乱した。  
もつれ、蕩け、彼女の意識から半ば脱落した舌は、  
淫猥な言葉を垂れ流しながら、更なる恍惚を求めたが、  
体は斗司明から逃れようと、もがき、のたうった。  
斗司明はその体を捕え、貪り、責め苛む。  
ついさっき放ったにも関わらず、斗司明のそれは、  
筋を縒り合わせたかのように固く、反り返り、猛った。  
斗司明が一際深く、朱美を抉った。  
朱美の体が跳ねた。  
斗司明の剛直は、火焔の如き白熱を吐いた。  
朱美の紅く爛れたそこは、歓喜に震えながら灼き尽くされた。  
朱美は、涙と悦楽に沈み、溺れた。  
 
★  
 
斗司明はその後、例の如く、腰が砕けるまで朱美を犯した。  
朱美もやはりいつものように快楽に酔い痴れて、狂い、媚態を晒した。  
朱美の肛門が、なおも物足りないと言わんばかりに吸い付くのを振り切り、  
斗司明は陰茎を引っ張り出した。  
二人の腺液の混合物でどろどろに汚れたそれは、  
散々搾り取られたにもかかわらず、なおも恐ろしいほどの大きさがあった。  
斗司明は、投げ出されるようにそこにあった椅子に腰を落とした。  
朱美はまだ、行き絶え絶えに床に横たわって泣きじゃくっている。  
ぽっかりと口を開けたままの肛門は、ひくひくと蠢きながら、  
白い雫を溢れさせている。  
紅く花開いたその奥は、深井戸のような闇を湛えて、  
妖しく匂っていた。  
息が整うと、朱美は後始末にかかった。  
掻き乱れた髪も、白い顔に走る涙のあともそのままに、  
なおもいきり立つ斗司明の怒張に顔を寄せた。  
生臭く臭い立つそれに唇を添わせると、  
どろどろの腺液をねっとりとした舌で舐め取る。  
肉茎のみならず、陰嚢や尻までを躊躇いの無い舌の動きで這い進む。  
斗司明のそれが、また硬さと大きさを増した。  
朱美は、最後にいきり立つその先端を加えた。  
強く吸い、弱く吸い、舌を絡め、扱きあげる。  
斗司明は堪えることなく放った。  
朱美は生臭いそれを口腔で受け止め、  
味わうように、時間をかけて飲み下した。  
斗司明のそれは、疲れて眠るかの如くにうなだれた。  
 
椅子に腰掛けたままの斗司明を尻目に、朱美は水着を脱ぐ。  
足元まで水着を下ろし、片足を屈めて引き抜く。  
口を開けたままの肛門から、どろりと雫が零れ、  
紺色の競泳水着に白い染みを作った。  
朱美は脱ぎ終わったそれを広げ、呟いた。  
「破れてはいませんが、あちこちが伸びて型崩れしてしまっています。  
もうこの水着はだめですね」  
「その滅茶苦茶に伸びた水着で練習に出るってのはどうだ」  
斗司明がいやらしい笑いを浮かべて訊いた。  
「多分に魅力的かもしれませんが、その必要は生じません。  
もう一着あるので」  
「ところで、大会はいつだっけ」  
「二週間後の木曜日です。  
その週の月曜からは、お相手することはご遠慮願います」  
「まあ、ケツの穴ガバガバじゃ力も入らんからな」  
「それが済みましたら、またお好きなようにお使い倒しください」  
恥じ入る風もなく、朱美は言った。  
「そうか、頑張れよ」  
ぶっきらぼうに言う斗司明に、朱美は薄い笑みを浮かべた。  
「はい」  
朱美は汗と腺液で汚れた水着に顔を近づけると、  
白い染みに舌を這わせた。  
理性を蕩かす、濃厚な味と匂いが、  
朱美の中に漂った。  
(了)  
 
 

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