あたりの気配を伺いながら呼吸を整えることで、少しばかり火照りが取れた気がする。  
 タイムオーバーまで後18分。残り12名。これから先は、戦いになれてきたものしか残ら  
なくなる。簡単にはいかなくなるであろう事は、想像に難くない。無駄に撃って残弾ゼロ  
という事態は避けなければと、奪ったものも含めて自らの装備を確認する。  
 カラシニコフの残弾は87。打ち合いさえしなければまだまだ大丈夫だろう。ハンドガン  
のマカロフはまだ1発持つ勝っていない。グレネードはフラグ2とセムテックスが1、それ  
にフラッシュバン1、スタングレネード2。そしてクレイモア2とC4が1。これらをどう使う  
かをゲームと同じメリット・違うメリットを探りながらしまい直す。例えばクレイモアな  
んかは、本来ならば通路において一撃必殺を狙うが、今回の場合一発で仕留められるとは  
限らない。近くにいて追撃を行わなければ、相手をイカせるのは厳しいかもしれないのだ。  
もっとも、身を守る手段としてならば同じように使えるだろうが。  
 
 森の中を、足音を忍ばせて進んでいく。物陰から射撃や飛び掛かられてナイフキルをさ  
れぬよう、クリアリングは欠かせない。家のような建造物の類はないので、壁越しにスナ  
イプ、というのはなさそうだが、岩陰やくぼみの近くは気を抜けない。  
 しばらく歩くと、獣道沿いの木の麓に、クレイモアが仕掛けられているのに気がついた。  
目をこらすと赤い光が作動範囲を示してくれているので、引っかからないこと自体は簡単  
だ。問題なのは、前述の通り“一撃必殺”たり得ない部分なのだ。  
 息を潜め、辺りをうかがう。隠れることが出来そうな茂みが2カ所ほど。気づかれてい  
る形跡はない。このまま静かに通り過ぎるのも手なのだが、残り時間のことを考えると先  
に倒しておかねばならない。  
 設置されたクレイモアから少し離れた窪地に、やや上向きにクレイモアを設置。向きは  
茂みからクレイモアへの直線ルートの延長線上。設置後はさらに離れた木陰から、隠れ家  
と思われる茂み、そしてクレイモアが見える場所で、静かにAKを構える。狙いは、既に仕  
掛けられていたクレイモア――  
 パスッと気の抜けた銃声が聞こえるまもなく、クレイモアは“爆発”した。ほぼ同時に  
スモークグレネードを投げ込んでから、再びAKを煙の中へ横に凪ぐように6発撃ち込む。  
 
「いっ!?」  
 
 ビンゴ。やはり隠れて獲物を待ち構えていたらしい。スモークグレネードの煙が晴れる  
と、そこにはナイフ(の柄)を構えた女性が、足をくゆらせながら立ち止まっていた。致  
命的な感覚は与えられていないようだが、かすった程度でもないらしい。内股になって震  
える太もも。彼女が感じてしまっているソレが、先ほど自分の足をかすめたときの何倍の  
強さなんだろうと考えてしまうと、落ち着いていたはずの劣情が身をもたげてくる。  
 荒い吐息にならぬよう、息を止め、サイトを覗いて1発、2発と身体に撃ち込む。ゲーム  
と違い、相手の姿が見えてなければ“どの方向から撃たれているか”というのはわからな  
い。混乱している相手は、倒れそうな身体を抱きすくめながら(右手は明らかに股間に向  
かっていたが)、ふらふらと予想通りの歩みをみせ、そして。  
 
 ピッ――  
 
「ひいぃぃぃっ……」  
 
 私の設置したクレイモアにも引っかかり、彼女は電流を受けたように一瞬硬直した後、  
目をむいて倒れこんだ。ぴくっ、ぴくっ、と身体は小刻みに痙攣し続けている。だが、ア  
ナウンスは流れてこない。傍目にもだらしなく絶頂に上り詰めたのはわかるのだが、どう  
やら“キル判定”を受けるほどには愛液がこぼれおちたりしていないらしい。  
 ここまで来て放置するのもなんなので、私はナイフを片手に近寄った。今回だけで6発  
使っているのでこれ以上は銃弾がもったいないこと、それとどれだけイカせれば潮を吹い  
てくれるのかわからなかったのだ。  
 だが、結果その判断は私に不幸をもたらす。  
 
 未だ痙攣を続けるその身体にナイフを突き付けようとした刹那、そのそばにとあるもの  
が転がっているのが目に入った。  
 私があわてて飛びずさった刹那。  
「やああぁあああっ!!?」  
 何かの拍子でピンの抜けたフラグの爆発音、私の胸と秘部への強烈な刺激、そして喉か  
ら嬌声が毀れてしまうのはほぼ同時だった。遠くで『No.11 dead』と聞こえたのだが、も  
うそれどころではない。私は飛んだ後まともに着地もできず、腹からべちゃっと地べたに  
転がってしまうが、そんなのもどうだっていい。  
 歯を強くかみしめないと、“どうにかなって”しまいそうだった。すでに例の機械は作  
動していないものの、敏感な神経の塊に、直接快楽信号を叩きつけられたような衝撃は大  
きかった。先ほどのかすり傷とは比べ物にならない。見えも触れてもいないのに乳首が勃  
ってしまっているのが自覚できるし、深部への入り口はうめき、濡れぼそり、クリトリス  
はさらなる刺激を求めてひくついているのもわかる。  
「あ、ああぁっ……」  
 力が入らない。だらしなく声を漏らしてしまうのもこらえきれない。このままだと誰か  
に見つかってしまって、天国への片道切符を渡されてしまうのは明らかなのだが、動きよ  
うもない。ややもすれば、今この場で全部脱ぎ去って、自分の手で濡れたソコをかき回し、  
上り詰めてしまいたいくらいなのだ。それくらいに私は感じてしまっていた。  
 スタート前、私はパークの一つに「フラックジャケット」を選択していた。この装備の  
効果はゲーム中なら「爆発物によるダメージを65%軽減する」というもの。本来であれば  
即死扱いになるフラグの爆発も耐えられるようになるシロモノだ。すなわち私は、「フラ  
グによる即死クラスの刺激の35%の刺激」を受けたことになるのだが、冗談じゃない。こ  
れの約3倍増しなんて、どうにかしているとしか言いようがない。私のクレイモアに引っ  
掛かって、今派手に股間を濡らしているであろう彼女へのソレは、いかようなものだった  
のか――想像したくもないが、考えてしまい、余計に刺激を求めたくなる。作動した機械  
の刺激とともに塗布された媚薬が、私の思考回路を花畑に向かわせようとする。  
 食いしばりながら、深呼吸してなんとか落ち着かせようとする。そして、少しでも影に  
隠れて回復せねばと、這いずって茂みに隠れようとする。  
 だけども、神様は私をどうしても天国に招待したいようだった。  
「ひぎぃぃいぅ!?」  
 またしても装置が作動し、私は意識を手放しそうになったのだ。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
 前回、思いっきり痴態をさらしてしまったことに懲りもせず、あたしは再度届けられた  
招待状を見てすぐに参加を申し込んだ。賞金をもらえもせずにあっさりとイカされてしま  
った揚句、あろうことか失禁してしまう様をも世界各地で劣情に駆り立てられていたこと  
であろう雄猿(もしかしたら頓珍漢な雌猿も)に見られたわけだが、ここで引き下がった  
ら「あいつはお漏らししながらもよがったメス」という烙印を消し去ることができない。  
そんなのは、あたしのプライドが許さない。賞金よりも、自分のプライドをかけて、もう  
一度このゲームに飛び込んだのだ。  
 ゲームの中では凄腕でも、リアルでのサバゲー経験などあったわけでもないのに、前回  
のあたしは勘違いして公開オナニーと相成った。あの屈辱を晴らすべく、トレーニングと  
ともに武器の取り扱い、自分のとるべき戦略をずっと思い描いていた。同時に、ゲームの  
中では憂さ晴らしのようにひたすらキルレートをあげて、時折ボイスチャットからわけの  
わからない言語で罵倒される程度にはなっていた。  
 機械の作動まで20分あるかどうかのところまでに、あたしは2つの戦果をあげていた。  
相棒はソ連製狙撃銃ドラグノフ。ゲーム中でも狙撃銃を使うことが多いあたしだが、癖の  
強いこの銃はあまり使ってこなかった。だが、これはリアルでの戦いである。他の3つの  
狙撃銃よりも所持弾数が多いのが重要だった。トレーニングをつんだものの、元の運動神  
経があまりよくないあたしがこのゲームで生き残るには、極力茂みに隠れ、相手に見つか  
らぬよう遠距離からの狙撃で落としていくのが最善だと考えたのだ。  
 ゲーム中の補正にほとんど準拠しているこのゲーム。狙撃銃はサイレンサーをつけた状  
態でも頭か首に着弾させれば“ワンキル”相当になる。それを2発も食らえば、簡単にデ  
ッドエンドになるのは、なによりもあたし自身が身をもって経験している。ここまでの消  
費弾数は4発で、想定通りだった。残り26発もあれば、先に見つからない限りは戦ってい  
ける。  
 あたりの気配をうかがいながら、慎重に行動していたあたしだったが、装備しているパ  
ークの一つ、「ハッカー」のおかげもあって、道端に設置されたクレイモア、続いて茂み  
に隠れている敵を見つけたのがつい先ほどのこと。狙撃銃の特性を生かして、結構離れた  
茂みまで戻り、その様子を窺う。見つけた相手は茂みの中なので、障害物越しのダメージ  
低下の可能性から狙わない。あたしの本命は、あのクレイモアの罠に気付いて、茂みの中  
に隠れた敵を倒そうとする、さらなる敵だった。  
 望めば叶うのかはわからないけど、ほどなくして別の女性があの罠に気付き、行動を起  
こした。まるでこのようなものを実際で何度も体験しているかのように、その女性はスム  
ーズに罠をしかけなおし、茂みの中に隠れている敵をあぶりだした。  
 あたしにとって幸運だったのは、とどめを刺そうとした彼女が、すでに天国にのぼりか  
けの敵が取りこぼしたフラグの“爆発”を受けて、派手に機械を作動させたことだった。  
脱落アナウンスは一人分しか聞こえなかったので、おそらくそばに転がっていたもう一人  
だけしか脱落していない。フラックジャケットを装備していたのだろう。残念ながら頭や  
身体は木々に隠れてしまっているものの、時折ひくつく足があたしの射線上に残っていた  
のだ。  
 
 スコープを覗き、動いて回る“目標物”に狙いをつけ、あたしは引き金を引く。  
「ひぎぃぃいぅ!?  
 見事に着弾したらしい。足の場合ワンキル相当にはならなくとも、手前のフラグ直撃を  
加味すれば十二分に感じてしまうことだろう。  
 一瞬、前回受けてしまったアレを思い出し、股間が疼く。派手にのたうちまわりながら、  
“天国には行きたくない”と耐えている彼女が受けたであろう刺激。二度とあんなことは  
ゴメンなのに、女としての身体は痴態をさらしかけている彼女の姿をみて興奮してしまっ  
ていた。  
 落ち着け、落ち着けと深呼吸。次いでスコープを覗く。先ほどよりも更に狙える部分は  
せまくなっていて、おまけに動きまわるものだから狙いを簡単に付けられない。残念なが  
らフラグを投げ込んで届く距離でもないので、あたしに残された手段は、動き回るターゲ  
ットをとらえきることだけ。  
 自然と、呼吸が止まる。狙いをつけ、引き金を――  
 バンッ! バンッ! バンッ!  
「あああああ!」  
 引く事は、できなかった。至近距離で聞こえた銃声3発は、間違いなくあたしの致命的  
な部分をとらえていた。3回分、きっちりと機械の作動をうけ、あたしは相棒を放り出し、  
乳首とクリトリスから神経をつたってくる快楽にのまれていた。  
「あ、あああ……」  
 耐えろ、耐えろと願うが、強烈な余韻は数秒経過しようが消えることはなく、媚薬を塗  
られた部分は熱くなり、地面にすらすがってしまいそうだった。徐々に視界が白くぼやけ、  
ああ、あたしまた負けそうだ……というところで不意に蹴り飛ばされ、あたしはわき腹の  
痛みで天国から現実に引き戻される。  
「いっ、あ、あんた直接相手に、触れるのは禁止なはずでしょ!」  
 仰向けになったことで、あたしに引き金を引いた敵の姿が見える。切れ長の目、長くの  
ばされた黒髪、ぱっと見20才前後に見えたその容貌の中、唇の端が食いっと持ち上がる。  
「あら、たまたま転がってた人に足が引っ掛かっただけよ。何、残念だったの? イクこ  
とができなくて」  
「ち、ちがっ……」  
「まったく。あんなこれ見よがしにジャマーが置いてあったら、すぐ近くに潜んでいるな  
んて簡単にわかるのはゲームと同じなのにねえ」  
「っ……!」  
 指摘されるまでもなかった。この女の言うとおり、ジャマーをただの敵探知に使うとば  
れる可能性があったのだが、前回のことを考えたあたしは、臆病な行動に走ってしまって  
いたのだ。  
 
「さあて、どうしようかしら」  
 一歩も動けない。銃を突きつけられて、反撃の糸口もつかめない。このままだと、また  
……  
 前回のことが頭をよぎり、心とは裏腹に、愛液が染み出してしまう。  
「あら、こんなに濡れちゃって。待ち遠しいのねえ。ならお望みどおり、天国に連れてっ  
てあ・げ・る」  
「くうっっ!」  
 手足を投げ出して無防備なあたしを、そいつは長い脚で踏みつけてきた。それも、たっ  
た今刺激を受けた股間部分を。足の裏全体をずっ、ずっと上下に動かされ、ひいっとたま  
らずに声を漏らしてしまう。くちゅくちゅと水音が聞こえ出し、あたしはサブウェポンを  
取り出すことすら叶わないくらいに、機械の刺激とは違う、生の辱めに身を悶えていた。  
「ねえ、知ってる? こんなくだらないゲームを考え付く馬鹿な人たちでも、少しの倫理  
感は残っていたらしくてね」  
 遠くで、何か聞こえてくるが、あまりよくわからない。足は未だ動き続けて、頂点に達  
しそうなぎりぎりをあたしは行ったり来たりさせられている。  
「身につけてるその機械、作動時はちょっぴり肌から浮くように設計されてるのよ。なん  
でも、直に触れた状態では“天国に行ったきりになりやしないか”ってね。まあもしかし  
たら、あなたのように戻ってくるおバカさんが減らないように、なんてことかもしれない  
けど」  
「あ、ああっ」  
「でもね、所詮機械は機械なのよ。こうやってね、ぐいっと押さえれば、離れることはで  
きないのよね」  
 おぼろげに聞こえる声。まだ一度も受け入れたことはないのに、恥ずかしげもなく、だ  
らしなく愛液をたらし流しているであろうあたしの大事な部分が、強く押さえつけられる。  
かすかに見える先には、パイソンが、あたしの頭を狙っていて――  
「まあ、体験してみてよ。“オーバーキル”を」  
 バンッ!  
「ひぎぃぃぃああぁぁぁぁぁぁぁあぁ!」  
 
 
→※←※→※←  
 
 
『No. 14 dead』  
「感想は……言えるわけもないか」  
 支給されたブーツの裏にすら、ぶしゃっと派手に飛び出す液体の感触が伝わる。浮かせ  
てみると、実弾を受けて血を流したかのように、ソコを中心に周りに液体が広がっていた。  
「押さえてなかったらこっちにもかかってたじゃない」  
 つんつんとブーツの先で“傷口”をつつくたびに、びゅっ、びゅっと液体が飛び出てく  
る。機械どころかミリタリーパンツを越してまで飛び出してくるのだ。ちょっと面白くな  
って何度かつついてみたが、あえぎ声に聞きあきたところで止めることにした。  
「ねえ、せっかくだからひんむいてもいい?」  
 無線越しに許可を求めてみるが、答えはノーだった。  
『ダメだ。そんなことしたら“お得意さん”が減ってしまう』  
「いいじゃない、彼女以外にもお得意さんはいっぱいいるでしょ?」  
『問題はそれだけじゃない。裸体を見せないことで、関係各所へ流している“あの液体は  
機械が流しているもので、本人が性的に感じて出した液体ではない”という建前が通用し  
なくなる』  
「めんどくさいわね。どうせお偉いさん達だってこの馬鹿げたショーで劣情を湧きたてら  
れてるわけでしょ?」  
『建前と本音は重要なのだよ、“ハンター”。さあ、さっさと次の標的に移れ。お前だっ  
て一応は機械の作動を受けるのだからな』  
「わかってるわよ、“主催者”さん」  
 無線が切れ、やれやれと肩を回す。  
「ごめんねえ、今回もまた無様におしっこもらさせちゃって。まあ、またイキたいなら参  
加してちょうだいな、って聞こえてるわけないけど」  
 オーバーキルの直撃を受けて、白目をむいた彼女はもはや人形だった。口もとからもだ  
らしなくよだれを垂れ流し、何も言わないし、何も見えていない。ただし、下半身はまる  
で何かを求めるように動き、少しの刺激が彼女に伝わるたびに、ちょろちょろと液体が零  
れていく。無事生活に復帰できるのか、それともこのままダッチワイフと化すのか、どらにせよ興味の範囲外である。  
「残りは15分、か……サクッと今回も、ハンターとしての責務をまっとうしましょうかね  
ぇ」  
 次の獲物にと考えていた、このスナイパーに狙われたものの姿はもう見えない。あれだ  
け感じさせられててまだ動けるのだとしたら、大したタマである。楽しい戦いになりそう  
だ……そんな相手を屈服させ、衆目の下イカせることができるなんて、ああ、たまらない。  
考えるだけでイケる。  
「ま、考えてるだけじゃつまらないもんね。さっそく探しますか」  
 奥が熱くなり、少しだけ濡れるのを感じながら、“ハンター”は狩りを再開した。  
 
 

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