とある、イメージビデオの撮影。  
 
純白のハイレグビキニ。後ろから見たらお尻が丸見えなくらい紐状の水着だ。  
上も純白の胸が強調されてる小さめのブラ。  
ほとんど布を纏っているだけともいえるこの恥ずかしい水着姿を、  
わたしはいずれ手に入れるであろう動画の向こうの男たちに晒している。  
 
(うう……恥ずかしい……)  
 
こんないやらしい水着を着て、こんないやらしいポーズをとって、信用されないかもしれないけれど  
わたしは実は、恥ずかしくて恥ずかしくて今にも卒倒しそうなくらいなのだ。  
眉根が恥じらいにピクピクと動き、ともすれば前やお尻を手で隠したくなるくらい。  
しかしながらそんなわたしのそんな小さな恥じらいの仕草が、購入者の男たちに受けてるらしい。  
大勢のスタッフに囲まれて、何台ものカメラで舐めるように撮影されて  
恥ずかしさで肌が桃色に染まる光景も、男たちの購入意欲をそそるらしい。  
 
「はい、それじゃ両手を頭の後ろに組んで、大股開きで撮ってみようかー」  
(くぅっ……!)  
 
監督から飛ぶ無慈悲で破廉恥極まりないポーズの指示。  
こんな露出の高いビキニで大股開きとか、ありえない。  
でも、わたしは逆らえない。  
おずおずと脚を開いていく。その脚が震えている。  
そんなわたしの細かい恥じらいさえもカメラは逃さず、男たちに配布するために撮り続ける。  
ややこわばった笑顔も、瞳の奥のたまりつつある涙も、男たちをそそるスパイスでしかない。  
こんな恥ずかしい思いをしてまでも、わたしがここにいる理由。  
 
お金が欲しいからだ。親が抱えた借金を返すために。  
 
でも、耐えられなかった。  
事務所社長から、AV出演を打診されたときは、もう耐えられなかった。  
まさしく逃げ出すように事務所から飛び出してしまったわたしは、途方にくれていた。  
お金を稼がなくちゃいけないのに……  
まだ高校生であるわたしに、まとまったお金の入る仕事など、まっとうな内容であるはずがない。  
そう、まっとうであるはずが……  
 
ここは豪華なホテル街。  
わたしが何をしているかというと、身体検査を受けていたのだ。……丸裸で。  
どうも『ゲーム』の前に、わたしたち1人1人の身体のデータが必要なのだとか。  
検査員は全員女性なのだが、それでもやはり恥ずかしい。  
堂々と検査を受けている女性もいれば、身体を隠したり丸めたりしては優しく注意される女の子もいる。  
しかし、そんな中あえてわたしは毅然とふるまっていた。  
ここにいる女性たちは全員『ゲーム』の参加者だ。  
しかもこれから始まるゲームの内容たるや、やはりまともなものではない。  
だからこそ弱みは見せられない。『ゲーム』は戦う前からもう始まっているのだから。  
 
そしてわたしはいま、無人島の中でリアルシューティングよろしく暴れまわっていた。  
……といえば聞こえはいいが、隠れてやりすごし奇襲で討ち取る。または相手の自滅を待つ。  
そうして30分。タイムオーバーと同時に、それはわたしに襲いかかった。  
 
「はうっ……!」  
 
甘い刺激がわたしの乳首と股間部を襲う。  
 
「ううっ、ああ……」  
 
左右の乳首と、股間の肉芽と秘裂。4箇所を10秒ごとに規則正しく絡みつき舐められるような感触。  
たまらずわたしは両胸をかき抱き腰をかくんと落としてしまう。  
10秒ごとに、れろん、れろんと舐められる感触がたまらなく鳥肌を立ててしまう。  
 
(こ、これじゃ、戦いにならない、っ……!)  
 
わたしは草陰に隠れて時間を経つのを待つことにした。  
なんとかやりすごし、身体を落ち着かせる。  
この間に脱落者が出れば儲け物だ。  
そう思い、5分が経過したとき、  
 
「ひぃうっ!」  
 
出してはいけない声が漏れてしまった。  
 
「ひぃ!」  
「ひゃあぅ!」  
 
ほどなくそこら中からわたしと同じような悲鳴が漏れる。  
突然わたしたちゲーム参加者を襲った不意の衝撃、これは――  
 
『あ、あー、そういえば説明を忘れていたね。タイムオーバーから5分動かずにいれば、機械は君の尻の穴を刺激する』  
 
(ちょ……ホントに聞いてない、あ、うっ!)  
 
これにはたまらない。ただでさえ10秒ごとに両乳首と股間部に舐めるような刺激が襲ってくるのだ。  
その上、お、お尻の穴にまで、そんな、舐めるような……!  
……しかし、わたしはこれをチャンスと捉えていた。  
おそらく刺激に耐えられなくなった参加者たちは、飛び出してきて戦闘を始めることだろう。  
そこが付け目。  
彼女たちが戦い潰しあい人数を減らして疲弊するその瞬間を、  
わたしは5箇所ものいやらしい衝撃に唇を噛み歯を食いしばり雑草を握り締めながら戦局を見守り、  
明らかに弱り胸と股間を押さえ込んでる女性の背後に駆け寄って、  
決して早くはない追い足だったが、彼女が反応したときには、手持ちのナイフが喉を切り裂いていた。  
 
「ひゃああああぁああああ!」  
『No.7 dead』  
 
(やった……!)  
女性が、わたしの一閃であっけなく沈んだ。  
もともとの銃撃戦で、絶頂手前までいってたのだろう。  
それほど殺傷力の強くのないはずのわたしのナイフ捌きで、ビクリッと身体を震わせて、  
ミリタリーパンツの上からも漏れるほどの潮を吹いた、そのまま、ビク、ビクンと痙攣するものの動かなくなった。  
(うわぁ……)  
自分でやっておきながら、正直寒気がした。  
涎を垂らして、白目をむいて、“天国の快感”を味わった彼女の“死顔”は、ある意味そそられた。  
これはあたり一面に張り巡らされてるカメラの向こうの男たちは大喜びなシーンだったと。  
もし、これが逆の立場だったら。足元に倒れている彼女に同情し、  
 
「うぁあっ……ぁ……」  
 
時間は40分を経過していた。  
タイムオーバー30分から胸と股間に襲いかかっていた刺激はいよいよ激しさを増し、  
パンツ越しにも見えるくらいべったりと股間にシミが広がっていた。  
しかし、そんな泥まみれの快楽の中、希望が大きく広がっていくのを感じた。  
 
残り4名。アナウンスは雄弁にその事実を語っていた。  
希望とともに不安も出てくる。  
お股ぐっしょりの脚ガクガク、腰も刺激のたびに落ちてる状態で、本当にあと1人倒せるのだろうか?  
もちろんわたしが何もしなくても、残り3人が食い合って誰か一人でも落ちてくれたら、それで3位、賞金100万だ。  
しかしそんな都合のいい展開がそう訪れると考えるのは楽観視にすぎるだろう。  
 
今でさえ股間部に大きなシミを作るくらい愛液をこぼしている。  
正直かすり傷一撃でも攻撃をもらえばそのままイッてしまうのではないかというレベルまで来ている。  
しかも待ちに徹していると、お尻の機械が作動して、前後上下5箇所からの強烈な愛撫を受ける。  
そうなったらもう戦えない。殺される前に死んでしまう。動くしかない。  
 
そうわたしが決意したとき、突如幸運が訪れた。  
――恐怖という感情を伴って。  
 
「ひああああああ……!」  
「ほらほら。どうしたの? 武器を取って戦わないと勝てないわよ?」  
 
声の先にわたしが駆けつけると、女性が2人。  
一方の女性は武器も捨てて逃げ惑い、もう一人の――長身長髪の“狩猟者”のようなエグイ目つきをした――女性が追っていた。  
もはやそれは戦いといえるものではなく。長身長髪の女性による、ただの狩りと化していた。それも――  
 
バンッ  
「うああああぁあ!」  
バンッ  
「あうううう!」  
バンッ  
「いやああああああぁあ!」  
 
ドサリと倒れ伏せる女性。  
身体中ビクビクさせて、いまにもイッてしまいそうだ。  
「もう嫌あ! 殺すなら早く殺してえ!」  
涙でグショグショになった顔を振り向かせ、叫び哀願する女性。  
「ダメよぉ。もっと踊り狂ってもらわなくちゃ、ね?」  
 
バンッ  
「あああああああああ!」  
 
撃たれてる女性のほうは、なまじ快感耐性が強いのだろう。つまりは俗に言う“イケない人”。  
おそらく、自分ならば多少の刺激には耐えられる。そう思って大会に参加してきたのだろうが……  
わたしの脳裏に最大級の警鐘が鳴り響く。  
あの女には相対してはいけない。あの長身長髪の女にだけは絶対。  
正直人様によがり悶える様を見せたくはない。そんな恥ずかしい様を晒すなど絶対に嫌だ。  
それをあの女は、あの女は楽しんでる。  
 
自分以外の女性を、女の子を、どう料理したら一番むごたらしく悲惨なイキ様を世界全土に晒させられるか。  
舌なめずりして、もはや手も足も動けない“イケない女性”になおも致命傷にならないよう、かすり傷の銃撃を撃ち込む女。  
その1発1発ごとに、まるで電気を流されてるモルモットのように転げまわる女性。  
長身長髪の女はその様を見て笑っていた。舌なめずりしていた。  
もっともっともっともっといたぶってやると言わんばかりの、マゾな人なら見られただけでイッチャいそうな笑みを顔中に浮かべて。  
 
わたしは身も蓋もなく逃げ出していた。  
どこでもいい。とにかくあのサド女から1ミリでも遠く離れたい。  
もし万が一あの女に見つかったら、目をつけられたら。どんな凄惨な方法で辱められるかわかったものではない。  
女としての警鐘が、とにかく逃げろと声を最大級に喚き叫んでいた。  
 
『No.14 dead』  
 
唐突に鳴り響くアナウンス。  
あの“イケない人”も、ついに脱落したのだろう。  
おそらく、人生初イキを経験させられたはずだろう。  
人生初イキでもっとも凄惨で惨たらしいイキっぷりを世界に発信させられたのだろう。  
これで3位。賞金100万円がわたしの手の中に転がり込んだのだ。  
僅かな喜び。こんなゲームで100万円、ラッキー、濡れ手で粟、とは思ったけれど。  
それでもわたしは、完全に戦意を喪失していた。  
あとたった一人倒れれば500万円。あの女以外のもう一人の女性が倒れれば、わたしに500万円が転がり込む。  
500万円あれば、わたしも、家族も、救われる。  
けれど。  
そんな考えはもう、頭の中から消え去っていた。  
ギブアップはできないこのルール。  
厳密にはオナニーでもしてイッちゃえば脱落できるのだろうが、  
全世界の男たちが見てる中で公開オナニーとか冗談じゃないと思った。  
 
でも、あの長身長髪の女に目をつけられたら、どんな目に遭わされるのか知れたものではない。  
願わくば、もう一人の女性に遭遇して、できるだけ優しく殺してほしい。  
なんか後方からガサガサと僅かな足音がするような気がする。  
もしかしてあの女が追ってきたのではないだろうか。  
冗談ではない。ホントに冗談ではない。  
まだ生き残ってるであろうもう一人の女性は、気配すらもつかめていない。  
全世界公開オナニーで天国イキを選ぶか、あの女にヤられヤられヤられヤられるのを選ぶか。  
両乳首、クリトリス、秘唇の4箇所の10秒ごとの刺激は、もはや被ダメージレベルの衝撃をわたしに与えてくる。  
10秒ごとに一発ずつ撃たれるような快感が襲う中、しかしながら頭の中は真っ青だった。  
どうやられても並外れた恥辱と屈辱。  
そんなわたしに、最大級の幸運が訪れた。――目の前に沢があったのだ。  
 
(――これだ!)  
 
かくしてわたしは、第3位のまま、幾分、というか結構、恥ずかしい姿をさらしつつも、  
最低最悪の恥辱からは逃れることができた。  
(こっそりと水をすくって服の中に流し込み、  
後はフラグの即死範囲外でちょっぴり機械を作動させて演技するとか、我ながらよく思いついたものよね)  
 
しかしながら、自身の愛液でグッショリシミ、というかお漏らしと言っても過言ではないくらいの濡れ濡れのミリタリーパンツで  
賞金授与式とか恥ずかしすぎて泣きそうになったが、そこはこらえた。  
100万円という大金が手に入るからというのもあったが、2位の女性がわたし以上にすごいことになっていたからだ。  
これどうみてもオーバーキルでしょと言わんばかりの何度もイった痕跡の見える憔悴しきった表情。  
身体が未だにビクつき、股間部にはお漏らしでもしたかのような、というか実際お漏らししたのだろう黄色いシミも付着している。  
500万円もの大金をもらいながら、その女性は未だに両手を顔に当てながら泣きじゃくっていた。  
涼しい表情で股間にシミひとつ作ることなく優勝賞金を受け取る長身長髪に、いったいどれほどの恥辱の目に遭わされたのか。  
ふと、長身長髪の女と目が合った。舌なめずりされた。  
それは明らかに3位のわたしを嬲れなかったことに基づく、次あったら楽しみにねというラブコール。  
冗談じゃない。誰が、誰があんたみたいな女に関わるものか!  
 
本当に、本当に関わり合いになりたくはなかったのだが。  
わたしみたいな何もない高校生が、AVにも出ず、身体も売らず、手に入れられた100万円という金額の大きさ。  
そして、見つけた裏技、わたしだけのエクスキューズギブアップ。  
わたしは、お金が必要なのだ。  
まだ足りない、まだ稼がなくてはならない。  
そんな折、オンラインシューティングFPSを通じてまたも届いた出場通知。わたしは迷わず応募した。  
そう、わたしみたいな高校生が大金を手に入れるには、このゲームは渡りに船なのだ。  
(恥ずかしい姿さえ見せなければ、イメージビデオより、AVより、ウリより、よっぽど健全なんだから!)  
 
次の大会も、結果としてわたしは3位を獲得できた。  
わたしは最初のパーク、スキルのひとつに、『特定人物のある程度の捕捉』を選択していた。  
言うまでもなく、あの長身長髪の女(予想通りやっぱり今回も参加してきた)からとことん逃げ回るためだ。  
まあ逆に言えばそのために貴重なパークを使ってしまったために、  
わたしはほとんど無防備で戦場に投げ出されるハメになったわけだけれども、  
あの女に出会うくらいなら他の全員敵にまわしたほうがまだマシだ。はっきりいってそれほどサディスティックな女だからだ。  
 
前々回、前回と、獲得したお金は200万円。これはイケるのではないかと思い始めてきた。  
正直2度も装着機械の裏をかいた裏技的な“痴態を見せないギブアップ法”により、  
さすがにこいつ出しても面白くないと主催者側に思われそうなのが心配だったが、いともあっさり3度目の招待状が届いた。  
これはいける。  
過去2度自分の思うようにゲームを展開してきたわたしは、妙な自信を持つまでに至っていた。  
前回、前々回と1位をかっさらう、のみならず、仕留めてきた参加者すべてを快楽天国と恥辱地獄に打ち上げて落とし入れてきたあの女。  
あの女からさえ逃げ切れば、今度も3位取れるかもしれない。  
過去の賞金とあわせて、あと3位入賞1回で、借金を返せる。わたしが、家族が、救われる。  
とはいえ全世界に恥辱を発信されるという強烈なリスクはさけられない、が、やるしかない。  
あと1回。あと1回だけ、生きて戻ればいいんだから。  
 
しかし、わたしは知らなかった。  
わたしの素性経歴がすでに、主催者側に伝わっており、会員サイドではみんなでわたしの痴態を見るべく作戦を練られていることを。  
そして次の大会に参加する女性に、とんでもない手練がいたということを。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
 
『あのイメージビデオの娘、なんとかしてイカせたいですよね〜』  
『知らないんだろうなぁあの娘、我々がこうして作戦会議を開いてることを。あの娘の痴態を拝むために』  
『主催者さん、あれ無しにしません? どうみてもチートですよね』  
『ハンターから逃げまくり、弱った相手を仕留めながら逃げ回り、3位確定でエクスキューズギブアップ』  
『ついた渾名が“サイレントキラー”。我々からすれば焦らされまくりですよ』  
 
『だが、それがいい』  
“主催者”らしき男のチャットメッセージが打ち込まれる。  
チャット画面の上に表示されてるのは、前々回、前回と3位をかすめとっている少女の顔や全身写真だ。  
身体検査で取得した、身長、体重、スリーサイズ等のデータも載ってある。  
派手な茶髪のわりに童顔で純な印象が画像からでも読み取れる、高校生であるその少女は、初出場から会員たちに注目されていた。  
もともとオンラインシューティングゲームFPSに若い女性の数はそんなに多くない。  
見麗しい女性となればさらに一握りだ。  
しかも、  
 
『あの娘は何大会か1回にしか出てこない高校生枠だよ。あの娘の参加から会員数が大幅に増えた』  
『イメージビデオの売れっ子がこんな催しに出てくると知れば、皆我を競って入会してきますよ』  
『あの娘の3位入賞のおかげでイケると思ったのか、次の大会は高校生も複数参加してますよ』  
『若い少女の痴態が見れるなんて、高い入会金を払って入会した甲斐がありますよ。ですが』  
『いい加減我慢の限界ですよ。ハンターから逃げ回ってる以上、あの娘の無様な絶頂シーンはいつになったら』  
 
『今回は大丈夫だ』  
“主催者”が余裕の笑みを浮かべる。  
『今回の参加者は粒ぞろい、しかもかなりの凄腕だ。ハンターから逃げられれば済むというものではない。  
今回こそは見られるかもしれないぞ、“サイレントキラー”の絶頂を……』  
 
おおっとかキターとかこれはすごいとか次々とチャットに走り書かれる。  
ひときわ目に付いたのは、大学生ほどだろうか、優美な美貌の女性だった。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
 
「なんなのよ、あの人……」  
 
茂みの中から、戦慄の光景を目の当たりにしてわたしは息をひそめ、“災厄”が去るのを待っていた。  
冗談じゃない。あんな無慈悲に天国に連れていかれるなんて、死んでもごめんだった。  
これで3回目の参加となるわたしだが、あそこまで一等“狂っている”と言えるのは、  
毎回参加しては1位をかっさらい、主催者側の刺客ともいわれる長身長髪の女以外にはなかなかいない。  
 
(身体検査のときは、あんなにウブな感じだったのに……)  
 
さすがにわたしも3度目の身体検査となれば慣れる。検査員が女性というのもあるだろうけど。  
そんな中、緊張と恥ずかしさで身体を固くしながら検査を受けている女性を見たのだ。  
わたしよりは年上だと思う。おそらく大学生くらいの女性は、わずかに頬と身体を薄桃に染めながら検査を受けていた。  
なんで全裸で検査なんかという戸惑いが、困惑した顔にありありと浮かぶ。  
 
(かわいい)  
 
年上の女性に対し思う感想ではないと思いつつも、そう思ってしまったものは仕方がない。  
 
(もしあの人がイッちゃったら、どんな顔をするんだろう)  
 
わたしは勝つことにしか興味はない。さらにいえば賞金をゲットすることしか興味がない。  
しかし目の前の女性の僅かな、しかしながらとてもそそられる恥じらいを見ていると、同姓としてあるまじき考えが芽生えてくる。  
 
(もし……チャンスがあったら。……ごめんなさいっ)  
 
前回、前々回、全部弱った相手をもしくは戦闘中のドサクサを不意打ちで倒し、正面きっての戦いなどしてないわたし。  
正直、生き残るのが精一杯で、余計なことを考えてる余裕などなかった。  
あの長身長髪の女から逃れるためだけにパークを使い、それ以外の防御補正などまったくない丸腰だったのだから。  
 
(けれど、もしかして……)  
 
あの綺麗な女性を自分が討ったらと想像して、どんな絶頂を見せてくれるんだろうと妄想していたわたし。  
 
 
 
……その正体が、あんな化け物とは知りもせず。  
 
はっきり言ってあんなのとまともに相対できるわけがない。  
ぶっちゃけ長身長髪の女と大差ないわよはっきり言って。  
まずい、とわたしは思う。  
わたしのパーク、つまりボーナス装備はすべて長身長髪のサド女から逃げるために全てを費やしている。  
逆に言えばそれ以外の相手に対しては、まったくの丸腰なのは何度も説明したとおり。  
なのに、なんであの長身長髪女と同程度に狂気を宿してる参加者がいるのよとわたしは心の中で悲鳴をあげる。  
せめてもの救いといえば、あの美麗な女性には相手を嬲る趣味はなさそうなところ。  
そして、狂気は狂気でもその狂気には方向性があるということ、だが、長身長髪女と同レベルに危険なのはまぎれもない事実。  
 
「くうっ、お金を、稼がない、と……」  
 
そんなわたしの目に留まったのは、おそらくこのゲーム最大の破壊力を持つだろう、ロケットランチャー……  
 
「ふ、ふざけるなああああ!」  
 
わたしの前に立っていた、いまにも快感で崩れ落ちそうな(かくいうわたしも五十歩百歩)美麗な女性が  
咆哮しながら、目の前の最強最悪の敵、長身長髪の女に斬りかかる。  
そう、あの美麗な女性だ。  
拾ったRPG、ロケットランチャーを交渉材料に使い、奇妙な共同戦線を結ぶことになったわたしたち。  
彼女のおかげで他の参加者を倒すことができた。  
わたしの利益のために、倒されかかった彼女の敵の後ろからナイフを掻ききり、彼女を助けたこともあった。  
そして今、彼女はあのサド女に斬りかかって行った。  
残りの参加者、あと4名。  
彼女が女を倒そうが、女が彼女を倒そうが、どちらにせよ賞金はゲットできる。  
しかしながらはっきりいって彼女の分は絶望的に悪いと言わざるを得ない。  
あの女、どういうわけか銃撃の類が一切効かない。  
こうなってくるとやはり主催者側と組んだチート刺客というのは本当なのだろう。  
援護としてダメもとで投げたフラグも爆発前に回避される。そのおかげで彼女はわずかに距離をとることができた。  
しかし、根本的に攻撃が効かない以上、どうやって倒せばいいのか。  
 
正直わたしは限界だった。  
数秒ごとに左右の乳首に絡みつく衝撃。  
今ではもう作動のたびに乳首の先端を母乳の穴をピンポイントでひっかかれ、ニプルファック並みの刺激を与えられる。  
股間部はさらにひどいことになっていてクリトリスを四方八方先端から舐め尽されるような刺激を、  
秘唇を嬲っていた機械はいよいよ全体を絶え間なく舐め尽してくる。  
 
蜜壺からとめどなく愛液が流れ出し、もう漏らしたようにミリタリーパンツをグッショリ濡らす。  
息も荒く、絶えずビクビク身体が震え、刺激のたびにビクンと跳ねる。  
今彼女も、わたしと同じか、いや、正面から戦いダメージを受けている分それ以上だろう。  
おそらく、彼女は勝てない。  
 
わたしと同じくらい酷い刺激を受けながら、ほとんどノーダメージのあの女にどうやって勝てばいいのか。  
おそらく彼女は倒される。  
彼女が倒れた瞬間、わたしの3位入賞が決定し、100万円を手中に収めることができ、わたしが、家族が救われる。  
決定的な恥辱を晒す前に、逃げ出して、いつものやり方でリタイアしよう。  
 
そうすれば、そうすれば、いいはずなのに、なんで、わたしは、動かないのか。  
このままだと、わたしまで、全世界に、惨めな痴態を、晒すことになるのに。  
あんな、銃弾も効かなくて、爆発さえ、回避してしまうような怪物に、勝てる、はずが……  
 
(回、避……)  
 
思わず、わたしの唇から、言葉が漏れた。  
 
「みつ、けた……!」  
 
「はやく、早くそれを撃って! お願い!」  
 
最強最悪の女、長身長髪の女を羽交い絞めにしながら、わたしは彼女に叫んでいた。  
この女は、爆発だけは綺麗によけていた。  
それはつまり、銃弾クラスなら効かなくても、即死クラスの攻撃ならダメージは通るということ。  
そして、彼女に投げ渡したRPGロケットランチャー。わたしの知る限り最大最強の破壊力。  
 
もし、この女が必ずしも勝つようにゲームが作られてないのなら。  
もし、この女に勝つ手段があるとしたら。  
そのための切り札こそが、このRPGロケットランチャーではないだろうか。  
 
「そ、そんなことしたら、お前まで……」  
 
わかってる。  
わたしの実装は、防御耐性まったくゼロの丸腰状態。  
いわば最弱の実装に、最強の破壊力を見舞われたらどうなるか。  
 
わたしが過去に倒した相手を思う、今まで倒された相手を思う。  
銃やナイフ“程度”の衝撃ですら“ある程度防護していたはずの”女性たちが例外なく見るも無残な痴態を晒していた。  
丸腰丸裸装備のわたしが、このゲームにおける最大の爆発を無防備で受けたらどうなるのか。  
100%助からない。  
わたしはここで脱落して、賞金も手に入らない。  
それどころか、全世界の好き者たちに、過去最大級の痴態絶頂を晒してしまうだろう。  
でも。  
 
でも。  
わたしはこの女を倒したかったんだと思った。  
わたしは彼女に勝ってほしいんだと思った。  
蕩けそうな快感で身体に力が入らない。腕に、脚に、力が入らない。  
今にもほどけそうな羽交い絞めに、でもいまいちど最後の力を込める。  
 
「いいから、早くっ、もうもたないの……っ!!」  
 
「ありがとう……っ!」  
彼女の涙声と、放たれたRPGの大爆発を最後に耳にして、わたしの意識は一瞬で白く塗りつぶされた。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
 
“彼女”の身体中が白く大爆発を起こした。  
身体中。  
左右の乳首から乳房。  
下腹部のクリトリスからGスポット、子宮が大爆発を起こしたのだ。  
最弱の防御力で、最強の大爆発を浴びたらどうなるか、  
それすらも主催者はご丁寧に想定してこの装置に反映させていたのだ。  
乳頭の乳腺から乳房全体にかけて、超強力な即効性の媚薬が洪水のように溢れこんだのだ。  
本来、彼女がいずれ出産し授乳する際に出すはずの乳腺から、逆方向に流れ込むだけでもたまらないというのに、  
乳房の隅から隅まで行きわたった荒れ狂う媚薬効果、それだけでまだ若く青い彼女の乳房を絶頂させるには十分すぎた。  
その上媚薬効果で限界まで勃起した乳首乳頭にもありとあらゆる刺激が加えられるのだからこれはもう想像を絶する。  
 
しかもこれは上半身だけの話である。  
下半身に至っては、その即効性の強力媚薬が一瞬にして子宮を埋め尽くした。  
女にとって最大の性の象徴とも言うべき子宮内部が一瞬にして媚薬に犯しつくされたのだ。  
子宮は大悲鳴をあげて、一気にクリトリスを最大まで勃起させ、Gスポットを発情状態にまでヒクヒクさせる。  
それを待ってましたと言わんばかりに、舐めて擦って撫でて咥える、指や舌や筆や羽で無数の衝撃がクリトリスに襲いかかる。  
女性の最大の性感帯のGスポットにさえ、舐めて撫でて触って擦る、指や舌や筆や羽のありとあらゆる愛撫が襲いかかった。  
しかもご丁寧に膜を傷つけないよう作動してくれるため、処女であってもまったく問題はなく痛みも感じない。  
ただただ愛撫だけを、媚薬塗れで刺激を欲している性感帯全てに、考えられる、  
いや、性経験の薄い彼女には考えたこともないような愛撫が一瞬にして彼女の全てを塗りつぶす。  
 
「あ、あ、あ、」  
 
もともとRPGロケットランチャーは、チート性能を持つ主催者側の“ハンター”を倒すために用意されていた代物。  
その破壊力が、防御的に丸裸の、まだ若い高校生に襲いかかったのだ。  
完全に白目を剥いて、爆発的な絶頂の余韻で身体をビクつかせている彼女。  
彼女が“爆死する”一部始終は、ありとあらゆる方角から、無数のカメラで撮られていた。  
 
彼女の思いに応えてRPGを撃った女性と、長身長髪のチートボスとの決着など、当然見届けられるはずもなく。  
 
「もしもし、もしもーし、だいじょうぶですかー?」  
「あ、あ、ああ……、あ、あ」  
 
係員の男性が頬を軽く叩いて覚醒を促すも、ただただ喘ぎ声を出すのみの失神した彼女。  
会員へのサービスだろうか、覚醒を促すと見せかけて、そっと首筋に愛撫を加える男性係員。  
ビックンッ!  
その瞬間、上半身と下半身が思い切り不規則に跳ね、とうに枯れ果てたと思われた潮がぷしゃあっと吹かれ。  
一瞬後、ちょろちょろちょろと、再び黄色い液体が彼女のミリタリーパンツを彩った。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
「はあ、ハァ、あ、はああぁあんっ!!」  
 
ビクビクビクンッ!  
 
「は、ああ……、ハア、はぁ、は、ああっ……!」  
 
どうか聞かないでほしい。  
わたしは、今、ホテルの一室の浴室でシャワーを浴びている。  
いや、シャワーを浴びているというか、汚れを洗い流してるというか、むしろ、シテいる。  
わたしが目を覚ましたのは車の中。  
一人失神しっぱなしだったわたしは、皆とは別に車で集合場所のホテルまで送り届けられたのだ。  
ゲームの結果については、同乗していた係員の男性に聞いた。なにせわたしはあの瞬間から、意識が飛んでいたのだから。  
やはりというかわたしの順位は4位。賞金はなし。  
そして、彼女があの女を破って優勝したということも聞いた。  
賞金はもらえなかったけど、彼女の顛末を聞いて、心の底から嬉しく思った自分がいた。  
と、ほっとした瞬間、わたしは自分の惨状にいまさら気づいた。  
胸すらもシミができてる上半身。下半身に至っては、もう、何も言いたくない。  
いったいわたしの意識が飛んだとき何がいったいどうなってこんな惨状になったのか、当然恥ずかしくて恥ずかしくて聞けるはずがない。  
どっくんっ。  
同時に、わたしの下腹部から耐え難い衝動が湧き上がってきた。  
 
「シャワーと着替えくらい先にさせろ馬鹿!」  
 
彼女の一喝がなければ、わたしはこの姿のまま、この衝動をそのままに閉会式に出なければならなかった。  
逃げるようにホテルの割り当てられた一室に逃げ込み、もうなりふり構わず全裸になって、浴室になだれこんだ。  
 
「はぁ、あん、ああ…、ああああああんっ!」  
 
もう何度目の絶頂になるのだろうか。  
シャワーを浴びながらシテるとかシャワーを浴びてるのかシテるのかわたしもわけがわからないままタイルに横たわる。  
 
「はぁ、ハァ、はぁ、ハァァ……」  
 
ようやく落ち着いて、タイルの感触に身をゆだねているところに、TELが何度も鳴り響いてるのに気づいた。  
ものすごく恥ずかしいのだけれども、わたしがイタシテいる間に、閉会式は終わってしまったという。  
 
 
「あ、ああ、いた! 待って!」  
 
終わった気疲れと嬉しい充実感と賞金がもらえなかった残念感と痴態を晒してしまった恥ずかしさがいりまじった状態で  
またここに来なければいけないなぁ、でも……、などと思ってた時、声をかけられた。  
彼女、だった。  
わたしはそこで、予想もしてなかった運命に出くわして。  
 
 
→※←※→※←  
 
 
 
「たまらない、たまらないよ。最高だよ、キミは……!」  
 
“その大会”のハイライトシーンを眺めながら、彼は画面の奥の“彼女”に語りかけるように呟く。  
“その大会”ハイライトシーンアクセス第4位のシーンを、何度も何度も再生する。  
そのシーンは、前回前々回3位だった、派手な茶髪の女子高生。  
過去2度の大会で、いっさい痴態を見せず皆をヤキモキさせていた彼女の“大爆発”シーンだった。  
自分がこうなると覚悟の上で、最大級の“爆死”を遂げた彼女のシーンは、  
優勝者の女性の優勝直後のオナニーシーン、その女性がハンターに12発もの弾丸を撃ち込まれてイキ狂わされたシーン、  
直後の女性の沢オナニーシーンにも劣らぬ、会員からの圧倒的なアクセス数を記録していた。  
羽交い絞めの腕がほどけて、ゆっくりと仰向けに倒れ、ぷしゃあっと潮を吹き、ちょろちょろと小水すら漏らしたシーン。  
その後もずっと、カメラはあらゆる方向から、彼女のビクンビクンの絶頂痙攣の様を記録していたのだ。  
男性係員に気付けと称しての愛撫をもらい、ビックンと大きくはねた後、再び潮を吹き小水を漏らしたシーンまで、  
一部始終が完全に記録され、会員たちの間で大好評を得ていた。  
 
どこから情報が伝わったのか、イメージビデオ界では、引退したはずの彼女の話題で一気に盛り上がった。  
彼女のファンスレはあっという間に埋め尽くされ、この“ゲーム”のサイトの話題で持ちきりとなり、  
会員数が激増するという、“ゲーム”始まって以来の盛り上がりとなった。  
 
その中で彼は、彼女の熱狂的なファンであるあまり、  
稼いだ財をほとんど吐き出し、個人情報も全て差し出し、“VIP会員”の座を手に入れたのだ。  
そんな彼が興奮しながら見ているのは、“ゲーム”の参加女性はおろか、関係者でも一部の人間にしか公開されてないシーン。  
ゲーム前の全裸身体検査のシーンと、ゲーム後のシャワーシーンだ。  
この動画だけは、公開されると女性参加者が当たり前のように激減するので、  
秘中の秘。個人の身分を全て公開し、多大なる財を吐き出した者のみが観賞できる超レア動画なのである。  
 
今彼の目に映ってるのは、  
 
「はん、ハァ、あ、、あぁああああーーーーーーーーっ!」  
 
乳房も子宮も媚薬漬けにされて、閉会式の呼び出し電話にも気づかずに自分を慰め続ける彼女の姿。  
そして、当然主催者しか知りようもない、彼女の“本名”も、VIP会員は知りうることができるのだ。  
さらに、どこから記録したのか、派手な茶髪姿の彼女の素顔、清楚な黒髪の彼女の写真までもが掲載されていたのである。  
 
「最高だ、最高だよキミ。ああ、またゲームに出てくれないかなぁ……」  
 
VIP会員でなくとも、彼女が借金返済のために出場したことは知られていた。  
そして、優勝者の女性に、優勝賞金の半額を、取り分として譲与してもらったという情報ももちろん流れていた。  
なので、もうお金に困ることのない彼女の出場はありえないだろうと誰もが予想していたが、  
彼はあきらめきれず、なんとか主催者に彼女が再び出場するよう仕組んでくれと談判していたのである。  
 
彼女が再び大会に出て、よがり狂う姿を見てみたい。  
優勝者の女性のように、ハンターに12発もの弾丸を浴びイキ狂わされたように、彼女のイキ狂いの姿を見てみたい。  
 
「はいこれ、取り分」  
「え、でもこれ……」  
「これはあなたが頑張った分。あなたが頑張らなきゃ、私はこのお金を受け取ってなかった」  
「それでも、そんな、わたし」  
「いいからいいから。入用なんでしょう? じゃあそういうことで」  
 
どこから撮ったのか、彼女と優勝者の女性のやりとりまで、VIP会員には動画として提供されていた。  
誰よりもお金が必要だったのに、それを辞退しちゃうような、派手な茶髪とは裏腹の、慎み深く清らかな女の子。  
 
そんな彼女が嬲られるところを見てみたい。涙を流しながら泣きながら快感に嬲られる彼女を見てみたい。  
 
 
「ただいまー」  
明るい声で帰宅を告げる清楚な黒髪の少女。  
ぱっと見、派手な茶髪の彼女とはイメージが違ってわからないが、正真正銘、同一人物である。  
まあなにせ、それが目的で派手な茶髪にしていたのだから。  
恥ずかしがり屋の彼女としては、素のままでイメージビデオや“ゲーム”に出る度胸はさすがになかった。  
結局、あの優勝者の女性とは連絡が取れないまま、困りつつも、迷った末に、仕方なく、好意に甘えることにした。  
おかげで借金という枷は家庭から外れ、平和で平穏な日常が戻ってきた。  
……差出人不明の、DVDを受け取るまでは。  
 
(……嘘……)  
 
そこには、ゲームでの彼女の一部始終が記録されていた。  
特に、意識が飛んでから彼女の身に何が起こったのかを強調するように。  
貴女の爆発絶頂失神失禁シーンが、世界中の好き者たちに流れたんだぞと、彼女を辱めるように。  
 
(……いやぁ、いや……!)  
 
顔を赤くして蒼ざめさせ、恥ずかしさのあまりに涙がこぼれる。  
自分の晒した絶頂痴態を、DVDという形で確認させられた彼女は、あまりの恥ずかしさに、ただ、ただ、泣きじゃくっていた。  
 
しかし、更なる欲情の手が彼女を誘ってると知ったのは、ようやく幾分落ち着いた後の、同封されていた一枚の手紙からだった。  
優勝した“彼女”が、次の大会にも強制出場させられるということ。  
次の大会では、主催者が手ぐすね引いて、“彼女”を辱めるよう、万端の準備を整えているということ。  
もし、“彼女”を助ける気があるのなら、いつでも参加を受け付けているということを。  
 
オンラインFPSにインしてみると、そこには、招待状が送られていた。  
もう彼女としては、借金はすでに返済したので、お金目的に“ゲーム”に出る必要はもうない。  
しかし。  
 
(……“彼女”には、助けてもらった。今度は、わたしが、わたしが……っ!)  
 
 
 

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