「ちょいとそこの御嬢さん、御用とお急ぎでないなら私の奇術を見ていかないかね?」
八街で、マジックを披露していた奇術師に呼び止められ、マジックを見せてもらうことになった。
「私の魔術はね、物質転送術なんですよ。いわばテレポーテーション。さぁ、とくとご覧あれ」
奇術師は私に、いろんなテレポーテーションのマジックを見せてくれた。
右のコップから左のコップへボールを映したり、手に持ったコインを私のバッグの中へと移してみたり、マジックは彼の宣言通り、テレポーテーションばかりだ。
テレポーテーションをすると予測できるのに、タネはまったく見破れない。間近でみていてもだ。
本当の魔法としか思えない。それくらい彼のマジックはすごかった。
「さて次が、いよいよ最後の奇術となります」
もう最後なのか・・・この人のマジックはどれもすごかったから正直ちょっとがっかり。
でも最後のマジックというくらいなんだから、よっぽどものすごいマジックなんだろうなぁ。
「さぁ、御嬢さん、どうぞこちらに」
私は奇術師に呼ばれて、傍に立った。なにか私を使った特殊なマジックなのかしら?
なにがはじまるのかとドキドキしていると、その奇術師は、急に私のお腹に手を伸ばし、服の上から私のお腹を軽く撫でた。
「ひゃっ・・・!」
おもわず声が出そうになった。けど、不思議なことに通行人の誰も私と奇術師のほうを向かない。まるで私たちが見えていないかのように・・・!
そうこうしているうちに、奇術師が手に力を込める。
「・・・はっ!」
ゴボッ
「・・・えっ?」
なにいまの・・・なにかあったの!? お、お腹の中が熱い・・・
私が呆然としていると、奇術師が耳元で囁いた。
「タカシさんをご存知ですね、あなたのもと彼氏の……」
貴志? あぁ、知ってる。前までつきあってたけど、性格がうっとうしくなったからフッた男だ。
「私ですね、そのタカシさんから依頼を受けましてね、タカシさんからあなたへの、プレゼントを持ってきたんですよ」
「プレゼント・・・?」
なにか、お腹の中がすごく熱い・・・
「預かり物、たしかにお届けいたしました。ではこれにてさらばです」
そういうと奇術師は身をひるがえし、すぐそばにあったドラム缶の中に飛び込んだ。
私はすぐに彼のあとを追ったけど、ドラム缶の中はからっぽだった。
気が付けば、奇術師が展開していたステージにはもう何も残っていない。私は八街に一人で立ち尽くしていた。
私は何気なく、お腹をさすってみた。
な、なにこれ!? 下腹が、膨らんでいる! 服の外からは分からない程度にだけど、ぷくーっと大きくなってお腹が張っていた。
お腹をぐっと押してみると、生理痛みたいな痛みがして、アソコの奥からなにか垂れてくる。
私は慌てて公衆トイレに駆け込んで、ズボンと下着を下した。
アソコから流れ出てきた液体、それは白濁してドロドロの液体だった。
それが、ほんの少しだけ、垂れてきたのだ、自分の奥から・・・
全てを悟った。
あの奇術師は私の子宮の中に、貴志の精液をテレポートさせたんだ。それも、子宮がパンパンになるくらいの量を!
これは、貴志の復讐・・・!
それから私がどんなに試行錯誤しても、お腹を押しても、中に指を入れてみても、精液はそれ以上流れ出てこなかった。
私はそれからしばらく、風船のようにパンパンになった子宮のままで生活するはめになった。
ようやく精液が流れ出てきたのは、なんと仕事の真っ最中。決壊したように膣からドバっと精液が流れ出して、必死にトイレに駆け込んだけど下着一枚をダメにしてしまった・・・。
おまけに、もっと恐ろしいことは、精液がようやく流れ出てきたのは、危険日の後になってから、ということだ・・・