「面白い物を見に行かない?」  
急に声をかけられて僕は本から顔を上げた。  
いつの間にいたんだろう?  
女の子が僕の顔を覗き込んでいた。  
「面白いもの、見たくない?」  
その子は。  
同じ言葉を再びかけて来た。  
 
 
日曜の朝は決まって、ベランダで読書をするのが僕の日課だった。  
それがこんな形で崩されたのは初めてだ。  
「ええと、君は、誰かな?」  
僕はそれだけを言うのが精一杯だった。  
目の前の少女に全く見覚えが無い。  
娘の友達だったろうか?  
「そうよ、私はアナタの娘の友達よ、ねえ」  
そう言うと少女は。  
「面白い物よ、見たくは無いの?」  
三度同じ言葉を吐いた。  
 
「何のこと? 面白い物って何?」  
そう尋ねると少女はクスリと笑い。  
「とっても楽しい物よ」  
両の瞳を輝かせた。  
 
 
気が付くと僕は彼女とあぜ道を歩いていた。  
 
彼女が口にした物はとてもじゃないが楽しそうとは思えなかったが。  
いや、寧ろ詰まらなさそうだ。  
なにしろ彼女は私の質問に答えて曰く。  
 
『根暗な巫女さんを見に行く』  
と言ったのだ。  
 
「とっても楽しいのよ」  
 
 
『道案内の為』 彼女は僕の後ろをついてくる。  
「楽しいわよ、それにとても素敵よ」  
クスクスと笑う彼女は僕の後ろを歩く。  
「ああ、ほら、あそこよ」  
彼女が指し示すソコは思いもかけぬ場所で、  
まして、とても楽しいと感じる場所ではありえなかった。  
「ねえ君、根暗な巫女さんのいる場所じゃなかったのかい?」  
「アラ? どういう事? ちゃんと言った所よ?」  
 
彼女の指し示したソコは、  
 
ソコは‘教会,だった。  
 
少女はつかつかと教会に近づき。  
「開けて」  
ドアの前で私にそういった。  
 
私がドアノブに手を掛けるか掛けないかのうちに扉は勝手に  
ギリギリと音を立ててゆっくりと開いてゆく。  
 
「はい? 何方でしょう?」  
薄暗い奥から‘声,がした。  
確かにその声は巫女さんのような声をしていた。  
 
 
「わが教会に何の御用でしょうか?」  
修道服と言うのであろうか?  
テレビなどでしか見たこと無い本物のシスターがソコに立っていた。  
 
まさか『根暗な巫女さんを見に来ました』  
とも言えない。  
そう考えてると少女がつかつかと目の前のシスターに近づいた。  
何やら二人で話し合いを始めるのを後ろで見つめていた。  
余り話し合いは上手く言ってないようだ。  
と、突然少女がシスターに飛びかかり其のまま冷たい床の上に引き倒していた。  
 
今にして思うと凄まじい光景だが、其の時の僕は本当に、  
只うすぼんやりと何かがプツリと切れた阿呆のように其の光景を眺めていた。  
 
 
少女はやがて抵抗するシスターの修道服に手をかけると、  
まるで乱暴な子供が包装紙を破く様に、びりびりと乱暴に破いていく。  
何かを叫びながら必死にシスターは暴れているが、馬乗りになった少女はびくともせず、  
服を、下着を、身に付けている物を剥ぎ取っていく。  
黒い修道服の下から真っ白な肌と、少し大きめな胸が露になった。  
 
「可哀想だから、フードは残しといてあげるわ」  
ハアハアと少し荒い息を吐きながら少女は額の汗をぬぐった。  
頭に被ったフード以外全てを剥ぎ取られ丸裸にされた修道女は、  
だが、それでも尚、私をここへ連れてきた少女を睨み返していた。  
 
「フウン、まだそんな目をしちゃうわけ? わかったわ」  
そう言い放つと少女はゆっくりと体の下にいる聖女の両胸へと手を伸ばした。  
 
「んっ! ん、くぅ……」  
少し辛そうな声を発し修道女が身を捩る。  
抵抗しようと手を伸ばしているが、その手を払いのけながら情け容赦なく両胸を弄り続けている。  
 
女の子により女の子が襲われている、と、私はぼんやり思った。  
パシンパシンと修道女の頬を打つ音が教会に響く。  
そのたびに小さな悲鳴を上げ、更に少し大きなその胸を馬乗りになった少女は丹念に揉み解していく。  
指先を器用に使い両の突起を淫らに責め抜くたび、修道女は切なげな悲鳴を上げていく。  
 
「そろそろ頃合かしら?」  
馬乗りになっていた少女はにやりと笑いそう呟くと、  
「あ!? アアアアア!!!!」  
下になっていた修道女の口から大きな悲鳴が上がった。  
 
ゆっくりと少女がスカートをたくし上げると、  
そこには存在する筈の無い物が、  
そこに存在し  
ソレは修道女をゆっくりと貫いていた。  
 
無論作り物なのだろう。  
 
だが其れは厳然たる意志があるかの如く。  
修道女の決してオカシテはいけない領域を、情け容赦なくオカシていた。  
 
「い、いやああ!! や、ヤメナサイ!! コノ獣!! 悪魔!!」  
身悶えをしながら必死に逃げようともがく修道女。  
だがソンナ彼女をあざ笑うように、抵抗空しく少女の其れはズブズブと侵食を続ける。  
 
「さあ、どう? 気持ち好いのでしょう?」  
まるで悪魔のような笑みをたたえて、少女はゆっくりと差し込んでいく。  
「ひぃ! んっ! あッァァ……」  
シスターの真っ白だった肌はうす赤色に染まり、  
ワタシはソレをとても美しい物を見るように只ジッと見つめていた。  
激しく腰を動かしながら、少女は残虐な笑みを浮かべる。  
なにやら聖なるモノと、忌まわしい物が交わる、  
つくりものの様な世界に感じられた。  
 
「や、やめ……、お、おねがい……ほんとに……」  
やがてシスターの口から弱々しい悲鳴が上がった。  
 
「ねえ、あなた只見ているだけでは詰まらないでしょう?」  
少女は僕のほうをジッと視ると。  
「面白い物が見たければ、貴方も加わりなさいよ」  
そう言って軽く腰を振って見せた。  
 
ワタシは只もうフラフラと二人の元に近づいた。  
ソレが何を意味しているかとかそういったもの等何も考えられなかったのだ。  
家族や、仕事の事、そのほか色々な事など。  
ヒトとして考える事の出来る理性などそんな物はまるで宇宙の彼方にと、  
置き去りにしてきたような感覚だった。  
 
「そうよ、そんな物は宇宙の片隅にでも置いておきなさい、ねえ」  
そう言いながらクスリと笑い。  
 
「どっちでも良いわよ、どっちにする?」  
そう言って質問してきた少女に対して私の返答は一つだった。  
 
私はゆっくりと。  
 
「あ、ああい、いや! お、お願い! ヤめて!! アアアア!!」  
 
修道女の残っていた穴へと差し入れた。  
ビクビクと激しく痙攣し、やはり私の想像以上の快楽を味合わせてくれた。  
「ひ、ひぎぃ……!」  
「いい声で鳴くわ、コレ、さあ早くモット強く激しく突きなさい!」  
彼女に言われるまま激しく修道女を責め挙げると、  
下の彼女も悲鳴を上げながら、激しく体を動かし続ける。  
「感じてるみたい、相当好き者よコイツ」  
自分自身も修道女を責めながら少女は楽しげに微笑んだ。  
「あ、ああ! う、嘘よ! 嘘よ!!」  
そう否定の言葉を口にはしているが感じている証拠にグイグイと私の物を激しく締め付けてくる。  
「お尻を犯されてイかされてるのに何が嘘よ、アンタこそ嘘つきじゃない!」  
そう言いながら少女は修道女の胸の先端を捻り始める。  
「あ、ああいやあ!!」  
二人に責められながら一際大きな悲鳴を修道女が上げる。  
「ほら! 尻の穴犯されながら逝きなさい! 淫乱修道女!」  
「い、淫乱……あ、ああ、いやああ!!」  
その瞬間オかされていた修道女の体がぎゅうっと激しく収縮し、  
私の物を激しく責め挙げていった。  
如何やら‘淫乱,という言葉を口にして欲情を刺激され、絶頂を早めたらしい。  
ソレに答えるように激しく修道女の中に熱い物を注ぎ込んでいく。  
ドクドクト熱い生命の反流を注ぎ込まれて、  
私の体の下で彼女は虚ろな瞳をしながら精を味わっているかのようであった。  
 
「あー楽しかった」  
 
少女はニコリと笑うとゆっくりと立ち上がる。  
「ありがとう、おかげで面白い物が見れたわ」  
そう言った少女の手にはいつの間にやらなにやら分厚い。  
‘本,のような物が握られている。  
 
ずっとオレと一緒にいた筈なのにいつの間に?  
 
「まあ、一寸面白いって感じで、本当に面白いってわけじゃあなかったけど」  
手に持ったソレをじっと見ると、  
 
「じゃあ、私は行くけど、あとヨロシクね」  
ニコリと笑った少女はパタパタとソレを持ったまま走り去っていった。  
 
「あ、ああ……だめ、それは……」  
その背中に小さく倒れたままの修道女が制止の声をかける。  
 
だが少女は気にしたふうも無く足早に。  
いや、気が付くと最初から存在しなかったかのように。  
その場から掻き消えていた。  
 
我に返ったオレは、自分が何をしてしまったのか、はっきりとソレを思い出し、絶叫しな  
がらその場を逃げだしたのを覚えている。  
 
 
 
オレは今でも後悔している、其れは少女と共に、罪深い事をしたからではない。  
ソレよりモット恐ろしい事を、  
彼女が何が目的で、あの人気の無い教会に行ったのかを思い出したからだ。  
そう、彼女は確かにあの時言ったのだ  
 
オレに  
 
囁くように優しいあの声で  
 
「 『ネクロノミコン』を見に行かない?」  
 
と。  
 
 
 

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