ぐしょぐしょに濡れた若い女の性器が、牡の肉棒を深々と咥え込んでいる。
素早く前後に動いて、その摩擦で互いに快感を与え合う。
潤滑油をたっぷりとまぶされた肉棒も、それに応じるかのように活発に蠢めく。
膣の内壁は肉棒から熱を受けて、じんわりと快楽の色に染まっていく。
性に熟した大人たちのような、激しい交わり、肉と肉の擦りあい。
だが、淫らに交合を続ける女性の尻は肉付きに乏しく、まるで真珠のように若い素肌だ。
そして涎のように蜜を流して悦ぶ女性器が味わっているのは、人間のペニスではない。
森の茂みで激しい性の営みに浴していたのは――森の淫魔と、年端も行かぬ美しい少女だった。
その数時間前。
ピンク色のワンピースを纏った細い肩が、小さく震えていた。
澄んだ瞳をした、整った顔立ちの少女の目の前に対峙しているのは、
多くの触手を揺らめかせ、発情した女の性液を啜る、恐ろしい淫魔だ。
少女の可愛らしい唇がわなわなと震え、細い喉元がきゅっと締まる。
腰掛けた小岩の上で、少女は股間を隠そうと右膝を上げて胸元に寄せるが、
素足が震えて力が上手く入らない。
這ってでも逃げなければならない状況で、少女はその選択肢を選ばない。
なぜなら、淫魔を待っていたのは、他ならぬ少女だったからだ。
剥ぎ取り易いように着衣にはゆったりとしたワンピースを選び、
どうせ濡らされてしまうからと、下着は最初から脱いでいた。
触手に髪の毛が絡んでしまわぬように、
ほどけにくい髪の結い方を、わざわざ村のお姉さんから訊き出した。
絶対に怪しまれるので帰途のために替えの衣服をバスケットに忍ばせ、
財布を落として困っていた旅人に売上金を渡してしまったなどと、
いつもの花売りを装った嘘まで考え出してしまった。
親たる神父様の、誰にでも優しい心を逆手に取って。
泣き出しそうに困惑しているのに、心はこんなにも乱れているのに、
積み重ねた幼い悪事は、残酷なまでに少女の性欲を浮き彫りにする。
そうして少女自身が不安になるほどに事が上手く運んでしまい、
今、目の前には彼女に深い性の快楽を与えてくれた淫魔がいる。
少女の頭の中はぐるぐると暗い渦を巻き、
もはや恐れの対象が何なのか判然としない。
美しく、甘い匂いを放つ可憐な少女を前にして、
淫魔は触手を陽炎のようにゆらりと動かしながら、
性急には標的を襲わない。
数日前に少女の処女を奪ったときには、有無を言わさず若い四肢を拘束し、
器用に着衣を剥いで少女の裸身を舐め擦りまわした。
柔らかな触感を間断なく与え、隠されていた少女の情欲を引きずり出して、
快感に咽ぶ少女の膣に幾度となく触手を挿入して、射精した。
今、少女をねめつけるように触手を動かす淫魔は、あの時と明らかに様子が違う。
淫魔の知能でも、何がしかの状況が把握できるのか。
少女は淫魔の個体識別法など知りようもない。
だが本能で、今目の前にいる淫魔が、数日前、自分の初めてを奪った相手であると理解した。
少女の心の奥底で安堵に似た感情が湧き出し、慌ててそれを抑え込む。
ねじれた理性が、今少女に「淫魔に恐怖しなければならない」という約束を忠実に守らせた。
夜毎淫魔との性行為を思い出して、花びらを熱く濡らしてオナニーに耽っていたなど、
絶対に知られてはならない。
いつも散歩に連れて行っている犬に自分の性器を晒して、秘かに淫魔の代用をさせようとしたなど、
口が裂けたって言えない。
願わくば恐怖にまみれた少女の姿に淫魔の嗜虐心が刺激されて、スムーズに性行為が進んで欲しい。
理性という建前の裏で、少女の淫らな本能が激しく交錯した。
ほんの少し前に15の誕生日を迎えたばかりの少女は、
こんな恐ろしい情欲など知りもしない、清楚で可憐な、澄みきった心をしていた。
今だって、普段は花を手折るにも神への感謝を忘れない、敬虔で美しい心の持ち主なのだ。
その奥底で、少女は熱い性の交わりを知ってしまった。
決して表には出せない、暗い性欲を心の秘所に宿してしまった。
その悲劇を思い、今、少女の美しい瞳は潤み、
初めての性交では流さなかった涙が、今にもあふれ出しそうに目元に溜まっている。
帰れない所まで流されてしまった悲しみに暮れ、少女の美しい顔がゆがんだ。
しかし、その美しい頬を伝ったのは、少女の涙ではなかった。
――淫魔の触手が優しく頬を這って、少女の目尻からそっと涙を吸った。
不思議な感情がじんわりと広がり、さざ波のように、少女の心の琴線に優しく伝わっていく。
今度こそ少女の目は真っ赤に充血し、しゃくりあげるように喉を鳴らした。
異形の心が、ゆっくりと彼女を包み込んでいくことを、少女は感じざるを得なかった。
少女の気付かぬうちに、淫魔への恐怖感は霞のように消えていった。
澄んだ秋空が高々と広がる様子を、少女はぼんやりと眺めていた。
熱を持った触手たちが全身を優しく這い回って少女の身体を温め、
まるで産湯に浸かっているかのように心地良い。
少女の瞳はうっとりとまどろみ、愛撫の快楽を全身で享受した。
少女の花びらは自然と蜜をたたえ、密着した触手にちゅっと音を立てて吸われていく。
淫魔に心を許してしまった少女は、それでも性の知識の乏しさを隠しようがなく、
淫魔の触手たちのなすがまま、身を委ねる事でしか自らの意志を淫魔に伝える術を知らなかった。
そんな少女を、淫魔は玉を転がすようにあやし、大切に扱う。
少女の裸身を隠すにはあまりに心許ないピンクのワンピースを、淫魔は実に巧みに脱がせた。
腰と四肢、それに頭をしっかりと抱いて少女の身体を持ち上げ、
少女の背中に触手をまわして、戸惑うことなくファスナーをおろす。
少女に万歳の格好をさせて、スムーズに袖から両腕を抜き、着衣を引き上げていく。
淫魔のあまりの優しさに、少女は思わず触手に頬を寄せてしまい、甘えたような声を鼻から出す。
これだけ淫魔が器用なら、わざわざボタンからファスナーに縫い直さなくても、
ちゃんとワンピースを脱がせてくれただろうなどと、
少女は今となってはどうでも良いことを思い出した。
着衣がするりと脱がされ、少女は恥らいながらも生まれたままの姿を淫魔に晒した。
やがて四肢と触手が滑らかに絡み合って、
少女から、性的な興奮を示す鼻息が漏れ始める。
獣欲のかぎりを少女にぶつけ、泣き叫ぶ顔などお構いなしに陵辱することは、
淫魔にとって本来の好みでもあるし、実にたやすいことであった。
しかし、標的にも快楽を与えなければ挿入しても膣は濡れず、絶頂時の収縮も無い。
そのため、射精の快感が十分に得られない。
そればかりか、不用意に振動を与えたり、標的を逆さづりにしたりすると、
女性の内耳にある三半規管とやらが乱されて、酷いときには吐瀉物まみれにされてしまう。
触手で持ち上げて犯すにも、淫魔なりの工夫と技巧が必要なのだ。
特に人間の女はなまじ知性が高いから、抵抗したり泣き叫んだりと面倒でたまらない。
やっとの思いで篭絡して飼ってやっても、理性が戻る度に怒りをぶつけられてまたやり直しだ。
交尾は狂ったように受け入れるくせに、発情させなければ従順にならない。
淫魔には自然と、人間の女性を発情させてから犯し、使い捨てにする術が身に付いていた。
だが目の前にいる少女はどうであろう。
確かにおびえたふりはしているが、自ら発情して、腰をくねらせて懐いてきた。
最初の時から感度も良く、お互いに絶頂と射精を繰り返し、甘い交尾を心ゆくまで堪能した仲だ。
快感が忘れられなくて、再び性器を擦って欲しくてノコノコと森までやって来た、それは分かる。
だが、自らの情欲にさえ怯え震えているような、そんな幼い少女が時折見せるしぐさは、淫魔にさえも不可解だ。
人間の涙というものが好きではないので触手で吸い取ったら、白い手を添えて大事そうにさすってくる。
邪魔な衣服を脱がせるために身体を持ち上げたら、緊張を解いたのか瞳を閉じてその体重を預けてくる。
性感とは異なる気持ち良さを感じているらしく、そっと自らの肌を寄せて触手の温もりを確かめようとする。
膣から蜜液が大量に分泌されているから、性的に高まっているのは理解できるが、
この少女、こともあろうに触手の腕の中でとろんと居睡りすらしかねない状況だ。
人間の女とは、欲情してまでも果てなく身勝手なものなのか。
どろりとした本体の粘膜の奥底で、淫魔が珍しく憤っていた。
だが、若い牝は分泌液も旨いし卵子も新鮮なので、扱いにくいと解かっていながら襲ったのだ。
おいそれと殺すわけにもいかない。
感じやすそうなところを小刻みに責めて、少女の性感が眠気に勝つ時をしぶしぶと待った。
「んんっ」と、喉を反らせて少女が敏感に反応する。
少女が膣口から流す蜜を、触手がクリトリスごと舐め擦ったのだ。
心地良く水面に浮かんでいた意識が、急に水底へと引き摺り込まれたような気がして、
少女は驚き脚をばたつかせた。
そんな少女の気持ちとは裏腹に、腿の付け根に息づくめしべは、
触手との熱い抱擁を求めて痛いほどにツンと立っている。
少女の花びらは触手との淫らなくちづけを求めて、
さらなる蜜を垂らしてひくひくと啼いている。
もう少し間、温かな触手の愛撫に包まれていたかった少女は、
理性と下半身の乖離にむずがって、駄々をこねるように軽く身をよじる。
それでも、触れるか触れないかの近距離で、しゅっしゅっと女性器に溢れる蜜をすくい取られ続けると、
甘い感覚に酔いしれた腰がぴくりと跳ねる。
少女も、だんだん触手との交尾が我慢できなくなってきた。
膣の中を触手で満たして欲しい。内壁が触手との再会を待ちわびて、きゅっきゅと締まる。
途端に物足りなさが身体の奥底から湧き出し、
少女は先ほど涙を吸ってくれた触手に、静かに口元を寄せていく。
薄桃色の小さな唇をうっすら開けて、
瞳を閉じて触手にそっと触れ、
ちゅっと唇を押し付けた。
生まれて初めてのキス。
少女はちょうど良い厚さの唇肉を僅かにすぼめ、いつくしむようにそっと触手の先端を吸い上げた。
淫らな気分を味わいたくなって、可愛らしい舌をおずおずと伸ばして、触手の粘液を丁寧に舐め取る。
意外にも蜂蜜のような甘い味が口の中に広がり、少女は覚えたてのキスを夢中になって触手に浴びせた。
ところが、触手は挿入はおろか、性器も満足に擦ってくれない。
最初のときは嫌がる間もなくクリトリスと小陰唇に密接し、複雑な動きを与えて少女を快感にわななかせたくせに、
今日は内腿を撫でさすっては時折膣口に触れて蜜を吸うだけで、少女の花びらもめしべも、お預け同然だ。
――きっと意地悪をしてるんだ。
少女は淫魔の行動を、そう理解した。
こんなにも信頼しきって身も心も預けているのに、
幼児のように甘えてなすがままにされているのに、
淫魔は私の大事なところを愛撫してくれない。
きっと淫魔は、淫らな私に意地悪な罰を与えているのだ――。
今ここで淫魔に見放されてしまったら、少女は本当に天涯孤独になってしまう。
切迫した少女の性欲は、彼女の生存本能をも刺激した。
村から遠く離れた場所で、欲に溺れるいたいけな少女。
彼女を煩悩へと駆り立てた性戯の相手が自分を捨ててしまったら、
少女の居場所はこの世から一気に失われてしまう。
筋の通らない理屈に築き上げられた少女の良心が、自分の恥ずかしい行為を責め立てる。
少女はえっえっと声をあげ、ついに泣き出した。
もうこれ以上、どうすればいいのか分からない。
ただめそめそと鼻を啜って泣きながら、少女は触手から流れる甘い蜜を、舌を絡め唇で吸った。
今度も触手が涙を吸ってくれた。
でも、ちょっとばかり乱暴にされて、ゴシゴシ擦られたので目が痛い。
少女の心に、変な不満が残った。
ぷうと頬を膨らませ、抗議の意を顔に出そうとしたその時だ。
触手が少女の花びらにむっちりと密着し、めしべに深く優しいキスをした。
淫らなくせに泣き虫の少女に呆れ果てたのか、
それとも淫魔にも性の余裕がなくなってきたのか。
途端に萌え上がるような快感が身体中に芽吹き、少女の目がカッと大きく見開かれる。
歯を食いしばって衝撃に耐えようとするが、あっという間に性の激流に飲み込まれた。
少女は、クリトリスにキスをされただけで、びくびくと腰を震わせてあっけなく絶頂した。
ものすごい力が背筋に走り、呼吸が止まって全身が緊張する。
突然のオーガズムの喜びが脳内を駆け巡る。
んんんっという唸り声を上げた数秒間、この世のものとも思えぬ快感に、少女は溺れた。
やがて力が抜け、息を切らせて肩を波打たせる。
若い少女の生温かい吐息が、見つめるように様子を伺う触手に降りかかった。
まだ少女のクリトリスは震えていた。
ちょっと触れられただけなのに、神経を剥き出しにされたように赤く充血し、
ひりひりと痛むほどだ。
もう我慢がならない。一刻も早く交尾がしたい。
少女はあらん限りの力で腰を振って性のおねだりをした。
淫魔はもう意地悪をしなかった。
触手がうねって少女の股間へと伸び、もう一度、めしべと蕩けるようなくちづけを交わした。
少女は喜びにわなわなと震え、恥じらいながらも腰をくねらせて、触手を膣口へと導く。
やがて触手が少女の小陰唇にむっちりと貼り付き、花びらの奥へと、深く深く繋がっていくのだった。
(了)