「………ひぅっ!」
だんだんと暖かくなってきたある日。あたしは再び痴漢に遭った。
あの冬の日に遭った時とおんなじに、他は一切触らないでクリトリスだけ一点集中。
前置き無しに襲ってきた刺激に、あたしは声を抑えられなかった。
声に反応してか周り中から注目されて、あたしは顔が真っ赤になる。
「……うぅ、すいません。な…何でも…ないんですぅ……」
あたしは周りの視線から顔を守るみたいにうつむいて、ぼそぼそとそれだけ口にした。
いつもは声が大きいって注意されるくらいなのに、それしか言えなかった。
他の人の視線がなくなっても、あたしは熱く感じるくらいの真っ赤な顔でうつむいたまま。
「(ああぁ…、だれ触ってるのぉ…! スカートもっ…そのまま、なのにぃ…どこから……っ…?)」
突然始まった刺激はそのまま収まらないままで、びりびりってあたしの一番感じるところを刺激し続けてる。
自然にうつむくくらいに歯を食いしばって声を我慢してるあたしには、特に違和感のないスカートの前面が映ってる。
どこから手が伸びてて触ってるかわからなくって、あたしにはただ耐えるだけしかできなくて。
「……ぅ〜……、ふっ……っ!(なんでっ、そこだけっ、…ぁ〜…弄るのよぉっ…!)」
いつか味わったのと同じように刺激してくるけど。あたしの方があの時とは違ってて。
あの日から自分でも頻繁に弄るようになったクリトリスは、どんな風に弄られてるか伝えてくる。
大きめのビーズみたいな突起なのに、器用につまむみたいにして小刻みに揉みこまれてる。
「ぁ……ぁぅ……っ! はぁ……ぃっ……んぅ〜……(あたしの指じゃ、そんな弄り方なんてできないのにっ!)」
……あたし自身の身体も違うのに。
頻繁にオナニーするようになったあたしは、ずっと快感を受け入れやすくなってる。
それまではある程度弄ったら止めてたのに、アレからはイッちゃうまで続けるようになっちゃってて。
それなのに……こんな、エッチな気持ちになるときはいつも思い出してる刺激を続けられたら、もう……。
「ぁ! ぁぅ……ぁぅぅ〜、んんっ……ぅぁ〜!(もう…、そこばっかり弄っちゃ…ダ、メぇ〜!)」
必死になって噛みしめてた口からも声がもれちゃう。周りにも、聞こえちゃう……。
止まらないピンポイントの刺激に、この刺激から自慰好きになったあたしが耐えるのは無理だった。
勝手に跳ねた腰は後ろにいるサラリーマンの男性にぶつかってるし、前かがみになった頭は前の人の背中に押し付けてる。
そんなに激しく動いちゃったし、我慢してて、うわずった声も漏らしちゃってるあたしは相当見られてたと思う。
「〜〜〜! んんっ……、ふぅぅっ……、ぃゃ……!
(やぁ〜。もう……イッたのにぃ……! 痴漢の指ぃ…く、クリから……、離れてぇ…くれないぃ〜……)」
でも、あたしにはそれは確認したりはできなかったんだ。
だって……痴漢の指はクリトリスを弄り続けたままで、イッたばかりのあたしをさらに責め続けてきて。
声をどんどん漏れ出すし、腰も勝手にひくみたいに動いちゃって。もう、抑えられない……。
「(もう許してぇ…、こんな所で…周りに人がいるのに、いつまで続けるのぉ……?)」
…………
……結局、降りる駅までに指は離れてくれたけど、あたしは恥ずかしくって顔も上げられなかった。
もうこの時間のには乗れないかな。…………また、思い出しちゃいそうで。