>>567は、ある扉の前に立っていた。
無機質なドアノブを見つめ脳裏に浮かぶのは、自らが発した卑猥な言葉、喘ぎ声、甘い疼き。以前此処で行った行為。
名も知らぬ彼は、結局最後まで彼女の処女を奪おうとはしなかった。
そういう性癖なのか、あるいは彼女の懇願を律儀に聞いてくれたのか。―――お願い、処女は、恋人に捧げたいの。
代わりに身に刻まれたのは、考えられない程の快楽。本来の用途ではない使われ方をされる背徳感、羞恥。脳天まで突き抜ける甘美な痺れ。知らなかった世界。薄れていく恋人の顔。
彼女はまた、此処に来てしまった。
ゆっくりと、ドアノブに手を掛ける。鍵は開いていた。
心臓が早鐘を打つ。頭がくらくらする。じわりと、蕾が熱を帯びる。蘇る秘め事の記憶。甘い疼き。
廊下を歩き、リビングに出る。ソファに一人、恋人ではない男。
微笑む彼。全てを見透かされているようで、思わず腰から崩れそうになる。
「―――ほ、」
漸く出た言葉。続かない。その単語を口にすることに未だ抵抗があるのだ。
だが彼女は、自覚している。もう自分は、後ろでないと満足できない。
意を決し、そして口を開く。
「ほじくってよケツまんこ」