自分の筆不精を言い訳にするつもりはないけれど、そもそも電話をはじめメールが発達した現代では手紙なんて書く機会はついぞこの歳になるまでなかったのだから、君が書くほど情緒も何もないのを先に謝っておきたい。
もっとも、その電話やメールでさえロクに、君相手でさえしなかったことも謝らなければいけないのかもしれないけれど。
初めから謝罪ばかり並べてしまう卑屈な私に辟易としているかもしれない。また一言で済むはずのことを長々と書く文章力のなさにも。
どうしても言い訳がましくなってしまうが、これでもう六枚もの便箋をムダにしてしまった。
言いたいこと、言わなくてはいけないこと。
聞きたいこと、聞かなくてはいけないこと。
心にはたくさん浮かんできて、とてもじゃないか私には上手くまとめられそうにもない。
ただ私は。
私、と書く時点でなんだかもううそ臭いから、俺と書かせてもらう。
俺は君の問いに答えたい。
口に出来ないことも、文章でならば伝えやすくなるとは確か小さい頃に学校の国語の先生に教えてもらったこともあったように思うけれど、確かにその通りだった。
先ほど六枚も便箋をムダにしてしまったと書いたが、そのどれもに我ながらどうかと思うような、芝居がかった、うそ臭い、歯の浮くような言葉を並べてしまったのだから。
だからこそ、俺は君の問いに文章ではなく、自分の言葉で答えたい。
たくさん待たせて、確かにバカだとは思うけれど、俺は君に言いたいことが確かにある。
君が思うよりは多分単純な、つまらない理由で隠していたことが。
君の言う物語の中の『幼馴染』達のようにきれいにはいかなかったけれど、せめて最後くらい、格好付けさせて欲しい。
これでも俺は男だから、女の子の前で格好つけたいと思うのだから。
『幼馴染』なんて言葉に縛られて、そして単に照れくさくて、臆病になって隠していたことを。
追伸
これ読んだら窓を開けて欲しい。
いまはただの君の『幼馴染』より