☆魔鬼貝☆  
 
極めて大型の半水生の巻貝の一種。  
丸々とした貝殻を背負って這いまわる姿はユーモラスですらあるが、実際は凶暴な肉食性の生き物であり、  
その姿からは意外なほどの俊敏な動きと神経毒、そして体調の数倍の大きさに広がる外套膜で  
獲物を絡め取り、消化液で体組織を溶かしながらゆっくりと捕食する。  
またその餌食には人間も含まれる。  
更に彼らの捕食は、その繁殖行動と密接なつながりがあり、捕食した生物の性器や精巣を消化せずに体内に取り込み、  
体内で「自らの遺伝子を乗せた、その生物の精子」を作る器官に作り変える。  
そしてさらにその生物と同種のメスを犯して、自らの仔を生ませるのである。  
そのおぞましい習性には、発見した研究者たちも唾棄を禁じ得なかったという。  
今回この生物が発見されたのは、先日の嵐で座礁した民間の連絡船である。  
発見したのは救助に向かった沿岸の商業組合に属する自警団で、辛うじて水没せずに残っていた船に  
生存者の確認のために乗船した所、この生物と遭遇。  
直ちに駆除を行い、並行して「犠牲者」の保護を行った。  
 
                 ◇  
斜めに傾いで端が水没しつつも、辛うじてそれ以上の水没を免れた船の一室。  
その中では、まさに地獄の様な光景が展開されていた。  
破れた船底から侵入してきた巻貝が、雌の匂いにつられて水際から這い出して来たのである。  
逃げようにも出口は無く、やけを起こし貝を突破して水中から逃げようとした何人かが麻痺毒を打ちこまれ、  
生きながらにして絶望の表情のみを浮かべて貪り食われるに至り、人々の恐怖は頂点に達する。  
やがてその狂騒が収まり、生存者が幾人かの女性を残し食い尽くされた後、更なる地獄が幕を開けた…  
 
繁殖能力のある若い女達は、食べられない代わりに成す術も無く犯され、その胎に穢れた胤を宿されてゆく。  
半ば水没した、ほんの20メートル足らずの狭い空間に、女たちの悲痛な叫びと、生臭い性臭が立ち込めていた。  
 
「ひっ!い、嫌ぁあっ!!来ないで、来ないでぇぇ!!」  
 
半狂乱になって叫びながら、ホットパンツの少女が、這い寄ってくる巻貝を  
そのすらりとした足で蹴りつけ、必死に押し返そうとしている。  
だが、巻貝の腹足はぴっちりと床に張り付いてなかなか離れない。  
やがて何度もそれを繰り返している内に腹足が僅かに床から持ちあがり、蹴り続けていた少女の足の裏に  
ずるり、と何か貝殻とは別の堅いものが触れ、親指の股に潜り込んだ。  
貝の粘液に塗れ、堅く屹立したそれ。  
ただれたように紫色に変色し、一般的なそれよりも大きくなってはいたが、  
それは紛れもなく、人間の陰茎に他ならなかった。  
 
「ひぃっ!!」  
 
知識でしか知らないそれの形とおぞましい感触に気を取られた一瞬、巻貝は想像もできない速さで  
腹足と殻の隙間から外套膜をひろげて少女の下半身に巻き付き、蹴りを放とうとして発生した  
両足の隙間に流れ込むように侵入して行った。  
 
「や、やめ…入ってこないで…うあ、あぁ〜〜〜〜っ!!」  
 
悲痛な叫びを上げながら、被虐の相を浮かべ悶える少女。  
その姿から、取り付いた巻貝がその下で少女に何をしているのかは明白であった。  
 
「あっ、あっ、あ゛〜〜〜〜〜」  
 
そのすぐ傍では、艶やかな栗色の髪を三つ編みにした幼い少女が、四つん這いになりながら虚ろな表情で、  
半開きの口から涎と共にうめき声を漏らしていた。  
その腰から下には小さなスイカ大の巻貝が張り付き、広げた外套膜がスカートの様に臀部を覆っている。  
その中で起こっている事は窺うことはできないが、それでも少女の声や表情、  
そしてぼっこりと浮き出た下腹部の中で、前後に激しく蠢く何かを見れば、  
いかな仕打ちを受けているかは明白だった。  
やがて少女の下腹部の動きが止まり、その中から何か粘性の高い液体を搾り出す「じゅーっ」という音が聞こえてきた。  
 
「あ゛、お゛あぁぁぁ……」  
 
幼い子宮に精液を詰め込まれ、すでに風船のごとくパンパンに張っていた下腹部がまた僅かに膨らむ。  
それは巻貝の射精の量が桁外れであることを意味し、そしてそれが一度や二度ではなかったことも明白であった。  
それで満足したのか、巻貝は外套膜を殻の中にしまい、しばらくして少女の尻から剥がれ落ちた。  
 
その仰向けになった腹足からは、先刻の少女が見たのと同じ、よりグロテスクに変異・膨張した  
人間のペニスが生えていた、ただし二本も。  
 
「ん……はあ…ぁ……」  
 
大人にとってすら暴力的な大きさの怪物ペニスを、その未熟な体で前後の穴にくわえ込んでいた少女。  
表情の失せた呆けた顔でか細い息を続ける彼女の肉穴は閉じることを忘れ、  
中から未練たらしく白濁液を吐き出していた。  
 
 
「ピギィィィィィィ!!」  
 
炭壺に挿して熱しておいた、赤く光る槍の穂先が、スイカ大の巻貝の殻に突き刺さる。  
より大型の個体ならば、戦鎚の一撃からすらほぼ完全に身を守るこの殻も、水分を蒸発させてしまえば脆いものだ。  
巻貝は中途半端に人間に似た忌まわしい断末魔の声を上げて苦しげに身をよじり、  
やがて動かなくなった。  
「やったか?」  
「ああ、見てのとおりさ。ちゃんとくたばってるよ。」  
「気を付けろよ、麻痺針をかすりでも食らったら動けなくなる。悪くすりゃ後遺症だ。」  
 
自警団が近隣住民からの「難破した船が居る」という通報を受け駆けつけた時、  
海難事故から実に48時間近くが経過していた  
 
通常の救出任務と思われたそれは、船内に上陸した団員の一人が巻貝の毒針で負傷したのをきっかけに、  
大幅な計画の変更を余儀なくされていた。  
船が座礁した暗礁は、殺人巻貝の繁殖地だったのだ。  
既に時間が経ち過ぎていた事もあり、とりあえず即席の対巻貝用の武器を作り対処することにした自警団は、  
遂に生存者の居る、件の部屋へとたどり着く。  
そこの惨状は、やはり彼らの予想を裏切ることは無かった。  
 
生存者は例外なく臨月の様に丸々と腹を膨らませ、にもかかわらずその大半は腰に巻貝が取りつき、  
未だ精液を送り込んでいた。  
巻貝が立錐の余地も無いほど床に、壁に、天井に這いまわり、しかもおぞましい事にその中にはレモン大の、  
明らかに事故の後に「産まれた」小さな稚貝が少なからず混じっていた。  
 
「うぁ…あ、ぅ ぅ、産まれるぅ……」  
 
部屋の奥から、か細い声が聞こえて来る。そこにはパンツの名残の端切れを腰に纏わせた若い少女が  
壁に寄りかかり足を投げ出していた。  
やはり巻貝によって孕まされており、膨らんだ腹は内側から不自然に蠢いている。  
その声が荒々しく弾み始め、やがて高く上ずり始めると、一個。また一個とその股倉から勢いよく、  
堅い殻を持つ稚貝が飛び出してきた。  
 
その後、生存者は全て救出され、船は油をかけて焼き払われた。  
生存者に堕胎処置を行うという案もあったが、稚貝による二次被害の危険を考え断念。  
そのまま全て出産させ、その場で駆除するという方法が採られた。  
どちらにせよ、生存者の精神に深い傷が残ったのは想像に難くは無いだろう…  
 
 
 

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