「ふふふ、どうしたの? 後すこしじゃない」  
女がくすくすと笑う。  
長い黒髪に、大きく胸元のあいた衣装を身にまとった女が。  
 
その女の向かい側には一人の少女が座っている。  
眼鏡をかけ、髪をみつあみにした大人しめな印象の少女だ。  
目線を下に向けている。  
 
少女と女の間には、  
一つの将棋盤が置かれていた。  
二人は大勢の人間の見守る中、将棋を指していた。  
 
「早く打ちなさい、じかんがないわよ?」  
女は再びくすくすと笑う。  
だがそれには答えずに少女はただ黙ってじっと将棋盤を見つめていた。  
少女は追い込まれていた。  
 
小学校の頃より将棋をはじめ、気がついたら、  
女流名人として大勢の人間に名前が売れ、注目を浴びていた。  
『天才美少女棋士』 として大いにマスコミを賑わわせたそんな彼女は今、  
大勢の男たちの下卑た視線をうけ、窮地に追い込まれていた。  
 
「頑張りなさい、もう少しで貴方の大切なお姉さんを取り戻せるし、お金だって手に入るのよ」  
女が囁く、それはわかっている。  
 
数日前に無理矢理ここに連れてこられて、親の莫大な借金をタテに無理矢理、こうして座らされている。  
 
『勝負に勝てば、親の借金をチャラにしてもらえ、姉も無事に戻ってくる』  
だが、負ければ。  
 
『姉共々集まった男たちに体を捧げなければいけない』  
 
額に汗がスーッと落ちる。  
少女は、盤面を見つめたまま、時が止まったように動けないでいた。  
 
「時間切れで負けるつもり? 別に構わないけれど」  
カチャカチャと手で自分の持ち駒を鳴らす女。  
 
この女とて条件は同じだ。  
負ければ男たちのレイプが待っている。  
 
女が、後十数手を待たずして、投了となるのは、少し将棋を知っているものなら誰の目にも明らかである。  
少女の勝ちはほぼ間違いなく決まりだ。  
 
ならば、なぜ、彼女は動けずに、じっと盤面を見続け、勝負を続けないのだろうか?  
 
「う……、くっ……!」  
 
突然少女が低い悲鳴を発する。  
 
と、同時に。  
 
トロリとした体液がやがてツーっと太ももをつたいたれる。  
 
少女の秘部にはたっぷりと媚薬が塗られ、リモコン式のヴァイヴレーターが装着されていた。  
 
それは、対局中ずっと少女の下半身を攻め続け、  
そしてまた、この装置の恐ろしいところは、  
『取られた駒により、中から媚薬が噴出し、振動が激しくなる』ことである。  
 
どんなに勝負で勝っていても、絶頂を迎えてしまうと、その場で即敗北を喫してしまう恐ろしい掛け将棋なのだ。  
 
少女が次の手を打つと、次の手で女は少女の‘竜王,を取りに来るだろう。  
そうしたら、どれほどの衝撃が自分の身に起こるか。  
考えただけで、少女は恐ろしく、次の手が打てずにいた。  
だがこのまま手を拱いていては、結局時間切れで負けてしまう。  
(うう、どうしたらいいの?)  
少女はつらい息を吐きながらじっと盤面を見続けていた。  
 
一気に勝負をつけるにはあまりにも犠牲が大きい。  
 
少女の体では耐え切れず、みっともない姿を大勢の男たちの前に晒し、敗北してしまうかもしれない。  
 
時折、会場に設置されたモニターに少女の何も身に付けていない下半身が大写しになる。  
 
そのたびにその恥ずかしさで羞恥心を煽られて、絶頂へと少女の体が導かれてしまう。  
 
チラリと少女は相手の女を見つめる。  
 
相手の女とて条件は一緒のはず、股間には忌まわしい‘器具,が取り付けられて、今もジクジクと嬲られているはずだ。  
 
「あ……あの、と、取引をしませんか?」  
 
堪らず少女は目の前の女に言葉をかける。  
 
「あら? 何かしら?」  
 
震える声で少女は弱々しく瞳を向ける。  
 
「こ、このままだと、私が九手で勝ちます……これはもう覆し様が……ありません」  
「ふーん、で?」  
「は、は……い、なので、あ、あなたに私の勝ち分のお金の半額を払いますなので……」  
「手加減しろってこと? 」  
少女はただ黙ってコクリと頷く。  
 
「ダメね」  
 
だが返答は無残なものだった。  
 
「ハナから私は将棋ではあんたに勝とうとはしてないあんたにダメージを与えるように戦ってた、諦めな」  
「あ、う、う、くっ……」  
待ち時間いっぱいとなり、少女はおぼつかない手で、  
パチリとコマを動かす。  
自身の金将を動かし、相手の王将の傍の桂馬を取る。  
 
「お、おおうう!!」  
その途端、女は大きな悲鳴を上げる。  
一瞬びくりと少女は体を震わせる。  
どうやら女の‘装置,が働いたらしい。  
(お、お願い! このまま我慢できなくなって!!)  
少女は祈るように目の前の女を見つめるがしばらく快楽に身を震わせた後、女はニヤリと笑う。  
 
「やってくれたわね、じゃあ、私の番ね」  
「あ、ああ……」  
 
少女の小さな体が震える。  
 
(あ、あともう少し! あともう少しで勝てるんだから耐えなきゃ!)  
 
歯を食いしばり、全身に力を込めて、襲いかかってくるであろう、波に耐えようとする。  
だが波はなかなかやってこない、やがて、力を抜いた正にその時。  
「じゃあ、私はこれ」  
パチリと、少女の最も恐ていた手。  
少女の竜王に手をかける。  
「ああ! ま、待ってください!!」  
思わず少女が悲鳴を上げた瞬間。  
 
少女の股間に凄まじいまでの電流が流れる。  
 
「う、ひ!! ひぎいいいい!!」  
股間を必死に抑えながらなんとかその衝撃に耐えようともがき続けるが、  
媚薬と刺激により、極限まで責め抜かれている少女の秘部は、その責苦を耐えられるものではなかった。  
 
「あああ! し、死ぬ! 死んじゃうう! と、止めてくださいいい!」  
のたうち回り股間を押さえつけながらびくびくと激しく腰を振り続ける。  
やがて。  
「あああ! も、もうだめ! 負けました! 負けました!!」  
 
大声で自らの敗北を受け止めた瞬間、絶頂の激しさに、少女の股間より彼女を攻め続けていたヴァイブがごとりと落ちる。  
 
あまりの激しさにビクビクと、小刻みに痙攣を繰り返しながら少女の意識は深い闇へと落ちていった。  
 
 

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