「そういえば、方言言わなくなったよな〜お前」
「ん?」
「方言だよ、ほ う げ ん 」
「何を今更…、 10年以上ここで暮らしてんだから当たり前でしょうが」
「でもお前、昔はバリバリ関西弁だったじゃん?」
「まぁねぇ、小学校上がるまでは向こうに住んでたし」
「こっちに来てからは、それが原因でちょっと馴染めなかったし」
「あ〜、あったなぁそんなこと、でも、割とすぐに馴染めてたじゃん?」
「まぁ、どっかの誰かさんが親切丁寧に教えてくれたからねぇ?」
「おかげで学校に馴染めたし、友達も沢山できた」
「へ〜そうなん?」
「その誰かさんはあたしが方言でからかわれてたら、助けてくれたりしてね〜」
「へ〜そうなん」
「さらにその誰かさんは、色々と悩んでたあたしを励ましてくれてね?」
「へ〜」
「うれしかったなぁ… 『あいつらに何かされたら何時でも言え!俺が守ってやる!』って言ってくれて」
「誰かさんもからかわれたのに、そんなの関係ないって言ってくれて、うれしかったなぁ」
「御陰で、標準語しか喋れなくなっちゃったよ〜?」
「ほんまかいな…」
「ほんまやでぇ〜?うちがいまここにおるのもそのどっかの誰かさんのおかげやし」
「あとごめん、その似非関西弁やめてな? 聞いてると虫酸が走るんやわ」
「おまえ、イントネーション完璧じゃねぇか…」
「え?なに?聞こえない?」
「嘘付け!」