私は年に何回か平和記念館に行く(停戦記念日は込むから私はあえて行かない)
すると私と同じような退役軍人必ずいる。
停戦以来会っていなかった戦友と会うことも多い。
そしてエルフの元戦士も必ずいる。
元戦士のエルフと話すと毎回、不思議な気持ちになる。
あのころはお互い憎しみ合い殺しあった仲であるのになぜか昔からの友人のように思えるのだ。
時の流れとは凄まじいものだと実感した。
200続いた200年戦争は完全に終わり平和な時代になったと実感している。
今では、エルフが街中で歩いていてもおかしくはないし
人間とエルフとの夫婦も珍しくはない。
たが私は1つ気になることがある。
もっとも戦闘が激しかった『二〇三平野の戦い』の戦場跡に出かけたときの話だ。
もちろん私もこの戦いに参加している。
まだ戦車や大砲があちこちに残っていて少し気分が悪くなった。
そこへ修学旅行の学生が続々と訪れてきた。
すると学生がありえない行動をしたのである。
戦車をバックにピースサインをし写真を撮ったのだ。
戦場跡でそんなことをする神経が理解できない。
ただ1つ理解できることはこの戦場跡は観光地になってしまったことだ。
時の流れは全て流してしまったのだろう。
後数十年もすれば完全にこの戦争は忘れ去られまた戦争をするのではないだろうかと
私は心配でしかたがない。
エルフの戦死と人間の兵士が血を流し掴み取った『平和』を私たち維持し続けなければならない。
著者紹介 エ・ロゲ 王国暦 2300年〜2350年 軍人・戦場カメラマン・評論家。王都生まれ。
王国防衛陸軍を経て2039年に戦場カメラマンに転身 デビュー作の写真集『エルフと会ったらサヨヲナラ』が
国王賞を受賞した。2050年にエルフの森で山賊に襲われ愛用の拳銃で自殺 その後山賊狩りが始まったが逮捕
された山賊は異様に少なかった。
作品に『地獄の森』『無能指揮官』『硝煙の香り』『二〇三平野』『エルフ女と気持ちイイsexのやり方』などがある
本文は『消えゆく戦争の記憶』によった。