「こらぁ! もおっ! 起きろったら起きろ〜!」
ベッドの上にのしかかって、体をゆすってくるセーラー服は、幼馴じみの星菜。
どうせなら、もっと色っぽく起こしてもらいたいものだが、それはともかくとして。
朝めしも食わずに家を飛び出し、梅の花の香る通学路を、ふたり並んで走る。
「あんたのせいで、私まで遅刻じゃないの!」
「だから、勝手に先に行け、と言っただろうが」
「あんたって人は、また、すぐそんな風に……」
赤信号で、星菜は立ち止まり、人さし指をピシッと突きつけ、何か言いかけた。
その時、ふっと風が吹き、星菜のスカートがめくれあがって、縞パンが見えた。
星菜は「きゃあっ!」と叫んで、スカートを押さえ、ほほを真っ赤に染めながら、
「み、見た?」
「ああ、見たよ」
「責任、とってよね……」
――――という妄想をしながら登校した。実際には星菜は幼馴じみではない。
午前中の授業も終わって、昼休みになると、クラスメイトの星菜が寄ってきた。
「おいしそうだねぇ! おべんとー」
星菜はいつも腹をすかせているが、この細い体の、どこにそんなに入るのか。
「このエビフライなんて、特に……」
「一本たりともやらないぞ、念の為」
「ううっ…… けちっ、けちんぼっ!」
星菜は唇を尖らせ、ぷいっとソッポを向いたかと思いきや、キラッと目が光る。
音速で狙ってきた指を、完璧にブロック、本体ごと撃退すべく手を突き出した。
ふにゅっ 「ん?」 もみもみ
一瞬の後、星菜は手を払いのけ、ほほを真っ赤に染めながら、胸を押さえて、
「ど、どこ触ってんのっ」
「ああ、すまん」
「責任、とってよね……」
――――という妄想に耽りながら昼めしだ。実際には星菜は同じ組ではない。
午後の授業も終わって、部室に行ってみると、ブルマ姿の星菜が眠っていた。
机の上に横たわり、夕暮れの光線にくるまれて、すやすや寝息を立てている。
幼い寝顔を覗きこんで、前髪を撫でると、うっすら両目が開き、それから突然、
「きゃっ、やめてよっ!」
何を誤解したんだか、星菜は飛び起き…… バランスを失って、落下してくる。
ガターン 「うわっ」 むぎゅっ
目の前をブルマの赤い布でふさがれ、星菜の股間に押さえこまれてしまった。
「#$%&!」
数秒後、ほほを真っ赤に染め、星菜は飛びのいて、太ももの付根を押さえた。
床にぺたんと座りこみ、しばらく沈黙したかと思えば、じわりと瞳をうるませて、
「あ、あのさ……」
「ん? 何だ?」
「責任、とってよね……」
――――という妄想をしながら下校した。実際には星菜は同じ部活ではない。
自宅にたどりつき、玄関の扉を開けてみると、何者かが侵入した形跡がある。
銃を抜いて、ゆっくりと暗闇の中を進んでいく…… 浴室の灯りがついている。
深く呼吸を整え、ガラス戸を蹴り開けてみると、星菜がシャワーを浴びていた。
「あっ、おかえりなさぁい! ちょっと借りてるよ〜」
「シャワーなら母船のを使え、と言っただろうが!」
「いいじゃん、堅いこと言いっこなし! 戦友でしょ」
「少しは地球人を見習って、慎みというものを……」
「だから、学校じゃ目立たないようにしてるでしょ?」
その時、湿気のせいか、ゲトッボの端末がめくれあがって、ラダフゥが見えた。
星菜は「きゃあっ!」と叫んで、ゲトッボを押さえ、ほほを真っ赤に染めながら、
「み、見た?」
「ああ、見たよ」
「責任、とってよね……」
――――というわけで、星菜とつきあうことになったんだが、味気ない話だね。