一見すると、その生物はまるで「エイリアン」に出てくるフェイスハガーのようだった。  
 
というより、まるでそのもの。  
 
なぜか都心から少し離れた真夜中の静かなベッドタウンの、  
 
排水溝から這い出てきたソレはある匂いを嗅ぎつけると  
 
信じられない速度で走り始めた。  
 
 
愛友美(あゆみ)は大学生だった。  
 
髪はロングの薄味がかかった茶色。  
 
肌は色白で中肉中背。むっちりした感じで胸などのスタイルもそこそこ。  
 
大学の学科は、適当に決めた文学部のひとつ。  
 
学科の中では、イケてる女子グループに属しながら、言われたことはキチンとやる。  
 
周りの女の子みたいに男漁りするより、大人しい系の女の子とまったり遊ぶのが好きだ。  
 
そんなどこにでもいる大学生の愛友美が、ソレと出会ったのは、  
 
女子会の帰り、家から僅か800mの道だった。  
 
愛友美の悲劇は、最初猫かと思ってしまったこと。  
携帯をいじっていて反応が遅れたこと。  
 
周りに人が居なかったこと。  
 
だから気付いた時には、飛びかかってきたソレ、に顔面に張り付かれていた。  
突然のことに  
「やぁっ……!!」と  
悲鳴を上げながら引き剥がそうとする愛友美。  
 
しかし愛友美の頭をガッチリホールドしたソレは、びくともしない。  
 
それでも抵抗を続ける愛友美が、叫び声で助けを求めようと、口を大きく開けた瞬間、  
 
愛友美は体に異変を感じた。  
 
「あ……ぁ………」  
 
急に言うことを聞かなくなった愛友美の体。  
 
腕はだらんと垂れ下がり、自力で立っていられなくなり、アスファルトに座り込んでしまう。  
 
たまたま後ろにあった電柱のせいでなんとか仰向けに倒れずに済んだ。  
 
愛友美は気がつかなかったが、ソレの尻尾から出た細い針が首筋に刺さっている。  
 
注がれたのはソレの毒の一つで、強力な筋弛緩剤だった。  
 
顔面に急に変な物に貼り付かれた所為で気がつかなかったのだ。  
 
毒針は痛みもなく、気付かれずに素早く愛友美を無力化した。  
 
そこで愛友美の運命はもう決まったも同然になってしまった。  
 
突然体が動かなくなった愛友美は、訳も分からず体を動かそうと試みる。  
 
ソレの毒は注入されたが最期、30分は効き続ける。  
その間、獲物は指一本動かせないまま次のステップに移行させられるのだ。  
 
愛友美は恐怖で頭が一杯だった。  
 
突然夜道で何かに顔に貼り付かれ、しかも体すら動かないのだ。  
 
何が起こったのか全く理解出来ない。  
 
(やだ…………誰か………助けて………。なんで?動けない………)  
 
悲鳴を挙げようにも口すらまともに動かせない。  
 
両腕も感覚はあるのだが言うことを聞いてくれない。  
 
(なに…………これ………)  
 
 
 
そして、状況を全く理解出来ない愛友美の、だらしなく開いた口に、一本の細い管がソレの腹から伸びていった。  
 
その管はまるで男性器のような形で、無理矢理口に割って入っていく。  
 
(!?………やだ………なに………?)  
 
愛友美は口の中に何か入ってきたのはわかっていたが、どうすることもできない。  
 
辛うじて動かせるのは目くらいのもので、口は愚か舌すら自由に動かせないからだ。  
 
だから、くちゅくちゅ口の中で管が動いて、何か甘い液体を喉の奥で出し始めても、ただ飲み込むしかなかった。  
 
全く動けず電柱に持たれかかり、得体の知れない物体に顔に貼り付かれて口内を蹂躙される愛友美は、なぜかエロチックである。  
 
まるでこの世のものではないイマラチオ。  
 
初め愛友美は、目をピクピクさせて、恐怖と、驚愕の2つの感情に支配されていた。  
 
(だれか………たすけて………)  
 
しかし、くちゅくちゅされてから5分程経った頃、異変は訪れた。  
 
(あ………あれ………?)  
目が霞む。まばたきの回数が増える。  
 
そう、眠いのだ。こんなことをされているというのに。  
 
急に睡魔が愛友美を襲う。  
実は、ソレが今愛友美の口の中で出しているのは、催眠効果のある毒なのだ。  
ただし、効きが遅いので、ソレは彩友美にしたようにまず最初に体の自由から奪う。  
 
普通は初めから尻尾の毒を麻酔系にすればいいのだろう。  
 
何故わざわざこのような周りくどい真似をするのかは、この生物の謎の一つだ。  
 
だが、現に愛友美はソレの餌食になっている。  
 
顔を覆われてるので外からは見えないが、既に目は半分以上閉じている。  
 
口から溢れ出した甘い液体は透明で、隙間から首筋にどんどんこぼれ落ちていく。  
 
それでも管の動きは止まらずに、愛友美の口内を蹂躙する。  
 
(だれか………たすけ………やだ………)  
 
だんだん視界が狭まり、何も考えられなくなっていく愛友美。  
 
車が通り過ぎていくが、助けを求めることは出来ない。  
 
指一本動かないのだ。  
 
愛友美の意識が、スーッと遠のき始めた。  
 
 
ソレが顔から離れた時には、愛友美は完全に意識を失っていた。  
 
脱力しきって、電柱にもたれ掛かり、口はだらしなく開き、得体の知れない液体がとろとろこぼれている。  
 
目は完全に閉じられていた。  
 
愛友美が完全に毒に屈して、眠ってしまい夢の世界に落ちたのをどうやって理解したのかわからないが、  
 
ソレは、次の作業を開始した。  
 
ソレは器用に愛友美の背中に回ると、  
 
 腹部から透明な触手をするする伸ばし、首筋に突き刺した。  
 
 ソレは触手によって、脊髄と脳とつながり、体の神経や動きを乗っ取ることができるのだ。  
   
 そのために獲物の意識を奪う。  
 
 そして、ソレはポトリと剥がれ落ちる。  
   
 実は、これは殻で、本体は透明な触手なのだ。  
   
 立ち上がる、いや、立ち上がらせられてしまう愛友美。  
 
 意識は無いのに、体は操られてしまう。  
 
 愛友美はそのまま、ふらふらと近くの林に歩いていく。  
 
 林の奥まで歩くと、愛友美は木にもたれ腰を落としてしまった。  
 
 ソレの謎の習性の一つとして、獲物に強制的な性的刺激を与えるのだ。  
   
 何故、このようなことをするのかはわからない。  
 
 しかし被害者は、神経を操られ、本当に文字通り体という体を犯される感覚に襲われる。  
 
 意識がないまま愛友美は、ビクンビクンと感じてしまう。  
 
 ブラジャーの下で乳首は固くそそり立ち、  
   
 パンツの下でクリトリスは勃起して、愛液は脱水症状を起こす程溢れ出てしまう。  
 
 意識がないまま、何度もイカされてしまう愛友美。  
 
   
 その後、愛友美は何ごともなかったかのように家に帰る。  
 
 ソレは、おそらく地球上の生物ではないのだ。  
 
 その証拠として、愛友美は無意識の内に次の獲物を探し始める。  
 
 友人の中でも、特にかわいい女の子を。  
 
 その概要はまた、別の機会に報告する。  
   
 

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