「は、はい、コレ……あげる!」
「なんだコレ?」
「き、今日が何の日かわかってるの!?チ、チョコに決まってるじゃない!」
「そうか」
「い、言っとくけど義理だからね!?変な勘違いしないでよね!?」
「そうか」
「そ、そうよ!」
「このチョコ……」
「な、何よ!」
「リボンの包装が随分独創的だな」
「そ、そうかしら?」
「うん、まるで不器用な人間が手ずから包装したかのようだ」
「へ、へぇ?き、きっとお店の人がラッピング下手だったのね」
「開けていいか?」
「ど、どうぞ……」
「……やたら黒いな。しかも焦げ臭いな」
「や、焼いて香り付けしたチョコなのよ……!」
「パク……うん……ジャリジャリして苦いな」
「び、ビターチョコよ!大人の味なのよ!」
「ごちそうさま」
「え……?全部食べたの?」
「うん、まぁとにかくありがとう」
「べ、別にいいわよ!あ、あんたなんか、どうせ幼なじみのよしみで私があげなきゃ一つも貰えないだろうし!」
「実は俺が今日貰ったチョコはお前ので14個目だ」
「え……?……あ、そう……なんだ……」
「ホワイトデーを楽しみにしててくれ」
「…………」
「ちなみに今のセリフを言ったのはお前が1人目なんだけどな」
「…………………………………えっ?」
以上