「今日は節分ですから、我が家にいらっしゃいませんか?」  
 
お嬢様の彼女は、こうやって一般人の私を、何かと家に呼びたがる。  
栗拾いでは酷い目にあい、期末テストで酷い目にあい。  
ホントに、ほんとーに色々と余計な情熱を燃やして、彼女は私にご執心である。  
主に、彼女の家の主治医との縁を結ぶ件について。  
 
一時は関係を絶ってやろうと、誘いをやんわりと断ることからはじめ、距離を置いてみたのだが。  
結局、お嬢様のうるんだ瞳や寂しそうな顔、とばっちりを喰らう周囲の人に負けてしまった。  
 
「念のために聞くけど、節分ってどういう日って教わった?」  
「合法的に、女性に黒くて太いものを、咥えさせられる日だとちゃんと習いましてよ」  
 
・・・負けちゃ駄目だったか。  
 
やや後悔しつつも、お嬢様に恵方巻の説明をしっかりと言い聞かせ。  
私自身は、皆が豆でも食べてるところを見るだけでいいよと伝えておいた。  
あれってきちんとやるなら、自分の家で調理に使う火(昔なら竈の火)で豆をいってから、使わないとだし。  
家から持参するのも馬鹿らしいし、自分の分は帰宅してからでいいだろうという判断だ。  
 
 
『2度あることは3度ある』ということわざがある。  
ただし、私はことわざに関してだけなら、『3度目の正直』のがまだ好きである。  
察しの良い方はお分かりかもしれないが・・・私は再び、椅子に座らされてたりする。  
見事に2度あったことの、3度目が今おこっている訳です。まったく嬉しくないのだけれど。  
例によって、えらくクッションがよく肌触りもいいけど、色々とツッコミどころ満載な椅子である。  
肘掛に腕を、脚は開いた状態で固定できて、身動きが取れない機能とか特に。  
普段はこの椅子、どこに仕舞ってあるんだろうね・・・とまた現実逃避をしかけていると。  
 
−好きな四字熟語は『四面楚歌』  
  あぁ、勿論俺が攻める側で  
 
と、以前に仰っていた主治医ドノが目の前にいた。  
周囲を完全に包囲して、じわじわと逃げる隙も与えず笑顔で追い詰める彼の顔は・・・こんな顔かな。  
一瞬、そんなことが頭をよぎる位、彼は今、楽しそうな顔をしていた¥る。  
 
「今日は!今日は、私は見ているだけですからね!」  
「うん」  
「見ているだけって約束で、ここにいるんですからっ」  
「そうだね」  
 
キッと睨み付ける私へ、彼は唇の端をクイッとあげて笑っていた。  
 
・・・あ、これCMでやってたシタリ顔だわ。  
そうそう今日あたり、寒いから豚バラ鍋は美味しいよね・・・等と、馬鹿なことを考えている暇はなかった。  
髪に手を差し入れられた彼の指が耳元を掠めた感触に、背筋に緊張が走る。  
 
「だから、君は見ていればいいよ。ずっと。」  
 
・・・え、何を?  
状況に頭が追いつかないまま、ポカーンとしている私を置いて彼は的確に行動していた。  
スカートがまくりあげながら、太股をすっと撫でつつ奥へ進む彼の指がよく見える。  
流石に抗議しようと、開いた唇はそのままキスで塞がれていた。  
 
その間も、薄いショーツ越しに指は動いていて、2本の指でクリトリスを捏ねられている。  
じんわりと濡れ始めた入り口に、潤みをにじませるようにゆっくりとすりつけたり。  
気持ちよくなりはじめているのが恥ずかしくて、声があげられない。  
 
視線を横に流せば、お嬢様が机に座って恵方巻を口にしているのが見える。  
喋れないのが苦しいのか、口には大きすぎるサイズなのか、やたらと顔が赤いけれど。  
とにかく一生懸命に口に頬張って、食べようとしている。  
 
・・・彼女に声をかけて、助けてもらおう。  
そうも考えたけれど、食べてる最中は喋ったらいけないと教えたのは私だ。  
今は姿の見えない執事が、こういう方面で役に立たないのは身にしみてわかっている。  
ともすれば、お嬢様が恵方巻を食べきるのを待つしか私には、手段がない。  
驚かしたりして邪魔をしちゃいけない。今は全力で我慢するしか、ない。  
 
「いい表情になってきた、そんなに気持ち良い?」  
 
舌先が耳をちろちろと弄りながら、ふっと囁くように言われた。  
我慢しなきゃ、こんなの気持ちよくなんてない!と呪文のように唱えても、頭の芯は痺れていて。  
こぼれ出るものを、布越しに指で掬い取りながら、彼はクリトリスに塗りこめていく。  
 
「直接触ってあげる」  
 
・・・だめ!  
言葉にする前に、ショーツがくいっと引っ張られて、指が潜り込んできた。  
自分の愛液でとろとろになっていたクリトリスを、ぬるんと撫でられて喉がヒュっと鳴った。  
ここが気持ちよくなると、中からも刺激が欲しくなってしまう。  
そういう風に、私の身体は変えられたのだ。目の前のこの男によって。  
 
「うっ、ふ・・・んぁっ」  
 
長い指が恥ずかしい位に主張しているクリトリスを、柔らかく捏ねている。  
敏感になりすぎているのを突かれると、何もされていない筈の内側が同じリズムで蠢く。  
 
「歳の数だけマメを味わうから、ちゃんと見てるんだよ」  
 
・・・ちゃんと見てる?味わう?  
言葉の意味を理解するよりも早く、彼は指を浅く入り込ませてくる。  
ヒダのなぞるように、指を何度も縦にうごかして。  
やがて徐々に奥へと進みむと、溢れてくる愛液を知らしめるように、ぐちゅっと音を立ててかき回した。  
快楽から逃げようと目を閉じたと同時に、ビクンと身体が大きく震える。  
中をえぐる指が、以前に覚えこまされたイイところを刺激した・・・と同時にクリトリスを食まれた。  
 
「んぁ・・・だめっ、やぁっ」  
 
ぴちゃぴちゃと音を立てて、主治医は愉しそうに私を攻め立てていく。  
クリトリスを舐る舌は繊細に、中から押し上げるように蠢く指は大胆に。  
吸い出すように唇に食まれて、細かく振るわせた舌先に揺らされると、腰が勝手に動いてしまう。  
動いたことで、中へ差し入れられた彼の指に絡んでいた愛液が、音を立てて主張する。  
 
「んんっ、ん・・・くぅっ」  
 
主治医がクリトリスを吸うように食む度、身体中の神経がそこに集まってるような気がしてしまう。  
硬くなっているそこを、舐めあげながら「ちゃんと見ないと駄目じゃないか」なんて彼は笑う。  
ぐりぐりと指を折り曲げながら、クリトリスの裏側を刺激されると、自分が自分でなくなるような気がした。  
とぷりと吐き出されたものが、彼の指を伝って音を立てている。  
敏感な所を的確に刺激しつつ、じっくりと攻められると、身体に残る快楽の記憶を引き出されるようで。  
 
「ひっ、あぁっ・・・ゃぁっ!」  
 
追い込まれるように舌先でクリトリスを弄ばれ、中からは指先で擦り上げられ。  
ちゅうっと音がしそうな位に、強く吸われた瞬間、突き落とされるように快楽の谷へ落ちていた。  
 
「可愛くイケたら、次はご褒美あげるからね」  
「やっ、あぁっ、あっああぁっ!」  
 
そこに息を吹きかけながら、主治医が楽しげに呟く。  
もう何も考えられなくて、だらしなく口を開いて喘ぐことしかできなかった。  
さらに緩急をくわえて繰り出される動きに、舐られ、吸われ、擦りあげられるたびに、追い詰められていく。  
ゆっくりと指を引き抜かれると、恥ずかしい位に硬くなったクリトリスに吸い付かれる。  
反射的に中を締め付けてしまい、彼の指の感触も、動かす度にする音も大きくなる。  
それを何度も繰り返されると、快感が私をどんどん追い詰める。  
 
「いいですよ、イッても」  
 
声が聞こえてから、言葉の意味を理解するまでの時間差が大きくなる。  
軽くクリトリスに歯を立てながら、吸い出されて身体が跳ねた。  
怖いような快感が頭の中を占領し、クリームみたいに意識が溶けて-----私の世界は、白くなった。  
 
 

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