海女と「サネしゃぶり」
「あそこには、おなごは絶対に近づいちゃなんねえ」
それが、とある海辺の村の掟であった。
村の西端にある磯。村の年寄りが言うには、その磯には恐ろしい化け物が棲んでいて、女、特に若い娘にひどい悪さをするのだという。
男が襲われたという話は伝わっていないものの、やはり化け物が出るということで、村の男女共に磯に近づく者は誰一人いなかった。
「そんなの、ただの迷信さ。そんな化け物いるわけが無い。本当にいたとしても、このアタシが返り討ちにしてやるよ!」
こう言ってはばからないのは、村に住む一人の若い海女。名をイソメといった。
年は数えで二十二。大柄で器量も良く、腕っ節の強さが自慢の女丈夫として、村の者達から一目置かれていた。
彼女の武勇伝の中でも特に強烈なのは、漁の最中に自分に襲いかかってきた大きさ一丈(約3メートル)
もの大ウツボに、アワビを岩から剥がすときに使うノミ一本で立ち向かい、見事にこれを仕留めたという逸話であろう。
この一件は、村での語り草になっている。
そんな彼女が、化け物などに恐れをなすはずが無かった。
「今まで人が入らなかった場所だから、きっと獲物がたんまりといる事だろう。アタシがそこへ行って、漁をしてきてやるよ」
こうしてイソメは年寄り衆が止めるのも聞かず、桶とノミを手にふんどし一丁で件の磯へと出かけていった。
「へへっ、いるわいるわ。大漁大漁!」
イソメが思った通り、長らく人が立ち入る事のなかった磯はアワビやサザエの巣窟となり、絶好の穴場と化していた。
ちょっと潜っただけで、アワビやサザエが面白いように獲れる。しかも、そのどれもが大振りの上物ばかりである。
桶はすぐに、獲物でいっぱいになった。
「さてと、ちょっと一休みするか…な?」
海から上がったイソメは辺りを見回し、休むのに丁度良い場所を探した。
雲一つ無く、どこまでも青く澄みわたった空。風もほとんど吹いておらず、海の表情も穏やかだ。
「…あれは?」
イソメの視線が、ある一点に集中する。
潮だまりだった。もうもうと湯気が立つ、六畳ほどの広さの潮だまり。
海には場違いな、少々奇妙な光景である。
「もしかして…」
何か確信を得たのか、イソメは湯気を立てる潮だまりへと歩き、近づいていった。
そして、その縁にしゃがみこみ、中の海水にゆっくりと触れる。
「やっぱり…!」
温泉だった。
潮だまりの底から、温泉が湧き出している。それが海水と混じって、ほど良い湯加減となっていた。
つまりは、天然の露天風呂である。
「こいつはいい。せっかくだから、ひとっぷろ浴びていこう」
イソメはそう呟くと、傍らに獲物で一杯の桶とノミを置き、腰に巻いたふんどしを解き始めた。
村の海女の中でも、ふんどし一丁で海に潜るのは彼女ぐらいのものであった。
普段から「見られて恥ずかしくなるような身体はしていない」と自負しているイソメであるが、
流石に局部まで人前に晒すのは気が引けるということなのだろう。
だが、ここは村にとっての禁足地。当然誰も居ない。そして目の前には立派な風呂。
そんな状況が、イソメに残された僅かな恥じらいを取り払う。
とうとうふんどしを解き、産まれたままの姿となるイソメ。
身の丈は五尺六寸(約170cm)。潜るのに邪魔だからと短く切り揃えた艶やかな黒髪に、きりっとした太い眉、
目鼻の整った、精悍にして女性らしさも感じさせる顔立ち。がっしりとした広い肩幅に、見事にくびれた腰。
二つの乳房はさほど大きくはないが、まるで椀を伏せたかのような、整った美しい形をしており、
小振りの乳輪の先端では、やはり小粒の乳首がつんと自己主張している。
胸と対照的に大きく張り出した見事な肉付きの尻と、むちむちに張りつめた逞しい太腿。すらりと長く伸びた、しなやかな手足。
鍛え上げられた筋肉の上をうっすらと脂肪が覆い、さらにその上を日に焼けた浅黒い肌が覆っている。
逞しくもしなやかで、健康的な色気に溢れた肉体。
そして、露わになった股間には黒々とした茂みが豪快に生い茂り、磯の香りとむせ返るような牝の臭いとを放っていた。
「んじゃ、入らせていただきますよっと」
潮だまりの風呂に片足を踏み入れるイソメ。湯の深さは踝より三寸(約3cm)ほど上ぐらいまでしかなかったが、
そんな事は彼女にとってはどうでもよかった。
浅い湯船の中に仰向けになって寝転び、腕を頭の後ろで組んで枕としつつ、肩から上を近くの岩へと預ける。
「ふーっ。極楽極楽…」
冷えた身体が徐々に温まってゆく。青空を眺めながらの風呂は、最高に心地良い。イソメはついうとうとし始めた。
「もし?」
ふいに背後から声を掛けられる。イソメははっとして振り返った。
一人の海女が立っていた。
年の頃は二十四、五だろうか。イソメよりも年上に見えた。背丈はおよそ五尺二寸(約158cm)と並み程度。
上は白い肌着、下は同じく白い木綿の布を巻き、頭にはこれまた白い手拭いを被っている。この辺りではよく見る海女のいでたちである。
しかし、その女は何とも美しい顔立ちをしていた。
細い眉に細い目。整った鼻筋に、桜色の薄い唇。そして、玉のような白い肌。
よく見れば身に付けている肌着も腰布も水に濡れ、桃色の乳首が透けて見えている。
同じ女のイソメも思わず見とれてしまうほどの、妖しい色気を漂わせた絶世の美女。
「私もご一緒させてもらってよろしいかい?」
女がイソメに尋ねた。
「ん?あ、ああ」
イソメは我にかえり、こんな所に自分以外の海女いる事を怪しんだが、きっと彼女も肝試しがてらここに漁をしにきたのだろうと
思いなおし、別に断る理由も無いので女が一緒に湯に浸かる事を承諾した。
女は黙って頷き、身に付けている物を脱ぎ始めた。
頭の手拭いを外す。腰までもある、長く美しい黒髪がこぼれ落ちる。次に、肌着を脱ぐ。子供の頭ほどもある、豊かな乳房が露わになる。
最後に腰布を解く。まるで餅を二つ重ねたような、丸く白い尻が現れる。股間の茂みはやや薄めで、逆三角形の整った形をしていた。
着ている物を全て脱ぎ去ると、女はゆっくりと、その身体をイソメのすぐ隣に横たえた。
「なあ、アンタこの辺りでは見かけない顔だけど、何処から来たんだい?」
女はイソメの問いかけには答えなかった。
「気持ちいいねぇ」
目を瞑り、ただ一言だけ呟いた。
妙なのと一緒になっちまったな、そんなことをぼんやりと考えていると、不意に女がイソメの下腹部に手をのせてきた。
イソメは思わず顔を横へ向け、隣の女を見る。
「お前さんも、気持ちよくなりたくないかい?」
女の目が妖しく輝き、イソメの目をじっと見つめる。頭の中がぼうっとしてくる。湯にのぼせてしまったのだろうか。
それとも女の色香にやられてしまったのだろうか。何も考えられない。イソメはこくんと頷いてしまった。
「フフフ、お前さん素直でいいねえ。それじゃ、こっちへ」
イソメは女に促されるまま潮だまりの風呂から上がり、近くの岩へと寄りかかった。
「もっと股を広げて、腰を前に突き出して…。そう。いい子ねえ」
女に言われるままの体勢をとる。
目の前の女は更に妖艶さを増し、色っぽくイソメに微笑みかける。
「では、始めようかねえ?」
女が身を屈め、イソメの股間へと手を伸ばした。女の指が黒く生い茂った陰毛を掻き分け、分厚く黒ずんだ二枚の肉の襞を押し広げる。
「…みぃ〜っけた」
大柄な体格に見合った、大振りの女性器。真っ黒で不細工なイソメのアワビ。女の指はついに、その先端、肉襞が重なり合う一点に
ひっそりと息づく「それ」を探り当てる。
サネ。陰核。イソメの身体の中で、最も感じる大切な突起。そして、最も欲望に忠実な、荒ぶる小さなイソメ自身。
「大きくなぁれ。固ぁくなぁれ」
女は歌う様に節をつけてそう言うと、指先をつばで湿らせた。そして、そこをゆっくりと、撫で回すように擦り始めた。
女に愛撫されて、イソメの大粒の陰核は見る見るうちに勃起して固くしこり、
充血してぷっくりと膨れ上がり、包皮からその愛らしい顔を覗かせる。
心地良い刺激に、イソメは息を荒くし、顔を紅潮させた。
「立派に育っちゃったねぇ〜」
女はクスリと笑い、イソメの顔と雄雄しくそそり勃ってしまった陰核とを交互に眺めた。
イソメは急に恥ずかしくなり、思わず顔を背けた。
「本当、可愛らしいおサネだねえ…。さあ、たんと気持ちよくしてあげるよ。だからたんとしゃぶらせておくれ」
女はそう言うと、両手をイソメの太腿に添え、ゆっくりと押し開き、顔を股間に近づけた。濃厚な牝の香りが、つんと女の鼻をつく。
女は口をすぼめ、桃色に輝くイソメの肉真珠を優しく、そっと吸い上げた。
敏感な粘膜が、たちまちのうちに熱く滑った感触に包まれる。堪らずイソメは嬌声を上げ、身体をビクンと震わせた。
ぷりっとした柔らかい唇に陰核を挟みこまれ、揉みほぐされ、ゆっくりとしごかれる。そして滑らかな舌先に絡みつかれ、
コロコロと転がされる。
トロトロに蕩けてしまいそうな、甘い感触。
「んうぅっ!うっ!うっ!うぅぅっ!」
ねっとりとした濃密な快感に、イソメが呻いた。
女が嬉しそうな笑みを浮かべる。
口内の動きが、徐々に激しさを増してゆく。舌先が陰核の上で踊り狂う。ちゅうちゅうと啜られ、歯でこりこりと甘噛みされる。
「ああぁん!はうぅぅっ!あっ!あっ!あはぁっ!?」
甘く切ない声で鳴くイソメ。
イソメは快楽の大波に翻弄され、上体を大きく仰け反らせながら、脚をガクガクと痙攣させた。
女にもてなされている一点のすぐ下、陰門はだらしなく口をあけ、淫らな蜜を溢れさせている。
「ダ…メ…も、もう…」
イソメの身体が絶頂に近づいている。
女は最後のとどめとばかり、達しかけている肉芽をちゅうぅっ!と強く吸い上げた。
「あうぅぅぅぅぅぅぅっ…!!」
イソメはついに絶頂を迎えた。頭の中が真っ白になる。身体がふわりと浮き、空中へと投げ出される。
そして肉アワビから、盛大に潮を噴き上げた。飛沫が女の顔へとかかる。
女はそれにも動じず陰核をしゃぶり続ける。すでにイソメは気を遣ったというのに、行為をやめようとしない。
「ちょ、ちょっと!?もうイッた!イッたから止めてくれぇ!!」
達したばかりのそこを責められる猛烈なくすぐったさにイソメが女を制するも、頑として応じようとしない。
突如、女の口内で異変が起こった。
滑らかだった舌の表面が、急にざらつきだす。何か細い糸の様な物が、舌から沢山生えてくる。
たちまちのうちに、女の舌は無数の繊毛で覆われた。
―何ナンダ、コノ感触ハ……!?
この女は人ではない。人ではないモノに、股ぐらをしゃぶられている。
イソメの背筋が凍りつく。顔から血の気が引く。イソメは恐怖に駆られた。
「嫌だぁ!放せぇっ!化け物めぇっ!?あっち行けえぇっ!!」
イソメは激しく抵抗しようとするも、一体どうしたことだろう。手足に力が入らない。まるで金縛りにかかったように、
手足がピクリとも動かないのだ。せめて股間だけでもおぞましい感触から逃れようと必死になって腰をよじらせるも、
女の手によって太腿をがっちりと押さえ込まれ、それもままならない。イソメは恐慌状態に陥った。
「やだっ!やだあぁっ!いやあぁぁぁぁぁっ!!」
女の口内でざわざわと繊毛が蠢く。包皮をめくり上げ、剥きだしになった粘膜の表面をぬめぬめと這い回り、
ぞわぞわと絡みつく。まるで、数千匹ものゴカイで満たされた風呂桶の中に放り込まれたような感触。
あまりにも異常な感触に、イソメの身体に再び官能の火が付く。
「あああっ!?あっ!あっ!あっ!うあぁぁぁぁぁっ!?」
悲鳴が喘ぎ声に変わる。気持ち悪いのに、凄まじい気持ちよさ。全身が痺れ、焼けつく。腰が激しく痙攣する。
浅黒い肌からは玉のような汗が噴き出し、滴り落ちる。快楽が恐怖に勝り、イソメの頭の中を桃色に染めていく。
「イッ…!くぅっ!!…ま…またっ!イッちゃ…!!」
イソメの肉体が、再び絶頂へと向かって突き進んでいく。
そして。
「イぐうぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!!」
先ほどよりもさらに強烈な絶頂。イソメの身体が石のようにこわばり、数瞬後、弛緩してぐったりと力尽きる。
だが妖女は、イソメに休む間を与えなかった。
「いぎぃぃぃぃぃぃっ!?」
敏感な粘膜に突如、まるでクラゲかイソギンチャクに刺されたかのような鋭い痛みが走った。
イソメの身体が、ガクンと大きく跳ね上がる。
次の瞬間、陰核がカッとが熱くなり、激しく疼き出す。堪らないむず痒さが、強烈な肉欲へと変換されていく。
「あぁぁぁぁ!?痒い…!カユいぃぃぃぃぃ!!」
媚毒を体内に注入されたイソメは悶え狂い、大声で泣き叫んだ。
「私を化け物呼ばわりしてくれた、お仕置きだよ」
妖女はちゅぽん、と口からイソメの陰核を引き抜き、肉の拘束から開放した。
責め抜かれ、すでに包皮の剥けきった肉芽が空気に晒される。媚毒に侵された肉真珠はビクビクと狂ったように脈動し、
よりいっそう膨れ上がる。美しい桃色だったその表面は、すでに赤黒く染まっていた。
女は笑みを浮かべて、心底楽しそうな様子でそれをじっと眺める。陰核には一切触れない。
イソメの胎内で、女の欲望が大嵐となって吹き荒れる。股間の一点が熱く燃え盛る。鈍い痛みと痒みに苛まれるそこは、
快楽を求めて声無き悲鳴を上げる。肉アワビがヒクつき、ダラダラと大量の蜜を垂れ流す。
不意に熱く火照る突起に、ふうっと息を吹きかけられた。
「ひいぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
イソメの背筋に悪寒が走る。ついにイソメの心は屈した。
「ア…アタシが悪かったよぅ…。何でも…言う事聞くから…。イかせてぇぇっ!しゃぶってくれぇぇぇぇっ!!早く!はやくぅぅぅっ!!」
イソメは泣きじゃくりながら、女に懇願した。
「どこをしゃぶって欲しいんだい?」
女は意地悪にも、イソメに尋ねる。
「おっ…!おサネっ!!おサネぇぇぇっ!!」
「どんなおサネだい?」
「…アタシの助平で、はしたないおサネぇぇっ!!お願いだぁぁぁっ!!」
なりふり構わず卑猥な言葉を連呼し、絶叫するイソメ。
「ちゃんと言えたじゃないかい。えらいねぇ。それじゃご褒美にしゃぶり尽くして、たっぷり気を遣らせてあげようかねえ?」
妖女はそう言うと、舌をぺろりと出した。異様に長く、赤黒い。
舌の表面に変化が表れる。桃色をしたイボのようなものが、ぶつぶつと浮き出てくる。大きさもまちまちだ。
あっという間に、女の舌が桃色のイボに覆われた。
「私が今までしゃぶってきた娘達のおサネさ。さあ、皆で一緒に気持ちよくおなり」
妖女は再びイソメの陰核を口に含み、イボだらけになった舌で撫で上げた。
「おごおぉぉぉぉぉぉっ!?」
イソメが獣のような叫び声を上げた。
陰核と舌のイボとが擦れ合ったその瞬間、イソメは自分の陰核同士が擦れ合う感触に襲われた。
肉芽とイボ。お互いの感覚が反響しあっているのだ。
幾つもの自分の陰核が擦れ合い、刺激し合う。絶対にありえない感覚。
「おうぅっ!!おぉっ!!うぐぉぉぉぉぉぉぉっ!?」
ほんの二、三度擦れあっただけで、あっけなく達してしまった。だが妖女は、休むことなくイソメに「ご褒美」を与え続ける。
「うおぅっ!おふぅっ!おおぉぉっ!うおぉぉぉぉっ!!」
想像を絶する気持ちよさに、イソメは吠え狂う。イボに陰核を擦られ、陰核がイボを擦る度にイソメは絶頂を味わった。
終わることのない快楽地獄。イソメの身体はビクンビクンと激しく痙攣し続け、何度も宙を舞う。すでにその顔は
体液にまみれてグシャグシャに汚れ、白眼を剥いて口からはだらしなく舌を垂らす。
妖女の舌の動きが、より一層激しさを増す。
「……っ!!…っ!!…っ!!…〜っ!!」
とうとうイきっぱなしの状態となるイソメ。その身は天空へと舞い上がったまま、降りてくることができない。目は大きく見開かれ、
口からは声にならない声を上げ続ける。
(あっ!あっ!あっ!ああぁぁぁ!!)
(あうぅぅ!しゅごいぃぃぃぃっ!!)
(きもちいぃよお!きもちいぃよおぉ!!)
おぞましい絶頂地獄の中、何人もの若い女の悲鳴や嬌声が聞こえてくる。それは妖女の舌に浮き出た大小様々な陰核の元の持ち主、
化け物に肉芽をしゃぶり尽くされた犠牲者の娘達のものだった。大勢の人間の意識と感覚とが、イソメの脳に流れ込んでくる。
イソメの頭は、もはや空っぽであった。今、自分が何処にいるのか。そして、何故こんな目に遭っているのか。何も分からない。
何も考えられない。頭の中にあるのは全身を蹂躙する快楽と、自分と同じ責め苦を味わされている娘達の声だけであった。
やがて手足の感覚も麻痺してくる。今や自らの陰核から生じる絶頂地獄のみが、イソメが感じる事ができる唯一の感覚であった。
達しぱなしの状態からどれだけの時が流れただろうか。いつしか、全身が陰核になったような気がしてくる。否、自分自身が陰核
のみの存在になったというべきか。
―お前さんも、こっちへおいで。皆が待っているよ。
妖女の声が頭に響く。自分がサネしゃぶりの女と一体になっていくような気がした。そして、イソメの意識は闇の中へと沈んでいった―
翌朝、一晩たってもイソメが戻らないことを心配した村人達は、イソメを探すために意を決して禁断の磯へと足を踏み入れた。
しかし、見つけたのは湯気の立つ潮だまりの傍に置かれたアワビとサザエでいっぱいになった桶とノミ。そして脱ぎ捨てられた
イソメのふんどしだけで、肝心のイソメ本人の姿はどこにも無かった。
村人達は、あの娘は磯の魔物に攫われてしまったのだと噂し合い、大いに恐れたという。