何も見えないのに懐かしいと感じる空気……  
 
ああ…これは日本だ。  
6才の時、祖父に引き取られてから義務教育の枠から抜けるために連れ出された祖国の空気だ。  
ボクはそう気づく。  
 
一人、何もない黒いその空気の中自然と足が動く。  
どこまで行っても何もない空気だけの世界。  
「誰か居ませんかっ!?」  
たまらず、ボクの口から洩れた声に答えるように、目の前に二人の人影が現れた。  
人影の存在に安堵したボクは  
一歩…  
二歩…  
とその人影に近づき、気づく。  
「え?」  
人影の二人はまるでボクそっくりで、しかも男女なのだ。  
その内の一人…女性の方が一歩前に踏み出し、それと同時に  
バサ  
っと力強い音が当たりに響き、彼女の背に12枚…  
6対の白く輝く翼が羽ばたき、  
それと同時に真っ黒なこの場の中で否応にも目立つギラリと光るが女の手に現れる……  
そのまま、彼女は剣をボクに向け……  
 
危ないっ!  
ボクが感じた時には、すでに彼女の剣はボクの脇を貫き、血が溢れる。  
刺されたとボクが認識した、その瞬間ボクの足元から足場が消え何もない空間が口を開ける。  
その奈落に引かれ堕ちるボクは、刺さったままの剣にその落下運動のまま、激しい苦痛を伴いながら、切り裂かれて逝く。  
「ぐぁああああ」  
たまらず、ボクの体の奥…魂の一番深い所から叫び声があがった。  
 
 
「はぁはぁはぁ……」  
堕ちた絶望と痛みの余韻を引きずり、  
跳ね起きたボクは目が覚めたのだから夢のはずだが、夢だ  
と確証が持ず脇から肩にかけて剣が裂いた部分を両手でまさぐり確かめる。  
両の手に氷のように冷たくなった体と、それをびっしょりと覆う冷たい汗の異様な感触が伝わるが、  
そこに傷がない事が確かめられ、  
「…ふう…夢だよね」  
ようやくにボクは安堵の息をもらした。  
 
「安心した所で悪いんだけど、  
 夢とは言いきれないんだな、これが」  
ようやく安堵した時に部屋の暗がりから、聞き覚えの無い女性の声で声がかけられ、ギクリとしたボクはゆっくり声のした方に目をやる。  
「君、八千矛(ヤチヨ)武(タケル)だよね?」  
序々に暗闇に慣れボクの目に部屋の隅から人影がゆっくりと歩き出てくるのが見える。  
ボクの目に映った彼女の姿は、  
赤みかかった茶髪を肩にかるくかかる程度で切り揃え、暗がりの中にスラリとした白い手足を露出させ、  
暗闇よりも黒いスパ……スパッツ???  
非現実的な登場に対してTシャツにスパッツという、あまりに現実的にして意外な彼女の服装に意表をつかれたことで、  
夢の余韻と唐突な彼女の現れ方で混乱しかけていたボクの頭がようやくに働き、  
「幽霊?」  
 
冷静に考えた答がボクの口から出る。  
ボクは幽霊が見える。  
深夜に他人の部屋に来て、堂々としているのだから泥棒というわけではなさそうですし、  
彼女の姿が暗がりにも関わらず、はっきり見えるほどしっかりし過ぎているけど、他に思い付かなかったボクは彼女に問いかける。  
 
「違う」  
彼女はボクの問いを否定するが、ボクはその言葉を流し話を続ける。  
「死んだ自覚が無いのですか?  
 成仏してないって事は心残りが有るんですよね?  
 ボクで出来る事ならば、手伝いましょうか?」  
その上、その霊の存在を他者に指摘すれば、その人にも認識させる事が出来る。  
大概の幽霊の未練なら、その手でなんとか出来る。  
幽霊の中には本能なのか、何か確信があるのかたまにそれを頼ってボクに寄ってくる奴も居る、彼女もおそらくその類だろうと考えボクは話しを続けていく。  
が、  
「僕は幽霊じゃないってばっ」  
彼女は人指し指を立て演技がかった否定をすると、  
「キミの手助けをしに地獄から遥々やってきた来た悪魔のリリーだよ。  
 因みに今の夢は僕の力で見せた一種の過去視っ!凄いだろ?」  
何故か意味無く胸を張って自己紹介をした。  
 
「あ…悪魔?  
 って、エロイムエッサイムって呼び出す奴ですか?」  
やけに堂々とした自己紹介に呆れながらボクは聞き返す。  
「そっ、  
 但し僕は呼びさされたんじゃなく、巨大な君の存在の引力を辿って自分で出てきたんだけどね」  
ずいっと彼女はベッドの上のボクに顔を寄せる。  
よく見ると彼女の背には黒いコウモリのような翼がパタパ  
タと羽ばたいている。  
……その動きはなんだか、可愛い。  
じゃないっ!!  
「ボクは悪魔に縁なんて持った覚えは無…」  
何故かボクは言おうとした、自分の悪魔との関係を否定しようとした言葉に違和感を覚え言い淀む。  
「無い?そんなわけないよ。  
 その体は新品だから、脳に情報が無いせいで思い出し難いかも知れないけど、縁が無いどころか君は僕らの王」  
彼女がボクの言葉を先読みして答え、とんでもない話をその答に続けていく。  
ボクはその言葉にふと気づいたことを聞いてみる。  
「生まれ変わりとか、そういう奴?」  
「というか、死んでないから、なが〜〜〜い人生、もとい、悪魔生の一部?  
 転職の方が近いかな?」  
 
ボクとしては、そんな覚えはないのですが、  
……否定の言葉が出ててこない。  
頭のどこかが、ボクの思考を無視して勝手に認めている。  
「納得してくれた所で、さっそく始めよう」  
ボクが黙ってしまったのを肯定とした彼女は勝手に話を進める。  
「始めるって何を…?」  
「そうね…まず、世界征服かな?」  
 
……世界征服なんて恥ずかしい目標って今時、どっかの特撮の悪役だって言いませんよ……  
呆れたボクに彼女は話を進める。  
「もちろん、これは前段階だよ。  
 人をばっちり牛耳って堕落させた後は、その魂を兵力にしても良しっ!  
 武器にしちゃっても良しっ!のクライマックスっ!!」  
かってに盛り上がった彼女は興奮し、拳を振りあげ、どこからか取り出したマイクを持っているかのように口元にも一方のを持って行き  
「神とのリターンマッチっ!!」  
力説する……  
「遠慮しておきます」  
彼女の力説に率直な感想を述べたボクは、時計を見てまだ夜中である事を確認すると勝手に盛り上がっている彼女をほってベッドに潜り込んだ。  
 
「ちょっと待ってよ」  
彼女を無視し眠ろうとしたボクに彼女はしがみつき揺さぶる。  
「用件がそれだけなら帰ってくれませんか?  
 わざわざ、来てもらって済みませんが、ボクは世界征服も神様との戦いも興味有りませんから」  
ボクは横を向いて揺さぶる彼女を見ないようにしながら答えた。  
 
「ちょっと待ってよっ」  
眠ろうとしたボクを彼女は激しく揺さぶり、  
耳元で大声を喚きたてる。  
しかし、ボクの方も睡眠時間、無駄をしたくない。  
幽霊にしろ悪魔にしろ、どうせ勝手に入ってきた以上は追い出しても無駄だろうし、かといって構ってても仕方無いので無視して眠ろうとしたが、  
これでは眠れない。  
「……まだ何かようでしょうか……んぐっ」  
仕方無く振り向いたボクの唇を不意うちで彼女が奪う。  
 
「奥の手っ」  
ボクの唇から唇を離した彼女は、悪戯っぽく微笑みそう宣言すると、  
「世界征服してくれたら、僕をプレゼントっ」  
白い胸元がベッドに寝るボクの目線の角度から、覗き見えるように黒いTシャツの衿口を無理やり伸ばしながら段々、近づいてくる。  
薄暗いなかではTシャツの上から見ても判らなかったけど、  
ブラジャーをしていないために、ボクの目に黒い闇の中に白い形の良い二つの逆さ向いた山の頂上に桜色の頂点が見える。  
なんとなく、ボクはそれを見ながらいい加減寝させてくれないかと考えていると、  
「さぁっ!どうだ!」  
呆気にとられ見ていたボクの視線を、勘違いしたらしい彼女の調子付いた大声が耳元に響いた後、狭い部屋に反響してもどってくる。  
……正直、そろそろうっとおしい……  
「いい加減にしてくれないかなっ!!  
 ボクは寝なきゃいけないんだ!せめて黙っててくれないっ?」  
思わず、怒鳴ったボクの怒鳴り声に、それまで調子良くしていた彼女はビクっと反応し、一歩後ずさった。  
だが、彼女は一瞬は脅えの色を目に浮かべたがすぐに顔を上げ、  
「じゃあ…声出さないよ」  
と言い、その場で服を脱ぎ出した。  
 
「っ…何故、服を脱ぐんですか」  
慌ててベッドから飛び出たボクは、彼女がTシャツを脱ぎ去り、下半身にぴったりとフィットしたスパッツに手をかけた所で彼女の手をつかみ、その手を止める。  
「君がしゃべるなって言うから、  
 声の変わりに行動で誘惑すしかないじゃないか」  
……つまり、色仕掛…裸で迫ろうという事か。  
……もう、どうでも良いや……  
あまりの下らなさに、気が抜け一気に眠気に襲われたボクは彼女の手を離した。  
声は出さないでくれるつもりらしいから、どうせ眠るボクには見えないんだから、変に暴れられる前にこの辺で手を打とう。  
幽霊だって相手しなきゃ、大概はその内にどこかに行くしね……  
「それで気が済むなら、飽きるまで御自由にどうぞ……」  
ボクは彼女に、なげやりな一言をかけると再びベッドに潜り込み目を閉じた。  
 
目を閉じてから、どの位たっただろう……  
目を閉じた後、すぐ眠ってしまっていたボクはうとうとと目を覚ました。  
起きてから気づいたが、妙な感じを感じて目が覚めたらしい。  
「……なんだ」  
暗闇の中、呆けた頭で焦点の定まらない視線をさ迷わせる。  
 
……はぁ  
ぴちゃ  
…んぁ…ぅん…  
くちゅ  
……はぁん…あぁん…はぁ…あ……  
 
序々に頭がはっきりしてくるにしたがって、ボクを起こした原因の妙な感じの正体がはっきりしてくる。  
小さな粘度のある水音、人の息と、声……  
ボクは暗闇に慣れはじめた目をその音の原因の方に方に向けた。  
 
音の方に目を向けたボクは、ボクの顔に息がかかるくらいの距離で、ボクの顔をのぞき込んでいる全裸の彼女の赤い瞳と目が合い、  
その瞳に引き込まれ、視界が狭まっていた為に彼女の全体が見れなかったため、少し時間を置いて彼女の状況に気づき、  
「うゎっ」  
思わずベッドの隅に飛び退いた。  
もちろん居るだけなら、今更こんな反応をボクはしない、  
全裸なのも寝る前のやり取りから予想通り、驚くことじゃない。  
それでも驚いたにはそれなりの理由がある。  
彼女は、ボクが寝ている横で片手で胸を弄び、  
よく見えないが、もう片方の手で股の間で水気のある例の音を立てていた。  
ボクは、その行為が何なのか理解し動揺してしまったのだ。  
 
「くぅ…あっ…やっと気づいてくれた…っんだ」  
彼女が息も途絶えがちに、起きたボクに気づい声をかける。  
ボクは自分の顔が熱くなるのを感じながら、  
「何してるんですかっ」  
動揺で少し裏がえった感じになってしまったが、声を絞り出す。  
「何って…  
 君をその気にさせる為に、色々やっている間に僕の方が体が熱くなってきちゃったから自分で慰めているんだけだよ」  
ボク以上に余裕なく答える彼女の言葉を聞き、  
呆れて少し冷静になったボクの口から率直な感想が洩れる。  
「……ボクは寝ているのに、無駄な事をしていたんですね」  
音と息遣いの声で、ボクは起きたんだから本当に無駄だったとは言い切れないと言てから気づいたけど……  
それは口に出すと調子に乗って手が付けられなくなりそうだから黙っておく。  
 
ボクの言葉に、彼女は  
「してたよっ!  
 だって…君が悪いんじゃないか!」  
と興奮して声を荒げながら詰めよってくる。  
声が荒くなり、距離が更に近くなった事でにわかにボクにかかる彼女の息に熱が帯び、  
ボクはその熱に押されて、全く悪いつもりは無いのだけど、  
「……御免」  
つい思わず謝ってしまった。  
「謝られても………」  
そのボクの謝罪が気に入らなかったのか、  
余計に興奮した彼女は自分の胸を弄んでいた腕を、乳房から離すとすぐ近くにあったボクの肩を掴み、  
「僕はゼッンゼン嬉しくないっ!!」  
ボクをベッドに押し倒した。  
 
「ちょっと…待って下さい」  
彼女の腕にはその細さに対して意外と言うより、異常な彼女の力に押さえ込まれたボクは呻くように、  
彼女の下から静止の言葉をかけるが、彼女は逆にボクを解放する所か自分の潤いで濡れた指をボクの口に二本差し入れ、  
歯茎の裏や、舌の付け根などに口内を犯すようにその潤いを塗り付けて行く。  
 
彼女の指が動くたび、  
ボクの口の中でしょっぱさに微かな酸味が広がり、それだけで無理やり押さえ込まれ身体の自由を奪われているにも関わらず、モノはこれまで経験したこともない程に固くなってしまっている。  
それに気づいた彼女は、  
「…興奮してるね?  
 本当は君を我慢出来なくなる位、じらして契約させなきゃならないトコなんだけど……」  
ボクの反応に気を良くしたのか、今までの荒い声から一転し嬉しそうな声でそこまで彼女は言い、  
ボクの口から指を抜くと、その唾液塗れの指をボクのズボンにかけると、  
「君のせいで僕の方がもうとっくに我慢の限界なんだぞっ」  
「それはボクのせいじゃないのでは……」  
そう言うボクを無視して彼女は、  
突然、叫ぶように声を大きくして言うと、一気にボクのズボンを下着と共に一気に脱がせる。  
 
「ちょ…っと待ってよ」  
自由になった口から、呼吸と共に静止の言葉を吐き出したボクは彼女に下げられたズボンを上げようとしたのか、  
それとも、単純に露になったモノを手で隠そうとしたのか、  
反射的に押さえられていない方の手を下半身に伸ばす。  
 
「あっ」  
勢い良く伸ばしたボクの腕が何かを掠め、同時に彼女の口から少し甲高い声が短く漏れ出る。  
「え……?  
 あれ?」  
同時にボクは、自分の手に掠めた彼女の一部の形を指の感触から気づき驚きの声を漏らしてしまった。  
「……凄く馴れ親しんだ形……なのですが……」  
無理やり犯されかけているという状況を異様な好奇心にかられ忘れたボクは彼女の訪ねながら、なんとなくそれに指を絡める。  
……やっぱりだ……  
暗がりで気づかなかったけど、これだけ立派ならスパッツも、盛り上がっていたはずですね……  
ボクがそれを完全に握り、何なのか確信した時、  
「あぁぅん……良いじゃないか…ちゃんと女の子のだって有るんだから…」  
彼女はボクを押さえていた手を離して、ボクの手を自分のモノからはぎ取ると、そのままその下に導く。  
 
指先が彼女に導かれぬるりとした潤いの感触を感じ、  
それに続き、暖かく柔らかい裂け目に包まれる。  
「確かに女性のも有るんだね……」  
何をどう反応すれば良いのか判らないボクは、適当に彼女の言葉を肯定し頷く。  
「だろ?  
 なあ…納得したんなら、早く…してくれないかな?」  
くちゅり…  
くちゅり…とボクの手を勝手に動かしながら、彼女はボクをせかす。  
 
諦めたというよりも興奮し切り止まれなくなったボクは彼女に促されるままに、いつの間にか力の緩んでいた彼女の腕の下から抜け出すと、  
彼女と身体の位置を入れ換え、彼女をベッドに横たえ動いた時に彼女の身体がずれないように頭に腕を枕にして敷き、  
とうに痛いほどに膨れあがったモノの先端を彼女の潤いの滴る裂け目の襞に優しく触れさせる。  
「ん……あっ……」  
くちゃ…  
先端が触れた途端に、彼女の切ない声が洩れた。  
彼女の反応と触れた感じでは、彼女のそこは既にトロトロに濡れそぼり、準備は整っていそうだけど、  
ぬりゅ…  
ずりゅ…  
ぬにゅ…り…  
念のために、ボクは体を入れ換え自由になった手で絶え間なく彼女の全身を愛撫しながら、  
触れた先端を押し出すように、彼女のスリットに沿って動かし往復させ、彼女の蜜を自分のモノに擦り着ける。  
 
「ねえ…早くシテ…てば……  
 それとも、じらすのが趣味なのか?  
 悪趣味だぞ……」  
ボクの往復に合わせ、彼女は濡れた割れ目も何度か持ち上げボクのモノを飲み込もうとする。  
「そういうわけではないのですけど……いきなりで大丈夫かなって思って……」  
「そんなん…見れば判るだろ?  
 大体、僕は…出来上がちゃったから……君としようとしてるのに……」  
彼女のせっぱ詰まった態度や言葉そのものが可笑しく、  
思わず、くすりと笑いがこぼれる。  
「あ…笑ったなっ」  
ボクの笑いに気づいて、暗がりでも紅潮させてると解る頬を更に真っ赤にして彼女が怒ってくる。  
それが可愛く、余計にボクの頬が緩む。  
「御免ね……行くよ」  
必死でひきつる唇を引き締め、  
ボクは一度、腰をひくとゆっくりと彼女の濡れた襞に先端を沈み込ませて行く。  
 
「きゃっ……あっ…入ってきてる……ぅ」  
呻くように声をあげながら、彼女はボクの首に手を回すと少しだけ爪を食い込ませる。  
「……っ」  
思わず、息を歯の隙間から吐き出してしまうが反射でしかない、今のこの痛みもボクには心地よく感じられてしまう。  
ボクは彼女の爪をそのままに、熱く滑らかになっている彼女のそこがボクのモノを奥に飲み込もうと繰り返す収縮の動きにあわせ彼女の中に進み入り、  
「もっと……もっと奥…に……」  
ずりゅ…り…  
彼女の言葉に促されボクは、先端を更に幾重にも重なる彼女の襞をかき分けて中に押し込んでいく。  
「あぁ…あぅん…ぅく……」  
途中で、何度か彼女は苦しそうに喘ぎを吐き出す。  
 
突き通したボクの先端が、つるりとした丸みを帯びた壁に突き当たり止まる。  
「ぁああんっ……一番、奥まで…奥に当たってるよ…っ」  
彼女に収まりきったボクのモノを彼女の中は収縮を繰り返し、まんべんなく締め付け絞り続ける。  
その収縮に一気にボクの射精感が高まるのを、  
ボクは彼女の一番奥で動きを止め抑え過ぎるを待つ。  
「くっ…ふぅ」  
動きを止めたボクは、それまでするのを忘れていた呼吸を吐き出し、彼女を見ると  
「……へへ…」  
綺麗な赤い瞳を涙で潤ませて嬉しそうにボクを見上げている。  
 
ボクは根元まで繋がったまま、その瞳に引き寄せられるように唇を奪う。  
「あ……くぅん…」  
彼女の鼻腔から洩れる、くぐもった甘い息に興奮したボクは彼女のモノが自分の腹に突き立てられるのも構わず、  
彼女の上半身を引き寄せ強く抱き締め一層強く彼女の唇を貪った。  
 
彼女の唇にむしゃぶりつくボクに、  
彼女もそれに答えて舌を絡めながら、きつくボクの体を抱き締め必死にしがみつきながら、おずおずと腰を揺すってくる。  
彼女がきつくボクに抱きついた事で、一層強く下腹部に押し付けられた、彼女のモノが彼女が揺れる度に、  
にゅるり…ぬるりと下腹部をこそぐり妙に気持ち良い……  
「あっ…う……はぁん…中で大きく…なった……」  
ボクの下で腰を揺すりながら、興奮で更に大きさを増したボクのモノを敏感に感じてるらしい、  
なんだかくすぐったいような、恥ずかしさを感じたボクは慌ててそれを誤魔化すため、  
ほとんど反射的に考える事なく、ボクと彼女の体の間に挟まっている彼女のモノに指を絡ませ、  
「君だって、こんなになってるじゃないか」  
軽く握り、腰を動かし出すと同時にその動きに合わせてしごき始めた。  
 
「あぁん…ダメっ!  
 僕…両方、一緒になん…ぁん…て、されたらっ…あぅん!  
 で…も、指…女の子の襞みたいで…ぁん…気持ち良いっ!」  
途端にボクの動きに体が揺らしながら、高ぶった声を彼女があげる。  
その声に興奮したボクは我を忘れ、手と腰を一緒にいきなり順序も気遣いもなく、出来る限りの速度で動かし、彼女の躯をむさぼる。  
「あぁぁっ…はげっ…し…い…  
 くぅうっ!壊れる…僕の…こ…われちゃうっ」  
彼女の苦しげな声が、聞こえる。  
 
ボク自身も声も出せないほどに、呼吸が苦しい。  
……でも、止まらない。  
ボクは彼女の口を再びキスで塞ぎ、  
ひたすら強く腰を打ちつけ、彼女のモノをしごき続けた。  
やがて、  
「あぁぁああっ……僕っ…イクっ!イクちゃうよっ!」  
先に色々してた分、彼女の方が先に達しようとする。  
「くっ……」  
ボクは、そんな彼女の追い付くために、より強い快感を求めて激しくモノで彼女の中をこそぎ、  
更に指から伝わる彼女のモノを握るという異様な興奮を更に求め、彼女のモノを握りる指に力を込める。  
 
「やぁっ…いやあっ  
 強すぎっ、僕っもうっ耐えられないっ ……ぁあああああっ!!」  
その激しさに簡単に絶頂に押し上げられた彼女が、今までで一番、甲高い声を上げ、モノの先端からびゅくびゅくと音をたてて熱いほとばしりを弾けさせ、  
ボクの胸から腹までをたっぷり白く染めあげ、  
手に滴り伝わるそのぬめりは、ボクの背筋にぞくぞくとした新たな快感が走らせる。  
その快感に刺激されボクも、達した事でより一層、きつく締め付ける彼女の中…一番、奥に強く突き入れ達した。  
 
 
ー・ー・ー・エピローグ・ー・ー・ー・ー  
 
「…あまり眠れませんでした…ね」  
彼女と抱き合った余韻を未だ引きづったまま、ボクはカーテンの隙間から差し込む朝の陽を見ながらつぶやく。  
睡眠不足の気だるい感じは嫌いではないのですが、  
「作業がはかどらないのは困りものですね」  
そうは言っても二度寝というわけにもいかない。  
ボクは、仕方なくベッドから這い出そうと上半身を起こすと、  
「ねえ…本当に魔王しない?」  
横に寝ていた彼女は、ボクの体にを自分の裸体を絡めながら尋ねてくる。  
ボクの体に先ほどまでの、あの快感が甦り思わず、引き受けそうになる自分を抑えるためにもボクは、  
「しません」  
きっぱりと彼女に断る。  
が、  
「…殺されちゃうって言っても?」  
ボクの返事に遠慮がちに彼女がぽつりと漏らした言葉は、  
さすがに聞き逃せずに、興味を持たない方が良いとは自覚しながらもつい聞き返してしまう。  
「誰に?」  
彼女はボクの問いかけに少し、躊躇してから答える。  
「君の多分、妹……弟の方じゃないと思う」  
……  
………  
…………聞いて、損しました。  
するわけにはいかないという言い回しは気になるけど、  
「有り得ないですよ」  
ボクは彼女の今度は自信を持ってきっぱり否定する。  
 
10年前、ボクが6才の時、両親の葬式で初めて会った母方の祖父はボクと弟を引き取りたいと焼香もせず、言い出していた。  
明らかにそれは孫としてでなく、IQ測定不能領域だと小学校入学時の検査で解ってた化け物のボクら二人が欲しかったんだという事は判った。  
その証拠に両親を失い、不安から弟にしがみつき離れない妹の事は、祖父は自分と関わりのない所で勝手にしてくれとばかりに全く話に出さなかった。  
必要なら、無理に妹を引きはがして弟を連れて行っただろう。  
あの時の妹の不安に脅える顔はいつでもボクの心を痛める。  
 
そんな彼女がボクを殺すわけがない!  
 
その自信がボクに彼女の柔らかい躯への誘惑を振り切る力をくれた。  
絡みつく彼女を振りほどくと、  
ボクはベッドを出てカーテンを開け、  
「結論も出たところで、そろそろ帰りませんか?」  
彼女に向かい窓の外へ顎をしゃくって見せる。  
「分かんないじゃないか…そんなの……」   
ベッドの隅で出ていく事に躊躇していた彼女が、  
突然、名案とばかりにポンと手を叩いて、  
「そうだっ!じゃあ、君が戦わないなら僕が守ってやるよ」  
勝手に決め、  
「じゃあ、ボクは二度寝するから」  
とベッドに潜り込んだ。  
 
「……そんな事、万が一にも億が一にも無いですよ……って言っても無駄なんでしょうね」  
一瞬、浮かんだ警察という言葉を、  
どうせ無駄だろうと諦めて呟くボクにすっぽりと布団を被ったまま、彼女は、  
「うん、無駄」  
と短く答えた。  
「仕方ないですね」  
常識外の相手と押し問答をしてても時間の無駄……  
それに昨夜のことで、情が移ってしまったらしい居ても別に不快な気はしない。  
ボクは諦めると彼女の放ったものを流すためにシャワーを浴びに出口に向かった。  
そして、ノブに手をかけた時、後ろから聞こえた彼女の声。  
「朝ご飯出来たら起こしてね」  
に、  
「分かりましたよ…でも、食事の前に君もシャワーを浴びて下さいね」  
と軽く笑いながら返事をし、寝室を出た。  
 
 

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