"赤鬼の面"が独りでに神棚から飛び上がると、
グッ
ゆっくりとわたしの顔に近づけていった。
「いやっ…!!」
わたしは迫ってくる"赤鬼の面"から怯えながら逃げようとしたが、
しかし、
スルッ
「え?」
"赤鬼の面"がわたしの顔のすぐ傍に近づくと、
ピタッ
っとわたしの顔に張り付いてしまった。
『ぐもぉぉぉぉ(いやぁぁぁぁ)』
"赤鬼の面"が張り付いてしまったわたしは、必死になって顔を振りながら潜ったような声を上げると、
ドクン
「……」
突然心臓が激しくなると同時に少しずつ体が熱くなる。
「あっ、あんっ、ダメッ、こんな…所で…」
ドクン、ドクン、ドクン…。
激しい胸の鼓動と全身を包む熱さに耐え切れずわたしは淫らに全身を広げる。
それと同時に…
ピクッ!
「うっ!」
全身の肌、
いや、
筋肉がピンッと張り詰めたと同時に、
バリバリバリ
制服が無惨に引き裂かれ、
わたしはショーツ1枚残しただけの姿となるが、その肌はいつもの色白ではなく、燃えさかる炎のような赤胴色の柔肌をしていた。
「あんっ、あうっ、くうっ…」
人前でこんな姿を見せているのは恥ずかしい以外の何物でもない。
そう思うとより赤面が増して真紅に染まるが、そんな気持ちにかまう事なく指一本動かせず、わたしは大の字になりながら変化が進むのを見届けているしかなかった。
メキメキメキ!!
わたしの体中から骨が軋む音が響き渡ると、
ピクッ、ムクッ、ムキムキッ!
手足が少しずつ長く、太く伸びながら大きくなって行く。
ボコッモリッ
わたしの肩やお腹で筋肉が盛り上がり、見る見るそのシルエットが大きくなっていく。
全身を変化による苦痛、
そして快感が覆うと、
恥ずかしいという感情は消え去っていき、
ピクン。
「うっ!」
すでに全身の感覚が普段とは全く違うものになっている中、わたしが女である事を生理的に証明している場所も変化の流れに侵され始める。
ググッ、ムグッ、ググ…。
「あん、あうっ…ぐぐ…」
服越しにMサイズの胸の膨らみに筋肉が張り詰め、そして胸の中に引きずり込んで行く感覚が伝わる。
柔胸は膨らみを微かに残しながら胸板に押し上げられ、柔らかい胸の感覚の代わりに逞しい胸板の感覚が胸にかかる。
ムクリ。
『ああ…ああ…こ、声まで…』
喉の奥から何かが盛り上がると同時に、
"赤鬼の面"の口の上下からは牙が突き出して、本当の口のように動きだし、そこから出る声も太く低く唸るようなそして獣のような声になる。
今やわたしの姿は9割がた筋骨隆々の鬼の姿となっている。
最期に床の上に靡く黒髪が毛先まで金色に変わっていくと、
"赤鬼の面"にはめ込まれたわたしの目が金色に染まり、
グリッグリッ!
『うぐっ、うごぉっ……うぐわぁぁぁぁぁぁ!!』
わたしが頭の両側に痛みが奔ると同時にこの世のものとは思えない獣のような雄叫びを響かせると、
ベキベキッ!!
ベリッ!!!
振り乱した金色の髪の毛を掻き分けるように左右に角が突き出すと、
そこには剛毛が生えた赤い肌に微かな柔胸を残した厚い胸板と太い手足、そして頭に2本の角を生やした赤鬼がそびえ立った。