・試製戦闘種・蝗型、および同型改
E兵器全ての礎となった第一号。
E兵器開発計画の主要メンバーである若き天才科学者が、第一号を製造するに当たり、自らの体を供出。
初期技術においては結合させる生物の知能が高すぎると、精神融合による人格への悪影響の恐れがあったため、
単純な節足生物で、構造が発達しつつもシンプルな昆虫で、草食を主とし、
更に不安定要素となる大きな変態を行わない不完全変態である「蝗」が用いられた。
融合実験自体は成功したものの、初期の時点ではいわゆる「変身」に必要なだけの魔力連鎖発生が足りなかった。
その後、改造に改造を重ね、ついに完成の日を見る。
テストの一環として日本本土奪還作戦に投入され、山をも穿つと言われる蹴りを武器として、大きな戦果を上げたとされる。
戦場に出るときに必ず被っていた髑髏のモチーフが施されたフルフェイスと血染めのスカーフは、E兵器の代名詞となった。
同氏は、戦後のE兵器弾圧の流れと、数多くの人をその兵器に改造してきた事の苦悩を綴った手記を残し、
現在、行方不明となっている。
・試製工兵種・蜘蛛型
蝗型と並列開発されたE兵器。強靭な蜘蛛の糸を自在に操り、さまざまな環境に適応可能な工兵を目指したもの。
…結果は「THE - 平均点」。悪くはないんだが、兵器としてはそれほど。
戦後はE兵器の不遇な立場ながらも、レスキュー隊員として多くの人を助けるが、
当時の国内メディアではE兵器の活躍を載せるなど論外であり、メディアは専ら悪評ばかりを広めていた。
彼が評価されるのは幾分未来の話である。
その後の同型だが、女性の被験者で再適応を行った際、魔法技術のベースである発掘遺物と
高い同調性が確認され、その発掘遺物が神話通りの者であることが証明された。彼女こそ「アラクネ」であると。
・試製工作種・蝙蝠型
E兵器の初期のもの。初の哺乳類結合種でもあり、1体のみしか制作されていない。
被験者は自分こそが正義だと名乗る、しかし重犯罪者だった模様。
モチーフが選ばれたのは「魔術による生物兵器の代替兵器」というコンセプトが先にあり、
そこに東欧のヴァンパイアのイメージが重ねられた結果でもある。
完成なったそれは、まさしくそのホラームービーを再現しうる能力となった。
夜陰に紛れてレーダーにも掛かりもせず音もなく敵陣に辿り着いた彼は、気の毒な誰かを襲う。
伝説どおりに吸血(大きな代価となる魔術儀式である)を受けた者は、一定の潜伏期間の後に、
体内で蔓延するセルマシンの魔力欠乏から、感染者が知る限りの魔力補填儀式、すなわち吸血を衝動的に行う。
当然、連鎖的に感染は拡大してゆく。それが戦場で起こればどうなるかは想像を絶するだろう。
なお、通常感染者は酷くても精神錯乱と不完全な変身程度だが、
高度なE兵器適合体質の場合、オリジナル同等の変身能力だけでなく、別種の能力覚醒も考えうる、という。
実戦投入は行われたが、戦場に置いて犯罪行動(戦乱に乗じた犯罪者への私刑とのこと)から、外部操作による機能停止。
逮捕され、軍法裁判によって死刑判決を受け、E兵器をシンプルな手段で殺せる試製魔術兵器のテスト台とされたという。
彼を葬った事で、その兵器と呼ぶのも躊躇われる様な小さなナイフ、
しかし僅かにも罪ある者が握れば腕が焼け爛れるほどの強い魔力を宿す魔術兵器は、
「ホワイトアッシュ(白木)」と呼ばれるようになった。
…などともっともらしい話が語られているが、彼が実在したかは不明。都市伝説の類である。
・試製〜汎戦闘種・狼型
E兵器が基礎技術を確立し、満を持して作られた哺乳類結合種の汎戦闘種。
伝説の月夜に狂う狼男、ではなく、兵士に対し狼という本能や能力を与える目的の物で、
一般的なE兵器としての能力だけにとどまらず、嗅覚・聴覚等の補佐能力もまた強力なものとなった。
懸念されていた精神融合の部分に関しても、体系の中にある兵士としてはむしろ好影響となり、
E兵器のなかでは最も数多く生産されることとなった。
“悪漢をやり込めた”ことで、調子に乗っていたのは間違いなかった。
同じ道でも、先日とは打って変わって、静一の歩みは軽いものだった。
だがしかし、その後ろを歩く美梨は。
そして静一は、振り返ってしまった。林の中の道の暗がりにいる彼女を。
静一は理解できなかった。その微かな不機嫌を押し殺して、明るく努めて問いかける。
「なんだよ美梨…、なんで難しい顔してるんだ?」
問いに怯えるように一瞬俯いた美梨は、低く視線を迷わせた後で短く呼吸をし、
酷く苦しそうな顔で、そして口を開いた。
「…“静一さん”は、解決だと思われますか?」
最初は意図が掴めず、すこし考えてから、応える。
「あんなに派手に、軍法にもひっかかるような犯罪をやったんだから、
あいつはもうエビルと関わることすらできなくなるよ。」
社会にあるとしてもE兵器は軍に属する。それを軍家に害意を持つ者が利用するのは認められない。
それが子供であれば始動する立場の親にも責が行く。それぐらいのことは静一も知っていた。
だが、すぐに美梨が返した
「そうですね、確かに彼らは十分な報いを受けるとは思います。
でも、そうではないんです。」
完全に分からなくなった静一に向かって、続ける。
「あの後、先生たちの話し合いを聞いてしまったのですが、
あの命令をしていた人は最近、少し辛い事があったらしいのです。」
段々、不機嫌を隠せなくなった静一が、語気も強めに反論する。
「自分が嫌なことあったからって、エビルにひどい事をしてもいいっていうのかよ!」
悲しそうな顔で呼吸を整えた美梨、
「それは勿論悪い事です…。でも少しすれば元に戻ったと思います。」
不可解な回答に、静一は怒りを混ぜる。
「戻るって、またエビルをオモチャにするみたいな状態だろ、そんなのがいいわけないだろ!?」
美梨は、一度答えようとして、俯いて躊躇う、しかし
「そういうのは…、長く続かないと思います。親とか大人の人から咎められて、それでおしまいだと。
でも静一さんの行動で、戻らなくなってしまうかもしれないのです。二度と、元に。」
抑えきれなくなった静一が、美梨に駆け寄り、両肩に掴みかかる。
「平気!?酷い事をされて、させられて、苦しくても、悲しくても?それを元に戻す!?」
間近にした静一に目を伏せた美梨は、一言一言を苦しそうに
「…はい。私は、いじめられていた彼と、同じ型の、狼のE兵器です。」
「…え?」
何故それがここで話に含まれるのか、分からなかった。
「静一さん、あの後、彼を見ましたか…?」
「茫然として、酷く後悔した顔をしてました…、今すぐにでも消えてしまいたいような、そんな事を思っていたんだと思います。」
静一に理解は、出来ない。
一方で、美梨は、何かを心に決めたようだった。
「私たちは、狼、いえ、“犬”です。犬は、どのような飼い主でも、離されるのは最も辛いことです。」
嫌な響きに、少年は息を呑む。
「さっき、静一さんも彼を犬と呼んでいました。それが本来あるべき姿なんです。」
少女は強く言い切った。そして更に続ける。
「私はE兵器。あなたたちの道具で…。」
「やめろ!」
考えたくもなかった、親しい少女の直視できない一面を自身に語られることが許せず、
静一は遮るための叫びをあげた。
「美梨は…、そんな、悲しい事を言うなよ!ずっと、ずっと家族なのに!」
答える、兵器の娘。
「家族、ですよ。…でも、私は“人”では、ありません。首輪の中で命令どおりに生きるE兵器です。」
2人の距離は1メートルも離れていなかった、少女は思惑あってそこに壁を作ろうとした。
少年は、そこに壁などあって欲しくなかった。
首輪に囚われた大切な“人”を、取り戻さなくてはいけなかった静一は、無理に2人の間の歯車を回す。
「関係ないよ!大切な家族で、そばに居て欲しいんだ。」
まっすぐな気持ちをぶつければ、という思いは浅はか。
少女の悲しそうな顔は、より一層深くなった。
「一生、静一さんのそばに居させて頂きます。ですが、大切な人には、なれません。」
ずいぶん前から激しく打っていた心臓の音が、ひときわ重く、静一に響く。
彼女は自分の物になるということなのに、とても大切な何かが手に入らない。
自分の物にしたいのではない。彼女が、道具ではなく人間でいてくれれば。
他は何もかも否定されてもよかった。自暴自棄も手伝って、歯車を逆に回す。
「…美梨、おまえのエビルの、姿を見せてくれ。…バ、バケモノ、なんだろ?林の中でいいから!」
美梨は体を震わせる、予想外だったのだ。
「それは…、あの…、今は。」
そうだ、抵抗してくれ、聞けない命令もあると。
「できないだろ!?」
やった!これで…
「…すみません、服や靴が破れてしまいます。これは、おじさまから頂いた物です。」
…止まって、たまるか。次は、ええと。
「…ふ、服を脱げばいいだろう!」
後悔が強い鼓動を引き起こす。
少女が、この命令を聞いてしまうのは駄目だ。しかし。
「わかり…、ました。」
止めてくれ!と言いたかった。すぐにでも。
だが、命令を跳ね除けさせるのが今の目的なのに、覆す命令をしたら意味がないのじゃないか?
思考が酷く絡まって声も出せなくなった少年から少し離れ、
木陰に入った所で、少女は着衣を一つ一つ身から外して、丁寧に折りたたんでゆく。
すぐに、素肌の肩が晒される。昨晩見た、右の肩。その下の…乳房。
裸の少女が、林の中に立っていた。
いくらかの場所だけを腕で隠しただけの姿で、いかなる思いかも読み取れない面持ちで少年の方を見やる。
「あ、あう…あ、は、早く、エビルの姿!」
獣毛に覆われた獣の姿になれば、人の姿としての破廉恥さは薄れるはずだと思い、嫌な命令を重ねてしまう。
そこで少しの恥じらいの欠片を見せた少女の姿が、歪む。
両手、両足、両腕、両脚、先から毛が覆ってゆく。骨格も人と獣の間の形に捩れてゆく。
鋭い爪、長く尾が伸び、腹までを毛が包んだ所で、恥部は隠れ人目につかなくなる。少年は息を付く。
苦しくは無いのだろうかと気に出来る余裕も。
しかし首元は温かく飾った狼の毛は、少女の乳房の形や先端は隠さなかった。
頭髪は狼の銀、耳も獣のそれに置き換わり、獣毛が輪郭や頬を飾ってはいるものの、
顔自体は人のそれのままだった。静一の心臓は穏やかにならない。
「これで…、いいですか。」
姿を変えた美梨は、いつもどおりの声で、問いかける。
ああ、どうすればいい、これ以上の、絶対に抵抗してくることなど…。
理屈は、だんだんと崩れていた。静一はふらふらと獣の美梨に近づく。
欲情していたのかもしれない。彼女の裸に。
手に入れたかったのだろう。彼女の体だけでも。
何も言い訳できない。
裸に触られるのは、耐えたのだろうか、伸ばされた手を受け入れ、先ほどのように両肩を掴まれる。
「…こ、このまま、抱かせろ。」
吐き捨てるように、言う。もう、どうすれば。
「…かまいません…。」
逃げてほしい、嫌がってくれ。
木に押し付け、獣の娘を屈ませる。ベルトに手をかけて、いくらか手間取った後、
下半身につけた衣類を纏めて脱ぎ落とす。雄は既に機能していて、人の少年は恥と悔いを増す。
どうすればいい。
獣毛の足を押し広げる。持つ力なら人の力などではびくともしないはずなのに。
多くの場所は毛に覆われていても、生殖器と排泄器の部分は粘膜が覗いていた。
体を進め、広げた足の間に割ってはいる。体だけ見て、彼女の顔を見ないように。
何も抵抗されない。
体を固定するために、相手の腰に置いた右手を滑らせ、足の外側から手探りで内側に差し替える、
手が内腿に触れると毛の質が違う、柔らかく温かい。
止まれない。
腕に自分自身が当たり、次いで、手が少女の奥に届き、指で、探る。
そこは毛や肌とは違う、粘りついた。びくりと震えたのは、間もなく失う乙女ではなく、雄の方だった。
10と少しの年齢で得た、偏った知識しかなくとも、雄が後押しする。
穴が、ある、はず。
「…け、汚してやるからな。」
まるで欲を受け止めるだけの人形のように、美梨は体を開き続ける。
柔らかな毛に包まれたスリットの中、絡みつく粘膜の間を二本の指で探る、
人差し指は押し出されたが、延ばした中指の先が、ぬるりと滑る。
指に力を籠め、乱暴にもぐりこませる。胎内は、熱い。
痛くなるように、乱暴に、乱暴に掻く。美梨の体が撥ねた。
だが、そこまでだ。制止もされない。後はもう、残っていない。
美梨の膣内から指を引き抜いて、自由になった右手で雄を握り締める。
圧し掛かった。顔は肩のほうに食いつかせ、美梨の顔を見ずに済むように。
獣根を、美梨の体に押し付ける。先端の粘膜に彼女の腹の毛が絡み、少し痛い目を見た。
見えないので、少し苦労して、やっと探り当てる。美梨の粘膜。
突き込もうとした。だが、美梨の秘肉は受け入れず、押し返され、逸れる。
摩擦で、より雄の獣性が猛る。
もう一度、やはり駄目だ。押し当てるまではいっても跳ねる様にはぐれてしまった
次のは尻の排泄器の方へ、次のは粘液にはぐらかされてスリットをなぞる。
次も、その次も同じ、美梨のクレバスに従って押し出される。呼吸ばかり激しくなって、上手くいかない。
ただ、押し出された獣根が何がしかに触れるようで、美梨の体が震えるのは分かる。
美梨の入り口を指で検める、と、そもそも受け入れる角度が違う事にやっと気付いた。
自身は体を起こして、両脚を抱えるようにして美梨の体をを引きずり寄せ、
腐葉土の地面に完全に寝かせ、もう一度圧し掛かる。
もう、目的など忘れ、獣性に支配されていた。
押し当て、押し付ける、少し違うのがわかる。窪みに食い込んだ感覚がある。
粘膜と粘膜、潤滑する粘液が足りず、酷い痛みが走る。
と、恐ろしい、というような感覚が走った。
支えが無くなって、食い込む。先ほどの痛みのまま、男性器の粘膜が全て引き剥がれたのかと思った。
熱い。美梨の胎内に居た。
「は。ははっ。」
静一の頭の中に、自分の方がよっぽど獣だという感覚が湧き、
そして次の瞬間、本能にかき消される。
押し込んだ。美梨の股の、奥の奥まで。
獣根の鰓には、上方から少し固めの内組織が重量をもって圧し掛かり、粘つく誘惑と摩擦を与える。
それが彼女の子宮口だとは、知るはずもない。ただ快楽を求めて擦り付ける。
奥の奥、熱い粘膜の中に頭を埋めきり、そこから引き、鰓を粘膜に滑る子宮口と絡み付き誘う襞に吸い付かせる。
幾度かは、引いた勢いのまま膣口からはぐれ出た、淫猥に湿った音を立てて。
掻き出された粘液が、内股の柔毛を汚すが、気にも留めずに、また、肉襞を貫きに戻る。
静一は上半身の服も強引に脱ぎ捨てていた。肌が、彼女の毛皮と擦れる。
肌から滲み出た汗が、艶のある毛皮に染み込み、毛玉になるように絡ませ、べた付かせる。
逃げもしない、温かい体。
手のひらはいつの間にか、乳房をとらえていた。毛で手触りこそ違う。
とてもあつい。しかし同じものだと分かる。逃がすまいと乱暴に握り締める。
獣の少女はただ受け入れるまま、人の少年は強引にそれを貪る。
少年は欲楽に導かれて、それを味わうだけの単調な動きに囚われていった。
強い刺激のため、少女の体にぶつけ当て、擦りつけ、彼女に沈め込む。
男になったばかりとしてはよく堪えたほうだった。
その時には、完全に雄が体を動かした。腰は雌を捉えて深く食いついた。身動きはとれなくなる。
どこか管が弾けるのではないかと思うほどの量の半液体が、獣根を湿していた粘液を押し抜け、
それを受け取る外の器へと注がれる。幾度か脈動が続き、捻り出す。
だが、あともう一滴、出せずに留まってしまったような。
しかし、十分。いや、やり過ぎた。汚しきってしまった。
全身の筋肉が無理な動きをしたと悲鳴を上げ、思わず、呻き声を漏らした。
悔やむ気持ちが覆い始めた体を、ゆっくり離そうとした、その時
それまでは獣根を優しく包んでいた粘つく肉襞が激しく絡み付き、管の中に残った精液を搾り取った。
あわてて身を離すと、急激な抜き取りのためか、美梨の秘所からは多くの粘液も共に引きずり出され、
彼女の、白めの毛に覆われた尻と、その下にあった尾を、酷く汚した。
露になった白くべた付くその液体は、静一に、罪を告げていた。
美梨は静かに涙を流していた。
その涙に、どのような心が混じっているか、静一は気付けなかった。