目覚めると、ちぃの顔が目の前にあった。  
広いベッドの上で俺の腕をまくらにして、ニヤけ面でじぃっとこっちを見ていやがる。  
 
「ちぃ、おはよ…」  
「うん、おはよ、ダイちゃん」  
「…俺の顔、何か変か?」  
「え? そんなことないけど、何で?」  
「いや、何か人の顔見てニヤニヤしてるから」  
「あ、ごめん。そういうんじゃないよ。ただ、新鮮だなぁって」  
「新鮮?」  
 
何のことだろうか。昨晩は特に変わったプレイはしてないつもりだが。  
いや、いつも変わったことなんかしてないけど。  
 
「新鮮って何が?」  
「あのねー、私とダイちゃん、今同じ目線でしょ? だから」  
 
うん、わからん。  
と言いたいところだが、それがわかってしまうのが長年の付き合いというやつか。  
 
「つまり、普段の下からじゃなくて、正面から俺の顔が見れるのが新鮮で嬉しいと」  
「そーでーす!」  
 
ニコニコと笑うちぃの身長は140cmと少ししかなく、俺の知る限り小学校高学年からまったく成長していない。  
対して俺は現在182cmで、恐ろしいことに未だに成長期である。  
そんなわけで二人並ぶと俺はちぃを見下ろし、ちぃは俺を見上げる構図が自然とできあがる。  
だから二人の目線が同じになるのは、こうして互いが横になっている時ぐらいというわけだ。  
 
「んで、真正面から見た感想は?」  
「んー、思ってた程おデコ広くないなぁって」  
 
…てことは下からだとデコが広く見えるのか。とりあえずシャンプーを変えるか検討しよう。  
 
「他に無いのかよ」  
「後はねー、何か対等な立場って感じになれる」  
「は? 何だよそれ」  
「えー、だっていっつもダイちゃんに見下されてんだもん」  
「いや…いやいや。なわけねーだろ。見下してんじゃなくて、ただ見下ろしてるだけだ」  
「いっしょだってー」  
「全然違う」  
 
みくだす、と、みおろす、では主観的感情か客観的事実かがまるで変わってくるだろう。  
その辺説明しても背が低いことがコンプレックスのちぃはなかなか納得しない。  
挙げ句には、  
 
「私の方が身長高かったらダイちゃんを思いっきり見下してやるのに」  
 
とか言い出した。  
…ほう、なるほど。これは少し懲らしめてやらねばなるまい。  
 
「わかった、それじゃあ見下させてやるよ」  
「え?」  
 
ちぃが何か言う前に素早く抱き寄せ、目前にさらけ出された胸の先端に口をつけた。  
昨日の情事からそのまま寝こけていたのだから、当然互いに裸のままだ。  
 
「ひゃふっ!?」  
 
びくりっ、とちぃの身体が大きく反り返る。朝からでも胸の感度は良好らしい。  
身長は小学生並のくせに胸はしっかり育っちゃってるんだから、神様はまったくもってけしからん。  
まる出しの白い柔肌に吸い付きながら尖った先端を舌先で弄ぶ。  
 
「ダ、ダイちゃ…やっ、何し…んんっ」  
「ほれ、今なら俺の方が頭の位置低いぞ。これでお前の立場のが上になんだろ? 思いっきり見下してみ?」  
 
一旦口を胸から外して、ちぃを思いっきり見上げながら言ってやる。  
それからクククと悪役のように笑って、ちぃの顔を見たまま舌で乳首を舐め上げる。  
 
「ふあ…っ、う…はぁっ…!」  
 
ちぃが必死に声を押し殺しながら、潤んだ目で俺を見てくる。どう見ても見下すというより何かを懇願する目だ。  
 
「どうした、ちぃ。俺を見下すんだろ?」  
「だ、だってぇ…ダイちゃんが…」  
「何だ。もっと下じゃないとダメってか?」  
「へ? あ! ち、違っ…」  
 
ちぃが察するより早く、ベッドを滑るように足元の方に移動して、頭をちぃの足の間に割り込ませた。  
 
「ダメッ、ダメぇッ」  
 
ちぃが足を閉じようとじたばたするが、子供みたいなやつが暴れたところで俺は揺るがない。  
気にせず秘部に顔を近付けると、割れ目をなぞるように舌を這わせる。  
さっきの胸への愛撫でそこそこに感じていたらしく、溢れ出た膣液がたっぷりと舌で掬い取れた。  
 
「あ、あっ、や…ああっ」  
 
何度も舐めていくうちにちぃの抵抗はすっかりなりを潜め、反比例するように声に艶が増していく。  
トロトロと分泌されてくる粘液をわざと音を立てて吸い上げる。  
ちぃの顔を盗み見ると、ぎゅっと目を閉じ顔を紅くして小動物のようにぷるぷる震えている。  
ちょー可愛い。ちょーイジメてぇ。  
 
「こっち見ろよ、ちぃ。今なら俺のこと絶好の角度で見下せるぞ」  
「や、やだぁ」  
「やだじゃないだろ? ちぃが俺のこと見下したいって言ったんだろ」  
「絶対見ないぃ…」  
 
流石に自分の性器に顔を押しあてられてるところを見る趣味はないらしい。一生懸命顔を逸らしているところがいじましい。  
だけどまだまだ俺の強制見下させタイムは終わっていない。というか、こんなとこでやめれるか。  
 
「ちぃ、動かすからな」  
 
寝転がりながら、ちぃの脇の下に手を入れ、ひょいと持ち上げて腹の上に跨がらせる。  
仰向けのまま、じっとちぃの顔を見る。ちぃも俺の胸に両手をついて真上から俺を見ている。  
 
「どうだちぃ、俺を見下してる気分は?」  
「み、見下してないよ。ダイちゃんのこと、見てるだけだし」  
「いっしょなんだろ?」  
「…ダイちゃんのイジワル。バカ」  
 
ちぃが拗ねたように唇を尖らせる。そういう表情もまた愛しかったりする。  
 
「ごめんごめん。……なぁ、ちぃ、挿れてもらえるか?」  
 
俺の言葉にちぃはこくりと頷くと、いきり立った俺のモノを小さな手でそっと握った。  
そのまま腰を浮かせて先端を秘穴にあてがうと、ゆっくりと腰を沈めていく。  
 
「んああっ…あ」  
 
甘く蕩ける吐息と共に、ちぃの中に俺の全部が埋め込まれた。  
小学生みたいな背丈でも、ここはしっかり歳相応の女性の機能を果たしている。  
柔らかい襞肉が痛みなく俺を包み込みながら、決して離すまいときつくきつく締め付けてくる。  
 
「く、ちぃ…すげぇ気持ちいい」  
「わ、わたし、もぉ…」  
 
更なる快感を求めようと、ちぃが腰が動かし始める。  
結合部から抜けかけた肉棒が再びちぃの中を突く度に、可愛らしい嬌声が上がり、襞がぎゅっと絡まり強烈な快感を与えてくる。  
歯を食いしばって射精感を堪えながら、ちぃが腰を下ろす瞬間に、負けじと幼躯を突き上げた。  
 
「ひゃああっ!? あぅっ! あっああぁ!!」  
 
何度も何度も欲望の剛直をちぃの子宮に突き刺す勢いで叩き付ける。  
その度にちぃの小さな身体はがくんがくんと揺さぶられ、広い部屋に甲高い喘ぎが響いた。  
 
「ダイちゃっ、あぅっ!! お願、キスし、てぇ…っ」  
 
ちぃが激しく上下に揺れながら、熱っぽい瞳でおねだりしてくる。そんなもん、断る理由がない。  
片腕を伸ばしてちぃの頭を抱き寄せ、深く長く唇を重ね合う。勿論その間も腰の抽送は止まらない。  
 
「んんっ…! んあっ! んんむぅ!!」  
 
塞がれた唇の隙間からちぃの押し殺された声が漏れる。ちぃはもう身体を起こすこともできないのか、  
俺にしがみついてされるがままに身を預けている。  
じゅぶじゅぶと愛液が掻き混ぜられる音と、肉体のぶつかり合う音が激しさを増す。  
膣内も俺自信をより奥まで飲み込もうと艶かしく蠢き、絶頂に導く刺激を脳髄に打ち込んでくる。  
限界が近い。ちぃを強く抱きしめ、ラストスパートをかけ始める。  
 
「ああっ、あああぁっ! いっ、いいよぉっ!! そこぉっ! ダイちゃんっ、ダイちゃぁん!」  
「ちぃ…っ、も、出そっ」  
「うん、出してぇっ! あた、あたしもっ、もう! うああっ!」  
「く、ああぁっ!!」  
「あ、ああああああぁぁぁぁぁ―――――っ!!!」  
 
ちぃの絶叫と共に膣が俺の分身を食いちぎりそうなぐらいに締め上げた。  
最後の一突きをえぐるように最奥まで突き込んで、欲望の塊を一気に放出した。  
昨晩も出したはずなのに、信じられないぐらい大量の精液が、どくどくとちぃの膣内に流れ込んでいく。  
 
「ちぃ…俺のこと、見下せたか?」  
「…も、そんなのどうでもいいよ」  
 
確かにどうでもいい。  
俺は胸の上に乗った幸せの重さと熱い吐息を感じながら、やがてもう一度眠りについた。  
 
***  
 
「ねぇダイちゃん、そろそろご飯食べようよー」  
「あぁ、すっかりいい時間だもんな」  
「ダイちゃんのせいでしょ」  
「ちぃのせいだろ」  
「えー、違うよー」  
 
ぷりぷり文句を言うちぃを無視して、さっさと服を着始める。  
と、ちぃが後ろから声をかけてきた。  
 
「あれ? 今日は執事スーツ着ないの?」  
「あぁ、予定では今日ここ来る人いないしな。お前しか相手しないなら、あんな暑苦しいスーツいらん」  
「えー、ダイちゃんのスーツ姿、好きなのにな」  
「俺もちぃのお嬢様ドレス姿好きだけど、今日一日着てくれるか?」  
「…普通の服が一番だよね」  
 
ちぃは逃げるようにせかせかと立ち上がると、服を選びに隣の部屋に行ってしまった。  
 
まったく、とんだ財閥令嬢もいたもんだ。まぁこんな広い家でたった一人の執事…ていうか使用人と暮らしてるんだから、  
やたらのんびりで、細かいこと気にしない性格になるのは致し方ないのか。使用人と恋仲になるぐらいだし。  
いや、むしろあの性格は遺伝なのか?  
旧知の仲だからといって、年頃の娘の側仕えに年頃の異性をあてがっちゃうような両親だからな。  
 
なんつーか、身長とかどうでもいいだろうと思えるような差がちぃと俺にはあるはずなのに、  
そんなことをあのお嬢様はまるで気にしてない。  
よりにもよって俺がちぃを見下してる、だもんな。逆だろ普通。  
 
「ダイちゃん、着替えたからご飯食べよう!」  
 
ちぃがラフな格好をして戻ってきた。ちょこちょこ歩いて俺の隣に立つと、嬉しそうな顔で俺の方を見上げて来る。  
 
「どした?」  
「今日学校休みだし、訪問客もないんでしょ? 一日ダイちゃんといちゃつけるなーって」  
「…んじゃあ、戯れに執事とお嬢様ごっこでもするか」  
「何それー、やだー」  
「そこの執事、ボイルエッグを持ってきてあそばせ」  
「え、ダイちゃんがお嬢様やるの?」  
「不服か?」  
「何か、きもちわるぅ」  
 
屈託なく、臆面なく、裏表なく、ちぃが笑う。  
ホントに上とか下とかどうでもいい。ただ、ずっとこいつのそばにいよう。  
ちぃの頭をくしゃりと撫でながら、そんなことを思った。  
 
〜完〜  
 

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