【朝】
・犬
「ねぇねぇねぇねぇ。起きて起きて起きてー。朝ですよー。朝ー朝ーあっさでっすよー」
うるさい。人のベッドの上で喚くな跳ねるなバカ野郎。今日は高校休みなんだから朝から起きる必要はどこにもないだろうが。
「あ、起きないつもりだ。ねぇってばー、宿題一緒にやるんでしょー?」
そういえば昨日そんな話をした気もする。だけどそれは昨日のオレ。今日のオレはそんなこと知らん。眠い。寝かせろ。
「そんな布団をしっかり握りしめて……。もう、そっちがそういうつもりなら、無理やり起こすもんね」
やれるもんならやってみろ。お前がどれだけ叫ぼうが布団を叩こうが、その程度でオレが簡単に目を覚まうきょあああっ!!
「あ、起きた。おはよう」
こいつ……人のほっぺた舐めるとか何考えてんだ。うわぁ、頬に唾液がべっとりと。ぺろっ、程度じゃない。べろん、とやりやがったな。
「てらてらして、シロップみたい」
やかましい。しかも更に舐めようと舌出してスタンバってるし。……わかったわかった。起きるって。
「やったー。じゃあ先に下降りてるねー」
はいはい。朝から元気だよ、ほんと。
・猫
「あ、おはよ」
おはよ、じゃねーよ。何を布団に勝手にもぐりこんで添い寝してんだバカ野郎。びっくりして心臓止まるかと思ったわ。
「だって全然起きてくれないし、あんまり気持ちよさそうに寝てるから、つい?」
何で最後疑問系だよ。自分の感情に責任持てよ。しかも絶対真剣に起こそうとしてなかっただろ。
「そんなことないよ。えいえいって布団2,3回叩いたし」
猫パンチか! 起きるかそんな貧弱アクションで。そもそもお前ここで何してんだよ。今日何か予定あったか?
「んー、あったような……なかったような……えと………………くぅ……くぅ……」
……え? もしかして、寝た? 寝てるのこいつ? 起こしにきといて?
「んにゃあ、おたまじゃくしぃ」
変な寝言言ってるし。もう熟睡だよ。……ったく、幸せそうな寝顔して。
「血の味が広がりゅう……」
怖っ! どんな夢!? あー、もうしょうがない。もう少し一緒に寝てやるか。
【夜・本番前】
・犬
「……くさい」
そう思うなら人のモノをくんくんするな。しょうがないだろ、風呂入る前なんだから。
「これって、ずっとしゃぶってたらおいしいダシが出てイイ臭いがしたりしないの?」
するか。出るとしても、まずおいしくない事は断言できる粘っこい液体だけだ。
「むー、残念」
とか言いながら竿を横から咥えてちゅーちゅー吸ってるし。豚骨じゃねーっつの。
「ん……んぐ……ちゅる……んん」
……ま、気持ちいいからいいんですけどね。
・猫
「……苦い」
そうやって先端ばっかりチロチロ舐めてるから、先走り液を味わうハメになるんだと思うが。
「だって、こことかすっごく熱くなってるし、舌火傷する」
するか。素手で握れてるだろうが。お前の舌の温度の方が高いぐらいだわ。
「すご、ビクビクしてる」
聞けや。結局裏筋とかもっすごい警戒しながら舌先で突いてるし。グロくても人肌温度だっつーの。
「ふ……あふ……ぺろ……はぁ」
……ま、気持ちいいからいいんですけどね。
【夜・本番】
・犬
「ひぁあっ、あっ、あっ! そこ、ダメェ……」
そこってのは、ここか?
「きゃうんっ! くぅ……ん、やだぁ、声、出ちゃう……」
出せよ。聞きたい。
「やあぁ……っ、激しっ、ああ……ダメッ!!」
痛ってぇぇぇぇ! 肩噛みやがったこいつ!
「ん…っ! んんん、んぐぅぅぅ!」
痛い痛い痛い。くっそー、絶対歯型残るなこれ。……まぁいいや。その代わり今夜はゆっくりしつけてやるからな。
「キャンっ! ん、んあぅっ!? んあああああああああああ!!」
・猫
「ふっ、ふぅぅう、ふああん……」
発情期みたいな声出して。やらしい声はここから出てんのか?
「ふぎゃっ! の、喉は……舐めちゃ……あ」
ホント、喉元弱いよな。
「んなぁ…っ! ふ、ふぅぅぅぅぅぅ!」
あれ…、爪。爪がなんか、背中に食い込んでない? 抱きしめ過ぎじゃない? いて…いててててて。
「……っ、ふぅぅぅぅ、ふあああっ」
引っ掻いてる引っ掻いてる。ミミズ腫れんなる! ……ちきしょう。お詫びに朝までたっぷり猫可愛がってやるからな。
「ふにゃ? あうっ、ちょ……にゃ、にゃああああああああああ!!」
【総評・彼が彼女に思う事】
・犬
総じて犬っぽい。
・猫
総じて猫っぽい。
【総評・彼女が彼に思う事】
・犬
「ケダモノ」
・猫
「ケダモノ」
おわり