『怪物蜂』  
 
何が起こったのか誰も知りはしないが、それは突然にスズメバチからかけ離れた生物となった。  
 
近頃は、住宅地の近隣でもスズメバチが跋扈しているのだが、彼らは巧妙な場所に巣を作っていた。  
住宅地に死角に点在する廃屋の一つに営巣していた群体であったが、突然に群れの大多数の蜂が死に、  
そして数匹だけ残った女王蜂と働き蜂が異常な成長を遂げた。  
それは瞬く間に人間を凌駕する体長と醜悪な姿を獲得し、新たな群れを形成し始めた。  
 
そして廃屋は根城となり、この怪物蜂は巣を拡大する為の獲物を求めて飛び回ることとなった。  
 
 
本能的な行動だろうか。怪物蜂は夜闇がちらつく夕暮れ時に行動をした。  
誰も近寄ることの無いこの廃屋は巣を張るには最適で、何人にもこの蜂は見つからなかった。  
 
人の大きさほどの、怪物であるのに、だ。  
 
破れた窓を飛び出し、消音性を持った大きな翅で赤焼けの空を飛ぶ。  
 
鈍く光る眼が眼下を睨み、しなやかな触角が獲物を嗅ぎ分けていく。  
そして程なくして、怪物蜂は群れからはぐれた獲物を見つけた。  
 
錆びた鎖がキィキィと鳴く。  
 
「塾、さぼっちゃったなぁ」  
 
ケイコは気が抜けるように呟いた。  
何時もなら塾で高校生向けの問題集を睨んでいる時間なのだけれども、  
なんとなく、行く気が起きなかった。  
 
そして夕暮れの公園で時間潰し。  
 
何をする当てもなく、ブランコに腰を降ろし、ぼんやりとしていた。  
アップでまとめた髪と夏の白い制服に赤色が乗り、ケイコは一日の終わりを感じていた。  
そのまま、少し時間が過ぎて、さすがに家路につく事にした。  
 
ブランコから腰を上げ、背筋を伸ばした所で、衝撃が身体を突き上げた。  
何か巨大な影が、恐ろしい速度で飛来し、ケイコを拘束した。  
 
それは空を彷徨っていたあの怪物蜂だった。  
 
砂埃が舞い、怪物蜂はケイコを顎と脚で引きずり倒すと、ケイコの背中にのしかかった。  
 
「あぐぁッ、・・・ぃやッ?!な、なに?は、はなしてッ!」  
 
乾いた公園の土が頬に押し付く。  
巧みに人間の首と胴を押さえつけた怪物蜂は二度三度と顎を打ち鳴らし、  
ケイコの背の中心に対して『鋭い尾』を打ち込んだ。  
 
「・・・ぁぁぁッッッ?!!!」  
 
鋭い痛みが背中を奔ったが、あっという間にその痛みは凄まじい熱に変わった。  
かすれる叫びが喉から吐き出されると、全身の感覚が失われた。  
辛うじて動く視線が彷徨い、目まぐるしく動く地上と空を捉えた。  
 
 
それは拘束の為の毒。  
ケイコの隅々まで流れたこの毒は驚異的な速度で効果を発揮し、ケイコの運動能力を麻痺させた。  
毒が薄まり効果を失うまで、ケイコは意識を持った人形も同然となる。  
 
 
それから怪物蜂はケイコを抱えたまま、巣へと飛び立った。  
 
 
やけに大きな鼓動の音と血流の音が聞こえる。  
見開いた眼の奥に灯がともり、ケイコはまだ自分が生きている事を悟る。  
 
視界の中に怪物蜂の脚が映りこみ、さっきまでのことが現実に起こっていることなのだと知る。  
ケイコの視界にボロボロの廃屋が広がり、怪物蜂とケイコは破れた窓から屋内に飛び込んだ。  
 
廃屋。  
その廃屋の中は人間が住んでいた時の面影は無く、荒れ果てた部屋があった。  
怪物蜂はケイコをその巣の中心で放り捨て、何処かへ飛び去った  
 
女王蜂に。  
怪物蜂はケイコを巣の女王に捧げたのだ。  
 
天上からぶら下がり、顎を鳴らし、他の怪物蜂よりも体格の大きい女王が、  
ケイコを見下ろしていた。  
 
「ひぃッ!?」  
 
ケイコは女王と視線が合ったとき、叫んだつもりだったが、舌が回らずに短く悲鳴を吐いただけだった。  
巨大な蜂の化け物。  
こんな現実を認めたくなかった。  
 
逃げたくとも身体が動くことは無く、強張った四肢が痙攣するのみだった。  
ただ自由な首の動きと視線は巨大な女王蜂に釘付けとなった。  
 
女王は巨体を軽々と動かし、ケイコの傍に降り立った。  
 
太い触角がケイコの身体を這い回る。それが気味悪くてたまらない。  
首筋や腕や脚を嘗め回すように女王はケイコを調べていった。  
 
やがてケイコの体臭から女王は眼前の獲物が若い雌であることを認識した。  
 
女王は更に顎を打ち鳴らす。  
そして凄まじい勢いでケイコに迫っていった。  
 
身動き取れぬケイコを押さえ付け、その胸元に噛み付いた。  
 
「いやぁッ!やあぁッ!!」  
 
首を振り乱し、叫んだ。  
だが強靭な顎が乱暴にケイコの上半身の衣服を噛み千切り、控えめな乳房が踊った。  
その膨らみの表面には鋭い顎の切っ先で細い傷が走って、血の赤い緒を引いた。  
 
生きたまま食い殺されるイメージがケイコの脳を埋め尽くし、恐怖で狂乱しそうだった。  
 
だが、女王はケイコの予想とは違う行動に出た。  
あらわになった彼女の肌と肉には興味を示さず、彼女の臍下の辺りに尾の先をあてがった。  
それをケイコはいぶかしんだ。  
そして、ケイコの視線の先で、その尾から硬質な赤黒い槍が飛び出し、  
彼女の腹の表面を突き破って体内奥深くに埋もれた。  
 
「ッッ・・・!いやぁあああああああああああああ!!やぁあぁあああああああああああああ!!」  
 
絶叫。  
 
おぞましい凶器が自分の腹を穿ち、体内へ打ち込まれたのを直視した。  
 
突き刺された痛みは無く、出血もさほど無く、ただただ、腹の奥底に何かが流れ込んでくるのがわかった。  
 
まるで女王が笑っているようだった。  
 
槍の先端は肉を裂き、穿ちやすい形状になっており、先端には毒腺が走っていた。  
毒ではあるが、獲物を死に至らしめるものではない。  
獲物の身体を女王の都合に良いように作り変える毒だ。  
麻痺毒の比ではない灼熱が駆け巡った。  
その灼熱は身体を内側から焼き、押さえ込まれていたケイコの身体が飛び跳ねた。  
熱病のような激しさで意識が点滅し、身体中の血が沸騰する。  
耳朶にはおかしくなった鼓動の轟音が響き、全ての内臓が脈打った。  
その脈動の度に毒はケイコの隅々まで回っていく。  
 
不思議なことに、毒が回るにつれて意識が研ぎ澄まされていった。  
灼熱の中に意識の氷刃だけが冴えた。  
 
それと同時に、まるで全身が触覚器官になったかのような気がした。  
ケイコには空気すら触れられるような感覚が肌を奔る。  
 
唐突に、激しい脈動のなかで不思議な感覚が下腹部に生まれた。  
何かが疼き締め付けられるような感覚。  
 
女王が毒の槍を引き抜いた後もそれは増していった。  
微かに身体が動き、破られていないスカートと下着の衣擦れが肌を刺激したとき、  
強烈な刺激が脊髄を駆け抜けた。  
 
「ひぁぁぁぁッ、があぁああああああああ!!」  
 
布が皮膚に擦れただけなのに、快楽とは違う電流が脳髄を貫いた。  
これは痛覚に近い刺激だった。  
 
諤々と震える視線で自分の下腹部を見やると、女王がスカートの中を触角でまさぐっていた。  
 
その布の中は雌の臭いが満ち満ちているが女王にはわかる。  
女王はこの雌が女王の毒によって種を受け入れる肉体になったと判断した。  
 
ケイコは自分の肉体に何が起こったのか理解は出来なかった。  
刺されてから、身体中がおかしい。  
 
腕も脚も筋肉も骨も、肉体が感覚器官だけを残して消え去ったかのような。  
 
おかしいといえば、『女にとって大切な場所』がそうだ。  
 
わかる。スカートとパンツがぐちゃぐちゃになるほどに濡れている。  
 
「なんで、なんで、こんなになっちゃってるの?!なにも気持ちよくないよ?・・・私の体、おかしいよッ!?」  
 
女が濡れることは知ってる。それがどういう時に、どういう行為によって、どういう快感によってかも。  
でも今はそんな気持ちでもない。そういう行為をしているわけでもない。どうして私自身がこうなっているのかわからない。  
先ほどから刺激が感覚を突き抜けているが、間違っても快楽なんて感じていなかった。  
 
突然、ぞわっとしたものが走った。  
脚と脚の間、その付け根、股間。  
女王が頭をうずめて蠢いている。  
女王の顎がケイコのスカートとパンツを容易く噛み千切り、放り捨てるのが見えた。  
どちらもがべちゃりと濡れた音を立てて廃屋の床に落ちた。  
 
丸裸になったケイコの女の部位が晒された。  
淫猥に濡れ滴り、陰唇も、肉芽も、陰部の粘膜の何もかもが充血しきって、腫れ上がったケイコの陰唇がヒクついて、  
何かを受け入れる態勢をとっていた。  
 
本能や快楽から切り離された女性器が勝手に『雌』として出来上がってしまっていた。  
 
「ふッ、ふぅッ・・・ふッ、くッ・・・!!」  
 
空気の流れが触れるたびに神経がざわめく。  
女王が体勢を変え、ケイコの腰を抱える状態になった。そして顎の奥から舌の様な器官が現れた。  
その器官が伸びた先は、ケイコの胎内へ通ずる肉の穴。  
膣だった。  
 
膣口からは淫液が流れ出ては滴り落ち、その膣穴の奥へと器官はゆっくりと入っていった。  
 
「がぁぁぁぁぁぁッ!!ああああああッッッ!!!ああああああああああああ!!!」  
 
器官が膣肉に触れた瞬間、ケイコの喉が絶叫で震えた。  
入り口を拡げながら女王の器官は淫肉の反発力を味わうように奥へ奥へと進む。  
滑らかな粘膜とざらつく粘膜をくぐり、その最奥へ達する。  
器官はケイコを嘗め上げながら、その奥の『行き止まり』に辿り着いた。  
そして子宮の入り口の硬い肉をまさぐり、具合の程を探った。  
間違いない、成熟を迎えた雌の味。  
納得した様子の女王はその器官をケイコの中から引き抜くと。  
 
音と共に膣粘液の糸を引いた器官はしなやかに舞い、ぽっかりと膣が空洞を晒した。  
 
その空洞のを見据えた女王は、いよいよ目的の行為を行うことにした。  
 
「バケモノに。バケモノなんかに、レイプだよ・・・なんで、なんで・・・」  
 
鈍る舌が、呂律の回らない声をで悔しさに満ちた呟きを発する。  
そんな様子のケイコをよそに、女王は体勢を変えていた。  
 
ケイコを組み伏せ、獣の格好を取らせる。  
身体の自由が奪われているケイコは抵抗することなく、成すがままだった。  
尻を突き上げた格好で、女王に陰部を差し向ける形だ。  
 
この体勢の意味をケイコは瞬時に悟った。  
 
レイプといった。きっとそれはこれからの。  
 
「やめてぇ・・・なんでもするからぁ・・・お願い、やめてよぉ!」  
 
ケイコの体を抱えなおした女王は、尾の先端をケイコの陰部に突きつけた。  
 
女王の尾の先端から、さっきの毒槍とは違う、より太く、甲殻に覆われた管が飛び出した。  
 
蜂の毒針は本来は産卵管だという。ならば女王のそれは正にそのものだろうか。  
 
「なに・・・?なにしてるの?こわいよッ、こわいのぉ・・・」  
 
何をされるのか、解らないという恐怖が胸に痛い。  
 
ただ、犯されるであろうことが解った。  
 
その鋭い先端が、ケイコの突き出された陰部に向かって定まった。  
未だ滴りを垂らすその膣の口へ、捻り込んだ。  
 
「やだぁッ!お願いしますッやめッ、ひぃぐぅううう!!、あ、アタマ焼けちゃうッ、んぅぅぅっぅぅぅああああああッ!!」  
 
哀願空しく、肉の粘つく音が盛大に響いて、ケイコの奥底へ深々と突き込まれた。  
ケイコの熱い粘膜が傷ついたのか、産卵管と膣の隙間から血混じりの粘液が飛び散り、内股を汚した。  
それでもなお、女王は突き続ける。  
その度にケイコは狂ったように叫び、眼前が明暗した。  
まるで瞳の奥で雷光がちらつくように。  
 
産卵管が膣の入り口近くまで引き抜かれては、奥深くに突きこまれる。  
それを繰り返す動き。  
産卵管の表面はケイコ自身の淫液と血で妖しく輝き、雌の臭いを放った。  
 
「あ、あたしのぉぉ!おなか!おなかがッ、もう、もうッ、や、やだぁぁぁぁ!」  
 
涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになって、首を振って泣き叫ぶ。  
それほどまでの感覚が性器から神経から駆け上がってくる。  
 
「ひぐぅうッ?!」  
 
未知の感覚を感じた。  
下腹部の奥で内臓と粘膜が蠢く感覚。  
彼女の意思とは別に身体はその産卵管に好意的だった。  
たとえそれが女王の毒によるものだとしても。  
それゆえに、ケイコの子宮は降り、膣粘膜が異様な締め付けを行い、強く雄の物の様に産卵管をくわえ込んだ。  
 
カチカチとケイコの耳元で女王が顎を打ち鳴らす。  
女王は悦んでいるように思える。  
歯を食いしばったケイコの口からは苦悶の声が途切れ途切れに吐き出され、それが女王の興奮を煽った。  
その為か、女王の腰の動きは加速し、もっと強く、もっと奥まで突き上げてきた。  
鋭い産卵管の先端が肉穴を抉り、その最奥に遂に達した。  
 
それは、厚く膨らみ、濡れきった、胎内の入り口。  
 
ケイコの聖域への扉、子宮口。  
 
「ふがぁぁッ!げふぇッ!・・・あぁぁ、あぁぁぁああ!?しぎゅうぅ、そこ、しぎゅうなのッ!」  
 
『やだ、やめて』と『子宮を傷つけないで』。  
 
二つの言葉がケイコの脳裏に浮かんだ。  
女を破壊される本能的な恐怖が冷たいモノを感じさせる。  
 
下腹部には突き上げれている内臓が浮きでて、苦しみはどれほどのものか。  
そして、女王は、一呼吸をおいてから・・・力いっぱいに産卵管をケイコに打ち込んだ。  
 
「あがぁ、ああッ、ひッ、がぁぁあぁぁあ!!!あああぁあがああああああっががあああ!!!」  
 
身体中の空気が叫びとなって吐き出された。  
 
ケイコの肉の中では、鋭い産卵管の先端が小さく狭い子宮への穴を抉り、無理矢理拡げて、子宮内へ侵入した。  
硬く、滑らかな子宮口の肉は痛々しく虐され、血が滲んだ。  
そして、産卵管はケイコの狭く小さな子宮を歪に拡げて、その先端が収まった。  
 
「ひぐッ、ひッ、うぅぅ・・・うぅッ・・・ひぃッ、ぁああぁ」  
 
視界が歪む。お腹の中が重い。  
動かない体がもどかしい。  
ケイコは荒く息を吐き、呻きをあげた。  
女王が、少し動けば、子宮が焼ける感覚が奔るのだ。  
さすがの女王も子宮と産卵管が馴染むまでは、派手に突き動かすつもりはないようだ。  
 
(おなか、おもい・・・子宮どうなっちゃったの・・・?)  
 
しばらく繋がった状態が続き、鈍くなった脳裏にて、ぼんやりと、思う。  
 
 
そのとき、風を振るわせる低く鈍い羽音が、去らに部屋に飛び込んできた。  
姿が見えなかった怪物蜂だ。  
その脚にはまた別の獲物が捕らえれていた。  
 
「・・・・・・ッ?!」  
 
その様子を見たケイコは、直ぐに意識がはっきりとし、戦慄した。  
 
怪物蜂が新たに捕らえてきた獲物はケイコよりも歳が低い少女。  
赤い鞄が背に映えるから小○生なのだろう。  
 
ケイコと違い、意識を失っているようだ。  
ぐったりとして動かない。  
胸が動いていることから死んでいないのは解る。  
 
「そんな・・・そんな小さな子までッ・・・ひどいよッ」  
 
呟いた。  
きっとこの子も女王蜂に・・・。  
そう思ったが、その考えは裏切られた。  
女王は動かず、怪物蜂が自らの獲物を触角で調べ始めたのである。  
そして、その女の子の鞄や衣服を起用に噛み千切ると、  
女の子は下着だけの姿にされてしまった。  
 
白い肌に、白いローティーン向けの下着。  
まだ発育途上の体つき。  
そんな子までがこの化け物の嬲り者にされるのがケイコには痛ましかった。  
 
 
ケイコの眼前に引きちぎられた衣服の一部が飛び、名札が付いているのが見て解った。  
 
『四年生・佐藤サエ』とだけあった。  
 
 
飼育係の後片付けが、あんなに時間が掛かるなんて思わなかった。  
下校の時間ギリギリに学校をでて、家路についていた。  
サエは一人で道を歩いていた所を蜂に襲われた。  
怪物蜂の体当たりによって、一瞬にして気を失って、攫われた。  
そして今に至る。  
 
 
怪物蜂はサエの単純に身体を調べた。  
雌の臭いこそすれど、とても成熟しているものとは言えない。  
なにせまだ小学生の女の肉体だ。  
子を成す用意も出来ていない。  
 
華奢な肉体を怪物蜂は嘗め回す。  
そして、サエのブラを剥ぎ取ると、その身体の上に圧し掛かり、サエの白い腹に尾を突きつけた。  
 
「ん・・・?!・・・な・・・に・・・?」  
 
重い何かが身体の上に載っている苦しみでサエは意識を取り戻した。  
 
もし、意識を失ったままならサエは幸せであったかも知れない。  
 
眼を開けると、眼前には顎を打ち鳴らし、こちらを睨む形相があった。  
 
「・・・・・ひッ、ぁあ、きゃあぁぁぁああああああッ!!??」  
 
サエの甲高い叫びがあがった。  
 
「やぁぁあああああ!!やだぁぁぁぁぁああ!!だれかぁぁぁッ、おかあさあああんッ!!」  
 
母を呼んだ。  
首を振って、手足を振り回す。  
そのサエをしっかりと取り押さえた蜂は、尾から鋭い毒針を生やすと、サエの腹に突き刺した。  
 
「痛ッあああ!痛いぃッ!痛いよッ、放してッ!はなッ・・・?!」  
 
暴れていたサエが、急に大人しくなった。  
眼を見開き、口を開き、四肢を痙攣させる。  
背中が反り返って、胸を蜂に突き出す格好だった。  
 
「あッ・・・かッ・・・あぁ・・・?!」  
 
ふっ、とサエの身体から力が抜けた。  
 
「からだ・・・力が・・・はいら、な・・・」  
 
強張った表情で、サエが微かに呟く。  
拘束の毒がサエの体質と合わず、完全に感覚が奪われておらず、  
サエは全身が気だるく力が抜ける状態に陥った。  
 
だが、身動きが取れないことには変わらない。  
蜂はサエの腹から毒針を抜くと、サエの唇に顔を近づけた。  
顔を背けるサエに、蜂は向かいあうと、女王の様に顎の置くから舌が現れた。  
その舌はしなやかにサエの顔を嘗めあげると、その唇に吸い付き、  
 
「んぐぉうッ?!」  
 
唇を割って口腔を犯した。  
そして、サエの舌をすい、頬を内側から嘗めた。  
 
「やめてぇ!!そんな小さな子なのに!!」  
 
女王の腹の下からケイコが叫ぶ。  
だが、蜂にもサエにも届かなかった。  
 
サエの口を味わった蜂は。いよいよ、サエの身体の中で、雌の臭いが最も強い場所に向かう。  
身体をずらし、サエの尻を抱えあげ、両足を開かせる。  
 
蜂の目先にはサエの恥部があり、サエは下着越しに股間の膨らみを見られている。  
白い布の向こうから蒸れた雌の臭いが漂うのが、蜂には高ぶりを与えた。  
 
「う・・・ふッ・・・うくッ・・・」  
 
ケイコはサエの様子がおかしいのに気が付いた。  
顔が赤く、涙ぐみ、何かをこらえる表情。  
 
そしてサエの下着に染みが広がると、それは勢いよく流れた。  
 
「見ないでぇ・・・おしっこみないでぇぇ・・・」  
 
恐怖と毒がサエの堰を緩め、漏らした。  
 
蜂は一瞬戸惑った様子を見せ、それを眺めた。  
やがて、サエの水溜りが床に出来ると、鼻をつく臭いが広がった。  
ただ、サエはすすり泣いた。  
 
それから蜂はサエの汚したパンツを噛み千切り、濡れたサエの淫裂を晒す。  
 
未熟なサエの股間は、微かに充血して膨れ、その肉の丘には生えそろうものはなく、  
無毛な事が性成熟の未熟さを象徴しているようだ。  
陰唇は閉じられ、包み込むことで幼い性器を隠し、保護している。  
その奥には硬い肉の穴が眠っている。  
 
「やだぁ・・・、おしっこの場所、拡げちゃ・・・」  
 
蜂はその脚の先で閉じられた大陰唇を拡げると、ぬめる音と共に尿臭い蒸気と共に小さな陰唇が現れた。  
鮮やかな桃色、弱い肉壁、未熟な女。  
 
サエの幼い女が蜂の目の前にあらわとなった。  
この女の部分に対するサエの知識は薄い。  
排尿の為の器官だけではなく、その下方の肉穴の意義。  
その肉穴の通ずる聖域の存在。  
それらをサエはよく理解していない。  
だからこそ、蜂の目的がわからなかった。  
ただ、蜂はその穴と場所に用がある。  
 
 
脚を開き、陰唇も拡げられ、なんとも恥辱的な体制のサエを蜂はそろそろ『使う』ことにした。  
 
「え・・・?なに・・・なにするの?」  
 
素っ頓狂なサエの疑問の声の先で蜂はサエの陰唇に尾を擦りつけ、その刺激を味わった。  
 
「んッ?!・・・やだぁ、なんか、なんか、へんな感じがする!やめて!」  
 
さすがに性に未熟なサエでも陰唇の粘膜をすりあげられると刺激があるらしく、  
未知の刺激に拒否感と恐怖を訴えた。  
だが、  
 
「ひぐッ!?」  
 
柔らかく、湿った『その部分』に尾部が触れたとき、痛みが走った。  
その短い悲鳴を聞いた蜂。  
その尾部の先端から女王のものとそっくりな卵管が飛び出し、その表面から不気味な液体を滴り落とした。  
それは『その部分』を貫いてサエの胎内へと到るモノである。  
サエは『その部分』が『膣』と呼ばれていることを知らない。  
 
震える先端がサエの肉の入り口にあてがわれると、いよいよサエは泣き出した。  
泣き声をあげ、震えながら許しを乞う。  
 
「やめなさいよ!やめてよ!そんな、そんな小さな子まで・・・酷いよッ!  
私がいるじゃない!私を好きにすればいいじゃないかぁッ!!」  
 
ケイコが叫び、怒りをぶつけるが、蜂にもサエにもやはり届かない。  
 
湿ってはいるが、濡れていないサエの幼い膣。  
その先端にゆっくりと産卵管が埋没し始めた。  
ぎちり、ぎちり、と肉が断たれるような鈍い音。  
硬い肉が抉り開けられる痛々しい光景があった。  
 
「い、いだぁい!いだいぃッ!やめでぇぇぇ・・・ひぐ、ああああああああッぁぁぁぁ!!」  
 
喉を裂いて喚くサエを気にすることなく、産卵管はゆっくりとサエの中に埋没し終えた。  
嗚咽を漏らし、涙と悲痛に震えるサエの身体が小刻みに動く。  
その肉の中ではじわりと熱と粘膜が混ざり合い、  
産卵管と膣肉の隙間から赤まじりの淫液として滴った。  
無残なサエの処女は膣の粘膜ごとズタズタに引きちぎられ、赤い滴りと成り果てた。  
そして、この異物を受け入れたことによる不快感がサエの腹を掻き混ぜた。  
 
「ふぅッ、ふ、ふぐッ・・・げぇッ、げぇぇぇ・・・けほッげほッ・・・」  
 
膣の異物の不快感、ストレスとショック、激痛。  
これらのものがサエの気分をすりつぶし、彼女の胃の中のものが自身の胸の上に吐き散らされた。  
そのサエを見下ろしながら、蜂は産卵管を強引に突き動かした。  
ただ、サエの最奥の肉壁へ。  
 
「ああああああああああああああああああああああああ!!!」  
 
硬く小さな穴の粘膜が無理矢理引きずり出されるように、膣の入り口が捲くれ、それが一気に押し込まれる。  
その度にあがる痛苦の悲鳴。  
内股に飛ぶ飛沫。  
蜂は更に突き上げると、サエの子宮の入り口に衝撃。  
子宮が腹の奥底に押し込まれ、  
 
「ぐぅぅッ・・・あ、あ、あ、ッぁぁぁぁああああ!  
 
子宮口の肉を切り裂いて、先端が子宮内に飛び込んだ。  
まるで、ゴムの袋が呑みこむように。  
下腹部が盛り上がり、彼女の胎内が常軌を逸する状態であるのはケイコにも解った。  
 
そのサエと蜂との『狂交』を見ていた女王も、ケイコとの交わりを再開した。  
そう、ケイコの子宮の中が女王のモノに馴染むまで待っていただけだから。  
 
「あぁ・・・まっておねがい、私・・・んぅッ!あぁぁぁぁ・・・」  
 
今度はケイコの番だ。  
子宮と膣奥を滅茶苦茶に抉り回される。  
細切れの喘ぎがケイコの口を飛び出て、ケイコの脳髄が痺れる。  
その度に彼女の陰部からは肉の粘る音がした。  
 
ぐちゃりぐちゃり、女王が貫くたびに鳴った。  
 
「ああああッ!!おなかぁッこわ、こわれ・・・たすけ、たすけてぇぇッ!・・・ッんッ、くぅぅぅぅぅぅ・・・・!!!」  
 
唇の端を噛み締めて、ケイコは快楽とは違う種類の感覚でイった。  
淫肉が締まり、子宮が奮え、身体中が硬直する。  
その瞬間、女王は子宮の最奥を抉り、産卵管から『なにか大きな塊』を一つ吐き出した。  
 
それは、女王の卵である。  
 
「ああぁぁぁぁああああッ・・・・・」  
 
嬌声のような声が喉を震わせ、ケイコの膣から女王の産卵管が引き抜かれた。  
淫らな粘液の糸を引き、閉じること無い膣穴からは子宮の入り口が覗いた。  
その子宮の奥の異物も。  
ケイコは潤んだ瞳と真っ赤に染まった表情を浮かべ、四肢を痙攣させていた。  
 
さて、サエと蜂。  
まるで蜂の正常位のような姿勢だが、おぞましき強姦である。  
痛々しさが溢れるサエの淫穴は蜂の産卵管の太さまで拡がり、その肉は赤々しく腫れ上がっていた。  
空気さえも触れれば、鋭い痛みがサエに走った。  
 
「いたいよぉ、なんでぇ・・・なんでなのぉ・・・・」  
 
泣くサエ。  
その胎内では産卵管が子宮を突き、子宮の肉壁を歪めている。  
異物の侵入に抗うサエの内性器だが、蜂にとっては心地よい刺激でしかない。  
そんなサエの交わりも終わりが迫ってきた。  
いよいよ蜂は胎内を深く抉り、サエの中で荒々しく動いた。  
 
何かが子宮内を満たす感覚だった。  
 
「あああぁッ!なにか出てるッ!きもちわるいッ、やだぁ!サエのお腹でなにしてるのぉッ!!」  
 
産卵管が膨らんでは何かをサエの膣内の奥へ子宮の奥へと送り込んでいく。  
その度に、サエの腹が膨れ、さらに膨れ、胎内が膨れた。  
少女の腹が臨月の妊婦のような様子となり、その光景にサエは上げる悲鳴すら失った。  
 
何かを送り込む動きが止まると、ゆっくりと蜂は産卵管を抜いた。  
少し間が空いて、サエの膣穴から『鶏卵のような青白い塊』が幾つかこぼれた。  
 
「ひぃッ」  
 
呻いたサエ。  
それはみて直ぐ解った。  
卵だ。  
それがお腹一杯、子宮一杯にサエに詰まっている。  
卵は孵るものだ。サエにはどういうことか解る。  
 
「たま・・・ご・・・だ・・・。そんな気持ち悪いのがサエのお腹のなか・・・  
・・・・ッッッああああああああああああああああああああッ!!」  
 
気だるくも動く両の腕で、サエは頭を掻き毟り、凄まじい絶叫。  
 
そう、ケイコとサエは蜂達の赤子、それの産みの親となる。  
 
 
それから暫く月日がたった。  
ケイコとサエは依然として廃屋にいた。  
あの時と異なる点は女王と怪物蜂は既に息絶え、その巨大な死骸が転がっている点。  
そして、更に大きく膨れ上がった二人のお腹。  
 
それなりの月日が経ったのに二人は飢えて死ぬこともなく、ただ、胎内の異形の胎動に喘ぐ日々を過ごしていた。  
 
「やだぁ、お腹の中で・・・お腹蹴ってる・・・やだぁ・・・」  
 
ケイコはうずくまり、力のない腕で膨れた腹を抱えてすすり泣いている。  
 
ではサエは。  
 
「あは、あははは。幼虫だ・・・サエの中、幼虫動いてる」  
 
未熟だった少女は生きた屍も同然となっていた。  
その下腹部が不気味に蠢いている。  
その蠢き方から複数の何かがサエの子宮の中で育まれているのは明らかだった。  
 
「なんでこんなことになったの・・・私なにもしてないよ・・・」  
 
身体を起こしてケイコは壁に寄りかかる。  
 
そして、胎動が活発になっていき、胎内から出たがっていることが解る。  
子宮の奥で鈍い痛みが興り、下半身を砕く鈍い痛みが湧き上がってきた。  
 
「・・・・・・・・・くぅッぅぅ・・・!!」  
 
ケイコは口を歪め、歯を食いしばる。そうすることで少しは痛苦の波が和らぐ気がした。  
身体を内側からこじ開けられる痛み。  
もし、これが『まっとうな妊婦』なら陣痛であろうが、ケイコもサエも『妊婦にあらず』の孕み女である。  
膣を何か滑らかなモノが流れる気配がして、自身の内股を見た。  
生臭く、鈍く光を反射する液体が胎内の奥底から漏れ出て、これが破水だとわかる。  
 
「やだ・・・破水だ・・・ぐあぁッ!」  
 
破水と呟いたが矢先、子宮口を何かがこじ開けた。  
胎の肉が考えられない動きをして、子宮が降りた。  
不気味な肉音がして、膣が歪んで、内側から膣が開いた。  
 
「出るッ・・・でちゃ・・・う!」  
 
痛い。凄く痛い。こんなにも産むことが苦しいなんて。  
痛覚が波の様にうねり、視界が霞む。その霞んだ視界の先ではサエもいよいよだった。  
サエの胸が呼吸に合わせて激しく上下し、息が荒い。その腹部が跳ね回り、幼い華奢な身体が翻弄されている。  
その両脚がだんだんと開いていった。  
 
「お、おじょう・・・ちゃん・・・!」  
 
ケイコが痛む腹を押さえながら、サエを呼ぶ。  
お嬢ちゃんと呼んだのはサエの名前をよく覚えてなかったからだが、それでも・・・。  
それでも目の前の女の子を呼びたかった。  
だけども。  
 
胎内の生き物がサエに何をしたのか、強烈な負荷がサエの身体を壊したのか・・・。  
サエが変な呼吸を繰り返した後、痙攣をするだけになった。  
その痙攣はただ筋肉が収縮する余韻であるだけで、ケイコにも一目で解る。  
サエの身体から魂すら抜けたことが。  
 
「ああ・・・あああぁ・・・だめッ!だめよ!死んじゃったらぁやだぁぁああぁ!!」  
 
抜け殻となったサエの身体、その子宮が勢いよく収縮すると、膣と周囲の肉を裂いて丸々とした白い塊が飛び出した。  
肉が爆ぜる音。汚液と血と羊水が混ざったものがサエの身体に飛び散り、噴出す。  
蛹だった。それも成体の蜂になる直前の。  
一つ生まれてサエを裂き、二つ目がその『裂け目』から飛び出て、三つ目が最後だった。  
三つの蛹。  
その表皮の到る所には『千切れた血管の様なもの』が張り巡らされており、  
蛹がサエと胎内で繋がれていたことが解る。  
 
臍の緒ではないが、母子で繋がっていた証であった。  
 
「げふぅッ!げぇぇぇぇ、げふッがはッ・・・」  
 
不気味なモノと子宮が繋がっているという醜悪な事実がわかると、ケイコの奥底から吐き気が湧き上がり、  
胃液だけの吐瀉を撒いた。  
 
そしてより強い衝撃が身体を貫くと、膣から何かが覗き始めた。  
 
「ふッ・・・・くぅぅぅ!!あくッ!!も、もう、ダメ!うま、れ・・・」  
 
大きい何かがいよいよ出でる。  
脳裏にはサエの命を奪って生まれた蛹。  
あんなモノが私からも生まれるなんて・・・。  
 
「ぐぅぅぅぅぅぅ・・・・あああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」  
 
ケイコの肉の穴が『千切れる寸前』まで拡がった。  
子宮が足蹴にされ、肉粘膜を掻き毟られながらそれが這い出てきた。  
骨盤が砕けるような衝撃と共に、ケイコも蜂の子を産んだ。  
ただ、その子は生まれながらにして蜂の姿ではあった。  
それも女王に瓜二つな。  
 
「はぁ・・・・はぁ・・・は・・・・あ・・・・」  
 
ケイコは朦朧とした意識の隅で生まれたモノを見た。  
それが身体を振るわせているのも。  
 
そしてケイコも呼吸が緩やかになっていく。  
異形を産むことで、人間の肉体が命を保つ為の力すら使い果たした。  
瞳から自然と涙がでた。  
遠のいていく意識の内に悔しさと寂しさが湧いた。  
 
「もう・・・やだ・・・」  
 
ケイコはとても小さく呟いて、涙を一筋流し眼を閉じた。  
そしてそれきりケイコは動くことは無くなった。  
 
 
あれから暫く。  
サエから生まれた三匹の蜂。  
それは兄弟の雄蜂で、三匹で一組となって巣立っていった。  
そして、ケイコが生んだものは新たな女王となった。  
雄蜂達のようにいよいよ女王も巣立っていく。  
そしたらこの廃屋に朽ちたものしか残らない。  
 
窓辺から翅を広げて宙へ舞い立つ。  
埃と風が舞い、巨体が浮く。  
 
新たな女王は背後を一瞥した。  
朽ちた前の女王と、同じく朽ちた・・・産みの母。  
窓を発った。  
 
 
外界は獲物で満ちているだろうか。  
 
-了-  
 

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