ある時私は姉と一緒に森に出掛けていた。ごにょごにょできる不思議なお薬になるキノコや木の身を探していた。
するとそこにオークの群れが現れたのだ。下品な魔物と聞いた事はあるが実際目にしてみると予想以上にえげつなく下品で汚らしい外見をしていて。
腰に巻き付けていた唯一の衣服である布もドロドロに汚れている。その体臭も酷かった。強いて言うなら豚小屋を丸々タマネギとまとめて酢に漬け込んだ匂いだ。
そして腰布をもっこりと持ち上げながらボスらしい一際大きなオークがこう言ったのを確かに聞いたのである。「俺達の汚いチンポで綺麗なお前等を犯し尽くしてやる」と。
その時私は脳幹から海馬に掛けて親指程のプロレスラーがチョップブローを仕掛けて来た様な衝撃に襲われた。何とこのオーク達には「汚い、綺麗」という概念を所有した上でそれを一切改善しようとしてないのである。
一般的に汚いとは衣服や地肌が泥やヘドロや返り血などで汚れてしまった場合を指すが繋がっている点は「雑菌が繁殖している状態」である事だ。洗ってない服からの悪臭や変色も菌の影響からである。
勿論衣服をそこまで触り難くする細菌だ、人体に、はたまた生物に対して無害で有る筈は無い。咳、くしゃみ、鼻水などで済むならばまだ良い方で、中には悪辣な伝染病を招く菌すら繁殖する可能性がある。打開策は勿論清潔さを保つ事。
しかしながらこのオーク達はどうした事だろう。私達の綺麗さ、自分自身達の汚なさを理解した上で腰布をそこまで汚している。よりにもよって一番デリケートな部分を。
今一匹腰布を取り去って中身を露わにしたが酷いとすら言えない。生殖器ではなくて最早汚濁棒だ。よりにもよって一番デリケートな部分を。性病の可能性すら出て来ている。
ここで私は一つ仮説を立てた。悪質な環境、汚濁棒、行く末は生殖機能の消滅すら有りうる。つまりこのオーク達は虫にも存在する「種を残す」という生存本能すら著しく欠落した哀しい生き物なのだ。
自分自身が汚いのだと自覚を持ちながら改善を一切しない生物的にも失敗した生き物なのだ。ああ、何て哀しい事なのだろう。こんな生き物がまだ存在しているなんて。
いても立っても居られなくなり、私は泣きながらオークに対し消毒を計った。400度以上の高温で十分以上の加熱。歓喜の声をあげながら皆まっさらに綺麗になってくれた。森ごと。
そんな訳で私達は騒ぎの張本人として今檻の中に閉じ込められているのである。
もしもこの手記を読んでくれている者が居たらどうか私の意志を汲んで欲しい。
哀しい生き物を見的必殺で消し去るのではなく、一発ぐらい夢を見させてくれないか、と…