山には魔物が棲む――そんな馬鹿馬鹿しい迷信を信じている村人に、生け贄として捧げられたみすぼらしくも美しい少女――ティア。
山の中頃にある祠、その祠の前に拘束されたティアを置いて、村人たちは逃げるように帰って行ってしまう。
やがて陽光もなくなり、周囲が夜の闇に包まれた時、巨大な狼がティアの眼前に現れる。
神獣と名乗った狼は、ティアを自らの巣に連れ帰り、犯した。
最初は狼との性行為に恐怖していたティアだが、狼と共に暮らすうち、狼への愛しさに自ら求めるようになった。
狼の子を孕んだティアは正式に狼の妻となったが、その前に一つ、片付けなければならぬことがあった。
名も無き村に帰還したティアを見た村人たちは、ティアに石を投げたりして彼女を拒絶した。
それだけで、ティアは残酷な決断を下した。
その後、ティアは狼に迎えられ、山の祠にて幸せに暮らした。
一説には、狼や自ら産んだ子とさえ愛し合い子を成したため、出産を司る山の女神と呼ばれるようになったとか。
ティアがいた村が滅ぶのは、ティアが狼の妻になる前日だったという。