『高嶺の花』  
 
住宅地の一角に建つマンション。  
割りと富裕な世帯が入居しており、多くの住人たちは、明るい生活感を放っていた。  
ただ、その一室に暗く、暗く、カーテンが締め切られた部屋があった。  
そこには一人の男が住んでいた。  
 
根暗で孤独な男だった。定職にはつかず、日中は部屋に篭り、寝る。  
日暮れには起き出して、汚く散らかった部屋の一角にある、机のPCに向かい、ぶつぶつと呟く。  
ネットで怪しげな商取引などを在宅でこなし、相当な稼ぎを得ている。  
家族は当の昔に縁を切り、今は何をしているのか知らないし、知ることもない。  
 
三十も過ぎた肉体には脂と弛んだ肉とついて、お世辞にも見た目は良いとは言えない。  
伸びた髪とざらつく髭が日々のだらしなさを表していた。  
 
ただ、ある時刻になると、机を離れ、部屋の中央、フローリングの床、その上に跪いて、片耳を、  
その冷たい床板に押し付けた。  
 
すると、階下からの音が鼓膜に届いてきた。  
このマンションは防音にも対策が施されていたのだが、ここだけそれが甘かった。  
 
その階下から声が聞こえてきた。  
 
階下の一室。  
玄関の扉が閉まり、明るい少女の声が響いた。  
 
「ただいまっ」  
 
この声が聞こえた時、男の鼓動と呼吸が跳ねる。  
 
階下には明るい家庭があった。  
一之瀬家。  
 
両親は共働きで、この時間はまだ家にいない。  
だが、その一人娘が・・・。  
 
「は、は、ハナちゃんッ・・・ッ!!」  
 
淀んだ呟き。  
 
一之瀬ハナは、このマンションの一室にて両親と暮らしている女子高生だ。  
裕福な家庭、優しい両親、明るく穏やかな性格。  
共働きの両親を支える、部屋に誰もいなくても『ただいま』を忘れない。  
近所の私立高校に通い、成績が良い、十六歳。  
 
ハナとはそういう少女だった。  
 
気がつけば、男は床板を舐め続けていた。  
唾液が滴る。  
焦点がずれた目が、床板の向こうの幻の少女を捉え、  
階下のハナが立てる生活音が昂ぶりを呼んだ。  
 
男はハナを想うあまり狂って壊れていた。  
 
突然、男は跳ね上がり、天井を見上げる。  
寝転がり、天井を生々しい眼で見た。  
そこには、隠し撮りしたハナの写真写真写真・・・。  
夏服の彼女、制服の彼女、後姿の彼女。  
 
うっとりとした。  
 
そして、階下からは衣擦れと、シャワーの音。  
男は涙を流した。  
彼女の首筋を流れる水滴、白い肌、栗色の長い髪、その香り、  
シャワーに濡れる腕、脚、背中、腰、尻、へそ、乳房。  
見たい。  
でも見れない。  
舐めたい。  
でも舐めれない、触れること叶わない。  
舌を吸って、組み伏せ、犯したい。  
それも叶わない。  
 
天井の写真に手を伸ばす。  
叶わないことだらけ、届かない憧れの少女。  
高嶺のハナ。  
 
そして、男は深く眠りに落ちた。  
 
悪魔というのは、望む人間に、己の願望を叶える力を与えるが、  
対価に糧を得る。  
男の放つ願望は悪魔を引き寄せた。  
その願望は悪魔と男をめぐり合わせる。  
そして、悪魔は形を変えて男の下へとやってきた。  
 
 
ある日の夜。  
 
怪しげなWebメールを男は睨んでいた。  
なんでも、『望みの叶う魔法の本』だという。  
それを買わないか、という内容のメールなのだが、  
差出人も送り主のアドレスも記載されていない。  
 
はっきり言って胡散臭い。  
だが、なぜかその文面から目が話せない。  
望みが叶う。  
その部分を読み返すたびに、あの愛おしい少女の笑顔が脳裏にチラつく。  
 
(ハナちゃんを汚したい)  
 
組み伏せて、服を破き、あの肢体を舐め回したい。  
 
(ハナちゃんを犯したい)  
 
熱を持った秘所を滅茶苦茶にして、あの身体の奥底に汚液を吐き出したい。  
 
(ハナちゃんを辱めたい)  
 
辱めて、泣き声、叫び声、苦悶の声を聞きたい。  
 
震える指先が、本の購入を選んでいた。  
 
いつの間にか、部屋の真ん中に男は立っていた。  
その手にはページを開かれたあの本。  
 
ぶつぶつと呟き、男はページの内容を読み上げていく。  
 
(これは特別な本だ。これは僕に夢を叶える力をくれる。  
選ばれた人間だけ願いを叶えてくれるんだ)  
 
ページをめくるたびに思考がガタガタと揺れ、欲望が起き上がる。  
頭の中にこの本がどういうものなのか、不思議と仕組みと概要が流れてくる。  
異形な事象なのに恐れはない。  
疑問もない。  
頭の中から余分なモノが抜け落ちていく。  
 
「・・・ハナチャンが欲しいィッ!ハナチャンゥゥゥゥゥ・・・ッ」  
 
欲望とハナのことだけが脳裏に残った。  
 
その度に、男の肉体は煙を上げ、変貌していく。  
 
骨や肉が音を立てて歪み、変形していく。  
砕けた骨、裂けた肉。  
服がちぎれ、肌の色が青黒く毒々しい色に染まる。  
やがて、人の形をした軟体生物のような姿に成り果てた男。  
例えるなら『粘膜人間』とでも言うのだろうか。  
身体の線がゆがみ歪な人型、その頭部には醜悪な形相の男の顔がへばり付いている。  
その両目は赤く輝き、口からは長い舌が垂れ下がった。  
肩で息をし、ゆっくりと、男は、もはや男であった怪物は部屋の流し台の排水口とへ向かっていった。  
 
暗く、狭く、冷たい配管。  
ぐにゃぐにゃとした肉体はひたすらそのパイプを駆け下りる。  
階下の、彼女の家へ。  
 
配管は彼女の家にもつながっている。  
その配管の出口は、彼女の家の風呂場だった。  
 
家人たちは寝静まり、明りのない浴室へ男・・・だった者が飛び出した。  
なんと醜悪な化け物だろう。  
湿り気のある空気を化け物が吸い込んだ。  
 
解る。この空気の中にハナの体臭が混じっている。  
だが、異物の臭いも。  
 
ハナの両親だ。  
 
化け物はこれからハナと楽しむ時間を邪魔されたくなかった。  
あっさりと殺すという選択を思いつき実行した。  
ハナの両親は寝室にいた。  
二人とも化け物の接近にも気付かず、寝息を立てていたので、  
いとも簡単に始末できた。  
化け物の腕が平たい刃の様に変形すると、それを振り下ろした。  
あっという間に二人の首が転がり、夥しい血が流れる。  
 
そう、これで邪魔者はいなくなった。  
軽々とした足取りでハナの部屋へと進む。  
 
部屋の扉をゆっくりと開くと、奥のベッドの上には寝息を立てる陰。  
 
暗い部屋でもわかる。  
甘い匂いがする。  
化け物の心臓が高鳴る。  
 
(僕は無敵だ。何でもできる。  
だから、なんでもしていい。  
これからハナちゃんをこの手で好きにしてもいいんだ。  
ぐちゃぐちゃに犯してもいいんだ)  
 
ひたひた。不気味な足音だった。  
傍に立つ。  
寝息で上下する。布団をゆっくりと剥ぎ取る。  
 
声にならない歓喜の叫びがあがる。  
 
ぴったりと張り付いた薄い生地の寝巻き。  
胎児の様に丸くなって眠る少女。  
間違いなく、あのハナだった。  
手の届くことのない彼女がこの手中にある。  
化け物は打ち震えた。  
 
ゆっくりとハナの体を動かす。  
すらりとした脚。  
若く、程好く肉が付いた腰。  
丸くなだらかな下腹部。  
衣服の間から見える臍と乳房。  
瑞々しい唇。  
あの、愛らしい顔。  
艶やかな髪。  
 
両の手をハナの頬に伸ばす。  
 
その唇を見ていたら、抑えは利かなかった。  
化け物が口を開くと、真一文字に頬まで裂けた口から長い下が飛び出し、彼女の唇を舐める。  
そして、彼女の口腔にゆっくりと侵入していった。  
 
「・・・・・・ん・・・・・ん?!んんんんんんんんんんん!!!!」  
 
舌を吸われて、ハナは眼が覚めた。  
その瞬間。  
 
化け物の舌はハナの胃の奥までずるりと流れ込み、悲鳴を塞いだ。  
 
何が起こっているのか、ハナの脳は理解できなかった。  
寝ていたはずなのに、説明の付けようもない何かが襲い掛かってきた。  
それが何かをハナ自身に差込み、何かをしている。  
 
本能で拒絶し、もがいて抵抗するのだが、化け物はビクともせず。  
跳ね除けようとも、蹴りたくろうともまるで効果がない。  
 
化け物は長い舌でハナの口内をしゃぶりながら、彼女に馬乗りになると、彼女の上半身の寝巻きを引きちぎる。  
 
「んんんんんッ!!?」  
 
布が千切れた拍子に、形の良い二つの乳房が踊る。  
微かに朱を帯びたそれが柔らかに胸の上で揺れる。  
 
化け物は唸るような奇声をあげ、両の手でその肉の塊を握り締め、揉む。  
力いっぱい握り締めると、面白いように形を変えて歪む。  
 
その度にハナは涙を流して痛がり、喉奥を震わせるのである。  
それが面白くて、化け物は更に更に力をこめて乳房の肉を弄ぶ。  
赤く少しばかり腫れた乳肉は痛々しげだったが、それが余計に昂ぶる。  
 
化け物はハナの舌を犯していた長い舌を引き抜くと、その舌を舐めあげる。  
口から唾液の飛沫を飛ばすハナはむせて、咳き込む。  
そして悲鳴を上げた。  
 
「い・・・い・・・いやああああああああああああ!!放してぇ!!!」  
 
お構いなしに、化け物は舌を使って乳房を包み込み、吸い上げる。  
 
「ひぐぅ!」  
 
痛みを持った乳肉を、音を立てて吸い上げられると、ハナは呻くように喘ぐ。  
 
「い・・・いや、な、なにして・・・・んぅッ!」  
 
乳房の芯が痛む。  
化け物が思いっきり、乳首を吸い上げたからだ。  
母乳など出るわけがない乳腺に鋭い刺激が走り、熱が湧く。  
化け物が吸い付いていた乳房を口から放すと、硬くなった乳首がヒクついていた。  
その先端から微かに血の滴が滲んだ。  
あまりに強く吸われすぎたので、乳房を傷つけていた。  
 
「あ、あああ、ああああああああッ」  
 
そして今度は反対。  
同じように吸い付き、口でハナの乳房を味わう。  
 
「やめてぇ!おっぱいが痛いのッ!お父さん!!お母さん!!」  
 
組み伏せられ、胸を吸われるハナ。  
大声で叫んでいる筈なのに、誰にも届かなかった。  
壁材は音を吸収してしまうし、悲鳴を聞きつけてくれたであろう両親は既に化け物が屠っている。  
 
「ひうッ!?」  
 
唐突に現れたおぞましい感触にハナは声を上げた。  
ぬるりとした何かが『下腹部とその下の繁み』に触れた。  
化け物は片手を伸ばし、あろう事か、ハナの寝巻きと下着の中へ差し込まれていた。  
 
「いやあああああああああ!!やだぁぁぁぁぁぁ!!」  
 
脚が弾む。  
この化け物は何をしているんだ。  
化け物が触れている場所は、その場所は。  
 
『私の、女の場所』  
 
化け物が手の平を動かすと、ぐちゅり、というくぐもった音が響いた。  
そして淫肉の粘膜に指が食い込んだ。  
 
(ハナちゃんの大事なところ)  
 
乳房を弄んだときのように力を込めて触る。  
この熱い部分の奥にはハナの純潔がある。  
 
化け物はハナの陰部から手を引き抜くと、体勢を変えた。  
身体をずらし、ハナの両脚を掴んで持ち上げる。  
尻が浮く。そのまま下着ごと寝巻きを引きおろされると、パンツの内布とハナの陰部との間に淫液の緒が引いた。  
突然の侵蝕に驚いて無意識に軽く濡れた。  
片足がパンツから引き抜かれると、ハナを守っていた小さな布切れが片足に引っかかっているだけで、  
そして化け物はハナの露になった股間へ顔を埋める。  
 
「いぎぃ?!」  
 
痛みと刺激がごちゃ混ぜになった感覚がハナの身体の芯を奔った。  
化け物の舌がハナの陰唇を割り開いてその上部の小さな部分に触れた。  
包皮に包まれたその部分を剥き上げると、舌を使って器用に舐め、  
 
何度も何度も押し潰した。  
出鱈目な愛撫とも言えない淫核への責め苦にハナの白い喉が悲鳴を上げた。  
 
「ひぃぐッ!!あぁぁぁぁッ!!」  
 
ハナの下半身が激しく痙攣する。  
腰の筋肉が小刻みに振るえ、ハナの腹部を溶かす。  
 
化け物が与えた性刺激でハナは果ててしまった。  
 
「はぁ・・・はぁ・・・やぁぁぁ・・・」  
 
荒い呼吸が響く。  
 
「う、う、うわぁぁぁぁぁぁん!わぁぁぁぁぁぁん!!」  
 
大声で泣いた。  
とても怖い。  
とても悔しい。  
いま、自分は得たいの知れない何者かに犯されて、果てたのだ。  
 
化け物はハナの両脚を放し、快感に震えていた。  
その隙にハナは泣きじゃくりながら、部屋を飛び出した。  
 
両親の元へ。  
助けて!お父さん、お母さん!  
 
両親の部屋の扉を開いた瞬間、  
ハナは泣くのを忘れて、絶句した。  
 
凄まじい血生臭さが鼻についた。  
薄暗くても解る。  
部屋の至る所に真っ赤な何かが飛び散っているのを。そして、足元に『見慣れた物』が二つ転がっている。  
 
「・・・・・ひっ」  
 
小さく悲鳴を漏らした。  
身体から力が抜けて、へたり込む。  
 
後ろに気配を感じてゆっくりと首だけで振り向く。  
あの化け物が立っていた。  
この惨状に、まるでにやけ面を浮かべているようだ。  
引きつった恐怖の表情をハナは浮かべた。  
片足をつかまれ、引きずられる。  
化け物は片手で『身体だけ両親』を跳ね除けると、血で濡れたベッドにハナを放り投げた。  
 
「ぐぅッ」  
 
冷たくなった血で肌がべたつく。  
生臭い。  
お父さん。お母さん。  
 
化け物はハナを組み伏せる。  
突然、化け物の下腹部が裂け、中から太い腸のような物が飛び出した。  
それはだらりと垂れ下がり、先端からは腐臭の漂う粘液が滴っていた。  
それが少しずつ硬く、膨れ上がり、脈打つ。  
 
「いや・・・」  
 
それをハナに見せ付ける。  
間違いない。  
 
これは化け物の牡性器だ。  
間違いなく、意味するものは・・・。  
 
この醜悪な化け物との性交。  
 
「いやあああああああああああ!!やめてよぉぉぉ!んぐぉ?!」  
 
顎が軋んだ。  
息ができない。  
何をされたの?  
・・・まさか?  
 
化け物はハナの口にその牡棒を突っ込んだ。  
喉奥を突く。  
その度にハナがくぐもった声を上げる。  
 
何度も何度も、喉奥を突いて、食道を抉る。  
 
「ぅうううううううう?!」  
 
ハナの喉奥で突然に精を吐き出した。  
胸の奥が重い。  
酷い臭いが湧き上がり、涙が溢れる。  
激しい脈動が喉奥で暴れ、苦しい。  
 
化け物が何かを流し込んでくる。  
 
ハナの頭を抱え、嬉しそうに化け物はハナの口中を犯した。  
そして、快楽が一定に達すると、我慢をやめ、勢いよく射精した。  
そして、喉奥に流し込む。  
ゆっくりと。  
 
やがて化け物自身が引き抜かれると同時に、ハナは激しく胃の中のモノを吐き出した。  
 
 
白く、臭く、粘つく液。  
解る。これは・・・精液だ。  
 
つまり。  
 
化け物の赤ちゃんの素?  
 
 
血の気が引いて、身体が動かなくなる。  
 
 
それから化け物はハナの細い腰を抱いてきた。  
大量の射精を行った牡棒は衰えず、いまだにそそり立ったままだ。  
組み伏せられて、股を開かれる。  
 
「や、やめて、お願いします、せ、セックスなんてしたくない・・・・あ、赤ちゃんやだぁ!」  
 
ガチガチと歯がなる。震え声ながら哀願した。  
その抱きかかえられた腰と尻。  
中腰の化け物。  
その先端がぐちゅりと粘液音を立ててハナの陰部を擦る。  
 
「ひぃ」  
 
恥丘の肉が歪む。  
熱を帯びた物がハナの陰部にあてがわれた。  
 
笑ってる。  
この化け物は笑ってる。私をみて、笑ってる。  
私を滅茶苦茶にするつもりなんだ。  
だから笑ってるんだ。  
 
「あ、あああ・・・」  
 
大陰唇も小陰唇も膣も関係ない。  
無理やり先端を当てている。  
それを。  
 
「やだぁ・・・こ、こわいよぉ」  
 
無理やり化け物は押し込んだ。  
ゆっくりと淫肉が軋み、凄まじい熱の塊がハナに打ち込まれていく。焼けるような痛みと、圧力。  
少しずつ押し広げられるハナの性器が化け物を受け入れはじめ、  
膣穴がこじ開けられると、無理矢理侵入して行った。  
 
「痛いッ!痛いよぉ・・・。いぐぅ、痛いの、痛いぃ、お願いやめ・・・」  
 
大きく開いた膣穴が化け物のもっとも太く硬いものを飲み込んだ。  
あとは一気に肉が捲くれて、硬く未熟な膣穴が化け物を受け入れた。  
 
「ぎぃ、ぎゃあああああああああああああああああッ!!!!ああああああああああッ!!」  
 
背と首が反りあがり、凄まじい絶叫が響く。  
ハナの陰唇がこじ開けられ、太く硬い牡棒が狭い肉穴を突き抜けた。  
無論、処女の証など跡形もなく引きちぎられ、鮮やかな朱が粘膜から滴った。  
 
「い・・・たああいいい!!痛ぁぁいッ!やだぁぁぁぁ!」  
 
下腹部が盛り上がる。  
太すぎるんだ。  
だから骨盤も痛い。  
肉が押し込まれて、お腹が押されて、身体が壊れる。  
子宮も内臓も苦しい。  
 
「ぎぃいいいい!!?」  
 
化け物が性行為に未熟な膣肉から快楽を得ようとして、抽送を始めた。  
その度に胎奥を抉られてハナは苦しみの声を上げる。  
さらに抽送のたびに少しずつ膣奥へ膣奥へと牡棒の先端が突き進んでくるのだ。  
だから、いとも簡単にハナの膣の際奥に達した。  
 
そして、硬い子宮口周りの肉が心地よいのか、化け物は執拗に子宮口を打つ。  
 
「あがぁ!あ!ああ!おなか、こ、こわれ、ふぅ!こ、こわれ、ちゃう!」  
 
子宮という肉の塊がハナの腹部の奥で奇妙な踊りを踊る。  
ほかの内臓もだ。  
踊る。  
ほのかに甘い臭いを放つ乳房も、化け物がハナを突き上げるたびに揺れ、  
それが化け物の劣情を一層煽る。  
ハナの腰を抱いていた化け物の手が時折ハナの胸に伸び、その乳肉を揉む。  
一通りその感触を味わったかと思えば、今度は丸いハナのしりをつまみあげて、  
ハナを鳴かせる。  
 
「ひぐぅ・・・あぐ・・・う、あッく・・・あう、ひッ」  
 
肉と肉が打ち合う音が部屋に響く。  
あまり濡れていないハナの膣には牡棒の刺激は強すぎて、粘膜が焼ける感覚しかない。  
身体の内側を焼かれているようだ。  
 
「ひうッ?!く、クリ・・・トリス・・・やだぁ」  
 
ハナの『濡れ』が足りないと感じると化け物は舌で器用に淫核を舐め上げる。そうするとハナの肉穴が何度も濡れてくる。  
それを繰り返す。  
 
ただ、化け物の牡棒がハナの膣肉で心地よくなってくると、その動きが強く速くなっていった。  
加速する肉の音。  
それが意味するものはつまり。  
 
「ひぃ、ひぐ、あう、あ、あ、ああ、あッ?ふあ??」  
 
ハナの喘ぎも速くなる。  
 
(やめてよぉ・・・痛いよぉ・・・な、何?なんか速くなって・・・?)  
 
ハナがふといぶかしんだ。  
そのとき。  
 
化け物が低く唸って、ハナの子宮口に密着させてきた。  
激しく震え痙攣する化け物。  
 
「う、ぐううううううッ?!!」  
 
お腹の奥が焼けるように熱い。  
そして、重い。  
 
「あ、ああッ?!・・・何ぃ?、お、お腹が変!なにか出・・・て」  
 
ハナはそこまで言って、ハッとした。  
少しずつ膨らんでいく下腹部。  
熱く、何かを放たれた感覚。  
膣の奥が重くだるい。  
化け物とはいえオスだ。  
なら、メスとの行為の果ては・・・。  
 
胎内に射精する。  
 
「・・・あ・・・ああ?!そ、そんな・・・!膣内で、私のお腹の中で・・・!?」  
 
(私のお腹の中で射精した?)  
 
気味が悪くなって、ハナは激しく嘔吐した。  
すでに血で汚れたシーツがハナの胃液で更に汚れる。  
 
化け物が薄ら笑いを浮かべながら、ハナから自身を引き抜くと、  
拡がった膣穴から血混じりの白濁した精液が溢れ出す。  
 
「酷いッ・・・ひどいよぉ・・・こんな、こんなの・・・」  
 
身体を丸めて、ハナは自身の陰部に手を伸ばす。  
焼けるように痺れ、微かに痛むその部分に触れると、酷く生臭い液体が手につく。  
それを見つめて、すすり泣く。  
 
そう泣いている合間にも、ハナの胎内の奥からは精液がこぼれてくるのだ。  
 
だが、これで終わらない。  
 
再び化け物がにじり寄って来る。  
その牡棒は猛々しさを取り戻し、再びハナを蹂躙するのだ。  
 
化け物がハナの腕を掴み、ハナの身体を引き寄せる。  
 
「ひ、ひぃッ・・・?!や、やめてぇぇぇ!もう許してえええええ!!」  
 
そして叫んで抵抗するハナを化け物は再び組み伏せ、犯し始めた。  
 
 
どれほど時間が経過したのだろう。  
 
部屋の床が軋み、その音が響く。  
 
「お母さぁん・・・お母さぁん・・・こわいよぉ・・・もうやだよぉ・・・」  
 
ハナのかすれる様に弱くなった声が母を呼んだ。  
ハナは冷たくなった母の片手になんとか手を伸ばし、指を絡める。  
 
そのハナの腹の上では、醜悪な化け物が腰を振り続けていた。  
大きく開かれたハナの脚と股の間で、化け物が身を割り込ませ、  
牡棒を出し入れしている様は、異常だ。  
 
すっかりこの異常な性交にハナの膣は狂ってしまい、今では馴染んで受け入れてしまっていた。  
淫らに締め付けて精液を欲しがるハナの膣肉の快感で、化け物は何度目かわからない射精を行った。  
精液を吐き出す寸前にハナから引き抜き、その苦しみに染まった顔や白い腹に精液を放つ。  
 
避妊の意識からではない。  
汚したいからだ。  
 
彼女の姿をぐちゃぐちゃに汚したくなったら体外に射精して、ハナに熱く生臭い精液を浴びせる。  
女の部位をぐちゃぐちゃに汚したくなったら膣奥に射精して、ハナの子宮を溺れさせて種付けを。  
 
「う、あ、熱い・・・気持ち悪い・・・んくッ!」  
 
すかさずハナの膣穴へ突き刺す。  
 
「ひぐ、あう、あ、あ、あああ、く、あん、ひんッ、ひくッ、ん!んぅぅぅぅッ!」  
 
柔らかくなった膣肉の恩恵はハナにもあった。  
ハナも快楽を感じ、時折、達するのだ。  
ただ、その快楽は化け物に対する恐怖や屈辱や気味悪さや絶望といった感情と混ざり合った複雑なものであるのが、  
ハナにとっての不幸だろう。  
 
そして、達すると蕩けるような粘膜が化け物を包み込み、再び射精をねだるのだ。  
 
(ハナチャン!カワイイハナチャン!)  
 
化け物はこんなに汚れきった彼女を愛しく思った。  
ずっと欲しかった高嶺の花。  
それが自分の下で喘いでいる様は、胸を締め付ける。  
 
誰にも渡さない。  
彼女は僕がもっと汚して、犯して、孕ませて。  
甘い乳房も、可愛い顔も、淫らな性器も、肉も。  
 
再び、激しく突き動かす。  
牡棒はますます硬く、猛る。  
締め付けてくる柔肉を掻き分け、奥を打つ。  
子宮だ。  
この子宮を打ち付けるとハナは悦ぶ。  
 
「ひ、ひぃ、ああ!、そ、そこ、しきゅうッ!いや、いやぁ!こわいよぉ!やめて、やめてぇ!」  
 
腰が砕けて無くなる感覚がハナを蕩かす。  
身体を突き上げられる感覚が酷い。  
子宮が跳ね上げられて、腸が潰れそう。  
圧迫されて気分が悪い。  
でも、異常な快楽がビリビリくる。  
 
化け物がハナを犯すその速度を上げた。  
更に奥へ。  
彼女のもっと大事な場所を侵す。  
 
肉の音。  
 
そして、一番強く腰を繰り出して、彼女の最奥を穿った。  
 
「あッあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁんんんん・・・・・・」  
 
肉のひしゃげる音がハナの下腹部から聞こえた。  
それもそうだ。  
無茶苦茶な突きでハナが壊れ、潰れてしまった子宮口が牡棒を深く飲み込んでしまった。  
柔らかい子宮の内側の肉と、硬く弾むような子宮の外側の肉が化け物の牡棒を包みこみ、いやらしく締め付けるのだ。  
 
「ああ、あああああ、壊れちゃったぁぁぁ、わ、わたしのしきゅう、おかしくなっちゃったよぉ・・・!」  
 
酷い異物感が臍の裏から感じられる。  
ハナにとっても化け物にとっても未知の感覚だった。  
 
化け物は更に動いた。  
この子宮の独特な感覚が面白かった。  
膣とは違う、ハナという人間の女を、内側から削っていく感覚だ。  
 
「い、ぎぃぃ」  
 
ハナがおかしい声を上げた。  
それでも化け物の腰の動きは止まらなかった。  
ハナのいやらしい女の肉が蠢いて心地よい。  
焦点の合わない眼で此方を見ていてくれる。嬉しい。  
僕が動くたびに声を出して悦んでいる。  
 
「・・・ひ・・・ひぐ・・・う・・・あ・・・あぁ・・・あぐ・・・」  
 
まともな喘ぎではなかった。  
弱々しい息の漏れるだけの喘ぎだった。  
 
そして、射精の欲求が高まった化け物は、  
更に腰を突き出して、その胎内深くに精を放った。  
本来ならありえない子宮の中での牡の射精。  
柔らかで熱い子宮の粘膜を粘つく白濁が舐め、重い噴流が打ち付けられる。  
いつか出来る愛しい人との赤子を育む子宮は、無残な精液袋と化し、大きく精液を飲み込んで膨れ上がっていく。  
 
「おなか、膨らんで・・・・?!」  
 
ハナは、ぼんやりとした眼でその光景を見ていた。  
未熟だった子宮が犯され、見る見る間に白い腹が膨れていく。  
まるで妊娠したみたいに。  
 
(こんな、こんな化け物の子供・・・妊娠なんて、したくないよぉ)  
 
女には子宮がある。  
その奥には卵巣があって、分身である卵子がある。  
その卵子と得体の知れない化け物の精子が混ざり合って生まれてくる子は、  
きっと人間なんかではないだろう。  
 
引き抜かれた牡棒がハナの口に押し込まれる。  
舌を犯され、喉奥を犯される。  
そして胃の奥に生臭い液を吐き出されながら、ハナは妊娠した自分を想像していた。  
いや、子宮を滅茶苦茶にされてしまったのだから、もう子供を生むことはおろか子宮が機能するかもわからない。  
 
なんてことだろう。  
惨めで、おぞましくて、涙が溢れ続けた。  
 
 
更に時間が経過していた。  
すっかり、ハナも抵抗する気がなくなっていた。  
唇で咥え込んではしゃぶり、下の穴で咥え込んでは締め付ける。  
泣きながら、暗い表情で化け物に奉仕している。  
 
いろんな体位で犯された。  
獣のように這いつくばって、尻を揺らしながら突かれ、恥辱を味わいもした。  
 
いや、すでに精神は折れている。  
感じる屈辱もなかった。  
 
化け物は依然欲望のままに犯し続けているが、今回は違った。  
今まで異常に暴虐だった。  
 
「ひッ・・・ぐ・・・・うぅぅッ!」  
 
拡がりきった膣穴に躊躇い無く挿入された。  
ハナから染み出した愛液と、精液が混ざり合ったものが滴り、  
ハナの淫裂も内股も繁みも下腹部もべたべたに濡れて、粘つく淫らな音を立てる。  
赤く充血したハナの淫肉が牡の侵入に喜ぶ。  
そのまま、奥へと簡単に飲み込んだ。子宮まで一直線だった。  
突いては抜くという動きがハナの腸を揺らして、下腹部が波打つ。  
 
だが、勢いと欲望のあまり、あまりに深く侵入しすぎた。  
 
「い、ぐぅッ?!」  
 
凄い感覚だった。  
化け物は瞬く間に射精欲が高まり、ハナの揺れる尻をみて、胎内に吐き出したくなった。  
だから、一番奥をこえてしまった。  
熱い射精と同時に根元まで化け物を咥え込まされた肉の穴。  
ハナの脊髄を凄まじい刺激が走った。  
それと同時に『ハナの女の部位が壊れる音』がして、ハナと化け物の結合部からは白濁の液とは別に鮮やかな血が滴った。  
遂にハナの子宮は耐えられずに引き裂かれてしまった。  
痛みが駆け巡る。  
もう、女の機能を失ってしまったのだ。  
この子宮はあれだけの行為に耐えに耐え、子を成す事が無いままに使い物にならなくなった。  
今ではただの血肉の集まりだ。  
 
受け止めるものがなくった化け物の異常な愛の証である精液は、ハナのうねる腸に放たれた。  
腹の中が熱い。  
夥しい血と精液が混ざり合い、海のようだ。  
 
放たれた化け物の精子たちはめぐり合う卵も無い、腸の肉を漂うのみだ。  
 
化け物の牡棒が射精と腸と血と精液の海で洗われ、かつてない快感を味わった。  
そして狂おしいほどの快感の中で、ハナの首に化け物の腕が伸びた。  
白く細い首筋を、人のものではない異形の手が絞める。  
射精の快楽に打ち震える度に、力が篭り、やがてハナの首から何かが砕ける音がした。  
 
腹部からの激痛とおかしくなった快楽が、ハナの脳を焼いた。  
弾けていく意識の中で、両親が呼んでいるのを感じた。  
 
(お父さん、お母さん、あのね。凄く怖い夢を見たの。  
わたし・・・)  
 
骨が砕ける音が微かに聞こえ、ハナは深く暗いどこかへ落ちていった。  
 
 
長い、長い、射精が終わった。  
がくがくと快感に身を揺らし、化け物は満足げに笑みを浮かべ、ハナを見やる。  
だが、ハナの様子がおかしい。  
 
大きく膨れ上がったハナの腹。  
化け物の精を受け止め続けたその腹の内側は滅茶苦茶であり、ハナの肉の揺り篭も、吐き出された精によって受胎することもなくなった。  
結合部からは朱の液体が溢れ続けていた。  
 
虚ろな眼をしたハナは力なく、化け物が揺さぶっても反応は無い。  
 
それもそうだ。  
首にはくっきりとした化け物の手の痣。  
あまりの気持ちよさから発作的にハナを絞めてしまった。  
 
白濁液混じりの涎が半開きの唇から滴った。  
その唇も冷たくなってきていた。  
 
そこにいたのはハナだった死体だ。  
 
(ハナチャン・・・)  
 
化け物は物言わぬハナを見つめ、さびしく感じた。  
確かにハナが欲しかった。  
滅茶苦茶に犯して、汚したかった。  
でも、この結果は望んでいなかったと思う。  
 
不意に、化け物の眼前にあの本が現れた。  
そう、如何なる結果になろうとも、望みは叶えた。  
力を与えた。  
だからこそ、対価を求められる。  
 
ハナと、その両親の身体から淡く光る何かが浮かび、本に吸い込まれていった。  
あれは、命だ。  
そして、ハナたちの肉体は煙を上げて消えてしまった。  
化け物は呆けたようにその光景を見ていた。  
やがて、化け物の身体からも光るものが抜けて、その肉体は煙を上げて消えてしまった。  
 
四つの命を本は吸い取った。  
転がった肉体も、飛び散った血や汚液もすべてが跡形も無く消えていった。  
 
 
 
悪魔というのは、望む人間に、己の願望を叶える力を与えるが、  
対価に糧を得る。  
化け物となった男の願いを叶え、その対価として犠牲者と男の命を糧にした。  
 
こうして、『願いを叶える本』という悪魔は目的を全うしどこかへ消えていった。  
 
後に残ったのは、静まり返った狂乱が過ぎた後の部屋だった。  
 
 
しばらくして、原因不明の一家失踪という話題があがり、周囲を騒がせたが、  
その話題も長く続くことは無く、やがて消えた。  
 
-了-  
 

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