「そういう、ことかよ……っ!!」  
俺は彼女の左手首を掴んだ。その薬指には、真新しい指輪。  
ずっと、憧れていたひと。俺がまた学校に通えるようになったのも、彼女のおかげだ。  
けれど、まだ俺が大人になる前に、彼女は別の男のものになってしまう。  
いつか俺こそが、大人になってそんな指輪を送りたいと思っていた。まだどうしようもなく  
ガキな俺を嘲笑うかのように、人気のブランドのものだという指輪はキラキラと光って。  
 
ああ、もう。  
 
もう何もかも、どうだっていい。  
 
 
   *     *  
 
高2のときに不登校になった俺は、引きずり出されるようにして保健室登校を始めた。  
つめたい制服の背中が立ち並ぶ教室は、敵意が満ちている気がして、近づくことさえ  
ままならなかった。  
それでも家に引き籠らずになんとか学校まで足を運ぶことが出来たのは……、まあ、  
保健室の先生が美人だったからだ。  
彼女はまだ二十代、親しみやすい性格で、女子からは「はるか先生」と下の名前で呼ばれていた。  
親しみやすいというか、割とドジで放っておけない所もあるんだけど。  
俺も当然、彼女をはるか先生と呼んだ。  
 
彼女は教室にいけなくなった俺をダメな奴だと決め付けなかったし、急かしたりもしなかった。  
ただ時々、美味しいお茶を淹れてくれたり、こっそりおやつのお菓子を分けてくれたりした。  
保健室は、怪我人よりも、そんなはるか先生とお喋りしたい、こっそり心にキズを作った奴らの  
溜まり場だった。  
 
小柄で童顔な彼女の傍に寄ると、いつもいい匂いがする。  
「先生、香水つけてきてる? やーらしいの。」  
彼女から漂う香りには、いつもちょっとドキッとさせられる。  
「つけてませんっ、香水なんて。神聖な学び舎に、そんなもの。」  
俺がからかうと、彼女は真っ赤になって反論する。  
「でもなんか、イイ匂いがする。」  
そう言うと、彼女は一生懸命に自分の腕や服を嗅ぎ始める。  
「しないわよぅ。」  
「あ、これかな?」  
俺は彼女の髪を嗅いでみた。  
「キャ──ッッ!! 頭のにおいとか、勝手に嗅がないでよ!! 汗臭いんだから!!」  
「これだこれだ。なにつけてんの?」  
「普通のシャンプーとリンスしか使ってません!! だからそんなに匂いませんっ!!」  
俺はそのとき初めて、女の人が使うシャンプーの香りが男にとって魅力的なことを知った。  
 
 
俺は彼女に、ぽつぽつと色んなことを話した。  
暴力的ないじめを受けていたこと。  
残酷な首謀者と、彼の言いなりになる取り巻きたち。  
俺が何より怖かったのは、それをただ傍観する、大多数のクラスメイト達だった。  
「あいつらにとって俺は、生きても死んでも関係ない、ただの石ころに過ぎないんだ……!」  
誰にとっても俺が価値のない石ころに過ぎないなら、俺は何のために生きて、ここにいるのだろう。  
 
俺はそんなクラスメイト達に囲まれて暮らすことが怖かった。きっと奴らは俺が目の前で死んでも  
眉ひとつ動かさず、笑ったり楽しんだり、滞りなく日常を過ごすのだろう。そんな奴らのなかで  
生きるのは、この上なく危険なことに思われた。  
 
彼女は先生のくせに、そんな俺を叱咤するわけでもなく、諭すわけでもなかった。  
ただそばに来て、小さな声で、わかる、なんて囁くのだった。  
 
「……わかる、ってなにが。」  
「先生も、学生の頃は、そういう気持ちだったなあ、って。」  
「……嘘。」  
彼女はいつも明るくて、たくさんの生徒から好かれていた。俺もその一人だった。  
彼女を価値のない石ころだなんて思う奴が、いるはずない。  
「トモキ君からするとちょっと違うのかもしれないけど、朝のラッシュアワーとかで揉まれてると、  
こんなにたくさん人がいて、でもほとんどの人にとってあたしがいてもいなくてもどうでも  
いいんだなあ、って思ってた。なんかこのまま消えてなくなった方が世のため人のため  
なんじゃないかなー、とか毎日思ってる、根暗な女の子だったな、高校生のときは。」  
 
彼女は軽やかに歌うようにそんなことを言う。でも、俺は知っている。本当に辛くて  
言いづらいことを口にするとき、人は冗談めかしてしまうんでってことを。  
俺は一瞬隣にいるひとが、生き惑う女子高校生みたいに見えた。何かは分からないけど、  
心の中に暗くて重たいものを抱えながら生きて、それでもちゃんと先生になって、今は学生の  
悩みを分かち合ってくれている。  
 
「先生は、みんなから好かれてるじゃん。ひとの役に立ってるよ。」  
俺もなるべく重くならないように、軽い調子で言う。  
「そう?」  
「そうだよ。先生がいなきゃ、俺だって困るし。」  
彼女がくるりとした目を大きく見開くので、慌てて言い直す。  
「保健室の先生が話しやすい奴じゃなきゃ、保健室登校すら出来てないし。」  
これで辻褄合ってるか。くそ、変なこと言った。  
「ありがと。トモキ君は、優しいね。」  
彼女は辛いことなんか何もないような顔で、ふんわりと笑う。  
 
「それでも、世間のほとんどの人にとって価値がなくても、身近な人がひとりでも大切だって  
言ってくれさえすれば、なんとかやっていけちゃうものなのよね。トモキ君にもいるでしょ、  
そういう人。例えば、御両親とか。」  
「親……は、でも、思い通りの息子が欲しいだけって気がするし、俺はその点では、  
もう駄目だな……。」  
「結構大切に、されてる気がするけどなあ……。じゃあさ。」  
彼女のいい匂いのする髪が揺れる。  
「先生じゃ、だめかな?」  
「な、なにが?」  
「トモキ君を、大事だって言ってあげる人。トモキ君がいないと、先生寂しいと思うし。」  
保健室はいつでも誰でも入れるところだけど、そのときは誰も入ってきてくれるなと思った。  
心臓の音が煩かった。年上の美人に、そんな愛の告白まがいのことを言われて舞い上がらない  
高校生男子なんてそうはいない。たとえそれが、先生という立場からのものだとしても。  
「トモキ君は繊細で、傷つきやすくて、優しいんだよ。だから他人の悪意に、傷つきすぎてしまう。  
でもそこがいいところ。トモキ君が一歩外に踏み出せば、君と友達になりたいひとが、たくさんいる。」  
そう話す彼女の瞳は、大人のくせにとても澄んでいた。薄化粧で目立たないけど、結構睫が長いなー、  
なんて思う。  
「先生はずっとここにいて、トモキ君の味方。それが、トモキ君の支えにならないかなあ?」  
 
 
高校生の男なんて、単純なものだ。  
その日から俺は俄然やる気を出した。  
勉強だって充分にこなして、授業に遅れないようにした。保健室に来る奴らに話しかけたりして、  
普通に話せる知り合いを増やしていった。  
そうした知り合いが学校に増えるにつれ、保健室の外でも自然に歩けるようになった。以前は雑音が  
すべて俺の悪い噂話を言い立ててる気がして仕方なかったが、世の中には色んな噂話があって、  
俺はその中の砂粒ひとつ分でさえないと気にならなくなった。  
昼休みはサッカーに誘われるようになったし、たまにゴールを決めると楽しかった。  
久しぶりに教室の扉を開けるときも、保健室から足が遠のく寂しさよりも、彼女に褒めてもらいたい  
という気持ちが勝っていた。  
褒めて欲しい、喜んで欲しい、笑って欲しい。  
その気持ちは、まともに教室に通えるようになってますます膨らんでいった。  
ちゃんとした生徒になって、いい大学に入って、もっと価値のある人間になって、俺の人生を変えたのは  
貴女ですと言ってあげたかった。貴女はそれだけ価値のある人ですと、教えてあげたかった。  
かつて人の波の中で、自分の生きる意味すら見失いそうな少女だった人に。  
 
 
教室にまともに通うようになってからも、放課後は保健室に入り浸っていた。  
友人と遊びに行く日もあったが、それより彼女のそばで過ごす方がずっと楽しかった。  
「せっかく誘ってくれる友達がいるんだから、行ったほうがいいわよ。」  
「俺がいないと、寂しいって言ったくせに。」  
少しからかうと、途端に真っ赤になって怒り出す。  
「そういう意味じゃないでしょ?! 先生は、先生なんだから!!」  
わかってる。  
わかってるけど、怒った顔も可愛いとか思ってしまうのだった。  
 
 
   *     *  
 
そして時は過ぎ、高校3年の夏。  
彼女が急に、よそよそしくなった。  
まず、目を合わせてくれなくなった。あんまり笑い掛けてくれなくなった。  
さらには「もう、あんまりここには来ない方がいい」とまで、言い出すのだ。  
俺にはまだ、彼女が必要なのに。  
ずっとここにいて、俺の味方だって言ってたのに。  
「俺……、何か、した? 先生に、嫌われるようなこと。」  
「そういうわけじゃないの……。」  
明るく軽やかだった先生の話し口調は、いつの間にか重く、目は伏目がちになっていた。  
いつだって、彼女が笑ってくれるためなら、どんな努力でもしてきたつもりなのに、急に、何もかもが  
通じ合わなくなってしまったかのようだ。  
言葉少なに俺を拒絶するようになってしまった彼女の態度に戸惑いながらも、理由はすぐに知れた。  
 
ある朝、女子達が彼女を囲んで黄色い声ではやし立てていたのだ。  
新品の指輪。  
左手の薬指。  
近頃どこかの芸能人が結婚指輪に選んだと人気急上昇中のブランド。  
女子特有の高い声が頭にきんきん響く。  
そして、はにかみながら答える彼女。  
 
────男、か……。  
彼女は魅力的な大人なのだから、そういうこともありうるとは思った。  
でも、一人の女である前に彼女は先生なんだから、生徒の俺によそよそしくなるのは納得いかない。  
考えるほどにもやもやしてくる想いを抱えながら、俺はその日の放課後も彼女のいる保健室へと向かった。  
 
 
暑い夏の夕暮れだった。期末考査も終わって、夏休み前の気だるい空気が流れていた。  
校舎には人も少なく、保健室には彼女ひとりだった。  
二人きりで話したくて、俺は保健室の扉に気付かれないようそっと鍵を掛ける。  
 
「ねえ、はるか先生。」  
机に座る彼女に後ろから声を掛けると、彼女はびくりとして振り返る。  
「男が出来たんだ? だから俺には、もうここに入り浸るなって?」  
「そうじゃ……ないの。トモキ君にはもう、ここはなくてもいい場所だから……。もっと友達と、  
付き合ったほうがいい……。」  
彼女の言葉は歯切れが悪い。俺は自分の苛立ちの理由が分かった。女子に羨ましがられるような  
人気ブランドの指輪を貰ったはずなのに、ちっとも幸せそうにしていない。  
「何だよそれ。ずっと俺の味方だって言ったくせに。いないと寂しいって、言ったくせに。」  
「それは……、今でも、そう思ってる。」  
俺は彼女の左手を掴んだ。薬指に光るのは、真新しい指輪。  
「これ、新しい男に貰ったんだ……。結婚するの? その男と。」  
「放して……。」  
彼女は弱々しく身を捩る。前はこんな風じゃ、なかったのに。  
俺の好きなはるか先生は。  
 
ああそうだ、好きだったよ。格好つけて、新しい男が出来たんならそれでもいいと言おうとしても、  
心の中は嫉妬でいっぱいだった。  
どうしようもなく、子供な俺。  
ちゃんとした大人で、誰からも好かれている彼女。  
教室に戻ったり、勉強を頑張ったりしたのも、少しでも彼女に認めて欲しいからだった。  
卒業して、もし出来ることなら、言いたかった。  
 
好きです、俺を変えたのは、貴女です。  
付き合ってください。  
 
でも、あまりに俺は子供で、卒業すらしないうちに、よく分からない男に横から掻っ攫われて。  
せめて彼女が、幸せそうなら良かったのに。誰よりも先に俺に打ち明けてくれて、素敵な人でしょう、  
って笑ってくれたらよかったのに。  
そうしたら、完膚なきまでに叩きのめされた俺は、もう祝福するしかなくなっていたのに。  
 
「先生、相手の男に言われた?余計な奴に、関わるなって。高校生といえど、男なんだからって。」  
「違……っ……」  
「じゃあなんで、俺を避けるんだよ!! 俺の目を見ないんだよ!! 幸せで仕方ないんだって、笑えばいいだろ?!」  
彼女は酷く悲しげに、俺を見る。  
 
違うんだ、笑ってよ。  
ねえ聞いて、期末考査の順位も結構良かったんだ、俺。希望大学も圏内だって。  
頑張ったんだ。あれからずっと、頑張ってるんだ。  
親のためじゃなくて、自分のためですらなくて。  
ただ貴女に、褒めてほしかったんだ。  
貴女がいらないんなら、俺はとっくに自分自身すら、いらないんだ。  
 
ぷつり、と、俺を支えていた何かが切れた。  
 
もう何もかも、どうでもいい。  
全部、壊れてしまえばいい。  
 
俺は掴んだままの彼女の手を引いて、抱き寄せた。  
小柄な彼女は俺の腕の中に軽く納まって、折れそうに華奢だ。  
髪から香るのは、いつもの彼女の匂い。  
「放して……。」  
「先生、知ってた? 俺、先生が好きだった。ガキだけど、本気で。」  
抱きしめた彼女の耳許に囁く。小さな身体は、小鳥のように震えていた。  
「先生に褒められたくて、必死でいい子の振りしてたけど……、なんか、もう、疲れたな。」  
軽い彼女の身体を抱え上げ、脇のベッドに放り投げるようにして制服のネクタイで両手を  
ベッドの格子に縛りつけた。  
「俺に優しくしてたのは、点数稼ぎのため? それとも同情? 誘惑して思い通りに動かすなら、  
最後まで、騙し通して欲しかったな。せめて……卒業まで。」  
彼女は泣きそうになりながら、小さく震える。  
「してない……誘惑なんて……」  
そうだろう。ただ俺が勝手に、好きだっただけだ。  
「叫んでいいよ、先生。俺は停学でも退学でも、もう恐くないから。」  
 
養護教諭である彼女は、いつも白衣姿だ。その下は代わり映えのしないかっちりとアイロンの  
効いたブラウスに、タイトスカート。でも彼女が着ると全部の色合いが優しくなる気がして、好きだった。  
淡い水色のブラウスのボタンを、もどかしく外して胸をまさぐる。彼女はいつも襟のつまった服  
ばかり着ていて、必要以上に肌を晒そうとはしなかった。  
 
初めて見る彼女の襟の下は、とても綺麗だ。  
夏でも大切に隠されて白く息づく肌、美しく盛り上がる胸の膨らみ。それが俺の手に掴まれて、  
いやらしく形を変える。  
体中をまさぐりながら、苦労してブラのホックを見つけ出して外すと、ふるんと優しく胸の双丘が  
姿を見せる。魅惑の柔らかさに夢中でしゃぶりつき、揉みしだき、吸い上げた。先端はすぐに  
可愛らしくしこって、更に俺を誘う。  
「だめ……!! 友樹君はこんなこと、しちゃいけない……!!」  
ひどいことをされてもなお、彼女は優しかった。こんなときでもまず、他人の心配だ。それも見せかけの  
優しさなのかもしれないけど。  
「もういいんだ、いい子のふりなんて。結局は、何も手に入らない。」  
俺はベルトを外し、ズボンの中で痛いくらいに滾っている雄の部分を取り出した。  
 
「おっぱい弄ってるのも楽しいけど、邪魔が入ったら面倒だから、最後までやっちゃうか。」  
彼女のタイトスカートを腰までめくり上げ、パンツとストッキングを纏めて引き摺り下ろした。細く長い脚を  
覆っていた布は、くるくると小さくまとまって床に落ちる。  
「だめ……!! それだけはだめ……!!」  
何とか閉じようとする脚に膝を割りいれて、無理矢理に開かせる。手の自由を奪われてている彼女に、  
それ以上抵抗する手段はなかった。  
女の身体は初めてだったけど、濡れている中心に入ればいい。  
入り口はすぐに見つかった。  
「あ、やぁぁ……!!」  
悲鳴を上げかけた彼女の口を、左手で塞ぐ。  
「ごめん、声上げていいなんて言ったけど、気が変わった。やっぱりこれは……邪魔されたくない。」  
「んんっ……!!」  
彼女は口を塞がれて、苦しげに呻く。その様にすら、劣情を掻き立てられる俺がいる。  
「先生のなか……凄くいい。たまんない……!!」  
初めての女の身体は熱く濡れて、俺を締め付けた。気の遠くなりそうな快感に翻弄されながら、夢中で  
腰を振りたくる。  
「先生の男は、こんないいことを毎回してるんだ。嫉妬で気が狂いそうだよ。」  
相手の男を、知らなくてよかったと思った。今なら殺人でも犯してしまいそうだ。  
 
「はあ……イイ。一回出すよ、先生。」  
彼女は真っ青になり、激しく首を横に振った。止めろと言いたいのだろう。だが俺には、止めるつもりなど  
微塵もなかった。細くすらりと伸びた脚をいっぱいに開かせ、奥へ奥へと叩きつける。  
「濃いのをたっぷり注いであげるよ……嬉しいだろ、先生。」  
「ん──っ! ん──っ!! んん────っ!!」  
すぐに強い快感がわきあがり、俺は躊躇わずにそれを彼女の最奥へと放った。  
 
 
ずるり、と繋がっていた部分を引き抜くと、彼女はぶるっと身体をふるわせた。  
「もう……、終わったでしょう……。早く、ほどいて……。」  
生気の失せた目をして彼女はそう呟く。情事の後、半裸の肢体をしどけなく晒して横たわる姿が、  
男の目にどんな風に映っているか、知りもせずに。  
「終わった? 冗談じゃない。」  
俺はうんと優しく笑った。  
「これからだろ。一回目を早く終わらせたのは、二回目からゆっくりと楽しむために決まってるじゃないか。  
一回目は性急過ぎたからね。次はもっとゆっくり、愉しませてあげるよ。」  
ぼんやりしていた彼女の表情が、さっと凍りついた。  
「嘘……。」  
棚から備品のタオルを取り出して、恐怖に震える彼女の口に押し込む。もう嘘も懇願も、助けを呼ぶ声も  
聞きたくはなかった。  
「だって先生のカラダ、凄く気持ちいいんだもん。一回だけで満足できるわけがない。」  
俺はカーテンをもう一度隙間なく閉め直し、ベッドの上で自由も声も奪われた愛しい女に向き直った。  
「次は四つんばいになりなよ。後ろからしてやるから。」  
 
俺は抵抗をやめた彼女の身体を存分に抱き、抑えていた欲望のはけ口にした。くまなく体中に舌を這わせ、  
射精後の一物に口で奉仕させ、あらゆる角度から突きまくって繰り返し彼女の中に精を放った。  
 
 
そして彼女は、俺の前から姿を消した。  
その日のあと会えないまま夏休みに入り、新学期に入った時に俺が知ったのは、彼女があの後すぐに  
辞表を出して退職していたことと、見知らぬ養護教諭の着任だった。  
 
 
 
 
     ──終──  
 
 

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