「よっこいしょっと」  
 
そういって運んできたゴミを集積場へと運んできたサリー、もといスピカが思わず口に出してしまう。  
本来はこの国の姫である彼女がこんな事をする必要は無いのだが、わけあって城に仕えるメイドとしても  
働かせてもらっているのである。  
 
城に仕えて早くも半月がたとうとしていた。最初の1日は少し不慣れなところも見せてはいたが、  
普段からメイド達の仕事の様子を見ていることもあったせいか、意外に飲み込みが早く  
メイドとしての戦力にもなっていると周囲には思われていた。あくまでも新入りとしてではあるが、  
もっとも肝心のサリーは正体がばれて遠慮をしてもらっているのではとも思っているみたいではあるが、  
実際は最初から知っていた叔父にあたる大臣のトムにメイドたちを束ねるリーダーのクリスとサブリーダーのサラ以外は  
ほとんど気づかれてはいなかった。  
まあ一国のお姫様がメイドとして働いているなど誰も考えないし気付かないのも無理の無いことなのかもしれないが、  
実際にサリーは専属のメイドであるサラ(専属のメイドをしながらメイドたちを纏めているのは流石)を連れて  
遠出している事になっているので、いないはずの人物はいないと決めてしまうのが人の心理にはあるのだから、  
 
「スピカ、キャロルと調理場に残っているゴミを集積所に持って言ったら今日は上がりにしましょ」  
「はいマチルダ先輩」  
 
マチルダ先輩の指示の元スピカは同時期にお城に仕える事になったキャロルと調理場とゴミ集積場を何往復かして  
本日の勤めを終わりにした、3人は使用人用の食堂で遅い、(それでもメイド達の中では早いほうなのかも知れないが)  
夕食を取っていた。  
 
「お疲れ様、二人ともどう?仕事には慣れてきた?」  
 
先輩のマチルダが2人に質問してみる。  
 
「そんな、私なんてまだまだ足を引っ張ってばかりです」  
「私も先輩についていくだけでやっとです」  
 
「大丈夫よ、二人とも真面目だし問題ないわよ、だからこそ二人にはもっとお仕えする仕事に入ってほしいんだけど、どう?」  
 
「すいません、家に病気で寝たきりの両親がいて兄達が仕事を休める時でないと、誰かが傍にいなくてはいけないので」  
「私も今の日数がちょっと精一杯なので、申し訳ありません」  
 
そういってマチルダからの要求は二人とも丁重に拒否をしていた。マチルダは残念そうな顔をしていたが  
一応の理解はしているようだ、まあ二人とも働けるのであれば最初から毎日入ってくれるはずだから  
それなのにこんな週に2〜3日しか入ってないのは何か理由があるはずだからと納得しているようだった。  
 
「まっ、何かあるんだったらしょうがないわね、でも仕事に入れるようになったら教えてね」  
 
そういって三人の晩餐は再開した。  
 
「それにしても私、お城に仕える事になったら男の人から権力でHな事をさせられるものだと思ってましたよ」  
キャロルはふとそんな質問を先輩のマチルダに投げかける。  
まだ城に仕えて半月ではあるが、実はHをさせられる不安を抱えていたようだ、その話を聞いたマチルダが  
 
「何人かはいるわよHなことを求めてくる権力者って、でもそんなHを強要する人で来たばっかりの新入りを把握できてる人にはいないわよ  
経験を積んで専属メイドになったり近くで働くようにでもなれば話は変わるけどそんな専属メイドなんて簡単にはなれないから」  
 
「でも実際にHなことをされているメイドさんっているんですね」  
 
マチルダの答えに今度はスピカが反応する  
 
「まあ女好きで有名なピエール大臣みたいなスケベもいるからね」  
 
ピエール大臣、主に軍事に関わる事を纏め上げてる大臣で何事も豪快なことで国では知られているが  
もう一つの顔として昔から女遊びでの浮気や裁判などのスキャンダルには事欠かない人物である。  
もっとも、国民からの人気は根強く今後も女性がらみのスキャンダルがいくら起きても  
彼の権威が失墜することは無いだろう、ピエール大臣が去年離婚してからは演説でハーレムを  
作りたいとか言い出す始末ではあるが、そこまで開き直られると憎めなくなるのか  
何故か女性からの支持も意外と高かったりする人物である。  
 
「あと気をつけなきゃいけないのはマイケル大使とコーデリー次官それに王子くらいかな  
他の男はHするとしても親しい相手くらいだから安心してね  
この3人にさっきのピエール大臣を加えた4人は私たち、メイド達からは“エロ四天王”って呼ばれてるんだから」  
 
果たして安心していいのだろうかと戸惑い気味のキャロルとスピカ、特に兄の醜態を知らされたスピカは  
どこか内心で呆れてしまっている。  
 
「まあ本当に嫌だったら相手も解ってくれるから深く考える必要はないってば、  
それにお城で仕えるってことはある程度の覚悟は出来てたんでしょ」  
 
「は、はい、一応は・・」  
二人は声を揃えて返事をする、  
メイドは体も奉仕するもの、そんな話は前から聞いていたし正体を知っているトムおじ様やサラからも注意されていた。  
なによりスピカ自身数える程ではあるが主に体を奉仕している現場も目撃している  
メイドになると決めた時に自分も誰かに体を奉げる事になるかもしれないと言う事に気づいてはいたが  
Hにも興味があったこともありスピカが体を要求された場合は受け入れるつもりでいた。  
もちろんそのことはトムおじ様やサラには言っていない  
 
「ならいいじゃない、むしろ早いうちに食べられたほうがいいかもね  
ピエール大臣だったら私から新入りのメイドが挨拶したいって言っておけば  
よろこんで飛びつくでしょうからね、専属のメイドにはなれなかったけど  
大臣の傍に行くことも多いから話を付けられるからね」  
 
などと話しながら夕飯を終えてから更衣室で着替えた後に二人は家路に向かう  
マチルダは住み込みの為にそのまま城にいたが遠出している事になっているスピカは  
一度城から出てからこの国の姫、サリーとして再び城に戻る事になる。  
 
翌日  
「なんて事が昨日あってねってリサ姉聞いてるの?」  
「大丈夫聞いてるから、エロ四天王のことだろ」  
 
今日は新入りメイドのスピカとしてではなく姫のサリーとして将来の為の授業や  
一国の姫としての業務に追われていたが、ひと段落着いたところにリサが遊びにやってきたのだ。  
 
「リサ姉はその四天王とHしたことあるの?」  
「そりゃあるよ、呼び出されてそのまま朝まで大臣と朝までご奉仕って」  
 
リサはさぞ当たり前のような口調でサリーの質問に答える  
 
「うわぁ、でも嫌じゃ無かったの?」  
 
「まあメイドだからって腹括ってたからな、大臣達の女好きは有名だったし  
これもメイドとしての仕事の中の・・・ってまさかお前、要求されたら体を差し出すつもりか?」  
 
「うん、話には聞いていたしメイドとして仕えている時は特別扱いされたくないから」  
 
笑って、しかも当然のように言っているが王族の体という事もあり簡単に差し出していいものではない、  
 
「やめとけって、悪いことは言わない、髪飾りなら返すから王族の初めてを  
そんな事に使うなって、無理に覚悟を括る必要なんて無いんだし  
身分や名前を誤魔化したって体は一つしか無いんだから」  
 
サリーにそんなことをさせてはいけない、友人としてのリサの説得だった、  
腹は括っていたけれど避けられるのなら避けたかったし、自分からするものじゃない  
 
「大丈夫、それに本当の事を言うと結構Hに興味はあるんだ、  
だからリサ姉も心配しないでよ」  
 
そう言ってサリーは笑顔でリサに話している、  
 
「だめだだめだだめだ、友達としても従者としても言わせてもらうがそんな風に  
簡単な興味で初めてを捨てるなんてどうかしてる」  
 
「でもリサ姉だって初めてのHが大臣とだったんでしょ」  
 
「トム様にだって注意されてるしサラ様にも言われてるんじゃないのか?」  
 
「それは……そうだけど」  
「と に か く だ、特別扱いされたくないのも分からなくは無いが一国の王族が  
そんなことまでする必要はないって」  
 
「うん、でも迫られたらちゃんと断れるかな?」  
 
そう言ってなんとかサリーを言いくるめる、何事も経験が大事とは言うが今回は流石にあてはまらないだろう  
だけど少し言い過ぎたか  
 
「まあ自分からアピールしたり誰かに薦められたりしない限り入ってすぐのメイドに手を出したりしないから  
安心しろって、昔入ってきたばっかりのメイドを力技でSEXしたらそのメイドはすぐに城から出て  
大騒ぎになったことがあるからな、城のスケベどももまた騒ぎになられても困るから入ってきたばっかりの  
メイドに手を付けようとはしないからしばらくは気にするような問題じゃないよ」  
 
「わかった、これ以上リサ姉やみんなを不安にさせてもしょうがないもんね」  
 
そう言いながらサリーは笑顔をみせる、本当に素直なお姫様だ、いや本音をいえばサリーがメイドをやってるだけで  
相当不安ではあるのだが簡単に体を差し出すとか言わなくなっただけで十分だろう、実際にメイドという社会経験が  
サリーにとっていい風に作用していると思う所が所々に見受けられる、城の淫らな部分も見られてるような気がするが・・・・・・。  
 
「サリーがわかってくれればそれでいいか、そんじゃ私はそろそろ自分の持ち場に戻らないといけないからサリー、私たちが飲んだ  
ティーセット片付けておいて」  
 
「わかった、リサ姉お仕事がんばってね」  
そういって私は部屋を出て行った、後でメイドが一国の姫にティーセットの片付けを指示したのがばれてメイド長から  
怒られることなどこのときの私はまだ気付いていなかった。  
 
 

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