第五話 キツネくんと仔猫ちゃん  
 
タヌキさん親衛隊とヒトミさんを守る会の包囲網の中。  
俺の心を占めていたのは。  
 
『みんな一緒でいいな…あたしは…』  
 
仔猫ちゃん、タマミ。  
彼女今朝の別れ際のその言葉が耳を離れない。  
きっと、一人で寂しいんだな。  
 
俺に縋りついて笑う彼女。  
俺の胸にしがみついて泣く彼女。  
寂しげな笑みを浮かべる彼女。  
 
そのコロコロと猫の目のように変わる表情は、俺を飽きさせない。  
彼女に慕われて悪い気はしない。ネコなんだけど。多分、年下?なんだけど。  
 
でも。  
放っておけないじゃないか、あんな…あんな脆い所、見せられちゃ。  
気になって、仕方ないよ。  
 
あんな小さな仔猫だったのに。俺なんかのために人間になっちゃって。  
これからどうするんだよ?俺、ずっと守ってなんてやれないよ。  
 
いや…  
そもそも俺に、何が出来るっていうんだ?  
彼女のために、何か出来ることがあるのか?  
 
『ごめんな、授業終わったらまた会えるから、な?』  
『うん!ここで待ってるね!じゅぎょー終わったら遊ぼうね!』  
 
そうだ。タマミちゃんはここで待ってると言った。なのに…  
 
周囲を見回す。タマミちゃんの姿は見えない。  
もしかしたら、何かあったのかもしれない。  
おまけに彼女を追っていったらしい、TMDの連中の事もある。  
 
「タマミちゃん…!」  
 
しかし俺たちは完全に包囲されている。この包囲網をどうやって突破するか?  
 
「ヒトミさん?」  
「はぁ…しょうがないわね」  
 
え?何?  
 
「またキツネくんの昔のお話、聞かせていただけます?」  
 
と、タヌキさんが連中の方に一歩を踏み出す。  
 
「え?あの、タヌキさん?」  
「キツネくん!私、皆さんのお話しを伺ってきますわ。また明日お会いしましょう。御機嫌よう」  
「今日は部活でるわ、私。さ、行きましょ。私がいれば、キツネくんに用は無いんでしょ?」  
 
ヒトミまで…そうか。  
俺がタマミちゃんの事を気にしてる事、二人とも解ってて…  
 
…ありがとう。  
俺は歩き去る二人に頭を下げて、走り出した。  
 
「はぁ。柄じゃないわーこんなの」  
「うふふ。きっと、帰ってきてくれますわ。だって、キツネくんはなんだかんだ言っても私の事を…きゃっ」  
「何よその自信!?どっから湧いてくるのよ!根拠は?ねぇ根拠!!」  
「あら?ヒトミさんは自信ないんですか?」  
「う…あ、あるわよ!根拠は…これまで一緒にいた時間!キツネくんが帰ってくるのは私の所!調子に乗らないでよね!」  
「くす…キツネくんは…優しいから。小さな女の子を放っておけないだけ。そうですわよね?ヒトミさん」  
「ふん!キツネくんの事はあんたなんかより私の方がよく知ってるの!でも…  
 その優しさが人を傷つけることもあるって…事。キツネくんは気付いてるのかな…」  
「ヒトミさん。でも、私は…いいえ、私たちは」  
「…」  
「そういうキツネくんだから、お慕いしてるんですわ。そうでしょう?」  
「…うん」  
 
※ ※ ※  
 
俺はタマミちゃんを捜して走りだした。  
しかし心当たりがあるわけじゃない。  
何しろ、彼女とは出会ってほんの数日。  
 
「どこだ…?どこにいる!?」  
 
そう、彼女は待ってると言ったんだ。なのに。  
不安が募る。イヤな想像がどんどん広がって止まらない。  
 
考えろ考えろ考えろ!  
 
彼女は元・野良猫。猫の行動範囲はそんなに広くないはずだ。  
 
一般的に猫の行動半径は30〜400m程度と言われている。  
どんなに行動範囲の広い猫でも1km圏内が限界だそうだ。  
 
迷子になった猫を捜す場合は、家を中心に内側から外側に向かって  
周りを回るように探せば良いのだそうだ。  
 
「よし…!」  
 
俺は脳裏に地図を描いて…走り出した。  
 
※ ※ ※  
 
そして。  
 
ちょうど学校から1km圏内ぎりぎりの公園。  
周囲を林に囲まれて、人目につきにくい閑静な場所。  
 
そこに彼女はいた。  
 
数人の男に囲まれている。ピンクのハッピの連中…TMDだ。  
 
「あ、おにいちゃんだー!」  
「タ、タマミちゃん!さ、探したよ〜!」  
 
俺はもう息も絶え絶え。  
 
「キ、キツネ!何しに来た!」  
「お、俺たちは何もしてないぞ!?」  
「は?」  
 
状況が読めないぞ。  
 
「…いいよ、ハッピのおにいちゃんたちと遊んでも」  
「え?さっきまであんなにイヤがって…」  
「黙ってて!」  
 
「タ、タマミちゃん?」  
 
「キツネおにいちゃんはあたしと遊んでくれないからこの人たちと遊ぶの。  
 キツネおにいちゃんにはお姉ちゃんたちがいるんだから、いいでしょ?」  
「いや、あの…あれぇ?」  
 
俺、独り相撲?  
彼女には俺しかいない!なんて思いこんでたのは驕り?  
 
なんか力が抜けちゃったよ。  
でもま、無事ならそれでいいんだ。  
 
…いいのか?  
 
…いいんだよ!  
なんか寂しいような、切ないような気がするけど気のせい!  
 
「そ、そっか…えと、その…それならいいんだけど」  
「え?おにいちゃん…!」  
「待ってるって言ってたのにいないから、さ…心配したんだけど…  
 事故とかにあってたらと思うと、その…さ」  
「あはは、道路に飛び出して引かれそうになった事あるじゃん?だから…さ」  
「…」  
「んーと、その、あまり遅くなるなよ?理事長やタヌキさんが心配するからな」  
 
と、踵を返そうとしたその時。  
 
「おにいちゃん!いいの!?あたしこの人たちと×××しちゃうよ!?」  
 
こ、こら!?うら若き乙女がなんて言葉を口に!  
エロ本か!?俺のエロ本が彼女の情操教育の弊害!?  
 
「え…い、いいの?ホントに?」  
「ごくり…!い、いきなり乱交?」  
「タ、タマミちゃん…!」  
「こ、こらー!ダ、ダメ!ダメです!そんな事許しません!めっ!!」  
「こ、こども扱いしないで!※※や★★も…○○もできるんだから!  
 ちゃんとおべんきょーしたもん!」  
「いや、その…だ、だからって…!」  
 
あうあう。動揺する俺に向かって、TMDの連中が言い放つ。  
 
「キツネ!お前は彼女の何なんだ!?」  
「そうだ!彼女の自由意思を奪う権利はお前には無い!」  
 
そりゃそうだけど!正論だけど!  
俺は…別に彼女の恋人でも家族でも無いけど!  
 
「い、いこう?タマミちゃん!(ゴクリ)」  
「あ、あんなヤツ放っておいてさ(ハァハァ)」  
 
と。タマミちゃんの肩に男の手が置かれる。  
その瞬間、ビクリと彼女の身体が震える。  
 
「あ…」  
 
イヤがってる。絶対。  
なのになんで?なんであんな事言うんだ?本心から、その、  
×××や※※や★★や○○をしようと思ってる訳じゃないのに?  
 
「ちょ…ちょっと、やだ…」  
「タ、タマミちゃん…!」  
 
昂奮した男の一人がまたしてもタマミちゃんに手を伸ばす。  
 
「…やっ!」  
 
避けようとしたタマミちゃん。  
男の手が一瞬空をさ迷い、しかし再び彼女を捕えようとして…  
 
ぐっ。  
 
「あーーー!こ、こら!!」  
 
男の手がタマミちゃんの胸をがっしりと捕まえていた。  
 
「い、いやーーーーーーーー!」  
 
タマミちゃんの顔が真っ赤に染まり、脚が、がくがくと震えてる。  
さらにその大きな眼から、大粒の涙がこぼれる。  
 
「やだやだやだやだやだーーーーーーーーーーーーーーっ!」  
 
「タマミちゃん!?」  
「離して離して離してーーーーーーーーーーーーーーーっ!」  
 
大きな悲鳴にびびった男の手が離れる。  
俺は何も考えずに駆け寄り、タマミちゃんの手を取った。  
 
「タマミちゃん…!」  
「お、おにいちゃん…!おにいちゃぁああん!」  
 
わんわんと泣きじゃくるタマミちゃん。  
TMDの連中もおろおろするばかり。  
 
「タ、タマミちゃん…その…」  
「消えろよ」  
 
自分の物とも思えない低い声だった。  
 
「彼女の言葉は本心じゃなかった。お前たちと遊んだりなんかしないよ」  
 
…連中が悪い訳じゃない。  
彼女の言葉に…惑わされただけ。  
 
解ってる。連中に非は無い。  
 
でも。  
たとえ故意では無かったとしても、連中は彼女を泣かせた。  
 
それだけで、俺が怒りを向ける理由としては充分だ。  
自分が、抑えられそうにない。  
 
だから。  
 
「だから…とっとと消えてくれ!」  
 
※ ※ ※  
 
…俺の胸に縋りつき、まだ泣きじゃくるタマミちゃん。  
その頭を俺は飽く事なく撫で続けていた。  
 
「お、おにいちゃん…ぐし…ぐしっ…」  
「ちょっとは落ち着いたか?」  
「…まだ。頭、もっと撫でて」  
 
うわ。その上目遣いは、卑怯。  
 
「お、おう。お安い御用だ」  
 
俺が頭をなでてやると、彼女は目を細めて…今にも「ごろにゃん」とか言い出しそう。  
 
「なぁ…なんであんな事言ったんだ?」  
 
連中と×××だの※※だのや★★だの○○だの…!  
 
「だって」  
「だって?」  
「おにいちゃんが何もしてくれないから」  
「は、はい?」  
「おにいちゃんがしてくれないから、  
 あの人たちにしてもらおうと思ったの」  
「な、なにそれ!?」  
「おにいちゃん…して?」  
「こ、こらーーーーーーーーーー!」  
 
出来るか!というか、彼女の方こそ!  
 
男の手が肩に触れただけでカチコチに固まるくせに。  
ちょっと胸を触られただけであんな悲鳴をあげるのに。  
昨夜だって…下着見られただけで泣きだしちゃうのに。  
 
出来るわけないじゃないか!?  
 
「だって、おにいちゃんがあの人たちを追い払っちゃったんだから」  
「だから…責任とって?」  
 
なんだ、この…「したいだけ」みたいな発言。  
俺は彼女の表情を観察する。  
 
真っ赤だ。小刻みに震えてるのが解る。  
明らかに無理、してる。  
 
「…嘘、だろ?」  
 
ぴくりとネコ耳が震える。ほら、やっぱり。  
 
「そんなしたいだけ、みたいな…そんな言葉、嘘だろ?」  
「なんでそんな事言うんだよ?危なっかしくて見てられないよ」  
「なんでそんなウソつくんだよ…」  
 
答えない。答えてくれない。  
 
「そんな嘘つくコは…キライだ」  
「…え?」  
 
やっと反応があった。  
 
「嘘つきはキライだよ、だから、嘘は止めてくれよ」  
「う…」  
「う?」  
「う、嘘じゃないもん!嘘じゃ…ないも!」  
「タ、タマミちゃん?」  
 
やばい、また泣く!  
 
「嘘じゃないもーーーーーーーーーーーーーーーーー」  
 
ああ…泣かせちゃった。TMDの連中の事、言えないね。  
 
「だ、だって…あいつらと×××とか、する気なかったろ?  
 嘘だったろ?だから、その…!」  
「だ、だって…だってだってぇ!」  
 
しゃくりあげながら。でも一生懸命に。  
 
「お、おに、おにいいちゃんに…おにいちゃんにしてほしいのは嘘じゃないも!」  
 
うわお、大胆発言。  
 
「あ、ああ言ったら、おにいちゃん止めてくれるかなって…!  
 あ、あたし、子供じゃないも!  
 おにいちゃん、あたしの事見てくれないも!お姉ちゃんたちに叶わないも!  
 だから、だから、焼餅なんだも!おにいちゃんに焼餅焼いてほしいも!」  
 
ああ、支離滅裂。何を言ってるんだか解らないぞ!?  
 
「ずっと…ずっと、一人だったんだもん!一人ぼっち、だったん、だも!  
 だから、解んない…解んないんだも!どうしていいか、解んないんだも!  
 おにいちゃんだけなのに!あたしはおにいちゃんだけなのに!」  
 
それ以上は言葉にならない。また大粒の涙を流しながら…  
って、俺、彼女を泣かせてばかりいるような気がする。  
 
「…そ、そうか」  
 
でも、大体、解った。  
 
「もう止めろよ、そんな強がりは」  
「え?」  
「俺の気を引こうとして…でもどうしたらいいか解らなくて…  
 考えた末、あいつらとするなんて言って嫉妬させようとした?」  
「…」  
「そういう事だろ?」  
「…」  
「無理するなよ…というか、無茶するな。心配しちゃうから」  
 
しばし無言。  
 
「…ご」  
「ご?」  
「ごめんなさいいいいいい!お、おにいちゃぁああん!」  
 
あちゃ。  
結局、また…またまた泣かせちゃったよ。  
 
「あたし、おにいちゃんが好き。大好き  
 おにいちゃんはあたしに名前をくれた。  
 怖い時、悲しい時はずっと頭をなでなでしてくれた  
 ひとりぼっちだったあたしを見つけてくれたから、  
 だから、おにいちゃんが好き」  
 
そうか。彼女は野良猫で、一人ぼっちで。だから。  
 
一人ぼっちは、寂しいもんな。  
 
「ねぇ、おにいちゃん  
 おにいちゃんも、あたしの事、好きでしょ?」  
 
そのはにかんだ笑みが、俺の心をわしづかみにする。  
 
「そりゃ…もちろん、き、嫌いじゃないよ」  
「嫌いじゃないって事は好きって事だよね?」  
「そ、そうなる…かな?」  
「やったー!そーしそーあいだっ!わーいわーい!」  
 
子供っぽい喜び方、微笑ましい。思わず俺の頬も綻んでしまう。  
妹がいたらこんな気分なんだろうな…と、  
 
「おにいちゃん…」  
「えと…タ、タマミちゃん?その手をどけてくれない…かな?」  
「いやだ」  
 
いやだ、じゃなくて!  
その、手が…お、俺の股間に当たってるんですけどー!  
 
「おにいちゃん…」  
 
きゃーーーーーーーー!  
そんな潤んだ瞳で見つめながら股間を撫でさすっちゃだめー!!  
 
「い、いいいい、いけません!」  
「にゃん!」  
 
思わず突き放す。  
 
け、決してこのままじゃ俺の身体が  
反応してしまいそうだったからじゃないぞ!?  
 
「ぶー!」  
「いや、そこで膨れられても…」  
 
と、そこでタマミちゃん、一転いたずらっぽい表情を浮かべ…  
 
「あ、タマミちゃん!?」  
 
走りだした。公園の林の中へ姿を消してしまう。  
せっかく見つけたのにここで見失ってたまるか。  
 
俺は後を追った。  
 
※ ※ ※  
 
林の中。見通しが悪い。俺は段々不安になる。俺はずっと彼女を捜していた。  
やっと見つけたと思ったのに、気まぐれな猫はすぐに俺の手をすり抜けていく。  
 
彼女が猫だったときからそうだったんだ。  
いつの間にか傍にいる。でもきまぐれで飛び出していって、  
見つけた時は車に引かれそうになってたり、男に取り囲まれてたりして。  
 
心配で目が離せない。いつも傍に、目の届くところに置いておきたい。  
守ってやりたい、見守っていたい、妹みたいな…女の子。  
 
どこにも行くな。傍にいろ。  
 
「タマミちゃん…!」  
 
…見つけた。木の陰からつきだした、ネコ耳。  
 
もう、逃がさない。  
 
「捕まえた!」  
「おにいちゃん…」  
「たたたたた、タマミちゃん!?」  
 
…て、なんて恰好してるんだよ!?  
 
木陰で…胸元をはだけ、スカートたくしあげてる。  
そんな姿のタマミちゃんを、俺は後ろから抱きしめてしまった。  
       
「あの人たちとするって言ったのは嘘だけど、  
 おにいちゃんとしたいのは嘘じゃないもん!  
 ね…おにいちゃん…ほら、見て…!」  
 
そう言うと彼女は自身の指先をそっと下着に沿わせる。  
 
「な!ななななな何を!?」  
「お、おなにーって言うんでしょ?好きな人の事を想って…するんだよ?」  
「い、い、いけません!そんな事…こんな所で…!」  
「やだ、止めないも…んんっ…!」  
 
真っ赤になって、涙目で、震えながら。  
彼女は俺に見せつけるように自分自身を撫でさする。  
 
「ふぁ…ん…んくぅ…!」  
 
その声がどんどん艶を帯びてくる。小さな身体に似つかわしくない、声。  
俺はその様子に魅入られ、視界が彼女で一杯になって。  
 
眼を逸らせない。逸らす事が出来ない。  
 
「お、おにいちゃん!そ、そんなに見ちゃ…は、恥ずかしいよぉ」  
 
びくっ!と、思わず硬直する俺。  
 
「ご、ごめ…そ、その…」  
 
とと、喉が。いつの間にか喉がカラカラに乾いてて。  
俺は思わず生唾を飲み込む。彼女にも、その音が届いたかもしれない。  
 
「はず、はずかしいなら、やめ…やめれば…!」  
「い、いやぁ!や、やめないも!!み、見て欲しいんだもっ!」  
「い、いま見るなって言ったじゃないか!」  
「ち、ちがうも!は、恥ずかしいけど見て欲しいのっ!」  
 
なんでそんな無理するんだよ!?  
 
「お、おにいちゃ、どきどき、する?あたしのお、おなにみて、こうふん、する?」  
 
切れ切れの息でそんな事言われて…昂奮しないわけ、ない。  
 
「お、おにいちゃんの事を思って…してると…どんどん変な気持になってきちゃうの  
 胸の奥がきゅんきゅんして、ほわわって暖かくなって…それでそれで…それでね…」  
 
「おっぱいの先っぽがちくちくして、硬くなって…  
 おまたの所がぬるぬるしてきて…そ、それで…それで…」  
 
「は、恥ずかしくて恥ずかしくて恥ずかしくて…すごく恥ずかしくて」  
 
「で、でも…」  
 
「んはっ…んにゃぅ!!」  
 
「でも…気持ち、いいの…!気持ちよくて、恥ずかしいのに、止まらないのぉ!」  
 
と、タマミちゃんの手が下着の中に。  
裾からな、なにか、流れてるんですけど!?  
うわ。うわうわうわ!!  
 
「おにいちゃ…おに、いちゃ…んっ!んにゃっ!んひゃぅ…っ!!」  
 
どんどん。どんどん指の動きが速くなっていく。  
上下に擦りあげるだけでなく…時折、下着に隠れた指がくいっと盛り上がる。  
その動きに合わせて、彼女の小さな身体がびくん!と跳ねあがる。  
 
「ふわわっ…!あふぅ!んん!ひゃう…!にゃぁ…!うにゃぅ…!」  
 
俺はその痴態から目が離せない。  
 
「おにいちゃ…んはぁあ!あ、あたし、あたし…んくぅ…!にゃ!にゃ!にゃ………!」  
「タ、タマミ…!」  
「んはぅ…っ!ん、にゃぁあああああああああああ!!」  
 
ひときわ高い嬌声と共に彼女の身体が痙攣する。  
後ろから抱きすくめる形になっている俺に、いや…その…  
勃起したナニにその痙攣が刺激を与え…理性が吹き飛びそう…!  
 
「ふぁ…っ…はぁあああ…お、おに、ちゃ…」  
 
タマミちゃんの手が、彼女を抱きしめたままの俺の股間に伸びる。  
 
「う、うあ…!」  
「硬くなってる…すごぉい…」  
 
あ、あんなの見せられたんだから…しょうがないだろ!  
 
「こんな、お、おっきぃの…?」  
 
彼女の目に一瞬浮かぶ、恐怖。しかし、  
 
「が、がんばるも!いっぱいおべんきょーしたから!」  
「む、無理するなって!」  
「…だめ?」  
 
小首をかしげて上目遣いで!ネコ耳ぴくぴくしてるし!  
反則!それは反則だよぉ!  
 
可愛い。可愛すぎる!  
 
「お、おれ…おれは…!」  
 
ど、どうしようどうしようどうしよう…!  
し、しちゃっていいのか?いいのか、俺!?  
い、いや…ここまでさせて…ここまでされて…応えないなんて男じゃないっ!  
覚悟を決めろ!キツネ!  
 
上目遣いに俺を見るタマミちゃんから、眼が離せない。  
どきどきする。止められない。いや理性は「止めろ」と言っている。  
 
このコは元・ネコだ。出会ってまだほんの数日じゃないか。  
 
でも。  
だから、なんだ。  
 
タヌキ理事長の言葉が思い出される。  
 
※ ※ ※  
 
「一番必要なのは、自分の居場所だ」  
「自分の居場所…?」  
「自分がそこにいていいという自信や自負、  
 いるべき理由、いなければならないという理由、だよ」  
「それは地位や立場かもしれない。あるいは自分を必要としてくれる伴侶かもしれない。  
 仕事かもしれないし、使命かもしれない。これは君たち人間も、無縁ではいられない命題だよ」  
 
※ ※ ※  
 
一番大切なのは「居場所」  
 
俺は、彼女の居場所になれるのか?いや、可能かどうかは問題じゃない。なりたいんだ。俺は。  
 
守りたい。守ってやりたい。  
 
彼女は元・ネコなのに。出会って数日なのに。  
でも、俺は彼女の居場所になりたい。  
この時のその想いは、本物だった。  
 
俺は彼女に回した手にぐっと力を込めた。  
 
「おにいちゃん…?」  
「お、俺…俺…」  
 
多分、俺の鼻息はかなり荒かったろう。  
彼女を守ってやりたいと思う、それは嘘じゃない。  
でも同時に、彼女を…めちゃくちゃにしたい衝動にも駆られていた。  
 
…そうだ、俺は激しく昂奮してた。  
もう、止まらない。  
 
「にゃっ!?」  
 
俺は彼女を押し倒した。って言っても、そっと、だぞ?  
地面は芝生…というには雑草が多く混じっているけど、おかげでそこそこの柔らかさ。  
 
「おに、ちゃん…?」  
「…するよ?」  
 
俺の言葉に、彼女ははっと息を飲み、沈黙。  
 
俺は、しかし返事を待つ事はしなかった。  
これまでにすでに彼女の決意は痛いほど伝わってきていた。  
 
俺としたい、という彼女の言葉に嘘は無いと信じてる。  
だから、余計な事は言わない。  
 
「あ…!」  
 
下着を脱がせると…うすい茂みが現れた。  
沈みかけた太陽が投げかけるほのかな光が反射、キラキラと輝く。  
 
そう、彼女の茂みはすでにぐっしょりと濡れていた。  
 
「こんなに、溢れさせてたんだ…」  
 
つい、言葉が口を突いて出る。その、感動、して。  
俺を想って、自分で慰めて、それであんなに感じて、こんなに溢れさせて。  
 
その事実が俺を感動させた。  
 
「すごく、綺麗だ…」  
「は、はずかしいよぉ…!」  
 
感動のあまり、俺は見境を失っていたらしい。  
 
「ひにゃっ!?お、おに、おにいちゃ…!!」  
 
仔猫ちゃんの乳首に吸いつき、指を股間に沿わせた。  
 
「ひゃぁああ!うわ!うわ!うわ!うわーーーー!」  
 
ひどく恥ずかしいのだろう。顔を真っ赤にして、手足がジタバタと暴れる。  
でも今更俺も止められない。  
 
彼女が欲しい。抱きたい。俺の物にしたい。  
 
すでに勃起した乳首を軽く吸う。  
 
「ひゃん!」  
 
彼女の身体が、俺の身体の下で跳ねる。  
俺が与えた刺激に感じてる、その事が嬉しく、そして昂奮、する。  
 
「ひぁ!お、おっぱい…ジンジン、するぅ…!ふあ!あ!」  
 
舌先で転がし、ついばむように吸い、時折潰すように。  
様々な刺激を与えるたびに、嬌声をあげるネコ耳の少女。  
 
「あぅ!…にゃ!んん!ひぁ!ひゃん!…んあっ!」  
 
ピクピクと震えるネコ耳が愛らしく、俺はもっと彼女を感じさせたくなる。  
股間に添えた指を…そっと割れ目に食い込ませる。  
 
「ひあああああああ!?お、おにおにいちゃ…だ、だめぇ!」  
「どうして…?ここ、気持ちいいんだろ?」  
「だ、だってだってだって!は、はずかし…はずかしいもーーー!」  
 
必死に抵抗し恥ずかしがる彼女を…  
もっと恥ずかしい目にあわせたくなっちゃう。  
嗜虐心を煽る、とでも言うか。俺って結構S?  
 
「ほら、気持ちいい証拠に…こんなに濡れてる」  
「んん!そ、それは、だって…!」  
「気持ちいいんだろ?」  
「…うー!!」  
「うー?」  
「ば、ばかばかばかぁ!お、おにいちゃんのいじわるー!!」  
「なんで?教えてくれないと解らないよ」  
「あうあう…!でもでも…!んは!はぁあ!あ!あ!」  
「…気持ち、いい?」  
「おに、ちゃ…んはあああ!き、きもち、いいよぉ!!」  
「いいコだ…!」  
「うああああ!は、はずかしーーーーーーーーーーーー!!」  
 
もっと、もっと。  
もっともっと気持ちよくさせて、感じさせて、恥ずかしがらせたい。  
 
「さっき、自分でどこ触ってた?どこ触ると、気持ちいい?」  
「そ、そんな、そんな事…!」  
 
下着の上から見た彼女のオナニー中の指の動き。  
あれを頭に思い描いて…再現。  
 
「こう?」  
「あひっ……!んは!は!あ!」  
「こう、かな?」  
「んあああ!あ!ひや!ひやら!」  
「え?イヤなの?」  
「い、イヤじゃないもーーー!」  
 
うわぁ!楽しい、可愛い、嬉しい、可愛い!  
 
さらに彼女のオナニーを思い出す。  
くいくいと盛り上がる下着、くるくる回すような指の動き。  
そうか、あの時弄ってたのは…  
 
俺は彼女の秘所をかき分けるように指を動かし…見つけた。  
包皮に隠された陰核。きっと、彼女の一番、好きな場所。  
 
あくまでソフトに、そっと触れる。  
 
「!!あひぃいいいいいいいいいいいっ!」  
 
ひときわ高い嬌声、びくびくと激しく身体が痙攣する。  
強すぎた?  
 
「あ…あ…あ…かはっ!おに、ちゃ、ひあっ!らめ…!そこ、ら、め…!」  
 
痙攣する身体を抑え込むように、彼女は必死で声を絞り出す。  
 
「ここ、イヤなの?気持ちよくない?」  
「ちが、きも、ち、い…あ!んはあああ!あ!らめぇえ!らめらめらめぇぇ!」  
 
彼女の指の動きを再現するように、捏ね、回し、潰し。  
 
「いつもこんな風にしてたんだろ?」  
「ひぁ…やらやら…!そんな事、いっちゃ、やらぁ!」  
「俺を想って、こんな風に、してた?」  
「ふあああああ!」  
「俺の指でしてもらうとこ、想像してた?」  
「ひぁ!ひぁ!ひぁああああ!」  
「ちゃんと答えないと…」  
 
すっと指を引く。  
 
「ふあ…あ?ふえぇえ!?」  
「教えてくれないと、止めちゃうよ?」  
「だ、だめぇ!やめちゃだめぇ!!」  
 
俺はニッコリとほほ笑み、彼女に答えを促す。サイテーだな、俺。鬼畜。  
 
「お、おに、おにいちゃんにぃ…おにいちゃんの指でしてもらうの想像してた…けど  
 ほ、本物のおにいちゃんの指の方が…いっぱいいっぱいいっぱい…いっぱい気持ちいいのぉ!!」  
 
恥ずかしい事言わされて、昂奮が高まっちゃったみたいだな。  
 
「だ、だから!やめちゃ、メッなの!も、もっと!もっと、してほしいも!」  
「う、うん…!」  
 
はい、俺も、ね。彼女の痴態に昂奮が止まらない。寸止めして苛めて楽しんでる場合じゃ無くなり始めていた。  
 
「ここ?これが、いいの?」  
「ふああああ!そ、そこぉ!そこ、きもち、いいよぉ!!」  
 
止まらない、止められない。無我夢中で彼女の感じる場所を責め続ける。  
 
「ふあ!あ!や…はげし、はげし、よぉ!んは!あ!あ!」  
「い、イキそう…イクの?」  
「イク…イクって…ふあ!し、しってるも!き、きもちよくなって…!  
 イク…イクの…イッちゃう、よぉ!!」  
「いいよ…イッて…!」  
「ひぁああぁ!あ!あ!あ!おに、ちゃ…!あ、あたし!イク!  
 イクの!おにいちゃんのゆびで、イッちゃ…んにゃあああ!  
 あ…!んはぁああぁああぁぁぁああああああああああ…っ!!」  
 
イカせちゃった。指で、クリトリス責めて。  
放心し、荒い息を吐く彼女にそっと囁く。  
 
「…気持ち、よかった?」  
「んにゃーーー!!お、おにいちゃんのばかぁ!  
 は、はずかしいよぉおおおおおおおおおぉ」  
「…もっと」  
「はにゃ?」  
「もっと、恥ずかしい事、しよう、するよ?」  
 
硬直。でも次の瞬間。  
 
「う、うん…」  
 
真っ赤な顔のままコクリと頷いてくれた。       
 
…しかし、いざとなると。  
 
「お、おっきい…すごく…」  
 
俺のモノを見て、再び硬直。  
いきりたったソレは、初めての彼女にとって凶器にしか見えないのかもしれない。  
 
「お、おにいちゃ…」  
「…怖い?」  
「う、うん…」  
 
でも、そこで止めようとは言えなかった。  
いまさら我慢なんて出来る訳が無い。  
 
俺は彼女の恐怖と緊張を和らげようと知恵を絞る。  
こんな時、どうすればいい?  
 
「おにいちゃん…」  
「な、なに?」  
「ぎゅうって、して?」  
「ぎゅっ?」  
「お、おにいちゃんに、ぎゅってしてもらったら…  
 そ、それで頭なでなでしてもらったら、あたし…」  
「こ、怖いの無くなるから…おにいちゃんに好き好きってしてもらったら  
 怖くないから、何も怖くなくなるから、だから…」  
 
ああ。  
 
なんて可愛い事を言ってくれるんだろう、このコは。  
俺にあげたくて、でも怖くて。でもあげたくて。  
 
無理してるのかもしれない。いまだって震えてる。  
でも、その気持ちを汲んで、信じてあげなきゃ。  
 
俺は彼女をぎゅっと抱きしめ、そして、耳元に口づける。  
ほわほわのネコ毛が鼻にあたってくすぐったい。  
 
そして呟く、女の子の心をほぐす魔法の言葉。  
 
「…好きだ」  
「!!お、おに、ちゃ…」  
「一番、好きだ。愛してる」  
「ふあ…ほ、ほんと?ほんとに、ほんと?」  
「大好きだよ、タマミ…!」  
「お、おにいちゃ…!?」  
 
またボロボロと涙が零れる。ホントに泣き虫なんだから。  
 
そして。  
 
「んあ…っ!?」  
「んくぅううう!!」  
 
彼女は俺の腰を掴むと自ら引き寄せ、その小さなアソコで俺をすっぽり包み込んだ。  
 
「ちょ、いきなり…む、無理するなって…!」  
「だ、だいじょ、ぶ、だもっ!」  
 
涙がぼろぼろ零れる。  
俺、彼女を泣かせてばっかりだ。  
 
「か、かな!悲しいんじゃないよ!う、嬉しくて!  
 お、女の子は!嬉しくても!嬉しくても泣いちゃうんだも!」  
「い、痛くない…か?」  
「痛くないもー!うれ、う…嬉しいんだもーーー!」  
「嘘つき…」  
「嘘じゃ、ないもーーーーーーーーーーーーっ!」  
 
なんて健気な。  
痛くない訳ないじゃないか。破瓜の血が、俺を伝って零れてくる。  
 
その量は決して多くはなさそうだったけど、でも。  
 
「んくぅ…い、いっぱい。あたしの、なか、おにいちゃんで、いっぱい、だよぉ…!」  
 
こら。  
震える声でそんな事言われたら。  
 
「…う、動く、ぞ?」  
「あ…あぅ…んあ!!」  
 
俺は堪え切れず、腰を使いだした。彼女の痛みを斟酌する余裕などなかった。  
 
「くっ…うあ…うあああ!」  
 
な、なんて…なんて、気持ちいいんだ!?  
全体を包み込み、締めつけてくる。  
 
すごい。すごいすごいすごいすごい…!  
これが、女の子の、中…!  
 
「おにいちゃん…!おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん…!」  
 
俺は夢中で、とにかく自分の快楽を貪ることしか頭になかった。  
その俺に、彼女は必死で訴えかけていた。  
 
「き、気持ちいい?おにいちゃん…!あ、あたしの、中、気持ちいい?」  
「あ、ああ!気持ちいいよ…!おれ、おれ…!」  
「よか、よかた…!おにいちゃ、もと、きもちよく、なて…!」  
 
うわぁ。うわぁうわぁうわぁ!やばいやばいやばい。  
 
うっとりした表情で!真っ赤に頬染めて!そんな事言われたら…  
可愛い、可愛すぎる!俺、もう…萌え死にそう!!  
 
「ねぇ、名前、呼んで。おねがい。  
 おにいちゃんがつけてくれた、あたしの名前…!」  
「タマミ…!」  
「ああ、おにいちゃん…!おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん…!」  
 
俺はあまりの気持ちよさに彼女の痛みを忘れていた。  
しかし、俺に名前を呼ばれ嬉しそうな表情を浮かべる彼女の様子を見て、少し冷静さを取り戻す。  
 
時折、彼女の表情が歪む。  
それが痛みのためか、快楽のためか、俺には判断がつかない。  
 
少しでも気持ちよくさせてあげなきゃ。幸せな気持ちにしてあげなきゃ。  
俺に処女を捧げた事を、後悔しないようにさせてあげなきゃ。  
 
「…タマミ、見てごらん?」  
 
俺は彼女の頭を支え、視線を…二人が繋がってる場所に向けさせる。  
 
「ふえ!?」  
「繋がってるよ、タマミのアソコと、俺のが…ひとつになってる」  
「ひあ!そ、そんな事言っちゃ、らめ!は、はずかしい、からっ!」  
「恥ずかしくなんかないよ…ほら、しっかり咥えこんで離してくれないんだ」  
「んくぅうう!ひや!ひやらぁああ!は、はずかし、はずかしいよぉ!」  
「くっ…し、締まる…」  
 
恥ずかしがる度に彼女の中はきゅんきゅんと収縮し、俺を締め付ける。  
想った通り、恥ずかしいという感情は、彼女の性感のスパイスになるようだ。  
 
「恥ずかしいのに、こんなに締めつけて…!い、いやらしいなタマミは…!」  
「ひぅ…!そ、そんな事ないもっ!あ、あたし、いやらしいコじゃ…んふぅ…!」  
 
俺は彼女のクリトリスに指を伸ばす。  
 
「ひあっ!?あ!そ、そこ…!!」  
「…そこ、何?」  
「んはっ…!んにゃはぅ!!き、きもち、い…うあーーーー!  
 はずかしいはずかしいはずかしいよぉ!!」  
「い、いやらしいオ○ンコで俺を咥えこんで…おまけにクリ○リス弄られて  
 感じるなんて…や、やっぱりタマミはいやらしいな…」  
「やらやらやらーーーーーーーーーーーーおにいちゃんのいじわるぅ!!」  
「くっ…!」  
 
…言葉責めは諸刃の剣。  
彼女が恥ずかしがり感じるたびに、柔らかな膣肉が俺をぎゅんぎゅんと締めつける。  
 
限界が近い。  
 
「お、俺…もう…!!」  
「イ、イク?イクの?おにいちゃん、イッちゃうの?」  
 
顔は真っ赤だけど、覚えたての言葉で必死に俺に問いかける。  
これも俺を気持ちよくさせようという作戦だろうか?  
 
「あ、ああ…!イク…お、おれ…おれ!」  
「おに、ちゃ…!あた、あたしも…!!」  
 
抽送を続けるだけでなく、クリ○リスへの刺激も休まず続けている。  
それが功を奏したのか…彼女は初めてだけどかなり気持ちよくなれてるようだ。  
 
「ひあぁう!きもち、よく、て!へ、へんに、なっちゃ…う!  
 ふみゅぅうう!んひゃぅう!!ひぅ…っ!んあああああああ!」  
 
いやいやをするように顔が左右に振られる。  
髪を振り乱し、ネコ耳が跳ねまわる。  
 
クリ○リスへの執拗な刺激が、破瓜の痛みを凌駕して、  
ネコ耳の少女をよがり狂わせている。  
 
そして彼女にその痴態を取らせているのが、俺自身である事に、俺は喜びを感じる。  
 
「おに、ちゃ…!いっしょに…!一緒に!」  
「あ、ああ…!」  
 
激しく突き上げ、同時にクリ○リスを捏ねまわす。  
 
「ひああ!あ!あ!あ…!おにいちゃん…!  
 おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん…!」  
「も、イク…イク、ぞ…!」  
「うん!うんうんうん…!」  
 
「んにゃ…っ!ふわあああぁあああぁぁぁああああ…っ!!」  
「く…ぅ…うあああ!!」  
「ふぁ…い、いっぱい…いっぱい出たぁ…」  
 
寸前でなけなしの理性が働いたものの、我慢しきれず放出。  
彼女の全身を白濁液が覆っていた…俺は彼女を、汚した。  
 
その事実は俺の征服欲、独占欲を満足させていた。  
彼女を自分の物にしたという、達成感。  
 
「おに、ちゃ…すきぃ…すきすきすき…だいすきぃ…!」  
 
夢見心地、とでも言おうか。  
汗ばんだ身体をぐったりと俺に預け、うっとりとした表情で放心。  
俺への想いを囁き続けるタマミ。  
 
とても幸せそうだ。  
もちろん、俺も。とても…とても満ち足りた気分だった。  
 
※ ※ ※  
 
…すっかり日は傾き、山の端にかかっている。  
着衣の乱れを直し、俺たちは公園を後にする。  
寄り添った二つの影が長く伸びる。  
 
二人とも一言も口をきかない。  
 
いつも饒舌な彼女も、じっと押し黙っている。  
顔を真っ赤に染めたまま、俺から視線を逸らして。  
 
…こんな時、男の方から何か言うべきなんだろうか。  
経験値が低すぎて解らない…って情けない!  
 
くそ、彼女を守ると、彼女の居場所になると誓ったのに。  
 
仔猫ちゃんの真っ直ぐな想いに俺はどう答えればいいんだろう。  
 
『おにいちゃんは私が守るんだから!』  
『おにいちゃんが好き』  
『おにいちゃん…!』  
 
「あ、そうか」  
 
思わず言葉が口を突いて出た。  
傍らでタマミ(のネコ耳)がぴくりと反応する。  
 
簡単な事じゃないか。彼女と同じように、真っ直ぐに、答えればいいんだ。  
難しく考える必要はない。心のままに、熱い想いのままに。  
 
「タマミ」  
「…」  
 
目をそらしたまま、やっぱり返事は無い。  
でも、聞いてくれてる。ネコ耳がピクピク動いて、俺の言葉を待っている。  
 
ああ、可愛いな、このネコ耳。俺は素直にそう思う。だから。  
 
「改めて…ちゃんと言う。言いたいんだ」  
「…」  
「俺は」  
「君が好きだ。タマミが、大好きだ」  
 
ゆっくりと逸らされ続けてきた視線が、俺の方に向き直る。  
なんだか呆気にとられたような表情で、  
 
「…お」  
「お?」  
「おにいちゃーーーーーーん!」  
 
がばと抱きついてくるタマミ。俺はしっかり抱きしめる。  
 
「わ、わたしも!おにいちゃんが!好き!大好き!好き好き好き!  
 ずっとずっとずーーーっと!だいだいだいだいだいだいだーーーい好き!!」  
 
この真っ直ぐな想いを、俺は彼女の身体ごと抱きしめて…  
長く、深い、口づけを交わす。  
 
「ふはぁ…」  
 
唇が離れて、タマミはうっとりとタメ息をつく。  
まさに夢見心地。幸せに酩酊してるみたいな蕩けた表情。  
 
その表情が公園での痴態を思い起こさせて…  
さっきしたばかりなのに、またしたくなる。  
 
「俺も、ずっと、好きだよ」  
「うん…うん…うん!」  
「キツネ…くん?」  
「…おねえちゃん」  
 
そこに現れた、タヌキさんとヒトミ。  
と、  
 
「あ、あの…あれ?今の、あれ!?な、何ですの?あれあれあれれーーー!?」  
 
タヌキさんがパニックを起こし、  
 
「どういう…事、なの…?」  
 
ヒトミが俺たちにきつい眼を向ける。  
 
「お、おねぇちゃん…」  
 
太陽は山の影に隠れ、辺りは徐々に闇に溶けていく。  
長く延びていた影が消え、俺たちはほのかな残光の中立ちつくす。  
 
それはわずかな、ほんのわずかな時間だったけれど、  
この時はまるで永遠かのように感じられた。  
 
 
 
第5話・前篇、了。  
 

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