本当にこんな部位のサイズ測定が必要なのか。医学の中でもどう役に立つのか。今、乳房にノギスを押し付けられ、麗華は乳輪の直径を計られていた。 
「2.7ですか」 
 医師は満足げにしながらノギスのアームを縮め、次に乳首を挟み込む。医師はすぐに数字を読み上げることはなく、肩と二の腕の筋肉に力を入れ、手をバイブのように振動させる。乳首を通じた刺激に麗華は息を荒くしつつ、頬を真っ赤にしながら、無言で医師を睨んでいた。 
「乳首は0.9センチですね」 
「そこはもういいですよね」 
 麗華は読み上げを聞いた次には一歩立ち退き、もう腕に胸を隠し直していた。 
「まだだぞ? 麗華。下半身に測っていないところがあるだろ」 
「下半身って……」 
 一体どんな箇所のサイズを測られるのかを想像するのに一秒とかからず、麗華は思わず片手で股間部を覆っていた。パンツ一枚になっただけでも既に死にたいほどの気持ちを押し隠しているのに、一番大事なところを二人の前で曝け出さなければならない。 
 ――こんな奴らのために……! 
 麗華は自分の運命を呪っていた。元々は剣道に打ち込んでいただけなのに、いつしか目をつけられた挙句にドーピング検査。そして、この状況だ。とっくに逆転不可能だが、どこかに逃げ道はなかったのかとつい考えてしまう。 
「さあ、そのおパンティを脱いで下さい」 
 医師と担任は二人して麗華の脱ぐ瞬間を見守ってくる。 
 麗華はゴムに指をかけ、腰を折りながらゆっくりと引きおろした。その表情を歪ませ歯を食いしばりながら足首からパンツを引き抜き、手で肝心な場所を守りながら脱衣カゴへ入れようとする。 
「待ちなさい麗華。そのパンツを見せてみなさい」 
 担任が止めにかかった。 
「何故」 
「いいから寄越すんだ」 
 担任は半ばひったくるようにパンツを奪う。正真正銘の丸裸になった麗華は、腕で胸を隠しつつもう片方の手でアソコを守った。肩を小さく縮め、太ももをきつく摺り合わせ、一糸纏わぬ姿となっても隠そう隠そうとする努力をしている。その努力を見ていれば、麗華が今どれくらい恥ずかしがっているのかの見積もりがおおよそ取れる。動きの一つ一つから羞恥という名の感情量をイメージし、二人は優越感に浸った。 
 そして、担任は見せ付けるようにしてパンツをピンと伸ばす。本人の目の前でヒラヒラさせた――わざとだ。わざとパンツを弄び、裏返しにして股間部分の濡れを調べる。愛液のしみこんだ布地はねっとりしており、担任の指と布のあいだに細く糸が引いていた。 
 麗華はそんな担任を睨み、根元が折れそうなほどに強く歯を噛み締める。自分だけがこんな格好で、しかも最悪な扱いを受けている。裸で恥部を手で隠さなければいけない状況を思うと惨めで仕方なかった。 
「ふむ、お漏らしでしょうか」 
 医師が嫌な一言をつける。 
「違います!」 
 麗華は当然否定する。。 
「しかしなあ。だったら麗華、この濡れたシミは一体なんだ? お漏らしじゃなかったら、何か別の分泌液かもしれないだろ?」 
 ――こいつら、わかっててわざと! 
「どうなんでしょうか麗華さん。きちんとお答えください」 
 麗華は努力の姿勢を保ったまま、躊躇いがちに顔を背けた。 
「それは……」 
「それは?」 
 躊躇う麗華への容赦ない追求をかけ、医師はにんまり笑う。麗華は何度も歯を軋ませ、屈辱を噛み殺しながら震えた声で答える。 
「それは……膣分泌液です」 
 麗華はあえて医学的らしい語彙を選んだ。 
 しかし……。 
「ほう? エッチなお汁か」 
 担任はそれをすぐに言い換えてくる。 
「何故、検査中にこんなものがでるのでしょうねえ? お答え頂けませんか?」 
「それは……」 
 医師の追求に麗華は息を飲んだ。 
 そんなことを口に出せるわけがない。 
「感じたのか? 気持ちよくなったのか?」 
「そんなわけ……!」 
「でしたら、おかしいですね。性感帯が働いたわけでもないのに膣分泌液が出るとは、身体機能に何か異常があるのかもしれません。これは検査項目を増やすしかありませんね。それはもう、アソコらへんの検査をじっくり」 
 検査項目……。 
 今の麗華にとって、それが増えるということは辱めのメニューが増えることと同じである。膣液の異常分泌という建前なら、当然調べられるのは性器しかない。女にとって最も恥ずかしい部分に対する検査が増えては敵わない。 
 しかし、それを防ぐためには……。 
「待って……」 
 麗華は喋りかけるが、声はか細く消えていく。感じました、気持ちよくなりましたなどと言わされるのも、それはそれで二人の思う壺だ。最低な男二人を楽しませ、喜ばせることになってしまう。 
 かといって、言わなくても同じこと。どう転んでも二人は麗華を弄び、恥辱と屈辱を浴びせる。二つに一つ、選びたくもない最悪な道しか用意されていない。自分にとってマシな方を選びたいが、どちらがマシかと言われてもどちらも最悪なのだ。 
「はい。何でしょうか麗華さん」 
「私は……生理反応を起こしただけです」 
 麗華は意を決してきっぱりと言う。 
「というと?」 
「あなた達が散々……! だから……。だから、こういうことに!」 
 怒鳴り喚き散らすが、担任も医師も動じない。それどころか医師は唇をひん曲げた笑みをこぼし、さも愉快そうな楽しげな表情をした。 
「なるほど、やはり検査で気持ちよくなったわけですか!」 
「だから、それはあなた達が――」 
「我々がどうであろうと、あなたはエッチなお汁を漏らしちゃったわけですよ! お漏らししてパンティを濡らしちゃったわけですよ! いやはや、恥ずかしい女の子ですね〜!」 
 医師は大仰な身振り手振りを交えて、麗華はそれに何も言えなくなる。どちらが酷いかなどはっきりしているのに、それでも恥と屈辱にまみれるのは麗華の方でしかないのだ。 
「さあ、麗華。もう一度確認するが、検査されて気持ちよくなってしまったんだな? 何も身体の異常とは関係がないと言い切れるんだな?」 
「ええ、そうです」 
「ちゃんと態度良く答えるんだ! まずは気をつけ!」 
「…………」 
 担任の指示を聞こうとはせず、麗華はただ黙ってにらみ返した。 
「いいのか? こちらにはお前のオシッコビデオがあるんだぞ?」 
「この野朗……」 
 麗華は小声で吐き捨て、気をつけをする。パンツさえ失った今、麗華の全ての恥ずかしい部分が自由に拝むことができた。アソコに生え揃った毛は一本一本が細く、さらりとした茂みが広がっている。貝の肉は綺麗にぴったり閉じており、一切の汚さを感じさせない。肌の細やかさも相まって、鑑賞に相応しい美性器であった。 
 その美性器はさっきまで汁を分泌していたので、肉貝全体にヌメりっぽさの痕跡が残っている。しかし、液体が光に反射することで星粒のような輝きを放ち、見事に美味しそうな恥丘を演出しているのだった。 
「ではもう一度答えろ。検査で感じちゃったのか?」 
 ――この男は……! 
 麗華は歯を食いしばる。いっそ竹刀を持って暴れ周りでもできれば、こんな奴らなど簡単に倒してしまえる。そういう抵抗でもできればいいのに、麗華には耐えることしか許されていない。 
「……はい。……私は一連の検査によって刺激を感じ、膣分泌液を漏らしました」 
 ――これで満足か! 
 そう言わんばかりの顔をしてみせる。 
「俺には麗華が何も感じていないような顔に見えたが、本当に気持ちよくて濡らしたのか?」 
「んな! それは……」 
「どうして体と表情で反応が違うのか言ってみろ」 
「それは……。感じている素振りを見せまいと、とにかく表情を隠していました」 
 本当に何もかも言わされ、麗華の心は屈辱の底へ落ちていく。 
「ほーう? 必死に我慢していたのか。でも感じちゃったんじゃあ、しょうがないな」 
 麗華はどんどん打ちのめされる。まるで人権など剥奪されたような扱いに歯噛みして、それでも心は折ってやるまいと精神的に抵抗し、麗華はまだまだ強気を保っている。 
「さあ、麗華。アソコらへんの計測をするからベッドに仰向けになれ。枕は頭じゃない。腰の下に敷くんだ」 
「くっ……」 
 麗華は担任を一睨みしてからベッドへ歩み、不機嫌をアピールするように自分の体をばたんと落とす。枕を腰に敷くので、下腹部の角度がやや高くなっていた。 
「さて、測りやすいように仰向けのまま両膝を腕に抱えてください。そして、抱えたまま左右に開脚してください」 
 麗華は医師に従う。仰向けのM字開脚といった恥ずかしいポーズとなり、美の恥丘は丸晒しになる。乳房も当然見下ろせる。下腹部の角度が高いので肛門さえ丸見えで、全ての恥部が目視できる状態だ。 
 こんな格好で男と目を合わせられるはずがなく、麗華は黙って顔を横に背ける。相手は服を着ているのに、自分だけ裸どころか卑猥なポーズである。女としては銃口を眉間に向けられでもしているくらい、不利で逆らい出せない状況だ。 
「可愛いマンコじゃないか麗華、貝のところがプニっとしてる」 
 最も大事な部分を二人の男にまじまじと観察され、もはや悶え苦しみたいほどの羞恥の感情が湧きあがった。胸の内側であまりに激しくそれは燃え上がり、気が狂いそうなほどに熱くなる。麗華は涙目を滲ませた。 
 いつになったらこの羞恥地獄を抜け出せるのか。麗華にはじっと耐え続けることしか許されていない。 
「麗華のココは毛並みもいいぞ? 全く、こんな場所の毛先が整っているなんて、実は風呂場で切り揃えでもしてるんじゃないか? つやつやでいい質感だ」 
 担任は性器の感想を長々と語る。嬉しくもない褒め言葉をとにかく並べられた。 
「ネットなら綺麗なマンコの画像くらい見つかるもんだが、生でここまでのものを見られるなんて貴重なことだ。黒崎麗華はマンコもおっぱいも――いや、ケツの穴も桜色っぽい菊のシワが寄っていて綺麗じゃないか! まさに菊の花だ! おい、アナルが美しく見えるなんてすごいことだぞ?」 
 ――いっそ殺して欲しい……。 
 こんなにまで辱められるくらいなら、死んだ方がマシな気さえしてしまう。 
「あなたのおマンコは果たして何センチかな?」 
 肉貝の割れ目に沿ってノギスがあてられ、好奇心満載の瞳に目盛りを読まれる。鉄器具が近づけられたせいか、それとも視線照射に焼かれるせいか。恥丘がまんべんなくじわじわして、皮膚中に蠢く熱で膣液という名の汗が出る。 
「え〜、6.8センチ〜。6.8センチでございま〜す」 
 担任が明らかにふざけた調子で発表した。 
「こんな場所……何の役に立つんですか?」 
「経膣プローブとかがありますからね。クスコや他にも乳首に取り付けるための医療器具だってありますから、それらのサイズの参考になるのですよ。コンドームとかHなオモチャなんかにも役に立ちますね」 
 医師の手元でノギスが横向きにされ、アームの幅が調整される。 
「ふーむ、ノギスにエッチ汁がついちゃいそうですね。全く濡れ濡れじゃないですか」 
 ――…………ッッッ!!! 
 性器の現状をわざわざ声に出され、麗華は歯軋りした。 
「マンコの幅〜。幅は4.4センチ〜。4.4センチでございま〜す」 
「真面目にやってください……!」 
 担任のわざとらしいおどけた発表は麗華の屈辱心をくすぐり、麗華にさも悔しげな顔つきをさせる。一方で肉貝の割れ目からは液が出て、膣液の分泌量は順調に増えていた。 
「結果は同じなのだからいいでしょう。それより、次はマンコからアナルまでの幅ですよ?」 
 ノギスのアーム先端が性器と肛門にそれぞれ添えられているのがわかって、麗華は生唾を飲んだ。性器だけで終わると思ったら、まだ恥ずかしい穴を測るのだ。 
 肛門にまで熱が蠢いてウズウズする。ヒクン、ヒクン、と収縮した。 
「え〜、2.9センチ〜」 
 麗華は屈辱を堪える。 
「あとはアナルの直径です」 
「3.5センチ〜! 3.5センチ〜」 
 ここまで耐えたところでようやくノギスが片付けられ、麗華は少しはホッとする。 
「さて、そーんな卑猥なポーズは解いて普通の仰向けになって下さい」 
「やらせておきながら……」 
 麗華はやはり吐き捨てつつ、すぐに足を元に戻した。 
「次は画像記録です。先生、お願いします」 
「画像って! そんなのって……!」 
 担任の手にデジタルカメラが用意され、麗華は真っ青になった。これからどんな部位を撮影されるかなど、もはや想像するまでもない。 
「動かないで下さい? 今回は顔は写しませんから。それとも、写して欲しいですか?」 
「冗談じゃありません! 今度また顔まで撮ったら、犯罪を覚悟してでもあなたを生かしておきません!」 
 麗華は勢い良く噛み付くが、それは全裸でしかも羞恥で顔を真っ赤にした状態だ。目をかすかに潤ませた顔でいくら睨もうとも、威嚇にはなりっこない。この怒りさえも男を楽しませるためのスパイスであった。 
「ほうほう威勢がいいですなぁ」 
「そんなに言うなら顔は撮らないでやるから、まずはおっぱいを撮影するぞ」 
 担任が遠慮なくカメラを向け、麗華は腕で自分の胸を守る。 
「待って下さい! 何の役に立つか教えてください! それからです!」 
「おうおう焦った顔だなぁ、麗華」 
 担任は麗華の反応に喜びを示す。 
「……答えてください」 
「それはワタシが答えますが、身体の形状はとても重要でしてね。健康な場合、はたまたは特定の病気にかかっている状態のサンプルデータは、医者が症状を考察するときの参考にとても役立つですよ。どんな部位にも病気はあるでしょう? アソコにもお尻にも。サンプルは多いほど良い。だから健康体のサンプルを撮るんです。納得いただけましたか?」 
「……わかりました。顔は撮らないで下さいね」 
「わかってるよ麗華。しかし、写りを良くするために腕は気を付けだ」 
「……はい」 
 麗華は上半身を起こして、両足をベッドの横からぶら下げる。 
 カメラのレンズが容赦なく向けられ、パシャっとシャッター音が二回鳴った。二回だ。麗華の側からではわからないだろうが、撮ったのは乳房だけではない。担任はズームや視点調整を利用して、結局は顔写真を撮っていた。 
 本人に知れたら喚かれるとわかっているので、担任も医師も麗華にはそれを告げない。いや、あえて告げて反応を楽しむのも良かったが、二人はそのまま撮影を続行することにしていた。 
「予備データのためにもう少し撮るからな」 
 パシャ、パシャ。 
 シャッター音のたびに胸奥で羞恥が疼き、麗華の心は悶えそうになる。ひたすら黙り込んでカメラを睨み返すことで耐えていたが、それこそ恥ずかしがっているのがよくわかる。担任は乳房のアップ写真などとっくに撮り終え、羞恥の表情から全身にかけてがフィルムに収まるようにズームを調整していた。 
 パシャ、パシャ。 
 本当は顔ごと裸体を写されていることにも気づかずに、麗華はじっと終わりを待つばかりだ。 
「今度はマンコも撮ってやるから、さっきの姿勢になれ」 
 再び仰向け開脚の姿勢を強要され、麗華の恥丘にレンズが向けられる。濡れているところを撮られると思うと羞恥が膨れ上がるようでたまらない。心なしかますます濡れ、肛門はヒクヒク呻いていた。 
 パシャ、パシャ。 
 胸から熱の込み上げるような激しい羞恥をぐっと飲み込み、真っ赤な顔を背けながら麗華は堪えた。画像には肉貝の皮膚の分泌液まで鮮明に写り、麗華の濡れ具合はここにしっかりと記録に残った。 
 パシャ、パシャ。 
 担任は全てを記録している。ポーズを変えた後の恥ずかしそうな顔を改めて写し、それから全身が収まるようにシャッターを押す。 
 パシャ、パシャ。 
 さらにカメラの角度を提げ、恥丘と菊門がセットで写るようにも撮影した。 
「さあ麗華、マンコの中身を開いて見せろ」 
 ――中までなんて……。 
 麗華は股元に両手を添えて、ぴったり閉じた肉貝を指で開いて見せた。綺麗なサーモンピンクだ。小陰唇の肉ビラにはほとんど黒ずみがなく、膣口は息でもするかのようにヒクヒク蠢いている。包皮のクリトリスは控え目に顔を出していた。 
 パシャ、パシャ。 
 乙女の秘密さえも記録するシャッターの連続音は羞恥攻めとなり、一回鳴るごとに麗華を胸の奥で悶絶させる。 
 ――駄目だ……いっそ死にたい……! 
 その猛烈な恥じらいに呼応するかのように、ピンクの膣口もまたヒクヒク収縮する。 
「麗華にはセックス経験はあるか?」 
「いいえ……」 
「じゃあ、こいつは処女のマンコってわけだ」 
 パシャ、パシャ、パシャ。 
「ん……くぅ……」 
 麗華の膨張しきった羞恥心はもはや胸の内側だけには収まりきらず、耐えるような声となって表へ出始める。 
 パシャ、パシャ、パシャ。 
「い……いやぁ……」 
 麗華は髪を振り乱した。 
 担任は麗華の反応を面白がり、さらにシャッターを連打する。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
「あっ……そんな……もう充分じゃ……」 
 麗華は歯が砕けそうなほどに噛み締め、表情を歪めて頭を左右に振る。嫌よ嫌よといった素振りだ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
「もう……やめてください……」 
「やめて欲しいか?」 
「……それだけ撮れば、足りますよね?」 
 すっかり弱りきった声でありながら、どこか芯の強さが抜けていない。麗華は肉体的に美しい少女であったが、精神的にも嬲りがいのある極上の中学生であった。 
「ああ、マンコは足りるな」 
「そ、それじゃあ……」 
 麗華が安堵しかける瞬間を見て、担任はすかさず繰り出す。 
「次はアナルだ」 
「そんな……もう写してたりしてないんですか?」 
「してないぞ? いいから四つん這いになって、ケツを高くしろ」 
「…………はい」 
 麗華はたどたどしく開脚を閉じ、仰向けからひっくり返る。うつ伏せのまま膝を立て、お尻を高く突き上げた。 
 プリプリのお尻だ。むっちりと肉感のあるお尻の丘が丸みを描き、太ももにかけてのラインを作っている。そそる太ももとバランスの取れた尻の膨らみは、まさにモデル顔負けの美尻に他ならなかった。 
 桜色の可愛くも美しい菊門にカメラが向き、麗華はレンズの視線を嫌というほど感じ取る。恥ずかしさを叫ぶようにシワ全体がヒクンと縮み、すぐに力が抜けて元の形に立ち戻る。しかし、すぐにまた力が入って尻穴は縮み、そして力は抜けていく。それは呼吸でもするようなヒクンヒクンとした疼きであった。 
「いいケツだ。撮るぞ」 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
「ッッッ! だから……。だから、そんな枚数は……」 
 遠慮ない連打に麗華の感情はよがり狂い、喘ぐような懇願するような声が漏れ出てくる。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
「アッッッ! うぅぅぅ…………!」 
 担任はここでもズームを調整し、四つん這いの背中を上から見下すような構図を何枚も収める。この角度からの性器も写し、そして肛門にレンズを押し寄せ至近距離で連打した。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
「ァッ! あぁ……! んんん……! も、もう……! もう撮りすぎです……!」 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ、パシャ。 
 猛烈な連打。 
「んんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!」 
 麗華は絞りきったような声を漏らしながら、胸の内側で壮絶に悶え、必死に目を閉じて歯を食いしばった。 
 このシャッター音の雨はいつやむのか。 
 麗華はまさにカメラで虐められていた。一回のシャッター音だけでも麗華の内側に羞恥が膨らみ麗華を苦しめるのに、何度も何度も執拗に連打されては途方もない悶絶が気をおかしくしてしまう。 
 麗華の頭は真っ白になっていき、もはや何も思考できなくなる。嫌よ嫌よとお尻が嫌がり左右にフリフリ動き、肛門はさらにヒクつき、恥丘から流れる分泌液は太ももをつたって垂れていった。 
 パシャ、パシャ……。 
 やっとのことでシャッターがやむ。 
「麗華さーん?」 
「…………」 
 医師の呼びかけにも返事がない。麗華は情けない格好のまま放心し、魂の抜けた人形となっていた。目は虚ろで覇気がなく、死んだように固まっている。 
「さすがにやりすぎましたかねぇ?」 
 まるで反省しない顔で医師は担任の顔を見た。 
「いいや、麗華はこれでも折れないはずです」 
「そうですか?」 
「何せ剣道部を全国へ導いたタマですから、精神的に屈強なんです。すぐに回復しますよ」 
 完全に虚ろとなっていた瞳に色が戻りかけ、麗華の身体に抜けた魂が戻っていく。 
「では少し待ちましょうか――この格好にさせておいたまま」 
「そうしましょう」 
 担任は麗華の尻をペチペチ叩き、プルっと揺れる様を楽しみ、しばし尻たぶを弄んだ。    
 
 
 
 ペチ、ペチ、ペチッ――。 
 
 麗華が自分の尻たぶで遊ばれているのに気づいたのは、撮影からしばらくのこと。はっと目を覚ましたように意識を復活させ、担任の叩いてくる手を弾いた。 
「ちょっと! これ検査じゃありませんよね?」 
 麗華は敵意をむき出すが、そのとっているポーズはお尻を差し向けた卑猥な格好のままである。 
「ようやく目を覚ましたか。いや、気を持ち直したって方が正しいか?」 
 担任の言葉で麗華はさっきまでの自分を思い出す。 
 ――そうだ。カメラのせいで頭が真っ白になって……。 
 思い出すと同時に改めて恥ずかしくなった。いくら顔は撮られていないとはいえ(本当は撮られているが)乳房どころか性器や肛門まで撮影された。誰も麗華のものだとは気づくはずもないだろうが、これから医学の資料として多くの医療関係者に参照され続けるのだ。 
 ――私はこんなことで濡れる奴なのか……。 
 恥丘の皮膚が水分で敏感になり、大気の動きが嫌というほど感じられる。こんな不本意な形で濡れなければならないなど、認めたくはなかった。認めたくない愛液の感触が内股をつたっていた。 
「麗華さん。写真は医療系の書籍にも掲載されますが、もちろん個人情報は年齢くらいしか乗りません。ご安心下さい」 
「安心なんて言われても……」 
 自分のアソコや胸の写真が不特定多数の人間に見られ続ける。それを思うだけでも恥ずかしさが込み上げるようで、下半身の二つの穴が羞恥の感情にヒクンと反応した。 
「麗華、まだ尻の検査は残っている」 
「うっ! ……まだですか?」 
 麗華のお尻には担任の手が乗せられた。担任は遠慮することなく尻たぶを撫で回し、揉みこむように手を這わせる。まるで触るのが当然のような態度が気に入らなかったが、逆らいすぎても動画を盾にされてしまう。 
 それでも「検査と関係ないことはやめてくれませんか?」と強めに言うが、「俺は麗華のケツをいたわってるだけだぞ?」とやめる様子はない。むしろペチペチ叩いたり指をそっと這わせたりといった攻めの手数を増やしてきて、立場の低い麗華には止めようがなかった。 
「さて麗華さん。次の肛門検査のために少々準備をしますが、そのままエッチなポーズは崩さないで下さいね? お尻は突き出している必要がありますから」 
「じゃあ、早く準備して下さい」 
 こうしている間にも担任は麗華の尻たぶで遊び続ける。今度は指でつついたり、太ももまで撫で始めた。最低な男に触られているおぞましさに鳥肌が立ち、しかしそれがアソコをヒクつかせもする。恥ずかしくて屈辱的な状況に麗華の膣は確実に反応していた。 
 恥丘はねっとりとした湿り気と熱気を放ち、いやらしく蒸れてきている。さも男を求めているような疼きがそこにはあり、だから麗華は微熱のともる自分の肉体を忌まわしく思う。どうしてこんな状況で疼かなくてはいけないのだろう。 
 麗華の後ろで何かガラガラと音が立った。 
 キャスターのついた台車で何かを運んでいるのだろう。一台がちょうどお尻の後ろに置かれ、そしてもう一台が麗華の目の前に押されてくる――ノートパソコンだ。画面にはシワのよった肛門がでかでかと映っている。嫌に良い画質でシワの一つ一つから肌の質感まで鮮明だ。 
「あ、あのこれは……」 
 画面いっぱいの菊門は自分のお尻が動くのに対応して位置がずれ、穴は画面中央から上絵左右にぶれていく。どうやら動画らしい。それも普通の動画ではなく、カメラに映ったものをリアルタイムに映像に変えている。麗華のお尻にはそのためのカメラが置かれており、そうとわかると菊門のシワがレンズの気配を感じ取ってヒクついた。 
 と、同時に――画面の中の肛門も同じくヒクつく。 
 ――うっ、私自身の肛門を見せられてるんだ。 
 リアルタイムに映される映像なのだから、当然麗華が動けば画面の中身も動く。肛門がヒクつけば、自分の尻穴の収縮する様を自分で見ることになるのだ。 
「何故私にこんなものを」 
「自分のアナルなんてそうそう見ないでしょう? 見ずらいですからね」 
「見る必要もないと思いますが」 
 麗華は画面から目を逸らす。 
「いいえ、見てもらいますよ? アナルの健康を検査するために、閉じたり開いたりしてもらいます」 
「それには何の意味が」 
「肛門にも病気はあるでしょう? 閉じたり開いたりすることで形状変化を観察し、健康状態を確かめることができるわけです。もしも異常が見つかったら、その画面を使ってわかりやすく解説して差し上げますよ? あなたは健康だからないかもしれませんが」 
 医師が一通りに説明を終えると、すぐに担任が言ってくる。 
「ほら、さっそくヒクヒクさせてみろ」 
「わかりましたけど……」 
 画面を見ながらやれというのだろうか。麗華は肛門括約筋を意識して力を入れ、菊門の穴をキュッと閉じる。シワごと丸く引き締まった。力を抜くとそれは元の形に立ち戻る。本当のこんなことに意味があるのかわからないが、麗華は検査のためだと言い聞かせた。 
 キュっと菊孔を引き締め、力を抜く。その繰り返しで肛門を収縮させ、ヒクヒク蠢かせた。 
 じぃ……。 
 医師も担任も、そんな麗華の肛門をじっくりと凝視しているのだ。視線の熱が肛門に伝わって、シワの皮膚に電流めいた微熱が走る。 
「この映像は録画されてるんですよ」 
「こんな映像まで!?」 
 記録を残されているかと思うと余計にウズウズした。 
「ほら、やめないでください? 必要な検査ですから、ちゃんとしてくれなくては困ります」 
「……はい」 
 麗華は一定のリズムでヒクッヒクッと肛門に力を出し入れする。画面から目を逸らしていると担任に注意され、麗華は自分の肛門が疼く様子を自ら観察しなくてはいけなかった。 
「開いて? 閉じて――開いて? 閉じて――」 
 医師のリズムに乗るようにして、菊の花は萎んで開花してを繰り返す。こんなことをさせられている自分が情けないことこの上なく、自分自身の肛門をまじまじ見るのもおかしな気分がする。奇妙な羞恥心が胸に疼くのが嫌でたまらず、出来ることなら麗華はこんな画面を見ていたくなどなかった。 
「はい。一、二ィ、一、二ィ――」 
 医師は手拍子でリズムを取り始め、麗華はそれに乗らなくてはいけなくなる。 
「一、二ィ、一、二ィ――」 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 肛門のリズムに合わせた収縮が麗華の顔を染め上げ、頬の熱くなった羞恥を歯で噛み殺しているような表情で麗華は堪える。 
「一、二ィ、一、二ィ――」 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 限界などおかまいなしに続く手拍子にいつしか肛門は勝手に動き、条件反射のように自動でヒクヒク唸っていた。周りのシワが縮んで開き、縮んで開き、いやらしく開閉を繰り返す。 
「ではでは次に直腸の粘液を採取しまーす。綿棒を挿入するので、麗華さんのアナルを開帳しちゃってくださーい」 
「了解」 
 担任の手がお尻の両丘を鷲掴みにし、グニっと肉が伸ばされ柔らかく変形する。その様は画面を通じて麗華の目にも映りこむ。 
 尻穴のシワと皮膚は引き伸ばされ、小さな口から黒い奥行きを覗かせていた。裂けそう――とまで言うと大げさがすぎるが、肛門を伸ばされた皮膚の緊張は例えるならそれに近いもので、ぴんと伸びているのがはっきりわかる。仮に目を瞑っていても尻の状況は麗華に如実に伝わっていただろう。 
 今なら少しくらい目を逸らしても注意されないはず。麗華はそう見て瞳を伏せ、画面から視線を外す。 
 しかし、医師の用意した綿棒が近づくとその気配が肛門に伝わり、まるで大気の固まりに撫でられでもするような錯覚を覚えた。目を開けると麗華の穴には本当に綿棒が接近し、まわりの頭にちょこんと触れた。 
 ――んっ!! くすぐったい。 
 あまりのくすぐったさが背筋を駆け上がり、麗華は仰け反りそうになる。それを面白がるように医師は綿棒でちょんちょんつつき、麗華はくすぐりに悶えるように身をよじった。 
「動くなよ麗華」 
 お尻を掴んでいる担任が力と重心をかけ、身もだえする麗華の動きを抑え込む。それでもちょんちょんつつかれるたびに麗華のお尻は仰け反り、左右に暴れるお尻を担任は鷲掴んだまま制御した。動き回ろうとするお尻を押さえ込む光景は、まるで暴れ馬に手こずっているような有様だ。 
「駄目ですよ? ちゃんとじっとしてください」 
「は、はい――んっ」 
 自分のお尻が動かないよう腰に力を入れ、触れてくる綿棒の感触をじっと堪える。しかし、綿棒は触れるか触れないかのきわどさでくすぐってくるばかりで、一向に直腸の粘液を摂る気配がない。 
「麗華さん? あなたのアナルは何度もキュンキュンと引っ込んでますよ? 本当に可愛いアナルですねぇ」 
 医師は猫なで声で肛門を褒める。 
「あなたのアナルが綺麗に見えるのは、きっと黒ずみが薄いからでしょうねえ。ただ清潔にしているだけではこんなに可愛くなりませんよ? いやあ、プリプリのお尻に相応しい美の肛門ですよ!」 
 ――こんなとこ褒められても……。 
 どう言われようと肛門は汚いものを出す場所で、性器を見せるよりもさらに恥ずかしい。肛門をわざとらしく褒めちぎられるなど、乙女にとっては言葉の拷問でしかない。 
「つっつく度にヒクンと引っ込むようにシワが縮む! この反応が可愛いんですよ! まるでアナルが恥じらいを表現しているみたいじゃあないですか! アナルが乙女に見えますよ!」 
「ふざけてないで早く済ませて――あっ……」 
 ようやく綿棒の頭が埋め込まれ、綿棒の小さな異物感を麗華は感じ取る。画面にも綿棒を生やした肛門が映っていた。 
「ええ、次に進みますよ? これで麗華さんは尻尾を生やしたわけです」 
「尻尾なんて――」 
「はい。一、二ィ、一、二ィ――」 
 医師は再び手拍子のリズムを取り始め、麗華の肛門はそれに応じてしまう。 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 挿された綿棒が弾かれたように上下に動き、手拍子に合わせた運動をする。 
「尻尾を振るのがお上手ですねえ、麗華さん」 
「だからふざけてないで、早く検査を済ませ――」 
「ほらほら尻尾をちゃんとフリフリして下さい? はい。一、二ィ、一、二ィ――」 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 綿棒の尻尾が揺れる。今の自分のとてつもない格好悪さと情けのなさを思って、麗華はひたすら唇を噛みながら耐えていた。 
「先生? プリプリの可愛い美尻をタップして上げてください。一、二ィ、一、二ィ――」 
 医師の手拍子リズムに合わせるように、担任も再びお尻をペチペチと叩き出す。カメラの邪魔にならない位置からだ。両手でリズムを取りながら左右の尻たぶを交互にはたき、プルンプルンと尻肉を大きく弾ませた。 
 綿棒の尻尾も上下に弾み動いている。 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 肛門の収縮に合わせて上下に跳ね動く。 
 手拍子、お尻のタップ、綿棒の尻尾振り。三つが一つとなって連動し、世にも愉快な演奏会が始まった。 
「一、二ィ、一、二ィ――」 
 ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ――。 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 美貌の少女を好きなように扱っていることで医師と担任はご機嫌になっていき、そして麗華は恥辱のどん底へ落ちていく。 
「一、二ィ、一、二ィ――」 
 ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ――。 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 麗華のお尻は単なる尻太鼓に成り下がり、よもや叩かれプルンと弾むためだけにある。人権や尊厳などありはしない。麗華は医師のためのモルモットであり、遊び道具でしかなかった。 
「一、二ィ、一、二ィ――」 
 ペチッ、ペチッ、ペチッ、ペチッ――。 
 ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ、ヒクッ――。 
 画面に綿棒の動きが映っている。 
 タップされるたびに起こる尻肉の振動まで映像となって麗華自身の目の前で放映され、それが麗華のプライドを無残に引き裂く。今までの扱い、そしてこの演奏会、それらが乙女の尊厳を羞恥と屈辱にまみれさせ、麗華の何もかもを打ち砕いていた。 
 ――畜生! 畜生! 
 麗華はついに泣いた。唇を噛み締めながらも瞳から滴をこぼし、肩を震わせた。 
 これまで懸命に剣道に取り組み、勉学と両立しながら全国優勝まで果たしたのに、それだけのことをしてきた自分がこの扱いなのだろうか。こんな目に遭わなければいけないようなことをしただろうか。 
 麗華のこんな姿を家族が見たらどう思うだろう。クラスメイトが見たら、剣道部の後輩が見たら、格好悪いどころでは済まされない麗華の姿をどう思うだろう。 
 剣の道で鍛え上げた精神のおかげであらゆる心の辱めに耐えてきたが、そんな麗華でも涙ばかりは堪えきれないところまでやって来ていた。 
「なんだ? 麗華。泣いちゃったか?」 
「私を……私をこんな! いつまで続ける! いつになったら終わる!」 
 涙ぐんだ喚き声に担任の手が止まり、医師の手拍子もやんだ。肛門に挿入された綿棒も引き抜かれ、ようやく摂った粘液をまともに採取する。 
「仕方ありませんねえ。先生、次に進みましょう」 
「そうだな。こんどはアナルのシワの数だ」 
「シワ? そんなもんどうすんだ!」 
 麗華は今だお尻を突き上げた姿勢のまま怒鳴っている。 
「言ったでしょう? その可愛い可愛いアナルの形状をサンプルにすることで、医学的な考察の約に立つんです。肛門の病気を治すために貢献できるわけですよ」 
「だったら早く終わらせろ変態!」 
 泣き喚く麗華の姿を医師と担任は実際面白がっていた。アソコも肛門も丸見えになった卑猥なポーズのままで喚き、反抗的な声を吐き出しているのだ。こっけいなことこの上ない。二人にとっては今後もオカズになりえるネタの一つに過ぎなかった。 
「ええ、そうですねえ。でしたら自分で数えてください?」 
「な、何……!」 
「自分でアナルをおっぴろげて、画面を見ながらシワシワを数えていくんです。それとも、やはりワタシがやりましょうか?」 
「…………」 
 麗華はゆっくりと両手を自分のお尻に伸ばし、自らの尻たぶをグイっと開帳する。それでなくとも姿勢だけで丸見えになっていた肛門が左右に伸びて、麗華は枕にアゴを乗せる形で画面を睨んだ。 
 これもまた面白い光景である。 
 本当は嫌がっている女の子が自分からお尻を開き、カメラに向かって肛門を見せ付けているのだ。美少女がこんなに良い格好をしているところを逃すはずがなく、担任はもう一台のカメラを持ってきて撮影する。 
 パシャッ。 
 小さなシャッター音に気づくことなく、麗華は自分の菊のシワをよりわける。一本、二本、と心の中で数を数えていき、よりわける指を肛門の演習場に一周させる。 
「――二十三本」 
 涙ぐんだ声であるが、麗華は精一杯の覇気を込めて低めに発声していた。ズタズタにされ結界したプライドでも完全に死んだわけではなく、麗華はこんな状態からでも無意識のうちに威厳を保とうとしているのだ。 
 もちろん、今更無理な話である。全裸でいやらしいポーズをとりながらでは、何をどうしようが男は喜び興奮する。 
「麗華さん? 検査は終わりに近づいていますよ? もう少しですから、辛抱してくださいね〜」 
「……早くしろ」 
 ニヤニヤ声の医師に麗華は語気を低く荒げる。 
「ええ、早く進みたいのでパパっと仰向けのM字開脚をお願いします」 
 麗華の恥部が丸々と目視できる。自分の足を持ち上げたいやらしい開脚ポーズに向かい、医師はベッドに乗り上げ正座する。膝をV字に開いた形の正座を進行させ、麗華の腰を両手で持ち上げ、その開脚下半身を胸に抱え込んだ。 
 いわゆるまんぐり返しだ。体育のでんぐり返しを途中停止し、お尻が天井に向いたような姿勢で麗華は腰を抱かれている。最も恥部を覗きやすい体勢にされ、どうにもならない羞恥心が底から込み上げてくる。 
「ではでは? アナルのシワの本数を確認いたしまーす」 
「それはもう私が……」 
「確認ですよ確認。データが間違ってはいけませんからねぇ」 
 医師は掘り起こすかのように尻たぶを掴み、麗華のヒクつく肛門をかきわける。シワの一つ一つを指先で丁寧により分け、――いーち、にーい。と声を出しながら本数を数える。わざと大きな声で数えて麗華に聞かせているのだ。 
 とても目を合わせてなどいられず、麗華は顔を横にする。 
 が、担任がガシっと頭を掴んで上を向かされた。 
「きちんと表情も見せてもらうからな」 
 表情さえも観察対象とされながら、シワの本数は確認されていく。 
 ――十本! 十一本! 
 大きな声でカウントされる。羞恥心でか愛液がねっとり溢れ、姿勢のためにそれは腹をつたい垂れていく。肉貝はじわりと蒸れ、茂みは水気で縮み、そして腹へ向かって垂れ行く愛液が足跡を残した。 
 ――二十本! 二十一本! 
 担任が笑っている。 
 がっしり掴まれた頭を動かすことができず、麗華の羞恥と屈辱の浮き出る表情は観察される。そんな顔つきを見せて相手を喜ばせてやるのは癪で仕方がないが、無表情を装おうにも膨らみ続ける恥ずかしさの感情が仮面を内側から剥がすようで、上手く顔つきを固められない。 
 決して見られたくない表情をじっくり見られ、それが悔しいせいで余計にそそる顔つきになってしまう。そんな表情の変化に担任はニヤニヤし、麗華はさらに大きな悔しさを感じる。最悪のループにさえはまっていた。 
 ――二十二本! 二十三本! 
 やっとの事でカウントが終了する。 
「は〜い! お疲れさまで〜す! あとはもう少しだけ画像データを採取させて頂きま〜す」 
 残りは麗華の痴態撮影会であった。 
 性器にレンズを近づけられてシャッターを連鎖され、あまつさえ中身を自ら開いて見せるように指示される。そこにまたシャッターを連打され、恥丘の濡れている有様を実況されながら麗華は撮影され続けた。 
 顔は撮らないという建前だが、ズームアップやアウトを利用することでばっちり表情まで記録されている。まんぐり返しの姿勢のまま、顔面を真上のアングルから撮影された。屈辱、羞恥、顔つきの色合いを楽しむべく何十枚に渡って撮られている。 
 さらに直立で気をつけの姿勢を取らされ、全身を撮影される。 
 正面だけでなく左右の横向きと背中の写真まであらゆる角度でシャッター音が鳴らされ、背骨の歪みを見ると称して前屈までさせられる。全てのポーズで恥部の接写と全身図を記録され、なおかつ表情の色合いもデータに残された。 
 辱めの検査が終わる頃にはさしもの麗華も精神的に疲弊しきり、半泣きで肩を震わせながら服を着替えなおしていた。 
 そして……。 
 
「絶対許さない」 
 
 それが家へ帰る直前の麗華が残した言葉だった。    
 

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