『倶楽部処女宮』  
 
その倶楽部のことを聞いたのは、知人からだった。  
その頃、私はちょうど事業に成功し、一財産をなすことが出来た。  
取引先だった良家の娘を妻に娶り、二人目の娘にも恵まれて、人生順風満帆もここに極まったようなところがあった。  
しかし、それはあくまで、傍から見た限りにおいて、である。  
夫婦生活の実情は冷め切っており、妻と一週間以上口を聞かないこともしばしばだった。  
本来ならば早々に離婚してもおかしくはなかったのだが、私も妻も、また双方の実家も、  
戸籍に傷がつくことや、社会的な体面を気にかけ、離婚に踏み切ることはなかった。  
そんな状態にも関わらず、子供は娘ばかりが産まれ、嫁の実家からも私の親からも早く男の子を産めと矢の催促。  
離婚するのは長男坊が産まれてから。  
その長男が産まれたら産まれたらで、その次期跡取りを巡って、両家間で骨肉の争いを繰り広げることは目に見えていた。  
底の浅い野心と陰謀とが渦巻く近未来の青写真を前に、私の生活は愛の無いものに成り下がっていた。  
そんな、家庭での不和というか、軋轢に草臥れた私に、取引先でもあった事業家の知人が教えてくれたのである。  
いい店があるぞ、と。  
 
当然、最初は私も抵抗を感じた。  
地位があり、妻子を持っているのに、いかがわしい場所に出入りするのはよくないと。  
しかし、その知人は、実に悪魔的な笑みを湛えつつ、悪魔的な口舌でもって私に説いたのだった。  
「なに、妻が娘だなんていうのは、一つの刺激的なスパイスでしかないんだよ。  
妻に黙って、娘に隠して、他の女に溺れる。  
こんな背徳的な愉しみは、世の中広しといえどもそうそうあるもんじゃないぜ。  
一度でいいからやってみるといい。  
あんたが秘密を守る限り、絶対に事が露見する事も、法に触れる事もない。  
本当に、最高のアソビだからさあ」  
知人は、その店の事を誰にも口外しないことをたった一つの条件として提示した。  
私はもしその条件が守られなかったら、と聞くと、  
「そんなことは俺の知ったこっちゃない。  
そんな時にはあんたが消えるだけさ」  
といい、最近急に病死した財界の大物やムショに放り込まれた某政治家みたいにな、と付け足して嗤った。  
何か途轍もないものが背後に存在していることを感じ、私は言いようのない不気味さというか、恐ろしさを感じた。  
だが、その禁忌に足を踏み入れようという背徳的な刺激は、枯れて冷え切った家庭生活に較べてあまりにも蠱惑的に映じた。  
私は、幾許かの躊躇をしつつも知人の勧めに応えることとなった。  
 
ある日の夕刻、私は知人の指示通りに街へ出た。  
妻には仕事の都合で外泊になると伝えたが、特に反応はなかった。  
妻は、密男を連れ込んでいる。  
その痕跡を至る所に遺し、私にその存在を示唆している。  
そして、そのことに気づきながらも何も言い出せない私を、陰で嘲笑っているのだ。  
そのやるせなさが胸にのしかかりつつも、私のこれからの行為に免罪を与えてくれていた。  
指示された通り、ランドマークの傍で赤いハンカチーフを胸ポケットに差して立っていると、  
五分と待たずに黒塗りのハイヤーが近づいて来て、停まった。  
自動で開かれたドアから乗り込むと、言われた通りに行き先を告げた。  
「倶楽部処女宮へ」  
 
車中での記憶は曖昧で、道程もほとんど記憶にない。  
発車直後の街並と、到着直前の灯りもない夜の木立道だけだ。  
山道なのかもしれないが、起伏も傾斜もなく、舗装された道路のようだった。  
間もなくハイヤーは緩やかに停車した。  
フロントガラスの向こうには、鋼鉄の高い柵に囲われた洋館があった。  
赤煉瓦の洋館は真黒の森の中で、明々と瓦斯灯に照らされ、屏風のように聳えていた。  
音もなく柵が開き、ハイヤーはその内へ進み、再び停まった。  
洋館から男が歩いて来た。  
質の良いギャリソン服に身を固めた、暗いということもあったが、年齢の分かりづらい男だった。  
男はハイヤーのドアを開けると、馬鹿丁寧なお辞儀をした。  
「ようこそ、倶楽部処女宮へ」  
私は知人の紹介であることを告げると、男は伺っておりますと、慇懃に答え、私に車から降りるよう促した。  
男の後について洋館に入る。  
外から見た時には暗くて分かりづらかったが、  
こんな人気のない場所に建っているのが不思議なほどに、贅を尽くした豪奢な建物だった。  
玄関ホールはテニスコートを二つ並べたほどの広さがあり、  
左右から大きく弧を描く階段の中央に、大理石の裸婦像が揺れる灯りに浮かんでいた。  
ホールの上には巨大なシャンデリアが下がっていたが、どうやらその灯りは電気ではなく、炎のものであるようだった。  
呆然と頭上を見上げる私に、男が訊ねた。  
「お客様は、当倶楽部のことをいかほどご存知でいらっしゃいましょうや」  
私は大雑把なところしか知らないと云うと、男は説明をしてくれた。  
 
「当倶楽部は、世の極一部の選ばれた方々が、禁忌を犯して愉しむ集まりでございます」  
「禁忌?」  
思わず私は聞き返した。  
「その通り、禁忌でございます。  
人それぞれに破り犯す禁忌はございましょうが、当倶楽部がご提供いたしますのは、  
その名の通り純潔の処女でございます」  
「まさか、処女を奪うのか?」  
私は、ここに来て怖じ気が顔を出そうとしていた。  
だが男は、無感情な微笑を湛えたまま、顔を横に振った。  
「いえ、そのようなことは流石に。  
しかし、まあ、そういったことをなさる方もいらっしゃらない訳ではございません。  
その時はまあ、その時なりの責任を取っていただくことになりますが。  
ですが、もっぱらの方々はそういったことはなさりません。  
責任問題云々より、その一線の上で戯れることにこそ意味があるのでございます」  
男はゆっくりと歩みだした。  
私は男に続いた。  
緋色の絨毯が何処何処までも続き、闇の垂れ込めた廊下に点々と蝋燭の灯りが灯っている。  
「この館で春をひさいでおりますのは、そこいらの売女などではございません。  
それこそ、名門名家のお嬢様方」  
男は幾つかの学校名を挙げた。  
それらはいずれも、誰もが知る名門校だった。  
「それらのお嬢様方は物心ついてより貞淑であることを強要され、  
愉しみ悦びのなんたるかを教えられずに生きて来たのでございます。  
しかし、そのような雁字搦めの生き方をひっそりと抜け出して、  
禁忌を犯して背徳に苛まれることに愉悦の在り処を探しに来ておられるのでございます。  
一方で春を購う方もまた、妻子を持ちながらも、若い肉体に溺れたいという欲動を抱えていらっしゃいます。  
お互いに禁忌を破り、背徳の秘密を胸に掻き抱いて快楽を貪りたい、そのような方々がいき逢うのが当倶楽部なのでございます」  
男は、黒樫の重厚な扉の前で立ち止まった。  
「この扉の向こうには、お客様を縛り付け、苛んできた禁忌は一切の力を持ちません。  
ご存分にお愉しみください。  
ただし、守っていただきたい事がございます。  
第一に、パートナーとなる方の素姓に触れぬこと、探らぬこと。  
第二に、パートナーの純潔は守ること。  
第三に、パートナーをむやみにやたらに疵つけないこと。  
そして、一番重要なことでございますが、今宵のことは絶対だれにも明かさぬこと。  
一から三の約束事は、お破りになったとしてもペナルティで済みますが、秘密厳守については取り返しのつかない重罰が下されます。  
もっとも、その禁忌を破ることにさえ愉しみを見出して消えて行った方たちも御座いますが」  
男は重そうなドアを開いた。  
中は薄暗く、香のような香りが漂ってくる。  
「では、ごゆっくり」  
私は、吸い込まれるように扉の奥へと歩き出していた。  
背後で、ドアが閉まる音がした。  
 
室内は薄暗かったが、足元も見えないほどではなかった。  
あちこちで灯りが揺れている。  
近づいて見ると、華美な絵付けが施されたランプが置かれており、室内に充満する香気と同じものがそこから立ち上っていた。  
どうやら香水を焚いているようだ。  
暗さに目が慣れてくると、ずいぶん大きな部屋であることが分かった。  
それも一部屋ではない。  
幾つかの広い部屋がつながっている。  
私は恐る恐る室内を探索した。  
「誰?」  
女の声が夜気を揺らした。  
まだ幼さの残る声だった。  
私は慎重に、声のした方へ足を進めた。  
意味みもなく足音を殺し、ゆっくりと忍び寄る。  
声のした部屋は、殊更に多くのランプが点けられているらしく、煌々と明かりを溢れさせていた。  
私は、怖々その部屋を覗き込んだ。  
無数のランプの炎が揺れている。  
その灯りの中に、天蓋付きのベッドがある。  
その天蓋を支える、太く堅牢な柱に、少女が一人、犬のように繋がれていた。  
少女は白裸を曝していた。  
両手首を黒革の拘束具で束縛されている。  
拘束具から延びた銀の鎖は、ベッドの柱に繋げられており、少女の力で脱することは出来ないようになっていた。  
さらに、頻りにこちらを気にするように向けられる顔には、矢張り黒革のアイマスクが被せられており、視力も奪われているようだった。  
明らかな監禁の状況だった。  
私の胸中で、犯罪に関与させられているのではないかという疑心が首をもたげ始めていた。  
私は、半歩後じさった。  
しかし少女は耳聡く、その靴音を聞き逃さず、声を上げた。  
「誰でもいい!  
誰でもいいから早く、早くやって!」  
少女は泣き叫ぶようにそう云うと、負け犬のように頭を床に擦り付け、尻を高く掲げ、私の方へ向けた。  
私は目を疑った。  
少女の尻からは、狐のような、長い毛に覆われた尻尾が生えていた。  
見ず知らずの、年端もさほどいかぬ娘の裸体をまじまじと見つめることには抵抗があったが、  
周りには誰もいないことと、少女は目を塞がれていることを確認し、私は後ろめたさを覚えつつも、  
少女から生える尻尾の根元を覗き込んだ。  
尻尾の付け根には細い銀の鎖があり、それはほの紅く、濡れてひきつく肛門にへと続いていた。  
「早く、早く、早く!!」  
少女は衝き動かされるように尻を振った。  
鎖で繋がれた尻尾が振り回される。  
しとどに濡れた女陰から、濃密な腺液が、糸を引いて滴り落ちた。  
淫らに。  
 
私は吸い寄せられるように少女に近づいた。  
「抜けば、いいのか」  
声の震えを抑えつつ、私は訊ねた。  
「抜いて、早く抜いてぇ!」  
狂おしく少女は懇願した。  
私は少女から生える狐のような尻尾を掴んだ。  
軽く引っ張ると、短い鎖はすぐに張り詰めた。  
少女がひっと小さく声を漏らし、躯を強張らせた。  
私はもう片方の手で少女の尻を掴んだ。  
白い肌はきめが細かく、しっとりと汗ばんでいた。  
搗きたての餅のように柔らかく、弾力がある。  
指に力を込めると、少女はそれに応えるように身を固くした。  
私は、ゆっくりと尻尾を引っ張った。  
少女が息を詰める。  
色づいた肛門が内からの力で盛り上がる。  
「あ」  
肛門が内圧にはちきれたのと、少女が鳴いたのは同時だった。  
小さな窄まりはゆっくりと口を開け、体内に居座っていた異物を吐き出し始めた。  
それは、ひどくグロテスクなものだった。  
血管の浮き立つ、スモーククリアの張り型だった。  
少女の躯が、瘧にでも罹ったかのように慄えている。  
私はそれを圧し殺そうとするかのように、少女の尻を掴む手に力を込めた。  
張り型は少女の粘膜を捲り返らせつつ、ゆっくりと狭孔から這い出した。  
ズポンと、空虚な音を立てて抜け落ちた先端は、本物の陰茎のように、張り出した返しがついていた。  
逆さに吊り下げられた張り型は、少女に由来する粘液でぬらりと光り、なんとも滑稽で、かつ醜怪だった。  
その先端からはポトポトと透明な液体が滴り続けている。  
私は、思考を働かせることなく、衝動に任せてその雫を指に取り、舐めた。  
爛熟した果実のように甘く、芳しく、痺れるような味だった。  
おそらく張り型の中に薬液が仕込まれているのだろう。  
脳幹を震わせ、理性を眠りに誘う味だ。  
張り型は私に引き抜かれるまでの間、少女の腹の中で、この液体を腸粘膜に直接滴下し続けていたのだ。  
私は少女を見た。  
尻を突き上げたまま、全身で整わぬ息をしている、  
巨漢の逸物を模した、この太い張り型を吐き出した肛腔は、何事もなかったかのように小さく窄まり、かすかに息づいていた。  
私は衝動に駆られ、少女の白く柔らかな尻肉を、両手で鷲掴み、割り広げた。  
少女が小さな悲鳴を漏らす。  
構うことなく、私は少女の尻に顔を寄せた。  
熟れた果実の匂いがする。  
私は躊躇うことなく、少女の排泄孔に舌を這わせた。  
甘い。  
薬液が溶け込み、薬液に蕩かされたそこは、果実となっていた。  
私は、熟れすぎた果肉を崩し、孔を穿つように、少女の肛門を舌先で掘った。  
すでにほぐされていたそこは、容易く舌の先侵入を許した。  
少女が身を捩ろうとするのを、私は万力のようにその矮躯を捕らえ、締め付けた。  
少女が鼻を鳴らし、咽び泣くのも構わず、私を少女の排泄孔内を舐り回し、弄んだ。  
少女の躯は、まさに果実だった。  
妻子を持ち、地位のある身でありながら、見ず知らずの、身動きも取れない少女の白裸を苛み、  
挙句その尻に舌を突き込み、抉り回している。  
その現実が頭を過ぎったが、もはや暴発した情動を抑えきれるものではなかった。  
理性が自身の所行を変態だと批判しているが、それさえも今は猛り狂う肉欲をさらに逸らせる喝采にしかならなかった。  
私は背徳に爛熟し、禁忌の香りを纏う青い果実を、狂ったように貪った。  
私は激情に身を任せた。  
立ち上がると、ズボンと下着を脱ぎ下ろす。  
すでに陰茎は猛ったように反り返り、先端からは抑えきれない先走りが溢れていた。  
私は少女を押さえつけ、尻肉を割り広げた。  
腸液と唾液に塗れ、薄紅くほとびれたそこに、亀頭をあてがう。  
 
少女が呻いた。  
執拗な蹂躙の痕となっていたそこは、ほとんど抵抗もなく亀頭を呑み込んだ。  
「く、あ、あああ、ああーー」  
少女は全身を慄わせて、堪えた。  
背中に脂汗の玉が浮かんでいた。  
私はゆっくりと、少女のより深くへと潜り込んだ。  
肛門はキュウキュウと脈動するように締め付けてくるが、中はゆっくりと蠢動し、やはり熟れた果実のように柔らかい。  
乱れた少女の呼吸に合わせ、腸壁もまた妖しげに蠢いて、私を弄んだ。  
少女の尻は、とうとう私の陽根を根元まで呑み込んだ。  
決して小さいわけではない自分の体の一部が、目の前の華奢な少女の、あの小さな尻の孔に埋まってしまっている。  
それはなんとも不思議な光景であり、否定しようのない現実であった。  
ここで今更になって、私は強姦を働いてしまったのではないかという危惧に囚われた。  
ぞぞと心がざわめくにも関わらず、陽根はますます熱く、硬く、猛っている。  
私はゆっくりと少女から、陰茎を引き抜こうとした、  
少女の肛門がぴったりと吸い付いてくる。  
陰茎に貼りつき、捲れ返って内壁を曝け出しつつも、少女の菊門は貪欲に私に縋り続けた。  
「だめ、抜いちゃだめぇっ!」  
少女は髪を振り乱して懇願した。  
私は困惑し、動きを止めた。  
少女が肩越しに振り返った。  
顔の半分をアイマスクで覆われているが、鼻筋の通った、端正な顔だということがはっきりとわかる。  
アイマスクがあることで、少女の面立ちはミステリアスな魅力を纏い、一層背徳的で不均衡な美しさを醸していた。  
その整った顔立ちの口許を、ふやけたようにだらしなく開け、たらたらと唾液の筋を溢れさせている。  
赤い舌が、震える。  
「抜いちゃだめぇ。もっと、もっと激しく動いて。お腹の中、メチャメチャに、掻き回して」  
それは、哀訴だった。  
もはや、堪えきれなかった。  
私は、少女の細い腰をを抑え掴むと、抜きかけていた怒張を一気に突き込んだ。  
少女が嬌声をあげる。  
少女の尻は、私を緩く締め付け、熱く柔らかく包み込んだ。  
私は少女の尻に、何度も何度も己の腰を打ち付けた。  
少女は、佳く鳴いた。  
排泄孔を犯される恥辱に泣き、禁忌を犯す悦びに啼いていた。  
私もまた、顔も知れぬ少女の尻を犯し、辱める愉しみに溺れていた。  
妻子や立場といったものがあるからこその背徳感。  
純潔の乙女の汚穢の孔を弄ぶという罪悪感。  
それらも今は、全身に暴風の如くに吹き巻く快感を、助長するだけのスパイスにすぎない。  
今になって、あの知人の言っていたことが理解できた。  
私は全身に張り詰めたこの昂りを叩きつけるべく、一層動きを激しくした。  
「イグ、イグ、イグゥ、イグ、イグッ、グァ、ア、アアアアアアッ!?」  
余裕も理性もない、獣のような叫びが白い喉から迸った。  
少女の躯がビクビクと慄える。  
汗の浮いた背中が、折れんばかりに弓なりに仰け反る。  
肛門がギュッと締り、内臓が暴れるかのように陽根を弄ぶ。  
私は全身に漲っていた昂りを、少女の腸内にへとぶちまけた。  
視界が白熱していく。  
 
「あ、ああ、熱いぃ」  
少女はのたうちまわろうともがいたが、手が縛られているため身動きすることもままならず、身をくねらせて泣き叫んだ。  
私は少女から肉茎を引き抜いた。  
放屁のような汚らしい音が、仄かに赤く色づいた少女の尻から溢れ出た。  
少女の肛門は私に蹂躙され、ぽっかりと空虚に口を開け、ひくついていた。  
何ともしれぬ体液に塗れ、白い尻肉はテラテラと艶めいている。  
一方でまあるく口を開けたままの肛孔は、赤々とした内壁を私の眼下に曝け出し、  
なおまだ私を誘い込むこのように、さらに奥に妖しげな闇を湛えていた。  
私の怒張は未だ衰えることなく、なおまた激情を身に募らせ益々硬さを増してくる。  
私は、開いたままの少女の紅孔に指を入れ、内壁を擦り上げた。  
少女が、甘い声で鳴く。  
まだ男を知らぬであろう秘裂からもトロトロと汁が溢れる、下半身を妖しい艶に包み込んでいる。  
私は、少女の尻肉を掴んだ。  
白い皮に覆われた、真っ赤に熟れた肉の果実だ。  
少女が、髪を振り乱して泣いている。  
少女が、獣のようにしてせがんでくる。  
私は再び、その華奢な躯を組み敷くと、灼ける肉槍を、少女の直腸へ深々と刺し穿った。  
少女の鳴き声に、炎が揺れた。  
 
※  
 
目が覚めると、出かける前にとってあったビジネスホテルの部屋にいた。  
後でホテルマンに聞くと、特に変わった様子もなく帰ってきたとのことだった。  
あの鮮烈な交歓の記憶が、まるで夢のように霞んでいる。  
しかし、あれが夢ではないことは、私が一番わかっている。  
全身に残る疲労感。  
そして、シェルフに置かれた一枚のカード。  
白地に飾りのない明朝体で「倶楽部処女宮」。  
私はそれを四つに破ると、灰皿の上で火を付け、灰にした。  
そして妻に、何日かぶりに電話をかけた。  
娘の進学先について。  
妻は朝一番の提案に至極鬱陶しそうに応えていたが、私の案には二つ返事で賛成した。  
娘は、名門女学校の附属に入れる。  
その校名は、昨夜あの男から聞いたものだった。  
電話を切ると、私は荷物を纏めて逃げるように、急ぐようにホテルを出た。  
禁忌を犯した、背徳の匪賊のように。  
桃園へと駈け急ぐ、童のように。  
すべては、より大きな禁忌と、さらに大きな愉悦のために。  
 

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